少年法 第52条(不定期刑)
クイックジャンプ
- 少年に対して有期拘禁刑をもつて処断すべきときは、処断すべき刑の範囲内において、長期を定めるとともに、長期の二分の一(長期が十年を下回るときは、長期から五年を減じた期間。次項において同じ。)を下回らない範囲内において短期を定めて、これを言い渡す。この場合において、長期は十五年、短期は十年を超えることはできない。
- 2.前項の短期については、同項の規定にかかわらず、少年の改善更生の可能性その他の事情を考慮し特に必要があるときは、処断すべき刑の短期の二分の一を下回らず、かつ、長期の二分の一を下回らない範囲内において、これを定めることができる。この場合においては、刑法第十四条第二項の規定を準用する。
- 3.刑の執行猶予の言渡しをする場合には、前二項の規定は、これを適用しない。
この条文の基本情報
不定期刑とは何ですか?
定義不定期刑とは、少年法第52条に定められた規定で、「少年に対して有期拘禁刑をもつて処断すべきときは、処断すべき刑の範囲内において、長期を定めるとともに、長期の二分の一(長期が十年を下回るときは、長期から五年を減じ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 少年法第52条(不定期刑)は、日本の少年法に含まれる条文です。
- 少年法第52条の条文原文は「少年に対して有期拘禁刑をもつて処断すべきときは、処断すべき刑の範囲内において、長期を定めるとともに、長期の二分の一(長期が十年を下回るときは、長期から五年を減じ…」で始まります。
- 少年法第52条は第三節に置かれています。
- 少年法の公布日は昭和23年7月15日です。
- 少年法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 少年法第52条の前の条は少年法第51条です。
- 少年法第52条の次の条は少年法第53条です。
- 少年法第52条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第52条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000168 - 本サイト収録
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第52条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000168/52
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点少年法52条は、少年に有期拘禁刑を科すとき、長期と短期を定めた不定期刑で言い渡すと定める。長期は15年、短期は10年が上限で、執行猶予付きなら適用されない。
Q · 少年の判決で「5年以上10年以下」と言われたら、実際には何年服役するの?
長期が上限。短期経過後の執行終了や仮釈放で早まりうる
少年法52条による不定期刑では、服役年数は判決の時点では確定しません。長期(例:10年)が上限です。短期(例:5年)を過ぎ、改善更生が認められれば、長期を待たずに刑の執行を終えることがあります。さらに、短期の三分の一を過ぎれば仮釈放の対象になりえます(同法58条)。実際の時期は、施設内での評価や帰住先・引受人の準備によって左右されます。
解説
「被告人を拘禁刑五年以上十年以下に処する」。少年の刑事裁判では、判決がこのように幅を持って言い渡される。これを相対的不定期刑という。短期と長期の間のどこで出られるかは、判決の時点ではなく、服役中の改善更生の度合いで決まる。短期の三分の一を過ぎれば仮釈放の対象になりうる(少年法58条)。短期を過ぎて更生が認められれば、長期を待たずに刑の執行を終える道もある。上限は長期15年、短期10年である。見落とされがちな事実もある。2022年4月以降、18・19歳の「特定少年」には本条が適用されない(67条)。17歳のときの犯行でも、判決の日に18歳になっていれば、刑期は一本の数字で固定される。執行猶予が付く場合も定期刑になる(3項)。家族が押さえるべきなのは、幅の下限が「出口までの最短ルート」を意味するという一点である。
法的な位置づけ
少年法52条は、少年に有期拘禁刑をもって処断すべき場合に、処断刑の範囲内で長期と短期を定めて言い渡す相対的不定期刑を定める規定である。長期の上限は15年、短期の上限は10年とされ、短期は原則として長期の二分の一を下回らない。刑の執行猶予を言い渡す場合には適用されない。
よくある質問 AI による整理
Q1不定期刑とは何ですか?
刑期を一つの数字に固定せず、「5年以上10年以下」のように長期と短期の幅で言い渡す刑です。日本では少年法52条が少年に対して定めています。
Q2少年の不定期刑の上限は何年?
長期は15年、短期は10年が上限です(少年法52条1項)。2014年の改正で、それまでの長期10年・短期5年から引き上げられました。
Q3不定期刑の短期はどうやって決まる?
処断刑の範囲内で、原則として長期の二分の一を下回らない範囲で決まります。長期が10年未満のときは、長期から5年を減じた期間が下限になります。
Q4少年の仮釈放はいつからできる?
不定期刑の場合、短期の三分の一を経過した後から仮釈放が可能になります(少年法58条)。短期5年なら約1年8か月が目安です。
Q5特定少年に不定期刑は適用される?
適用されません。2022年4月施行の改正により、18・19歳の特定少年には少年法67条で本条が適用除外とされ、成人と同じ定期刑になります。
Q6不定期刑の年齢は犯行時と判決時のどちらで判断?
本条は判決時に少年かどうかで判断されます。犯行時17歳でも判決時に18歳になっていれば、不定期刑ではなく定期刑が言い渡されます。
Q7少年の執行猶予判決に幅はつく?
つきません。少年法52条3項により、執行猶予を言い渡す場合は不定期刑の規定が適用されず、「拘禁刑3年、執行猶予5年」のように定期刑になります。
Q8少年の不定期刑の短期はさらに短くできる?
できる場合があります。2項により、改善更生の可能性などから特に必要があれば、処断刑の短期の二分の一かつ長期の二分の一を下回らない範囲まで短期を下げられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1判決が「5年以上10年以下」って、結局何年入るんですか?
確定した年数はない。長期10年が上限で、短期5年を過ぎれば、刑事施設の長の申出と地方更生保護委員会の判断で執行を終えることがある。さらに短期の三分の一、約1年8か月を過ぎれば仮釈放の対象になりうる(少年法58条)。実務のポイント:実際の出所時期を大きく左右するのは帰住先と引受人の有無である。家族が受入れ態勢を早く整えるほど、審理の対象にも早く乗る
Q217歳で事件を起こして、裁判のときには18歳になってたらどうなるんですか?
2022年4月施行の改正で、18・19歳は「特定少年」となり、本条の不定期刑は適用されない(少年法67条)。本条の適用は原則として判決時の年齢で判断されるため、定期刑が言い渡される。実務のポイント:一方で、死刑を無期刑に緩和する51条は「罪を犯すとき」18歳未満かどうか、つまり犯行時の年齢で判断する。条文ごとに基準となる年齢の時点が違うことを押さえていない解説は多い
Q3執行猶予がついたら、幅のある判決にはならないんですか?
ならない。3項により、執行猶予を言い渡す場合は定期刑となり、「拘禁刑2年、執行猶予4年」のように一本の数字で言い渡される。実務のポイント:猶予が取り消されれば、その定期刑をそのまま服役することになる。不定期刑のように短期経過後に執行を終える仕組みはない。猶予期間中の再犯が本人の想像以上に重いのはこのためである
間違えやすい点 AI による整理
- 「少年だから刑を軽くする条文」と読むこと自体が、問いの立て方として誤っている。52条が定めているのは刑の軽さではなく、刑期を固定しない仕組みである。長期は15年まで、処断刑の範囲内で言い渡される。本質は軽重ではなく、出口が動くという点にある
- 18・19歳が「特定少年」になったことは報道で知っていても、その結果、本条の不定期刑から外れて成人と同じ定期刑になる(67条)ことの重さはあまり知られていない。判決日の年齢一つで、刑期の構造がまるごと変わる
- 家族から見れば長期が「最悪のシナリオ」に映る。しかし制度の側から見れば、本人に突きつけられた課題は短期のほうである。短期経過後の執行終了も仮釈放も、施設内での改善更生の評価しだいであり、時間が経てば自動的に来るものではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 少年法52条:有期拘禁刑を長期・短期の幅で言い渡す(不定期刑) | 少年法51条:死刑・無期刑の緩和 少年法67条:特定少年に対する特例(本条の適用除外) |
| 年齢の基準時 | 判決時に少年(特定少年を除く)であること | 罪を犯すとき18歳未満であること(犯行時基準) 18・19歳の特定少年であること |
| 刑期の形 | 長期15年・短期10年を上限とする幅のある刑 | 死刑は無期刑に、無期刑は10年以上20年以下の有期刑を科しうる 成人と同じ定期刑(一本の数字) |
| 出所の時期 | 短期の三分の一経過で仮釈放可(58条)、短期経過後に執行終了の余地 | 仮釈放の要件は58条で別途特例あり 成人と同じく刑法28条の仮釈放要件による |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は少年への不定期刑制度を持たず、刑の減軽と定期刑で対応する。18歳未満には死刑・無期刑を科さない。
韓国も相対的不定期刑を採用し、長期10年・短期5年を上限とする。日本の2014年改正前の枠組みに近い。
ドイツは少年刑を定期刑で言い渡し、原則6か月以上5年以下、重大犯罪で最長10年。不定期少年刑は1990年に廃止された。
米国は州ごとに異なり、不定期刑を採る州もある。連邦最高裁は少年への必要的仮釈放なし終身刑を違憲とした。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 息子は17歳。逆送されて地方裁判所で公判が始まったが、誕生日まであと3か月しかない。判決がその前に出るか後に出るかで、不定期刑か定期刑かが分かれる。量刑の見通しを立て直すため、審理日程を今週中に弁護人へ確認しておく必要がある
- 強盗致傷の処断刑の下限は6年。長期10年の不定期刑なら、短期も原則6年を割れないのではないか? 2項を使えば、改善更生の可能性などが特に認められる場合、長期の二分の一である5年まで短期を下げられる。弁護側が情状立証で狙うのはこの1年である
- 16歳のときの事件で服役し、判決は5年以上10年以下だった。施設での生活態度と教育への取り組みしだいで、出所の時期は最大5年動く。短期の三分の一、約1年8か月が最初の節目になる
- 執行猶予付きなら幅はつかない。「拘禁刑3年、執行猶予5年」と一本で言い渡される
- 友人の子が逆送されたと聞いた。「少年だから数年で出てくるよ」と慰めかけて、言葉を飲み込む。長期は最大15年、しかも判決時に18歳以上なら不定期刑にすらならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 少年の刑事裁判でも被害者参加(刑事訴訟法316条の33)ができ、量刑について意見を述べられる2. 判決後は検察庁に被害者等通知制度を申し出て、仮釈放審理や釈放時期の通知を受ける3. 仮釈放審理では意見等聴取制度(更生保護法38条)で意見を伝えられる4. 賠償は民事で別途請求する(民法709条)。本人に資力がなければ、親の監督義務違反も検討する
訴えられた側:1. 逆送(20条)後も、保護処分が相当として55条による家庭裁判所への移送をまず主張する2. 移送が認められなくても、2項の短期引下げを狙い、更生環境・反省・教育計画の証拠を揃える3. 判決時に18歳に達するかを確認し、定期刑になる場合の量刑を予測し直す4. 執行猶予を得れば定期刑になる(3項) 5. 服役後は、短期の三分の一を目安に帰住先を整える
時効(請求できる期限):特定の時効はない。実務上の期限は三つある。判決に不服なら言渡しの日から14日以内に控訴する(刑事訴訟法373条)。仮釈放は短期の三分の一を経過した後に可能になる(少年法58条)。短期を経過すると、刑の執行を終了させるかどうかの判断の対象になりうる(更生保護法、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(判決時基準説):本条の適用は判決時に少年であるかで判断する。犯行時少年でも判決時に少年でなくなれば定期刑を言い渡す。犯行時を基準とする51条との違いに注意が必要とされる。
教育刑的理解:不定期刑は、可塑性の高い少年について服役中の改善更生の程度に応じて執行期間を調整する制度であり、刑罰の予測可能性より改善更生への即応を重視した設計と理解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正 不定期刑の上限を長期10年・短期5年から長期15年・短期10年に引き上げた。短期は長期の二分の一(長期が10年未満なら長期から5年を減じた期間)を下回らないとする枠を設け、改善更生の可能性を考慮して短期を下げられる2項を整備した
- 令和3年(2021年)改正、令和4年(2022年)4月1日施行 67条の特例により、18・19歳の特定少年を本条の適用対象から外した。本条の文言自体の改正ではない
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年)6月1日施行 刑法等の改正に伴い、「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改めた
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行少年法の制定。少年に対する相対的不定期刑を規定し、長期10年・短期5年を上限とした。
- 2.平成26年(2014年) 改正:上限を長期15年・短期10年に引き上げ、短期は長期の二分の一を下回らないとする枠と、改善更生の可能性を考慮した短期引下げ(2項)を整備。
- 3.令和3年(2021年) 改正:特定少年(18・19歳)の特例を新設し、67条で本条を適用除外とした。2022年4月1日施行。本条の文言自体の改正ではない。
- 4.令和4年(2022年) 改正:刑法等改正に伴い「懲役又は禁錮」を「拘禁刑」に改める。2025年6月1日施行。
- 少年法 第51条犯行時18歳未満の死刑・無期刑の緩和
- 少年法 第58条不定期刑の仮釈放は短期の三分の一経過後
- 少年法 第67条特定少年には本条を適用しない特例
- 少年法 第20条検察官送致、刑事裁判への入口
- 少年法 第55条保護処分相当時の家庭裁判所への移送
- 刑法 第14条2項で準用、有期刑の加重減軽の限度
- 刑法 第25条執行猶予の要件、3項で定期刑となる
- 更生保護法 第43条不定期刑の執行終了の申出(現行効力を要確認)
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