放送法 第174条(業務の停止)
クイックジャンプ
総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、三月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる。
この条文の基本情報
業務の停止とは何ですか?
定義業務の停止とは、放送法第174条に定められた規定で、「総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 放送法第174条(業務の停止)は、日本の放送法に含まれる条文です。
- 放送法第174条の条文原文は「総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。」で始まります。
- 放送法第174条は第十章 雑則に置かれています。
- 放送法の公布日は昭和25年5月2日です。
- 放送法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 放送法第174条の前の条は放送法第173条です。
- 放送法第174条の次の条は放送法第175条です。
- 放送法第174条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第174条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000132 - 本サイト収録
放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第174条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000132/174
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点放送法174条は、総務大臣が法令違反の放送事業者に三月以内の放送業務停止を命じられると定める。ただし特定地上基幹放送事業者(地上波免許局)は対象外である。
Q · 放送法174条で、テレビ局の放送を止めることはできるの?
地上波キー局は対象外。止められるのは衛星・ケーブル等
放送法174条によれば、総務大臣は、放送事業者が同法または同法に基づく命令・処分に違反したとき、三月以内の期間を定めて放送業務の停止を命じることができます。ただし括弧書きで「特定地上基幹放送事業者」、つまり自前の無線局免許を持つ地上波局は除かれています。対象になるのは BS・CS の衛星放送事業者やケーブルテレビなどです。地上波局への制裁は、電波法76条の無線局運用停止という別のルートで行われます。
解説
テレビ局に「三か月間、放送をやめろ」と命じる条文があるが、日テレやフジのような地上波キー局はこの条文の対象外である。括弧書きの「特定地上基幹放送事業者を除く」は、自前の送信所(無線局免許)を持つ地上波局を指す。こうした局への制裁は電波法76条の無線局運用停止という別ルートで行われる。174条の対象になるのは、BS・CS の衛星放送事業者、ケーブルテレビ、送信設備を借りて放送する認定基幹放送事業者など、自分では電波の免許を持たない放送事業者である。発動の条件は「この法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき」と広く書かれており、業務停止命令は行政処分(役所が特定の事業者に直接下す、法的拘束力のある決定)にあたる。この構造を知っておけば、「偏向報道で放送停止」というニュースを読んだとき、どの局がどの法律で止められうるのかを区別できる。放送業界に関わる人にとっては、自社がどちらの規律の下にいるかで、リスクの所在そのものが変わる。
法的な位置づけ
放送法174条は、総務大臣が、特定地上基幹放送事業者を除く放送事業者に対し、同法または同法に基づく命令・処分への違反を要件として、三月以内の期間を定めて放送の業務の停止を命ずることができる旨を定める行政処分の根拠規定である。対象は、自ら無線局免許を保有しない衛星放送事業者やケーブルテレビ等の放送事業者である。
よくある質問 AI による整理
Q1放送法174条とは何ですか?
総務大臣が、法令に違反した放送事業者に対し、三月以内の期間を定めて放送業務の停止を命じられると定めた条文です。地上波の免許局は対象外です。
Q2特定地上基幹放送事業者とは?
自ら無線局(送信所)の免許を受けて地上波の基幹放送を行う事業者です。NHK や民放の地上波局が典型で、放送法174条の業務停止命令の対象から除かれています。
Q3業務停止命令の期間は最長どれくらい?
条文上「三月以内の期間」と定められており、最長三か月です。期間は総務大臣が処分の際に定めます。
Q4BS・CS 放送は業務停止になる?
なりえます。自ら送信設備の免許を持たない衛星放送事業者は放送法174条の対象であり、法令違反があれば業務停止命令を受ける可能性があります。
Q5ケーブルテレビも放送法174条の対象?
対象です。ケーブルテレビは放送法上の一般放送にあたり、地域チャンネルを含め、法令違反があれば業務停止命令を受けうる立場にあります。
Q6電波停止発言の根拠は何条?
2016年に国会で議論になった「電波停止」発言の根拠は、放送法174条ではなく電波法76条の無線局運用停止でした。地上波局は電波法の規律下にあります。
Q7業務停止命令に不服がある場合どうする?
審査請求や取消訴訟で争えます。停止期間が最長三か月と短いため、取消訴訟と同時に執行停止(行政事件訴訟法25条)を申し立てるのが現実的です。
Q8ネット配信は放送法174条の対象?
対象外です。インターネット配信は放送法上の「放送」に当たらないため、同じ番組でもネット配信には174条の業務停止命令は及びません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1政府が気に入らない番組を流した局を止めることって、本当にできるんですか?
174条の文言上は「この法律に違反したとき」が要件なので、放送法4条の政治的公平に反したことを理由に発動できるかどうかが争点になる。政府は可能だとする立場、多くの憲法学者は4条を倫理規範とみて否定する立場である。実務のポイント:発動されるかどうかより、「発動できる」と公言されること自体が編成会議の空気を変える。現場の萎縮はそこから始まる
Q2NHK や地上波の民放は、なんでこの条文の対象外なんですか?
自前の送信所の無線局免許を持つ地上波局は「特定地上基幹放送事業者」であり、免許そのものを電波法で管理されている。制裁は電波法76条の運用停止や免許取消しで行われるため、174条から除かれている。実務のポイント:つまりキー局への制裁手段は、174条より電波法ルートのほうが重い。免許を失えば局は存続できない
Q3業務停止命令が出たら、裁判で勝つまで放送できないんですか?
取消訴訟を起こしただけでは命令の効力は止まらない(行政事件訴訟法25条1項)。止めるには執行停止の申立てが必要で、「重大な損害を避けるため緊急の必要」があることを示さなければならない。実務のポイント:停止期間は最長三か月なので、執行停止が通らなければ、本案で勝っても判決が出る頃には停止期間が終わっている。実質的な勝負は執行停止の段階でつく
間違えやすい点 AI による整理
- 「放送法でテレビ局を止められる」と聞くと、多くの人は地上波のキー局を思い浮かべる。だが174条は括弧書きで、自前の免許局を持つ地上波局を明示的に除いている。2016年に国会で議論になった「電波停止」発言の根拠は、174条ではなく電波法76条であった
- 「偏向番組を流したら業務停止にできるのか」という問い自体に、未解決の前提が含まれている。番組編集準則(放送法4条)が違反時に処分の根拠になる法規範なのか、放送局が自ら守るべき倫理規範にすぎないのかについて、政府と多くの憲法学者の見解は対立したままである。この前提を飛ばした議論は、どちらの結論も空回りする
- 放送局側から見れば、業務停止は「最後の最後の手段で、まず使われない」ものに映る。法の側から見ると、174条は違反の重さを限定しておらず、命令違反や処分違反を広く拾える。発動例が少ないことと、発動できる範囲が狭いことは別の話である。そして、この条文が存在すること自体が編成判断を萎縮させる効果は、実際に発動されなくても生じる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる事業者 | 放送法174条:特定地上基幹放送事業者を除く放送事業者(衛星・ケーブル等) | 電波法76条:無線局の免許人等(地上波局を含む) 放送法4条:すべての放送事業者に課される番組編集準則(制裁規定ではない) |
| 制裁・規律の内容 | 三月以内の放送業務の停止命令 | 三箇月以内の無線局運用停止、運用制限など 政治的公平・事実報道等の編集上の準則 |
| 発動要件 | 放送法または同法に基づく命令・処分への違反 | 電波法・放送法またはこれらに基づく命令・処分への違反 違反時に処分根拠となるかは法規範説と倫理規範説で対立 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では国家通訊伝播委員会(NCC)という独立機関が停播などの処分を行う。大臣が処分権者である日本と異なり、政治からの独立性を機関設計で確保しようとしている
韓国では許可・承認・登録の取消しや業務停止を定める。放送通信委員会という合議制機関が関与する点で日本より独立性が強い
フランスでは独立行政機関 Arcom(旧 CSA)が放送事業者に対し放送停止を含む制裁を科す権限を持つ
米国では独立規制機関 FCC が免許取消しや停止命令を行う。番組内容への規制は修正1条により厳しく制限される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは CS 専門チャンネルの編成担当。通販番組で薬機法すれすれの効能表示を流し続けた結果、総務省から行政指導が届いた。指導に従わず違反状態が続けば、次の段階は業務停止命令になりうる。指導の段階で是正記録を残すかどうかが分かれ目になる
- 地方ケーブル局が自主制作した選挙特番で、特定候補だけを長時間取り上げた。政治的公平(放送法4条)違反を理由に174条を発動できるのか? 政府は法規範だとする立場をとり、学説の多数は倫理規範にすぎないと解している。実務上、解釈がはっきり分かれる論点である
- BS 局の番組に出資している制作会社のあなたに、「放送局が業務停止になったら放映権料はどうなるのか」と社長が聞いてきた。契約書に行政処分による放送中止の条項があるかどうか、今夜中に確認する必要がある
- 業務停止命令の通知が届いた。停止期間は最長三か月。取消訴訟の判決を待っていれば、その間に停止期間は終わってしまう。手元に残された時間で、執行停止の申立てをするかどうかを決めなければならない
- ABEMA や YouTube のライブ配信で同じ番組を流している場合、174条は及ぶのか? ネット配信は放送法上の「放送」ではないため、及ばない。同じ内容でも、電波や有線で流すかネットで流すかによって規制の世界がまったく違う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 視聴者や広告主、制作会社の立場なら、まず停止命令の対象チャンネル・期間・根拠条文を総務省の公表資料で確認する2. 放映権料や広告料の扱いは契約書の不可抗力条項・行政処分条項で決まるため、該当条項を洗い出す3. 有料チャンネルの契約者であれば、停止期間中の料金について事業者に返金・減額を請求できるか、利用規約と消費者契約法の観点から確認する
訴えられた側:1. 行政指導の段階で是正計画と実施記録を書面化する2. 処分前の意見陳述の機会や電波監理審議会での手続(放送法177条以下、現行効力を要確認)では、違反の軽微さと是正状況を具体的に示す3. 命令が出たら、取消訴訟と執行停止の申立てを同時に検討する4. 「法律に違反した」とされる事実の特定が曖昧であれば、処分理由の不備(行政手続法14条)として争点にする
時効(請求できる期限):審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)が原則である。ただし、放送法には電波監理審議会が関与する不服申立ての特則があり、訴訟より先に審査請求を経る必要があるかどうかに影響しうる(最新の改正状況をご確認ください)。停止期間は最長3か月なので、執行停止の申立ては処分直後に行うのが現実的である
学説
法規範説(政府見解):放送法4条の番組編集準則は法的拘束力を持つ法規範であり、その違反は放送法174条や電波法76条による処分の根拠となりうるとする立場。
倫理規範説(憲法学の多数説):放送法4条は放送事業者が自律的に守るべき倫理規範にとどまり、表現の自由(憲法21条)の観点から、その違反を理由とする業務停止などの処分は許されないとする立場。
改正沿革 AI による整理
- 平成22年(2010年)放送法改正(平成23年施行) 有線テレビジョン放送法などの放送関連法を放送法に統合し、基幹放送と一般放送の区分を導入した大改正の中で、現行の条番号・文言として整備されたとみられる。旧法の規定から移されたのか新たに設けられたのか、その区別は人による検証が必要である
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:放送法制定(昭和25年法律第132号)。電波法・電波監理委員会設置法とあわせ、いわゆる電波三法の一つとして成立
- 2.平成22年(2010年) 改正:有線テレビジョン放送法などの放送関連法を放送法に統合し、基幹放送と一般放送の区分を導入した大改正(平成23年施行)。現行の条番号・文言はこの改正で整備されたとみられるが、旧法規定との対応関係は要検証
- 放送法 第1条不偏不党と表現の自由確保の目的規定
- 放送法 第3条番組編集の自由、介入の歯止め
- 放送法 第4条番組編集準則、発動要件該当性の争点
- 放送法 第177条電波監理審議会への諮問(現行効力を要確認)
- 電波法 第76条地上波免許局への運用停止の別ルート
- 行政事件訴訟法 第25条停止命令の執行停止による救済
- 行政手続法 第14条不利益処分の理由提示義務
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める