建築基準法 第11条(第三章の規定に適合しない建築物に対する措置)
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- 特定行政庁は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途(いずれも第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。)の規定により第三章の規定又はこれに基づく命令若しくは条例の規定の適用を受けないものに限る。)が公益上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の所在地の市町村の議会の同意を得た場合に限り、当該建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、修繕、模様替、使用禁止又は使用制限を命ずることができる。この場合においては、当該建築物の所在地の市町村は、当該命令に基づく措置によつて通常生ずべき損害を時価によつて補償しなければならない。
- 2.前項の規定によつて補償を受けることができる者は、その補償金額に不服がある場合においては、政令の定める手続によつて、その決定の通知を受けた日から一月以内に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による収用委員会の裁決を求めることができる。
この条文の基本情報
第三章の規定に適合しない建築物に対する措置とは何ですか?
定義第三章の規定に適合しない建築物に対する措置とは、建築基準法第11条に定められた規定で、「特定行政庁は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途(いずれも第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築基準法第11条(第三章の規定に適合しない建築物に対する措置)は、日本の建築基準法に含まれる条文です。
- 建築基準法第11条の条文原文は「特定行政庁は、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途(いずれも第三条第二項(第八十六条の九第一項において準用する場合を含む。」で始まります。
- 建築基準法第11条は第一章 総則に置かれています。
- 建築基準法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建築基準法第11条の前の条は建築基準法第10条です。
- 建築基準法第11条の次の条は建築基準法第12条です。
- 建築基準法第11条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第11条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - 本サイト収録
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第11条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000201/11
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築基準法11条は、既存不適格建築物が公益上著しく支障があるとき、特定行政庁が市町村議会の同意を得て除却等を命じられると定める。市町村は通常生ずべき損害を時価で補償する。
Q · 建てたときは合法だった建物でも、役所に壊せと命令されることはありますか?
あります。ただし議会同意と時価補償が必須です
建築基準法11条は、既存不適格建築物(3条2項により第三章の適用を受けない建築物)が公益上著しく支障があると認められる場合、特定行政庁が除却・移転・修繕・模様替・使用禁止・使用制限を命じることができると定めます。ただし発動には当該建築物の所在地の市町村議会の同意が絶対条件で、かつ市町村が「通常生ずべき損害」を時価で補償しなければなりません。補償金額に不服があるときは、通知を受けた日から1か月以内に収用委員会の裁決を求められます(同条2項)。
解説
建築基準法には、役所が「その建物を壊せ」と命じられる条文が複数ある。9条は違法建築が相手で、補償はゼロ。11条はまったく別物だ。対象は適法に建てられた建物、正確には建築当時は適法だったが、その後の法改正や用途地域の変更で今の集団規定(第3章)に合わなくなった既存不適格建築物に限られる。合法な財産を公益のために退かせる以上、時価による補償が義務になる。さらに奇妙なのは負担の構造で、命令を出すのは特定行政庁(都道府県知事や建築主事を置く市町村の長)なのに、補償金を支払うのは建物が建っている市町村だ。他人の判断で自分の財布が空く。だから法は、市町村議会の同意を発動の絶対条件に据えた。議決がなければ、この命令は一行も動かない。あなたの建物を守る最後の砦は、裁判所より先に地元の議会にある。
法的な位置づけ
建築基準法11条は、公益上著しい支障を理由とする既存不適格建築物への命令と損失補償を定める規定である。対象は3条2項により第三章の集団規定の適用を受けない適法な建築物に限られ、発動要件として所在地市町村議会の同意を要し、命令による通常生ずべき損害は当該市町村が時価により補償する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.命令書の根拠条項を最初に確認する 書面を受け取ったら、根拠が9条(違反建築物)か10条(保安上危険)か11条(公益上の支障)かを最優先で確認する。11条であれば補償請求権が付随し、争い方も窓口も別になる
- 2.既存不適格であることと不適合部分を特定する 建築当時の確認済証・完了検査済証と現在の用途地域・建ぺい率・容積率・道路関係規定を突き合わせ、3条2項の適用を受ける建築物であることと、第三章のどの規定に不適合かを図面ベースで確定させる
- 3.市町村議会の同意手続の記録を押さえる 同意議案がかかった議会の議事日程・議事録・提出資料を情報公開請求で取得する。同意手続の瑕疵や審議不十分は、命令取消訴訟の中心的な主張になる
- 4.命令と補償を別ルートで同時に争う 命令自体は建築審査会への審査請求(94条)または取消訴訟、補償金額は収用委員会への裁決申請(11条2項、通知から1か月)。期限が異なる二系統を並行管理する
- 5.通常生ずべき損害を項目別に積算する 建物残存価格だけでなく、移転先確保費用、設備移設費、営業休止損、解体・仮設費を項目別に積算し、不動産鑑定士の意見書を付して提出する。黙って従うと行政側の算定式のまま確定する
よくある質問 AI による整理
Q1建築基準法11条とは何ですか?
既存不適格建築物が公益上著しく支障があるとき、特定行政庁が市町村議会の同意を得て除却・移転・使用禁止等を命じられる規定です。市町村が時価補償を負います。
Q2既存不適格建築物とは何ですか?
建築時は適法でしたが、その後の法改正や用途地域変更で現行の規定に合わなくなった建築物です。3条2項により第三章の集団規定の適用が除外されます。
Q3建築基準法9条と11条の違いは?
9条は違反建築物への是正命令で補償はありません。11条は適法な既存不適格建築物が対象で、議会同意と時価補償がセットになります。
Q4除却命令の補償は誰が払いますか?
建築物の所在地の市町村です。命令権者が都道府県知事であっても支払うのは市町村で、この負担のねじれがあるため議会同意が要件とされています。
Q5補償金額に納得できないときはどうすればいい?
決定の通知を受けた日から1か月以内に、政令の手続により土地収用法94条2項の収用委員会の裁決を求められます(11条2項)。期限は極めて短いです。
Q6除却命令は違法建築でなくても出せる?
出せます。11条の対象はむしろ適法に建てられた既存不適格建築物に限定され、違反建築物は9条が担当します。根拠条項の確認が最初の分岐です。
Q7市町村議会の同意がないとどうなる?
命令自体ができません。議会の同意は11条1項の明文の発動要件であり、同意を欠く命令は違法として取消訴訟の対象になります。
Q8建築基準法11条の命令は実際に使われている?
発動例はほとんど知られていません。市町村の財政負担、議会同意、公益上著しい支障という三重の要件が高い歯止めとして働いているためです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1建てたときは合法だったのに、壊せって言われることがあるんですか?
あります。3条2項により、既存不適格建築物は原則として第3章の規定の適用を受けません。しかし11条は、その建物が公益上著しく支障があると認められるとき、議会の同意を条件に除却や使用禁止を命じられるとしています。ただし時価補償が必ずセットです。実務のポイント:既存不適格の建物に増改築をすると、3条3項により適用除外そのものが外れて現行基準への適合を求められる場合があります。役所は命令より先に、増改築の確認申請の場で是正させる方を狙ってきます。
Q2補償金が安すぎると思うんですが、裁判を起こすしかないんですか?
いきなり裁判ではありません。2項が用意しているのは収用委員会への裁決申請で、通知を受けた日から1か月以内という短い期限が付いています。収用委員会は用地補償の専門機関で、通常の民事訴訟より補償実務に通じています。実務のポイント:期限を過ぎると金額はほぼ固まります。算定根拠の開示を受けて不動産鑑定士に検証させるまでを1か月に収める必要があるため、通知が届いた日のうちに鑑定士を押さえるのが実務の相場です。
Q3補償は誰が払うんですか。命令を出した都道府県ですか?
条文は、建築物の所在地の市町村が補償すると明記しています。命令権者である特定行政庁が都道府県知事であっても、財布は市町村です。この負担のねじれがあるからこそ、発動には当該市町村の議会の同意が要件とされています。実務のポイント:つまり財政規模の小さい市町村ほど、この命令は事実上使えません。所有者側から見れば、補償額が大きい案件ほど議会で止まりやすいという逆説的な力学が働きます。
Q4この条文、実際に使われることってあるんですか?
実務上、11条による命令が発動された例はほとんど知られていません。市町村の財政負担、議会同意、公益上著しい支障という高い要件が三重の歯止めになっているためで、現実には9条(違反建築)、10条(保安上危険)、都市計画事業としての用地買収や行政指導で処理されます。実務のポイント:使われないこと自体が効用です。交渉の席で11条の存在と補償義務を正確に指摘できると、行政側は補償なしの行政指導で押し切る姿勢を修正せざるを得なくなります。
間違えやすい点 AI による整理
- 「違法だから壊される」という問いの立て方自体が、この条文には当てはまらない。11条の対象は適法に建てられた既存不適格建築物に限定されている。違反建築物は9条の担当で、そちらに補償はない。自分がどちらの回路にいるかを取り違えると、準備すべき主張が丸ごと入れ替わる。
- 補償があると聞けば安心する人が多いが、条文が約束しているのは「当該命令に基づく措置によつて通常生ずべき損害」を時価で計った額にすぎない。営業の将来利益、常連客、思い入れは原則として金額に入らない。補償の存在は知られていても、その射程の狭さまで知っている所有者は少ない。
- 所有者から見れば、税金を払い続けてきた自分の家、自分の工場である。法から見れば、都市計画が描いた将来像を阻害している構造物にすぎない。この視角の落差は、窓口での押し問答では絶対に埋まらない。埋める場所は二つ、議会の同意手続と、補償額の算定根拠である。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる建築物 | 11条:3条2項により第三章の適用を受けない既存不適格建築物 | 9条:この法律等の規定に違反した違反建築物 10条:保安上危険・衛生上有害となるおそれのある建築物 |
| 発動要件 | 公益上著しい支障 + 所在地市町村議会の同意 | 違反の存在(議会同意不要) 危険・有害のおそれ(議会同意不要) |
| 損失補償 | 市町村が通常生ずべき損害を時価で補償 | 補償なし 原則として補償なし |
| 金額を争う窓口 | 収用委員会の裁決(通知から1か月、土地収用法94条2項) | 補償制度がないため該当なし 補償制度がないため該当なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も都市計画に適合しない既存建築物の使用制限・拆除と補償を定めるが、議会同意のような住民代表機関の事前同意要件は置かれていない
韓国は既存建築物への조치(措置)を都市計画法制と建築法に分散して規定し、補償は損失보상 규정に依拠する
ドイツは自治体が条例(Bebauungsplan)に基づき撤去命令を出せるが、所有者の同意や受忍限度の考慮と補償調整が制度化されている
米国はゾーニング上の既存不適合用途を一定期間で償却させる手法が州法上広く用いられ、補償の要否は規制的収用(regulatory taking)該当性で争われる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 建てたときは合法だった建物が、後から法に合わなくなることがあるのを知っているか。用途地域が工業系から住居系へ変更された瞬間、祖父の代から続く鉄工所は既存不適格になる。11条の射程はそこから始まる。
- 補償金の決定通知が届いた。金額は解体費を引いた残存価格に近く、とても時価とは思えない。ここから1か月、収用委員会に裁決を求める期限が走り出す。1日でも過ぎれば、その金額で確定する。
- あなたが市議会議員だったとする。議案は「特定行政庁が出そうとしている除却命令への同意」。賛成すれば市の一般財源から時価補償が出ていき、反対すれば周辺住民の苦情が続く。同意の議決に票を投じることが、そのまま補償金の支出決定になる構造を理解している議員は多くない。
- 住居専用地域に指定された後も残り続ける危険物の貯蔵倉庫。周辺住民が何年も苦情を出しても、違法建築ではないので9条は使えない。役所の担当者が最後に持ち出せる札が11条だが、市町村の財政負担と議会同意という二重の重石がかかっている。
- 中古の工場用地を買おうとして、重要事項説明で「既存不適格」の四文字を見た。あと3日で手付金を打つ予定。この建物が将来11条の対象になりうるか、都市計画の見直し予定と用途規制の適合状況を、契約前に確認できる最後の時間である。
取るべき行動
被害を受けた側:周辺住民や自治体の側で、その建物の状態に苦しんでいる場合。1. その建物が第3章(用途、建ぺい率、容積率、道路関係など集団規定)のどこに適合していないかを特定する。2. 特定行政庁の建築指導担当へ、日付入りの写真と記録を添えて申し出る。3. 保安上の危険なら10条、違反建築なら9条が先に動く。11条は市町村の財政負担を伴う最後の手段だと理解しておく。4. 同時に市町村議会への陳情、請願の窓口も押さえる。同意権を握るのは議会である。
訴えられた側:1. 命令書を受け取ったら、根拠条項が9条か10条か11条かを真っ先に確認する。11条なら補償請求権が付いてくる。2. 猶予期限と議会同意の議決日、議事録を情報公開請求で確保する。同意手続の瑕疵は取消訴訟の柱になる。3. 命令自体は建築審査会への審査請求(建築基準法94条)、補償額は収用委員会への裁決申請(11条2項)と、別ルートで並行して走らせる。4. 退く判断をする場合も、移転先確保費用と営業休止損を項目別に積算して提示する。黙って従うと、通常生ずべき損害の範囲は行政側の算定式のまま確定する。
時効(請求できる期限):補償金額に不服がある場合は、決定の通知を受けた日から1か月以内に収用委員会の裁決を求めなければならない(本条2項、土地収用法94条2項)。命令自体を争う場合は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求(行政不服審査法18条1項)、または6か月以内に取消訴訟(行政事件訴訟法14条1項)。命令に付された「相当の猶予期限」はこれらとは別に進行するため、期限管理は二系統で行う(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説:11条は既存不適格制度(3条2項)による信頼保護の例外弁であり、財産権の社会的制約を超える特別の犠牲に当たるため時価補償を要する。議会同意要件は、命令権者と補償負担者の分離という構造的ねじれを住民代表の統制で調整する趣旨と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:建築基準法制定に伴い、既存不適格建築物に対する公益上の命令と市町村による時価補償、議会同意要件が定められた
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