刑事訴訟法 第338条
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- 左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。
- 一被告人に対して裁判権を有しないとき。
- 二第三百四十条の規定に違反して公訴が提起されたとき。
- 三公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。
- 四公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第338条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第338条の条文原文は「左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第338条は第五節 公判の裁判に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第338条の前の条は刑事訴訟法第337条です。
- 刑事訴訟法第338条の次の条は刑事訴訟法第339条です。
- 刑事訴訟法第338条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第338条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第338条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/338
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法338条は、裁判権の欠如・違法な再起訴・二重起訴・手続の規定違反という四つの形式的事由がある場合、裁判所が実体に立ち入らず判決で公訴を棄却しなければならないと定める。
Q · 起訴されたけど、検察側の手続にミスがあったら裁判はどうなるの?
無罪ではなく『公訴棄却』で打ち切られます
刑事訴訟法338条により、被告人への裁判権の欠如(1号)、340条違反の再起訴(2号)、同一裁判所への二重起訴(3号)、公訴提起の手続が規定違反で無効なとき(4号)は、裁判所が事件の中身を一切判断せず判決で公訴を棄却します。最も実戦的なのが4号で、親告罪なのに告訴がない、訴因が特定されていない(256条違反)といった検察の手続ミスを突けば、有罪・無罪を争う前に裁判が崩れます。ただし無罪とは異なり、手続の瑕疵が治癒すれば再起訴される余地が残ります。
解説
刑事裁判の結末は「有罪」か「無罪」の二択だと思っているなら、その地図には大きな空白がある。第三の出口、それが公訴棄却の判決だ。被告人の側に立つあなたが知っておくべきは、この条文が「事件の中身を一切判断せずに、入口で裁判を打ち切る」装置だという点。四つの引き金がある。裁判権がない、取消した事件を新証拠なしで蒸し返した、同じ事件を同じ裁判所に二重起訴した、そして最も実戦的なのが四号、公訴提起の手続そのものが規定違反で無効なとき。親告罪なのに被害者の告訴がない、起訴状の訴因が特定されていない、こうした検察側の手続ミスを突けば、犯罪事実の有無を争う前に裁判は崩れる。弁護人が起訴状を受け取って真っ先に探すのは、有罪の反証ではなく、この四号の綻びだ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法338条は公訴棄却の判決を定める規定であり、被告人に対する裁判権の欠如(1号)、340条違反の再起訴(2号)、同一裁判所への二重起訴(3号)、公訴提起の手続が規定に違反し無効であるとき(4号)の四事由について、裁判所が事件の実体判断を行わず判決で訴訟を打ち切る形式裁判の一類型を規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起訴状を受け取ったらまず訴訟条件を点検 有罪の反証を考える前に、裁判権の有無、二重起訴、親告罪の告訴欠如、訴因の特定(256条)、起訴状一本主義違反という形式の綻びを最初に探す。弁護人が真っ先に読むのはここ
- 2.親告罪なら告訴の有効性を洗う 告訴権者か、告訴期間内か(名誉毀損は犯人を知った日から6か月、刑訴法235条)、取消されていないかを確認。一点でも穴があれば被告人質問も証人尋問も不要で崩せる
- 3.弁護人と戦略を最初に決める 『実体で争うか、手続で落とすか、両建てか』を初期に協議する。公訴棄却は再起訴の余地があるため、無罪を狙える事案では安易に手続論へ飛びつかない判断も要る
- 4.公判前整理手続または冒頭で主張する 訴訟条件の欠缺は、公判前整理手続または第一回公判期日の冒頭で主張するのが効く。実体審理に深く入る前なら、裁判所は職権でも調査せざるを得ず、低コストで門前払いを引き出せる
よくある質問 AI による整理
Q1公訴棄却とは何ですか?
事件の中身を判断せず、手続上の事由で裁判を打ち切る判決です。刑事訴訟法338条が根拠で、裁判権欠如・違法な再起訴・二重起訴・手続違反の四事由があります。
Q2公訴棄却と免訴の違いは?
公訴棄却(338条)は手続の瑕疵が治癒すれば再起訴の余地があります。免訴(337条)は時効完成や恩赦など、もう起訴できない確定的な打ち切りで、深刻度が異なります。
Q3公訴棄却の判決に検察官は控訴できますか?
できます。公訴棄却は終局判決であり、検察官は控訴期間14日以内に控訴できます(刑訴法373条)。手続の瑕疵を補えば再起訴される場合もあります。
Q4親告罪で告訴がないとどうなりますか?
告訴という訴訟条件が欠けるため、犯罪事実を争うまでもなく338条4号で公訴棄却になります。器物損壊(刑法264条)や名誉毀損(刑法232条)が典型例です。
Q5公訴棄却になったら再び起訴されますか?
あり得ます。公訴棄却は手続の入口で打ち切るだけで犯罪事実を判断していないため、欠陥が治癒すれば再起訴される可能性が残ります。無罪のような確定的解決ではありません。
Q6公訴棄却の決定と判決の違いは?
判決による公訴棄却は338条、決定による公訴棄却は339条が定めます。決定は口頭弁論を経ずに行え、起訴状謄本不送達など、より明白な事由が対象です。
Q7二重起訴とは何ですか?
公訴提起があった事件について、さらに同一裁判所へ重ねて起訴することです。検察側の事務処理ミスで起こり、後の起訴は338条3号で公訴棄却されます。
Q8訴因不特定とは何ですか?
起訴状で『いつ・どこで・何を』が特定されず、防御の的を絞れない欠陥です。256条3項違反として338条4号の公訴棄却事由になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公訴棄却になったら前科はつかないんですよね?無罪と何が違うんですか?
前科はつきません。ただし無罪(336条)とは性質が全く違います。無罪は犯罪事実なしと積極的に判断した確定判断ですが、公訴棄却(338条)は中身を一切判断せず手続の入口で打ち切るもの。実務のポイント:この差は刑事補償で効いてきます。無罪なら刑事補償法で身柄拘束日数分の補償を請求できますが、公訴棄却では原則受けられない。さらに手続の欠陥が直れば再起訴の可能性も残る。弁護人が「無罪を狙うか公訴棄却で十分か」を冷静に分けて戦略を組むのはこのためです
Q2起訴状の書き方がおかしいだけで、本当に裁判が終わることがあるんですか?
あります。338条4号は「公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき」と定め、訴因不特定(256条3項違反)や起訴状一本主義違反(256条6項、予断を生じさせる書類添付)がこれに当たります。実務のポイント:起訴状一本主義は、裁判官が起訴状以外の証拠に触れて予断を持つことを防ぐ仕組みで、検察が証拠書類を添付したり犯罪の詳細を書き込みすぎると無効主張の的になる。弁護人が起訴状を受け取って最初にチェックするのは有罪の証拠ではなく、この形式の綻びです
間違えやすい点 AI による整理
- 「公訴棄却は無罪と同じでしょう」と思った時点で、問いの立て方が間違っている。公訴棄却は有罪でも無罪でもない第三の結末で、犯罪事実については何も判断していない。だから無罪のような刑事補償(刑事補償法)は原則受けられず、手続の欠陥が治癒すれば再起訴される可能性も残る。「勝った」と「無罪を勝ち取った」は別物だ
- 公訴棄却と免訴(337条)を同じ「形式裁判」とひとくくりにしがちだが、深刻度が違う。免訴は時効完成や恩赦など、もう二度と起訴できない確定的な打ち切り。公訴棄却は手続の瑕疵が直れば蒸し返せる。同じ門前払いでも、片方は永久追放、片方は出直しの余地がある
- 「手続のミスくらいで犯罪が見逃されるのは抜け穴だ」と考える人がいるが、視点が逆だ。法律から見れば、検察が手続を守らずに人を裁ける方がはるかに危険な抜け穴。手続の壁は被告人だけでなく、いつか冤罪の側に立つかもしれないあなた自身を守る安全網でもある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 判断の対象 | 338条 公訴棄却:手続の有効性のみ(実体不判断) | 336条 無罪:犯罪事実なしを実体判断 337条 免訴:実体に入らない確定的打ち切り |
| 再起訴の可否 | 手続の瑕疵が治癒すれば再起訴の余地あり | 確定すれば一事不再理で再訴不可 確定的打ち切りで再起訴不可 |
| 刑事補償 | 原則受けられない | 刑事補償法により拘束日数分を請求可 原則受けられない |
| 形式/実体 | 形式裁判(判決) | 実体裁判(判決) 形式裁判(判決) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は『不受理判決』として、重複起訴や告訴乃論の罪での告訴欠如などを列挙する点で日本338条と機能が重なる
韓国も『公訴棄却の判決』として裁判権欠如・二重起訴・親告罪の告訴欠如などを定め、日本法と極めて近い構造を持つ
ドイツは訴訟障害(Verfahrenshindernis)がある場合に判決で手続を打ち切る(Einstellung)構成をとり、実体判断を回避する点で類似する
米国は手続上の瑕疵に対し indictment の dismissal で対応し、with/without prejudice の区別が再訴の可否を左右する点が日本の公訴棄却と無罪の差に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし検察が、被害者の告訴がないまま親告罪を起訴してきたら? 器物損壊(刑法261条、264条で親告罪)のような罪では、告訴という訴訟条件が欠ければ338条4号で公訴棄却になる。中身を争うまでもなく、入口で終わる
- あなたが被告人で、起訴状を読むと訴因が曖昧で「いつ、どこで、何を」が特定されていない。訴因不特定(256条違反)は防御の的を絞れない致命的欠陥。第一回公判前にこれを指摘すれば、裁判所は実体審理に入る前に手続の有効性を判断せざるを得ない
- 同じ事件で、なぜか二つの起訴状が同じ裁判所に届いている。検察側の事務処理ミスで二重起訴された場合、後の起訴は338条3号で棄却される。あなたが二度同じ罪で裁かれることはない
- 公判は進み、判決まであと一週間。だが弁護人が告訴期間(名誉毀損は犯人を知った日から6か月、刑訴法235条)の徒過に気付いた。期間経過後の告訴は無効、つまり告訴は最初から存在しなかったことになり、4号の公訴棄却に直結する
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが犯罪被害者で、加害者の事件が公訴棄却になった場合、それは無罪ではなく手続上の打ち切りだと理解する2. 親告罪なら、自分の告訴が有効だったか(告訴権者・告訴期間・取消の有無)を確認、欠陥が告訴側にあったなら治癒して再度告訴できる場合がある3. 刑事で決着しなくても、民事の損害賠償(民法709条)は別軌道で進められる4. 検察審査会への申立てで起訴相当の議決を得る道も検討する
訴えられた側:1. 起訴状を受け取ったら、有罪の反証より先に訴訟条件の欠缺を探す。裁判権の有無、二重起訴、親告罪の告訴欠如、訴因の特定(256条)、起訴状一本主義違反2. 欠陥を見つけたら、公判前整理手続または第一回公判の冒頭で主張する3. 弁護人と「実体で争うか、手続で落とすか、両建てか」の戦略を最初に決める4. 公訴棄却は手続が治癒すれば再起訴の余地があるため、無罪を狙える事案では安易に手続論に飛びつかない判断も要る
時効(請求できる期限):訴訟条件の欠缺は裁判所の職権調査事項であり、判決言渡しまで主張できる。特定の出訴期間という形の時効はないが、実体審理が進むほど手続論での逆転は心理的に困難になるため、早期に出すのが鉄則。公訴棄却判決に対し検察官は控訴期間14日以内に控訴できる(刑訴法373条)
学説
通説:338条各号は訴訟条件の欠缺に対する効果を定めるものと理解され、訴訟条件は裁判所の職権調査事項とされる。4号は最も包括的で、親告罪の告訴欠如、訴因不特定、起訴状一本主義違反などの公訴提起手続の違法を広く取り込む受け皿規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い、公訴棄却の判決事由を四号に整理。当事者主義・適正手続の理念のもと、手続違反による訴追を実体審理前に遮断する仕組みとして規定された
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