刑事訴訟法 第339条
クイックジャンプ
- 左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。
- 一第二百七十一条第二項の規定により公訴の提起がその効力を失つたとき。
- 二起訴状に記載された事実が真実であつても、何らの罪となるべき事実を包含していないとき。
- 三公訴が取り消されたとき。
- 四被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。
- 五第十条又は第十一条の規定により審判してはならないとき。
- 2.前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第339条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第339条の条文原文は「左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第339条は第五節 公判の裁判に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第339条の前の条は刑事訴訟法第338条です。
- 刑事訴訟法第339条の次の条は刑事訴訟法第340条です。
- 刑事訴訟法第339条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第339条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第339条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/339
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法339条は、訴訟条件を欠く五つの場合に、裁判所が口頭弁論を開かず決定で公訴を棄却すると定める。形式裁判のため一事不再理効はなく、欠陥が直れば再起訴されうる。
Q · 公訴棄却の決定が出たら、もう裁判は完全に終わりなんですか?
形式裁判なので無罪とは違い、欠陥が直れば再起訴されることもある
刑事訴訟法339条による公訴棄却の決定は、訴訟条件を欠く五つの場合に、口頭弁論を開かず決定で手続を打ち切るものです。ただしこれは形式裁判であり、有罪・無罪の実体判断ではありません。一事不再理効がないため、被告人死亡のように再起訴が物理的に不可能な場合を除き、起訴状の欠陥が修復されれば検察官は同じ事件で再び起訴できます。さらに検察官は決定の告知から3日以内に即時抗告でき(339条2項、422条)、この期間が過ぎるまで決定は確定しません。
解説
起訴されたら、あとは法廷で証拠を戦わせて白黒つけるしかない。多くの人がそう思い込んでいる。だが刑事訴訟法339条は、裁判の中身に一歩も踏み込まずに事件を打ち切る五つの出口を定めている。起訴状に書かれた事実が、たとえ全部真実だとしても何の罪にもならないとき。検察官が公訴を取り消したとき。被告人が死亡したとき。起訴状謄本が2か月以内に届かず起訴が効力を失ったとき。同一事件が他の裁判所にも係属していて審判してはならないとき。これらは「公訴棄却の決定」と呼ばれ、判決と違って口頭弁論すら開かずに下される。ここで知っておくべき決定的な一点がある。公訴棄却は無罪ではない。一事不再理効がないため、欠陥が修復されれば検察官は再び起訴できる。しかも検察官は3日以内に即時抗告できる。あなたが「終わった」と安堵した瞬間が、本当の終わりとは限らない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法339条にいう公訴棄却の決定とは、起訴の効力喪失・起訴状記載事実の不可罰・公訴取消し・被告人の死亡・二重起訴という訴訟条件の欠缺がある場合に、裁判所が口頭弁論を開かず決定の形式で公訴を打ち切る形式裁判をいう。実体審理に入らず手続を終了させる点で有罪・無罪の実体判決と区別され、一事不再理効を持たない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起訴状が届いたらまず訴訟条件を点検 証拠の中身を争う前に、弁護人とともに起訴状を読み、339条1項各号(起訴失効・記載事実の不可罰・公訴取消し・死亡・二重起訴)のいずれかに該当しないかを一行ずつ確認する
- 2.起訴状謄本の送達日を確認 公訴提起から2か月以内に起訴状謄本が送達されたかを確認し、不送達なら271条2項による公訴失効と339条1項1号での公訴棄却を主張する
- 3.記載事実の不可罰を実体審理前に主張 起訴状記載事実を全部真実と認めても罪を構成しない場合、証拠調べに入る前の段階で339条1項2号による公訴棄却を申し立てる。実体審理が始まると入口論は埋もれやすい
- 4.決定後も即時抗告期間中は記録を保全 公訴棄却の決定が出ても告知から3日間は確定しない。検察の即時抗告(422条)に備え、証拠・記録を処分せず保全し、再起訴の見込みを担当検察官に確認する
よくある質問 AI による整理
Q1公訴棄却とは何ですか?
訴訟条件を欠く場合に、裁判の中身に入らず手続を打ち切る形式裁判です。刑訴法339条は決定で棄却する五つの類型を定めます。
Q2公訴棄却と免訴の違いは何ですか?
公訴棄却(339条)は形式裁判で一事不再理効がなく再起訴の余地があります。免訴(337条)は形式裁判でも一事不再理効を持つ点が決定的に異なります。
Q3公訴取消しとは何ですか?
検察官が第一審判決前に公訴を撤回することです(257条)。これがあると339条1項3号で公訴棄却の決定が下されます。
Q4起訴状謄本が届かないとどうなりますか?
公訴提起から2か月以内に起訴状謄本が送達されないと公訴提起は遡って効力を失い(271条2項)、339条1項1号で棄却されます。
Q5二重起訴の禁止とは何ですか?
同一事件が複数の裁判所に係属するなど審判してはならない場合をいい、後の事件は339条1項5号で公訴棄却されます。
Q6公訴棄却の即時抗告期間は何日ですか?
決定の告知から3日以内です(339条2項、422条)。この期間が過ぎるまで決定は確定せず、検察が抗告すれば上級審で審理が続きます。
Q7公訴棄却されると前科はつきますか?
つきません。公訴棄却は有罪判決ではなく手続を打ち切る形式裁判のため、犯罪が認定されたわけではなく前科にはなりません。
Q8公訴棄却の決定に不服がある場合はどうしますか?
検察官は決定の告知から3日以内に即時抗告できます(339条2項)。被告側は決定確定まで記録・証拠を保全しておくのが安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公訴棄却になったら、もう二度と起訴されないんですよね?
それは無罪判決の話です。公訴棄却(刑訴法339条)は形式裁判で、一事不再理効がありません。被告人死亡のように物理的に不可能な場合を除き、起訴状の欠陥が直れば検察官は再起訴できます。実務のポイント:弁護士が本当に取りに行くのは公訴棄却より無罪判決。無罪は憲法39条の一事不再理で再起訴を完全に封じるからです。同じ裁判が終わるでも、公訴棄却で喜ぶのは早い
Q2起訴状の中身が犯罪にならないって、そんなことあるんですか?
あります。刑訴法339条1項2号は、起訴状に書かれた事実が全部真実でも何の罪にもならないなら公訴棄却すると定めます。検察の主張をいったん全部認めたうえで、それでも罪にならないと切る入口の論法です。実務のポイント:これは証拠調べに入る前に主張するのが鉄則。実体審理が始まると裁判所は無罪・有罪の判断に進みたがり、入口論は埋もれます。なお2号を無罪で処理すべきだという学説もあり、実務上、解釈が分かれる場面です
Q3公訴棄却の決定が出たら、その場で全部おしまいですか?
まだです。刑訴法339条2項により、検察官は決定に対して告知から3日以内に即時抗告(同422条)できます。この期間が過ぎて初めて確定します。実務のポイント:公訴棄却が出ても、その日のうちに証拠や記録を処分してはいけません。検察が抗告して上級審で覆ると審理が続き、再び防御が必要になる。3日間は油断しない、これが実務の鉄則です
間違えやすい点 AI による整理
- 「公訴棄却されれば無罪と同じで、もう二度と起訴されない」と思い込んでいる。だが公訴棄却の決定は形式裁判にすぎず、一事不再理効がない。被告人の死亡のように物理的に再起訴が不可能な場合を除き、起訴状の欠陥が修復されれば検察官は同じ事件で再び起訴できる
- 「起訴状の事実が罪にならないなら公訴棄却」というルールは知っていても、その威力を過小評価している人が多い。これは検察の主張を一つも争わず、全部真実だと認めたうえで、それでも罪は成立しないと切る最強の入口論。証拠調べという長い消耗戦に入る前に、起訴状の一読だけで事件を終わらせうる
- 「公訴棄却は裁判官が職権で決めるもので、被告人にできることはない」と思っているなら、視点が逆だ。法律から見れば、訴訟条件の欠缺は被告側が積極的に指摘し主張して引き出すもの。黙って待っていれば裁判所が気づくとは限らず、実体審理に入ってしまえば入口で切る機会は細る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 裁判の形式 | 339条:決定(口頭弁論不要) | 338条:判決(口頭弁論を経る公訴棄却) 337条:判決(免訴) |
| 一事不再理効 | なし(形式裁判、再起訴の余地あり) | なし(形式裁判、再起訴の余地あり) あり(免訴は再訴を遮断する) |
| 主な事由 | 起訴失効・記載事実の不可罰・公訴取消し・死亡・二重起訴 | 管轄違いを除く訴訟条件の欠缺(口頭弁論で判断すべき類型) 確定判決・時効完成・大赦・刑の廃止 |
| 不服申立て | 即時抗告(339条2項、3日以内) | 控訴 控訴 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は訴訟条件を欠く類型を不受理判決(判決形式)で処理する点が日本の決定方式と異なるが、実体審理に入らず手続を打ち切る形式裁判である点は共通する
韓国は공소기각の決定(제328조)と判決(제327조)を分け、決定で処理する類型を持つ点で日本339条と最も近い構造
ドイツは公判外で手続障害(Verfahrenshindernis)が判明したとき決定(Beschluss)で手続を打ち切る。死亡・二重起訴等の障害事由で決定により終了させる発想が日本と類似
米国は起訴の瑕疵に対する却下申立て(Rule 12(b))や政府による訴追取下げ(Rule 48(a))で対応。実体審理前の手続的却下である点で機能的に対応するが、一事不再理(Double Jeopardy)の付着時点は陪審宣誓等で別途判断される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが名誉毀損で起訴された。だが起訴状をよく読むと、書かれている言動はそもそも公然と事実を摘示しておらず、単なる意見の表明にとどまる。検察の主張を全部真実だと認めても、罪の構成要件を満たさない。弁護人は法廷で証拠を争う前に、339条1項2号で公訴棄却を申し立てる。裁判の中身に入らず終わる道がある
- もし、あなたの裁判の途中で検察官が突然「公訴を取り消します」と言い出したら? これは無罪ではない。339条1項3号の公訴棄却決定で手続は終わるが、新たな証拠が見つかれば再起訴されうる。即時抗告の3日間が過ぎ、再起訴の現実味が消えるまで、本当の意味で終わってはいない
- 起訴後、被告人が病気で亡くなった。刑事手続はそこで終わる。339条1項4号、被告人死亡による公訴棄却。遺族が無実を証明したいと思っても、死者を裁く制度はない
- 起訴されたのに、裁判所からの起訴状謄本が2か月経っても届かない。271条2項により、公訴の提起は遡って効力を失い、339条1項1号で棄却される。あなたを縛っていた起訴が手続のミスで消える。ただし時効が残っていれば再起訴の余地はある。残り時間を読み違えると逆転される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 公訴棄却決定が出ても、それが起訴状謄本の不送達など手続的欠陥(339条1項1号)による場合、検察官は欠陥を直して再起訴できる。担当検察官に再起訴の見込みを確認する2. 被告人死亡(同項4号)など再起訴が物理的に不可能な類型では刑事手続は終わるが、民事の損害賠償請求(民法709条)は別軌道で可能3. 検察の不起訴・処分に不服があれば、検察審査会への申立てを検討する
訴えられた側:1. 起訴状が届いたら、証拠の話に入る前に弁護人と「書かれた事実が本当に罪を構成するか」(339条1項2号)を精査する2. 起訴状謄本が公訴提起から2か月以内に届いたか確認、不送達なら271条2項で公訴失効を主張3. 公訴棄却決定が出ても即時抗告期間の3日が過ぎるまで確定しない、記録・証拠は保全する4. 公訴棄却は再起訴を防げない点に注意、可能なら実体審理での無罪も同時に狙う
時効(請求できる期限):公訴棄却の決定に対する即時抗告は、決定の告知から3日以内(刑事訴訟法422条)。271条2項による公訴失効は、公訴提起の日から2か月以内に起訴状謄本が送達されないことが基準。公訴の取消し(257条)は第一審判決があるまで可能
学説
通説(公訴棄却説):339条1項2号の「起訴状記載事実が罪を構成しない」場合は、訴訟条件の欠缺として実体審理に入らず公訴棄却の決定で処理すべきとする立場。手続経済を重視し、入口の段階で迅速に打ち切る点に意義を見いだす。
有力説(無罪説):2号の場合は、被告人の実体的名誉回復のため無罪判決で処理すべきとする立場。無罪は一事不再理効で再起訴を完全に封じる点で被告人に有利であり、公訴棄却にとどめるのは保護に欠けると批判する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定により公訴棄却の決定を規定。戦後の刑事手続改革で当事者主義を取り入れつつ、訴訟条件を欠く事件を口頭弁論を開かず決定で処理する枠組みを整備した。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める