刑事訴訟法 第494条の10
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- 第四百九十四条の五の規定による拘置をした裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて拘置の執行停止をされた者が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。
- 2.前項の者が、第四百九十四条の五の規定による拘置をした裁判所の許可を受けて同項の住居を離れ、正当な理由がなく、当該住居を離れることができる期間として指定された期間を超えて当該住居に帰着しないときも、同項と同様とする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第494条の10は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第494条の10の条文原文は「第四百九十四条の五の規定による拘置をした裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて拘置の執行停止をされた者…」で始まります。
- 刑事訴訟法第494条の10は第一章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第494条の10の前の条は刑事訴訟法第494条の9です。
- 刑事訴訟法第494条の10の次の条は刑事訴訟法第494条の11です。
- 刑事訴訟法第494条の10には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第494条の10 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第494条の10(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/494_10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法494条の10は、拘置の執行停止で指定住居に帰着すべき者が、許可なく正当な理由もなく期限を超えて帰着しないとき、2年以下の拘禁刑を科すと定める。
Q · 実刑の執行停止で一時帰宅したあと、期限までに戻らなかったらどうなりますか?
別罪が成立し最大2年の拘禁刑が上乗せされます
刑事訴訟法494条の10により、拘置の執行停止で指定された住居へ帰着すべき条件を付された者が、許可なく正当な理由もなく期限を超えて帰着しないと、2年以下の拘禁刑という別罪が成立します。止まっていた元の刑の執行が再開するだけでなく、新たな刑が上乗せされる二重の不利益となります。許可を得て外出した場合(2項)でも、正当な理由なく帰着期限を破れば同じです。入院・災害・交通途絶など客観的な事情があれば『正当な理由』として成立を免れる余地があります。
解説
実刑が確定し、いざ収容という段になっても、重病の治療や肉親の最期に立ち会うため、裁判所が拘置の執行を一時的に止め、指定の住居で過ごすことを認める場合がある。494条の5の執行停止だ。だがそこには必ず条件が付く。決められた住居を、決められた期間を超えて離れてはならない、許可なく出てはならない。この条文は、その約束を破って帰着しなかった者に、2年以下の拘禁刑という新しい罪を科す。鍵は、これが元の刑とは別建ての犯罪だという点にある。戻らなかったことで、止まっていた元の刑が再開するだけでなく、最大2年が上乗せされる。許可を得て外出した場合(2項)でも、正当な理由なく帰着期限を破れば同じだ。一時の自由と引き換えに署名した条件は、あなたが思うより重い。
法的な位置づけ
刑事訴訟法494条の10は、拘置の執行停止に付された帰着条件への違反を処罰する罰則規定である。指定された住居を離れて、許可を受けず正当な理由もなく所定の期間を超えて帰着しない行為を構成要件とし、2年以下の拘禁刑を科す。元の刑の執行とは独立して成立する犯罪として位置づけられる。
よくある質問 AI による整理
Q1不帰着罪とは何ですか?
拘置の執行停止で指定された住居へ、許可なく正当な理由もなく期限を超えて帰着しない行為を罰する罪です。刑事訴訟法494条の10が定め、2年以下の拘禁刑が科されます。
Q2拘置の執行停止とは何ですか?
重病の治療や肉親の死など人道的事情を理由に、確定した刑の執行を一時的に止め、指定の住居で過ごすことを裁判所が認める制度です。根拠は刑事訴訟法494条の5です。
Q3執行停止中に住居を離れたらどうなりますか?
許可を受けて離れることは可能ですが、正当な理由なく帰着期限を超えると不帰着罪が成立します。元の刑の執行が再開し、さらに最大2年が上乗せされます。
Q4不帰着罪の時効は何年ですか?
長期5年未満の拘禁刑にあたる罪のため公訴時効は3年です(刑訴250条2項6号)。起算点は犯罪行為が終わった時で、解釈が分かれる余地があります。
Q5正当な理由とはどんな場合ですか?
入院・事故・災害・公共交通の途絶・別件での身柄拘束など、客観的に証明できる事情を指します。単なる自己都合や連絡忘れは正当な理由になりません。
Q6不帰着罪は前科になりますか?
なります。過料や行政上の不利益ではなく拘禁刑という刑事罰のため、有罪が確定すれば前科として記録されます。手続違反と軽視するのは危険です。
Q7執行停止の帰着期限はどこで確認できますか?
執行停止を決定した裁判所が発する条件書に、制限される住居の範囲と帰着期限が明記されます。署名前に住居欄と期限欄を必ず確認すべきです。
Q8逃走罪と不帰着罪はどう違いますか?
逃走罪(刑法97条)は拘禁中の者の逃走を罰する一般規定、不帰着罪は執行停止という特定の場面で帰着義務に違反する行為を罰する特則です。一行為が両罪で評価される場面もあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1期限に戻れなかったら、必ず捕まって2年になるんですか?
必ずではありません。本条は『正当な理由がなく』帰着しない場合の罪で、入院・災害・公共交通の途絶など客観的な事情があれば成立しません(494条の10)。2年は上限であって相場ではなく、実際の量刑は遅れの期間や事情で大きく下がります。実務のポイント:弁護人がまず確認するのは『期限が来る前に裁判所へ一報を入れたか』。その連絡の事実は正当な理由の評価を引き寄せ、たとえ罪が成立しても情状を大きく動かす。逃げる意図がなかったことを示す最初の足跡になる。
Q2許可をもらって外出したのに、戻るのが遅れただけでも罪になるんですか?
なりえます。本条2項は、許可を得て住居を離れた者でも、正当な理由なく帰着期限を超えれば1項と同じ罪になると定めています(494条の10第2項)。許可は『出ること』への許可であって、『いつまでも戻らないこと』の免罪符ではありません。実務のポイント:許可外出の場合、許可書に書かれた帰着日時が構成要件の基準になる。口頭で『少し延ばしていい』と言われたと主張しても、書面と食い違えば通らない。延長が必要なら必ず記録の残る形で取り直すこと。
Q3戻らなかったら、元の刑のほうはどうなるんですか?
止まっていた拘置の執行が再開し、あなたは収容されます。それとは別に本罪(最大2年の拘禁刑)が新たに科されうるので、一つの行動で『元の刑の残り』と『新しい刑』の二重の不利益が生じます。実務のポイント:執行停止は裁判所の裁量による温情で、一度この罪を犯すと、将来ふたたび執行停止や仮釈放を求めるときの信用を失う。目先の数日のために、その後の処遇全体を悪化させる取引になりかねない。
間違えやすい点 AI による整理
- 『執行が止まっている間に戻らなくても、せいぜい元の刑が再開するだけ』と思われがちだが、本条は別建ての犯罪を新設している。戻らなければ、元の刑の残りに加えて最大2年が上乗せされる。一つの不履行が二つの不利益を生む構造だ。
- 帰着期限を破ると問題になることは何となく分かっていても、その深刻さを見誤る人が多い。これは過料や行政上の不利益ではなく拘禁刑、つまり前科がもう一つ増える刑事罰だ。執行停止という制度の温情を、軽い手続違反と同じ感覚で扱うと足をすくわれる。
- 『連絡さえ入れれば許される』という前提で問いを立てる人がいるが、問いの立て方そのものがずれている。構成要件の鍵は連絡の有無ではなく、許可を得たか、正当な理由があるか、期限内に帰着したかだ。連絡は情状にはなっても、罪の成立そのものを消すわけではない。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 494条の10:執行停止中に正当な理由なく期限内に帰着しない | 刑法97条:拘禁中の者が逃走する 494条の5:拘置の執行停止(処分そのもの、罰則ではない) |
| 法定刑 | 2年以下の拘禁刑 | 逃走の態様に応じた拘禁刑(令和5年改正で拡張) なし(裁判所の裁量処分) |
| 前提状況 | 執行停止により住居指定と帰着条件を付された段階 | 拘禁施設等に身柄が拘束されている段階 重病・肉親死亡など人道的事情の発生 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は依法逮捕拘禁された者の脱逃を一般的に罰する。日本のように執行停止という特定場面の不帰着を独立罰則化する構成ではない
韓国も法律により拘禁された者の逃走を罰する。執行停止中の不帰着を切り出した独自規定は持たない
ドイツは自己逃走(Selbstbefreiung)を原則不処罰とする。本条に直接対応する自己の不帰着を罰する規定は存在しない
米国連邦法は拘禁・保護観察等からの離脱を escape として広く処罰する。執行停止中の不帰着もこの枠で捉えられうる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 実刑の執行停止で母の看取りのため実家に戻った。葬儀が長引き、帰着期限の前日に親族と揉めて連絡もせず数日が過ぎた。その瞬間、あなたは新たな犯罪の被疑者に変わっている。あと一本、裁判所への連絡を入れていれば防げた話だ。
- もし帰着の当日に大雪で交通機関が止まり、どうしても住居に戻れなかったら、どうなる。それは『正当な理由』に当たりうる。だが客観的に証明できなければ言い分は通らず、遅れたという事実だけが残る。
- 許可を得て通院に出た。終わってから足を延ばして友人と会い、期限を半日過ぎて戻った。その半日が2項の罪を呼び込む。
- 執行停止の条件書にサインするとき、住居の範囲や帰着期限の欄を読み飛ばした。後で『そんな条件は聞いていない』と言っても、署名した書面がすべてを語る。
取るべき行動
被害を受けた側:執行停止中で帰着期限に間に合わない恐れが出たら、何より先に、期限が来る前に拘置を命じた裁判所へ連絡し、許可または期間の延長を求める。病気・事故・交通途絶など客観的に示せる事情は『正当な理由』の柱になるので、診断書・遅延証明・写真を確保する。許可を得て外に出ている場合(2項)も同じで、戻れない事情を期限前に裁判所へ届けることが防御線になる。自己判断で『少しくらい遅れても』と放置するのが最悪手だ。
訴えられた側:すでに期限を過ぎて帰着しておらず、捜査が及んだら、まず弁護人を立てて黙秘権の範囲を確認する。争点は『正当な理由』の有無と、許可の有無に絞られる。戻れなかった客観的事情(入院・災害・別件での身柄拘束など)があれば、それを裏づける資料を集める。期限前に連絡を入れていた記録は、構成要件は消さなくても情状で効く。元の刑の執行再開と本罪が併存するため、両方を見据えた量刑交渉を組む。
時効(請求できる期限):公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号、長期5年未満の拘禁刑にあたる罪)。起算点は犯罪行為が終わった時(同253条)で、本罪では帰着義務に違反した状態が解消した時点が基準となりうるが、即成犯か継続犯かは実務上、解釈が分かれる余地がある(最新の改正状況をご確認ください)。
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)新設 逃亡防止を目的とする刑事訴訟法等の改正で新設された条文。拘置の執行停止中に、指定された住居へ正当な理由なく帰着しない行為を新たに処罰対象とした。条文の『拘禁刑』表記は令和4年改正(懲役・禁錮を統合、2025年6月1日施行)に対応している(最新の施行状況をご確認ください)
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:逃亡防止を目的とする刑事訴訟法等の改正で新設。拘置の執行停止中に、指定された住居へ正当な理由なく帰着しない行為を新たに処罰対象とした
- 2.令和4年(2022年) 改正:懲役・禁錮を統合した拘禁刑を創設(2025年6月1日施行)。本条の法定刑表記もこの拘禁刑に対応する(最新の施行状況をご確認ください)
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