刑事訴訟法 第485条の2
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- 拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、検察官は、当該判決が確定した後、直ちに収容状を発付し、又は司法警察員にこれを発付させることができる。
- 一第三百四十二条の二の許可を受けないで本邦から出国し又は出国しようとしたとき。
- 二第三百四十二条の二の許可が取り消されたとき。
- 三第三百四十二条の二の許可を受け、正当な理由がなく、指定期間内に本邦に帰国せず又は上陸しなかつたとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第485条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第485条の2の条文原文は「拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、検察官は、当該判決が確定した後、直ちに収容状を発付し、又は司法警察員にこれを発付…」で始まります。
- 刑事訴訟法第485条の2は第一章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第485条の2の前の条は刑事訴訟法第485条です。
- 刑事訴訟法第485条の2の次の条は刑事訴訟法第486条です。
- 刑事訴訟法第485条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第485条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第485条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/485_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法485条の2は、実刑判決を受けた者が出国制限に違反すると、判決確定後に検察官が逃亡のおそれの審査なく直ちに収容状を発付できると定める特則である。
Q · 実刑判決が出ても、確定して刑務所に入るまでは普通に海外へ行けるの?
いいえ。出国制限に違反すれば確定と同時に収容され得ます
拘禁刑以上の実刑判決を受けて保釈・勾留執行停止中の人は、342条の2で裁判所の許可がなければ出国できません。許可なく出国した、許可が取り消された、または許可を得ても正当な理由なく期限内に帰国・上陸しなかった場合、刑事訴訟法485条の2により、判決確定後に検察官は逃亡のおそれを審査することなく『直ちに』収容状を発付できます。通常は確定後に逃亡のおそれを判断してから収容状を出しますが(485条)、本条はその判断を飛ばす特則です。
解説
2019年末、日産の元会長カルロス・ゴーンが楽器ケースに隠れ、関西空港からプライベートジェットで国外へ逃亡した。この一件が刑事司法の穴を白日の下にさらし、その穴を塞ぐため2023年に新設されたのが本条だ。仕組みはこうだ。拘禁刑以上の実刑判決を受け、保釈や勾留執行停止で外に出ている人は、342条の2で裁判所の許可を得なければ日本を出国できない。それでも(1)許可なく出国し、または出国しようとした、(2)許可が取り消された、(3)許可は得たが正当な理由なく期限内に帰国・上陸しなかった、このいずれかに当たれば、判決が確定した後、検察官は『直ちに』収容状を発付し、あるいは司法警察員に発付させて、あなたの身柄を押さえられる。通常は確定後に逃亡のおそれを判断してから収容状を出す(485条)。だが本条はその判断を飛ばす。出国制限を破った時点で、あなたは『逃げる意思のある者』とみなされ、確定と同時に収容のスイッチが入る。
法的な位置づけ
刑事訴訟法485条の2は、収容状発付の特則を定める規定である。拘禁刑以上の実刑判決を受けた者が342条の2の出国制限に違反した場合、検察官は判決確定後に逃亡のおそれを審査することなく、直ちに収容状を発付し、または司法警察員に発付させることができる。原則規定である485条が前提とする逃亡のおそれの判断過程を省略する点に特徴がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.実刑判決後、海外渡航の必要を真っ先に弁護人へ共有 拘禁刑以上の実刑判決を受けたら、商談・出張・家族訪問など海外渡航の予定があるかを最初に弁護人へ伝える。出国制限は2023年新設で前提を知らない当事者が多い
- 2.出国前に342条の2の裁判所許可を申請 出国前に必ず裁判所の出国許可を申請する。事後申請は一切不可で、後追いは効かない。申請には時間がかかるため直前では間に合わない
- 3.許可範囲と帰国期限を厳守し証拠を残す 許可された渡航の範囲を超えない。範囲超過は許可取消し(本条第2号)の対象になる。帰国期限に遅れそうなら、診断書・欠航証明など『正当な理由』を裏付ける記録を確保する
- 4.収容状発付時は帰国遅延型なら正当理由を争う 収容状が発付されても、第3号の帰国遅延型なら『正当な理由』を争える余地がある。客観的記録を直ちに集め、弁護人を通じて身柄拘束後の方針を早期に組み立てる
よくある質問 AI による整理
Q1収容状とは何ですか?
確定した刑を執行するため、受刑者の身柄を刑事施設に収容する令状です。勾引状と同一の効力を持ち、検察官または司法警察員が執行します。485条の2はその発付の特則を定めます。
Q2出国制限はいつから始まりますか?
拘禁刑以上の実刑判決の宣告を受けた段階から、342条の2により出国には裁判所の許可が必要になります。確定前であっても海外渡航の自由は条件付きに変わります。
Q3刑事訴訟法485条の2はいつできた条文ですか?
2019年末のカルロス・ゴーン国外逃亡事件を契機に、逃亡防止強化の一環として2023年(令和5年)の改正で新設されました。正確な施行日は最新の法令を確認してください。
Q4実刑判決後でも海外出張はできますか?
342条の2の裁判所の許可を事前に取得すれば可能です。許可は出国前にしか取れず、事後申請はできません。許可を得れば485条の2の引き金は作動しません。
Q5出国制限に違反するとどうなりますか?
許可なく出国・出国しようとした、許可が取り消された、期限内に正当な理由なく帰国しなかった場合、判決確定後に検察官が逃亡のおそれの審査なく直ちに収容状を発付できます。
Q6日本と犯罪人引渡条約がある国はどこですか?
現在、犯罪人引渡条約を締結しているのは米国と韓国の二か国のみです。ゴーンがレバノンで逮捕されないのは、両国間に引渡条約がないためです。
Q7収容状と勾留状の違いは何ですか?
勾留状は捜査・公判段階の未確定の身柄拘束、収容状は確定した刑の執行のための拘束です。収容状は勾引状と同一の効力を有するとされます(現行効力は要確認)。
Q8帰国期限に遅れたら必ず収容されますか?
『正当な理由』があれば本条の対象外です。体調不良の診断書や航空便の欠航証明など客観的記録を確保しておけば争えますが、記録のない釈明は実務でまず通りません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保釈中なら海外旅行くらい自由にできるんじゃないんですか?
自由にはできない。拘禁刑以上の実刑判決を受けて保釈・勾留執行停止中の人は、342条の2で裁判所の許可を得なければ出国できない。許可なく出れば、判決確定後に検察官が485条の2で直ちに収容状を出せる。実務のポイント:この出国制限は2023年新設で、まだ前提を把握していない当事者が多い。実刑判決を受けたら、海外渡航の予定があるかを最初に弁護人へ伝えること。許可申請には時間がかかり、直前では間に合わない
Q2判決が確定する前に海外へ出てしまえば、もう捕まらないんじゃ?
確定前に国外へ出ても安全とは限らない。出国制限に違反していれば、確定の瞬間に485条の2で収容状が発付され、国際手配の対象になる。実務のポイント:ゴーンがレバノンで逮捕されないのは、日本とレバノンに犯罪人引渡条約がないからだ。逆に言えば、引渡条約のある国(米国・韓国)へ逃げれば引き渡される。逃げ得が成立する国は驚くほど少ない
間違えやすい点 AI による整理
- 「実刑判決が出ても、確定して刑務所に入るまでは普通に生活できる」と思われがちだが、拘禁刑以上の判決を受けた被告には確定前から出国制限がかかっている。海外渡航の自由は、判決が出た瞬間から条件付きに変わる
- 出国制限があること自体は知っていても、その違反が『判決確定と同時の自動収容』に直結する深刻さを多くの人が理解していない。485条の2は逃亡のおそれの審査すら飛ばす。違反は単なる手続違反ではなく、確定後の即時拘束を呼び込むトリガーだ
- 「捕まる前に国外へ逃げ切れるか」という問いそのものが的外れだ。問うべきは『日本と犯罪人引渡条約のある国はどこか』であり、その答えは米国と韓国の二か国のみ。逃げ切れるという前提が、そもそも幻想に近い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発付の根拠と局面 | 485条の2:出国制限違反 + 判決確定後の収容状特則 | 485条:確定後、逃亡またはそのおそれがある場合の収容状 342条の2:判決後の出国制限の許可制度(本条の前提) |
| 逃亡のおそれの審査 | 不要。出国制限違反の客観的事実で足り、審査を飛ばす | 必要。逃亡またはそのおそれを判断してから発付 該当なし(収容ではなく出国の可否を判断する制度) |
| 新設・性質 | 2023年新設の特則。自動作動型の安全装置 | 従来からの原則規定 2023年に出国制限制度として整備 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は限制出境・出海の制度を2019年に明文化。被告の逃亡防止という目的は共通するが、確定後の自動収容という日本の特則とは構造が異なる
韓国は出入国管理法に基づく出国禁止制度を持つが、判決確定と同時の自動収容を定める日本の本条のような特則はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 脱税で実刑判決を受け、控訴のため保釈中。海外の取引先との重要な商談が来週に迫っている。許可を取らずに飛行機に乗ったらどうなる? 出国制限違反として、判決が確定した瞬間、検察官は逃亡のおそれを吟味することなく直ちに収容状を発付できる。商談どころではなくなる
- あなたは裁判所の許可を得て短期の海外出張に出たが、現地で体調を崩し、指定された帰国期限を一週間過ぎてしまった。正当な理由があれば本条の対象外だが、その正当性を裏付ける記録(診断書、航空便の欠航証明)を残していなければ、帰国した瞬間に収容のリスクを負う
- 判決が確定する前夜、家族が空港まで送ってくれる。許可証を持たずに出国ゲートをくぐった時点で、明日からのあなたの居場所はもう決まっている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 拘禁刑以上の実刑判決を受けたら、海外渡航の必要があるかを真っ先に弁護人へ共有する2. 出国前に必ず342条の2の裁判所の許可を申請する。事後申請は不可、出国前にしか取れない3. 許可された場合は指定された帰国・上陸期限を厳守し、遅れそうなら理由を裏付ける証拠(診断書、欠航証明)を確保する4. 許可された渡航の範囲を超えない。範囲を超えれば許可取消し(本条第2号)の対象になる
訴えられた側:1. 収容状が発付されても、(3)の帰国遅延型なら『正当な理由』を争える余地がある。診断書、航空便の欠航・遅延証明など客観的記録を直ちに集める2. 出国制限の許可取消し処分に不服があれば、その適法性を弁護人と検討する3. 既に国外にいる場合、自主帰国の方が、強制送還や引渡しより処遇面で有利に働きやすい4. 身柄拘束後の方針について弁護人を通じ早期に組み立てる
時効(請求できる期限):判決確定と同時に検察官は『直ちに』収容状を発付できる。申立て等の猶予期間は存在しない。収容状の執行自体に特定の期限はないが、刑の時効(刑法31条、32条。拘禁刑の長短により時効期間が異なる)が完成すれば執行できなくなる(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正 ゴーン逃亡事件を契機とする逃亡防止強化の一環として新設された条文。拘禁刑への文言整合や施行時期、その後の修正の有無は人的検証を要する
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:2019年末のカルロス・ゴーン国外逃亡事件を契機とする逃亡防止強化策の一環として新設。確定前の逃亡という抜け道を、出国制限違反を要件とする自動的な収容で塞いだ。同改正では GPS 位置測定命令も併せて導入された。正確な公布・施行日は最新の法令で確認を要する。
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