建築基準法 第61条(防火地域及び準防火地域内の建築物)
クイックジャンプ
- 防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、門又は塀で、高さ二メートル以下のもの又は準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、この限りでない。
- 2.前項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が二以上ある建築物の当該建築物の部分は、同項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
この条文の基本情報
防火地域及び準防火地域内の建築物とは何ですか?
定義防火地域及び準防火地域内の建築物とは、建築基準法第61条に定められた規定で、「防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築基準法第61条(防火地域及び準防火地域内の建築物)は、日本の建築基準法に含まれる条文です。
- 建築基準法第61条の条文原文は「防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分…」で始まります。
- 建築基準法第61条は第五節 防火地域及び準防火地域に置かれています。
- 建築基準法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建築基準法第61条の前の条は建築基準法第60条の3です。
- 建築基準法第61条の次の条は建築基準法第62条です。
- 建築基準法第61条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第61条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - 本サイト収録
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第61条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000201/61
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築基準法61条は、防火地域・準防火地域内の建築物に、延焼のおそれのある開口部への防火設備の設置と、地域の別及び規模に応じた延焼防止性能を求める規定である。
Q · 防火地域に指定されている土地では、木造で家を建てることはできないのですか?
木造でも可能。性能基準を満たせば適法です
建築基準法61条は「耐火建築物としなければならない」という仕様指定ではなく、通常の火災による周囲への延焼を防止する性能を満たすことを求める規定です(2019年6月施行の改正)。国土交通大臣が定めた構造方法を用いるか、大臣認定を受けた仕様であれば木造でも適合します。ただし要求水準は防火地域か準防火地域かという地域の別と、階数・延べ面積という規模の組み合わせで決まり、外壁・軒裏・開口部の仕様が一段上がる点には注意が必要です。
解説
駅前の商店街、幹線道路沿い、木造が密集した住宅地。都市計画で防火地域または準防火地域に指定された土地は、日本の市街地のかなりの割合を占めている。その土地に建てるとき、61条があなたの設計図に直接介入してくる。要求は二つ。外壁の開口部(窓、玄関、換気口)のうち「延焼のおそれのある部分」に防火設備を設けること。そして壁、柱、床とその防火設備が、周囲への延焼を防ぐ技術的基準(建築基準法施行令136条の2)に適合すること。ここで押さえるべきは、2019年6月施行の改正でこの条文の性格が変わった点である。かつては「耐火建築物としなければならない」と建て方そのものを名指ししていたが、現在は「延焼を防ぐ性能」を満たせばよい。材料と工法の選択権が、役所の指定から設計者の判断へ戻った。見積書で「防火地域なので仕様が上がります」と言われたとき、本当に問うべきは金額ではなく、どの性能ルートで積算したのかである。
法的な位置づけ
建築基準法61条は、防火地域及び準防火地域内の建築物に対する構造制限を定める規定である。外壁の開口部のうち延焼のおそれのある部分への防火設備の設置を求めるとともに、壁・柱・床その他の建築物の部分及び当該防火設備が、地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める延焼防止の技術的基準に適合することを要求する。高さ2メートル以下の門又は塀は適用対象外である。
手順
- 1.敷地の防火指定を自治体で確認する 土地の売買契約や設計契約に判を押す前に、自治体の都市計画課または都市計画情報のウェブ地図で、防火地域・準防火地域・指定なしのいずれかを確認する。あわせて建蔽率・容積率・角地指定の有無も控えておく
- 2.重要事項説明書の記載と照合する 仲介業者から交付された重要事項説明書に防火指定の記載があるかを確認する。記載漏れがあれば宅地建物取引業法35条の説明義務違反として仲介業者の責任を問う余地があるため、説明を受けた日付と担当者名も記録しておく
- 3.設計者に二つの性能ルートで概算を出させる 初回打合せで「耐火建築物ルートと延焼防止性能ルート、どちらで積算しましたか」と質問し、両案の工事費差と施工可能業者数を比較する。同時に建築基準法53条3項の建蔽率緩和が使えるかも確認し、負担だけ負って見返りを取りこぼさないようにする
- 4.開口部と防火設備の仕様を図面で確定する 隣地境界線・道路中心線から1階3メートル以内、2階以上5メートル以内の範囲を図面上で作図し、延焼のおそれのある部分に入る開口部を特定する。公園・水面に面する部分など除外できる部分を検討したうえで、防火設備の大臣認定番号を図面に記載する
- 5.確認申請を提出し、増築時も例外に頼らない 確認申請を特定行政庁または指定確認検査機関に提出する。防火地域・準防火地域内では10平方メートル以下の増築を確認不要とする例外(建築基準法6条2項)が適用されないため、物置や小屋の設置でも確認申請を前提に計画する
よくある質問 AI による整理
Q1防火地域とは何ですか?
都市計画法9条に基づき、市街地における火災の危険を防除するため都市計画で定められる地域です。駅前の商業地や幹線道路沿いなど、建物が密集し延焼リスクが高いエリアが指定されます。
Q2防火地域と準防火地域では規制がどう違いますか?
要求水準は地域名だけでは決まりません。建築基準法61条は地域の別と建築物の規模の組み合わせで基準を定めるため、準防火地域でも大規模建築物なら、防火地域内の小規模建築物より重い性能が求められます。
Q3防火地域だと建蔽率が緩和されるって本当ですか?
本当です。防火地域内で耐火建築物等とする場合、建築基準法53条3項により建蔽率の上限が10パーセント加算されます。角地指定と重なれば合計20パーセントの上乗せになります。
Q4耐火建築物等・延焼防止建築物とは何ですか?
2019年6月施行の改正で導入された考え方で、耐火建築物そのものでなくても、同等の延焼防止性能を満たせば61条に適合し、53条3項の建蔽率緩和の対象にもなります。
Q5指定される前から建っている建物も違反になりますか?
なりません。防火地域の指定前から適法に存在していた建築物は既存不適格建築物(建築基準法3条2項)となり、直ちに違反建築物ではありません。ただし増改築の際は原則として現行基準への適合が求められます。
Q6一棟の建物を別の建物として扱える規定があるのですか?
あります。61条2項(令和4年改正、2024年4月施行)は、政令で定める部分が二以上ある建築物について、それぞれ別の建築物とみなして基準を適用する、いわゆる別棟みなしを定めています。
Q7大臣認定を受けた防火設備はどう確認すればよいですか?
防火設備にはメーカーが取得した大臣認定番号があり、確認申請図面や仕様書に記載されます。認定番号が図面に書けないと審査が止まるため、製品選定の段階で番号の有無を確認してください。
Q8敷地が防火地域と準防火地域にまたがる場合はどうなりますか?
建築基準法65条が扱いを定めており、建築物が両地域にわたる場合は原則として厳しい側の地域の規定が建築物全体に適用されます。土地の一部が防火地域にかかるだけで全体が重くなる点が要注意です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「延焼のおそれのある部分」って、具体的にどこまでを言うんですか?
隣地境界線、道路中心線、同一敷地内の建物どうしの外壁間の中心線から、1階は3メートル以内、2階以上は5メートル以内の範囲です(建築基準法2条6号)。この線の内側にある窓や玄関が防火設備の対象になります。実務のポイント:公園や水面に面する部分、外壁面と境界線の角度によって延焼のおそれがないと認められる部分は除外されます。この検討をきちんとやると防火サッシが数枚減ることがある。設計者がそこまで詰めたかを聞く価値があります
Q2防火地域に木造で建てられるって、本当ですか?
本当です。61条は耐火建築物にしろとは書いておらず、通常の火災による周囲への延焼を防ぐ性能を満たせという書き方になっています(2019年6月施行)。国土交通大臣が定めた構造方法、または大臣認定を受けた仕様であれば木造でも適合します。実務のポイント:設計上可能でも、その工法を施工できる業者が地元に2社しかなければ相見積もりが成立せず、結果的に割高になる。設計を固める前に、施工可能な業者が何社あるかを確認しておくこと
Q3庭に物置を置くだけなのに、確認申請がいるって本当ですか?
防火地域および準防火地域の中なら、床面積10平方メートル以下の増築でも確認申請が必要です。10平方メートル以下を確認不要とする例外は、防火地域と準防火地域の外に限られるからです(建築基準法6条2項)。実務のポイント:ホームセンターや通販の物置は、この説明がないまま売られていることが多い。近隣通報で後から発覚し、撤去費と申請費の二重払いになる例がある。買う前に自分の敷地の防火指定を調べるだけで防げます
Q4高さ2メートルのブロック塀なら、防火地域でも普通の材料でいいんですか?
61条ただし書により、高さ2メートル以下の門または塀は本文の適用対象外です。2メートルを超えると防火性能の要求がかかります。準防火地域内では、木造建築物等以外の建築物に附属する門や塀は高さを問わず除外されます。実務のポイント:この2メートルは地盤面から測ります。造成で土を盛った上に塀を立てると、見た目より高く算定されて規制側に落ちることがある。図面の基準地盤面がどこに引かれているかを必ず確認してください
間違えやすい点 AI による整理
- 「防火地域に木造は建てられない」と思われているが、61条は建て方を名指ししていない。2019年6月施行の改正で「耐火建築物としなければならない」という仕様指定から「延焼を防ぐ性能を満たせ」という性能規定へ切り替わった。国土交通大臣が定めた構造方法または大臣認定を受けたものであれば、木造でも適合する
- 防火地域の規制が厳しいことは多くの人が知っている。だが、その厳しさが確認申請の入口にまで及んでいることはほとんど知られていない。10平方メートル以下の増築を確認申請不要とする規定は、防火地域および準防火地域の外に限って適用される(建築基準法6条2項)。庭に小さな物置を一つ置いただけで、手続違反の建築物になりうる
- 「うちは準防火地域だから防火地域より緩い」という比べ方そのものがずれている。要求水準は地域の別だけでなく建築物の規模で決まる。準防火地域でも地上4階以上または延べ面積1500平方メートル超なら耐火建築物と同等の性能が要り、防火地域内の小規模な2階建てより重い規制がかかる。地域名ではなく、地域と規模の組み合わせで読む条文である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制の対象部位 | 61条:外壁の開口部の防火設備+壁・柱・床等の延焼防止性能 | 62条:屋根の構造(飛び火による延焼の防止) 2条6号:延焼のおそれのある部分の範囲を定義するのみ |
| 適用される場面 | 防火地域又は準防火地域内の建築物全般 | 同じ地域内の建築物の屋根に限定 61条・62条の適用範囲を画定する前提概念 |
| 規定の性格 | 性能規定(2019年6月施行の改正で仕様指定から転換) | 屋根の構造方法に関する制限 定義規定(距離要件:1階3メートル、2階以上5メートル) |
| 見返り・緩和との連動 | 耐火建築物等とすれば53条3項で建蔽率10パーセント加算 | 緩和との直接の連動なし 除外部分の検討により防火設備の数量を削減できる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も防火区域の指定と建築物の防火構造・防火設備を組み合わせる構造だが、日本のような性能規定への全面転換より仕様基準の色彩が濃い
韓国は方火地区内の建築物について主要構造部と外壁開口部の防火戸設置を義務づける。都市計画法制で地区を指定し建築法で構造を縛る二層構造は日本と同型
ドイツは地域指定ではなく建築物の分類(Gebäudeklassen)ごとに部材の耐火性能と防火壁を要求する方式で、日本の地域+規模の組み合わせとは切り口が異なる
米国はモデルコードを州・自治体が採択する方式。歴史的に fire limits(防火線)内での木造禁止条例が存在したが、現在は構造種別と耐火時間による規律が中心
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 築40年の実家を二世帯住宅に建て替えようとして、土地が準防火地域だと分かったらどうなる? 延べ面積500平方メートル以下なら準耐火相当で収まるが、階数を3にした瞬間に要求される技術的基準が一段上がる。同じ間取りでも、階数の取り方だけで工事費が数百万円動く
- あなたが庭に既製品の物置を置いた。8平方メートル、6畳ほど。防火指定のない土地なら確認申請は不要だが、あなたの敷地は準防火地域内だった。特定行政庁から是正指導の文書が届き、回答期限は2週間。撤去するか、遡って確認申請を出すか、その二択を今週中に決めなければならない
- 隣地境界線から1.5メートルの位置に、大きな掃き出し窓。1階で3メートル以内なら「延焼のおそれのある部分」だ。そのサッシは防火設備でなければならない。
- 不動産屋から「準防火地域ですが、木造でも建てられますよ」と言われた。その説明は嘘ではない。ただし木造で性能を満たす場合、外壁、軒裏、開口部の仕様が一段上がる。重要事項説明書に書かれるのは「準防火地域」という四文字だけで、それがいくらの差になるかは一行も書かれていない
- 駅前の路面店を借りて飲食店を開く。スケルトンから内装をつくり直すため用途変更と大規模の修繕の確認申請が必要になったが、建物は防火地域内。開店予定日まであと3か月、防火設備の大臣認定番号が図面に記載できず審査が止まり、家賃だけが毎月出ていく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 敷地の防火指定を自治体の都市計画課または都市計画情報のウェブ地図で確認し、防火地域、準防火地域、指定なしのどれか、あわせて建蔽率と容積率を控える2. 重要事項説明書に防火指定の記載漏れがあれば、宅地建物取引業法35条の説明義務違反として仲介業者の責任を問う余地がある3. 設計者に耐火建築物ルートと延焼防止性能ルートの二案で概算を出させ、差額と施工可能業者数を比較する4. 53条3項の建蔽率緩和が使えるかを同時に確認し、負担だけ負って見返りを取りこぼす事態を避ける
訴えられた側:1. 特定行政庁から届いた文書が是正命令(建築基準法9条、役所があなたに直接下す具体的な決定)なのか行政指導(従う法的義務の性質が異なる助言レベルの働きかけ)なのか、根拠条文をまず確認する2. 指定前から適法に存在する建物なら既存不適格(同法3条2項)に当たらないか検証する、直ちに違反建築物ではない3. 確認申請漏れの場合は、撤去と遡及手続のどちらが安いかを費用で比較する4. 是正命令が出たら不服申立ての期間が動き出す、通知書の末尾にある教示欄を最初に読む
時効(請求できる期限):61条自体に特定の期限はない。ただし特定行政庁の是正命令(建築基準法9条)は行政処分であり、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月(行政事件訴訟法14条)。違反建築物の是正義務そのものに時効はなく、20年前の無断増築でも命令の対象になりうる
学説
建築法実務の通説:2019年6月施行の改正は、求める安全水準を維持したまま適合ルートを複数化した性能規定化と理解されている。仕様指定の存置は木造の建替えを停滞させ、かえって危険な既存建築物を市街地に残すという負の効果が意識された結果とされる
改正沿革 AI による整理
- 平成30年(2018年)改正、令和元年(2019年)6月25日施行 従来の61条(防火地域)と62条(準防火地域)を本条に統合。耐火建築物または準耐火建築物としなければならないという仕様指定型の規定から、通常の火災による周囲への延焼を防止する性能を満たせばよいとする性能規定型へ転換し、木造を含む工法選択の幅が広がった
- 令和4年(2022年)改正、令和6年(2024年)4月1日施行 第2項を新設。一の建築物であっても政令で定める部分が二以上ある場合、それぞれ別の建築物とみなして本条の基準を適用する、いわゆる別棟みなしの規定が入り、大規模な木造建築物の設計自由度が上がった
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:建築基準法の制定に伴い、市街地建築物法の防火地区規制を引き継ぐ形で防火地域内の建築物の構造制限が置かれた
- 2.平成30年(2018年)改正、令和元年(2019年)6月25日施行 改正:従来の61条(防火地域)と62条(準防火地域)を本条に統合。耐火建築物又は準耐火建築物としなければならないという仕様指定型から、周囲への延焼を防止する性能を満たせばよいとする性能規定型へ転換した
- 3.令和4年(2022年)改正、令和6年(2024年)4月1日施行 改正:第2項を新設。一の建築物であっても政令で定める部分が二以上ある場合、それぞれ別の建築物とみなして基準を適用する別棟みなしの規定が入り、大規模木造建築物の設計自由度が上がった
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める