建築基準法 第90条の2(工事中の特殊建築物等に対する措置)
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- 特定行政庁は、第九条又は第十条の規定による場合のほか、建築、修繕若しくは模様替又は除却の工事の施工中に使用されている第六条第一項第一号又は第二号に掲げる建築物が、安全上、防火上又は避難上著しく支障があると認める場合においては、当該建築物の建築主又は所有者、管理者若しくは占有者に対して、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の使用禁止、使用制限その他安全上、防火上又は避難上必要な措置を採ることを命ずることができる。
- 2.第九条第二項から第九項まで及び第十一項から第十五項までの規定は、前項の場合に準用する。
この条文の基本情報
工事中の特殊建築物等に対する措置とは何ですか?
定義工事中の特殊建築物等に対する措置とは、建築基準法第90条の2に定められた規定で、「特定行政庁は、第九条又は第十条の規定による場合のほか、建築、修繕若しくは模様替又は除却の工事の施工中に使用されている第六条第一項第一号又は第二号に掲げる建築物が…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建築基準法第90条の2(工事中の特殊建築物等に対する措置)は、日本の建築基準法に含まれる条文です。
- 建築基準法第90条の2の条文原文は「特定行政庁は、第九条又は第十条の規定による場合のほか、建築、修繕若しくは模様替又は除却の工事の施工中に使用されている第六条第一項第一号又は第二号に掲げる建築物が…」で始まります。
- 建築基準法第90条の2は第六章 雑則に置かれています。
- 建築基準法の公布日は昭和25年5月24日です。
- 建築基準法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 建築基準法第90条の2の前の条は建築基準法第90条です。
- 建築基準法第90条の2の次の条は建築基準法第90条の3です。
- 建築基準法第90条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第90条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201 - 本サイト収録
建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第90条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000201/90_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建築基準法90条の2は、工事施工中に使用されている建築物が安全上・防火上・避難上著しく支障があるとき、特定行政庁が使用禁止・使用制限を命じられると定める。違反がなくても適用される。
Q · 確認申請も通っていて違反もないのに、工事中だからという理由で店を閉めさせられることってあるんですか?
あります。建築基準法90条の2は違反を前提にしません
建築基準法90条の2により、特定行政庁は、工事の施工中に使用されている6条1項1号・2号の建築物が安全上・防火上・避難上著しく支障があると認めるとき、相当の猶予期限を付けて使用禁止・使用制限その他必要な措置を命じることができます。9条(違反建築物)や10条(保安上危険な既存建築物)と違い、建物も工事も適法であることを前提としており、名宛人は建築主だけでなく所有者・管理者・占有者にも及びます。手続は9条2項から9項・11項から15項が準用されます。
解説
千日デパートも大洋デパートも、火が出たとき建物は改装工事の最中だった。工事中の建物は、完成した建物より危険である。防火戸が外され、自動火災報知設備が一時停止し、階段に資材が積まれる。それでもテナントは営業を続け、客は入ってくる。建築基準法90条の2は、その数週間に特定行政庁が割り込むための条文だ。肝心なのは、この命令に「違反」が要らないという点。確認申請は通っている、設計も適法、施工も適法。それでも工事中の実際の状態が安全上・防火上・避難上著しく支障があると認められれば、使用禁止または使用制限を命じられる。しかも名宛人は建築主だけではない。所有者、管理者、そして占有者。つまり一階でカフェを借りているだけのあなたも、直接命令を受ける立場にある。
法的な位置づけ
建築基準法90条の2は、工事施工中に使用されている建築物に対する特定行政庁の措置命令を定める規定である。対象は6条1項1号・2号の建築物に限られ、違反の有無を問わず、安全上・防火上又は避難上著しく支障があると認められる場合に、相当の猶予期限を付した使用禁止・使用制限その他必要な措置が命じられる。手続は9条の規定が準用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.工事中も使用する範囲を工程表より先に確定する 改修の発注段階で、工事中も使用を続ける階・用途・時間帯を一覧にする。防火区画の開放期間、自動火災報知設備の停止期間、避難階段の閉鎖期間を工程表に重ねて、使用と危険が重なる日を洗い出す
- 2.特定行政庁へ事前協議し記録を残す 工事中の安全確保計画を建物所在地の特定行政庁(建築指導担当)へ持ち込み、仮設区画・誘導員配置・代替避難経路を説明する。一定の用途・規模では90条の3による工事中の安全上の措置に関する計画の届出が必要になる場面もあるため、届出要否も同時に確認する
- 3.通知書を受け取ったら交付日を最優先で確認する 使用禁止・使用制限の通知書が届いたら、まず交付日を特定する。公開による意見の聴取の請求期限は交付の日から3日以内(9条3項準用)、緊急の仮命令なら命令の日から3日以内(同8項準用)。週末をはさむと実働日がほぼ残らない
- 4.全面禁止を使用制限に落とす代替案を数値で用意する 争点は「著しく支障」の有無と、全面禁止ではなく使用制限で足りるかの二つ。仮設間仕切りによる防火区画の代替、誘導員の人数と配置、営業階の限定、夜間工事への変更を、面積・人数・時間で数値化して提出する
- 5.公開による意見の聴取と審査請求を並行で準備する 意見の聴取は請求があった日から5日以内に行われる(9条9項準用)。同時に、命令そのものへの不服は建築審査会への審査請求(94条)で争う。審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条1項)
よくある質問 AI による整理
Q1建築基準法90条の2とは何ですか?
工事施工中に使われている建築物が安全上・防火上・避難上著しく支障があるとき、特定行政庁が使用禁止や使用制限を命じられる規定です。違反の有無は要件になっていません。
Q2工事中の使用禁止命令は誰が出せますか?
特定行政庁のみです。9条10項の建築監視員による緊急命令は90条の2に準用されていないため、現場の担当者の口頭指導は正式な命令ではありません。
Q3使用禁止命令を受けたら何日以内に動く必要がありますか?
公開による意見の聴取の請求は通知書の交付を受けた日から3日以内(9条3項準用)。緊急の仮命令でも命令の日から3日以内(同8項準用)です。
Q4建築基準法90条の2の対象になる建築物は?
6条1項1号・2号に掲げる建築物です。1号は特殊建築物で一定規模以上のもの、2号は2025年4月施行の改正で範囲が大きく広がっています。
Q5テナントでも使用禁止命令の名宛人になりますか?
なります。条文が建築主、所有者、管理者、占有者を並べており、現に建物に人を入れている占有者へ直接命令できる構造です。
Q6使用禁止と使用制限の違いは何ですか?
使用禁止は建築物の使用そのものを止める命令、使用制限は階や用途を限って使用を認める命令です。条文は両方を並べており、段階的な選択が可能です。
Q7工事中の使用禁止命令に不服がある場合は?
建築審査会への審査請求ができます(94条)。主戦場は準用される9条の公開による意見の聴取で、請求期限は3日以内と極端に短い点に注意が必要です。
Q8建築基準法90条の3とは何が違いますか?
90条の3は工事中の安全上の措置に関する計画の届出義務、90条の2は届出の有無と無関係に危険な実態を捉えて命令する規定です。事前と事後の関係にあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1工事中も店を開けていたいんですが、役所に先に相談したら逆に目をつけられませんか?
逆です。90条の2の命令は「安全上、防火上又は避難上著しく支障がある」という特定行政庁の認定で動きます。工事中の安全確保計画を先に示して協議していれば、その認定に至りにくい。一定の用途・規模では90条の3により工事中の安全上の措置に関する計画の届出が求められる場面もあります。実務のポイント:特定行政庁が最も嫌うのは「把握していなかった」状態です。協議の記録は事業者の防具であると同時に役所自身の防具でもあるので、事前相談は歓迎されやすい
Q2命令を無視して営業を続けたら、結局どうなるんですか?
罰則の対象になるほか(建築基準法の罰則規定、適用条項は最新の条文をご確認ください)、9条12項の準用で特定行政庁は命令をした旨の標識を建築物に設置できます。なお使用禁止は不作為を命じるものなので行政代執行にはなじまないとされ、実務上も解釈が分かれています。実務のポイント:本当に効くのは罰金ではなく、事故が起きたときに「危険を認識しながら使用を続けた」という事実が、保険金支払いや民事の損害賠償の場で正面から争点になる点です
Q3工事を発注したのは大家なのに、なぜテナントの私に命令が来るんですか?
条文が名宛人として建築主、所有者、管理者、占有者を並べているからです。現に人を建物へ入れているのは占有者なので、直接命令できる構造になっています。実務のポイント:賃貸借契約の多くは、工事中の営業停止による損失を誰が負担するかを書いていません。命令を受けたテナントは営業できず賃料は発生し、負担は契約解釈の争いになる。改修予定のあるビルに入るなら、契約段階でその一行を入れておく
Q49条や10条と何が違うんですか。結局どれも使用禁止命令でしょう?
入口が違います。9条は違反建築物、10条は保安上危険な既存建築物が対象で、どちらも建物側に問題があることが前提。90条の2は建物も工事も適法であることを想定し、工事中という一時的な状態だけを捉えます。実務のポイント:もう一つの違いは出せる人です。9条10項の建築監視員による緊急命令は90条の2に準用されていないので、この命令を出せるのは特定行政庁だけ。現場に来た担当者の口頭の指導と、正式な命令はまったく別物です
間違えやすい点 AI による整理
- 「確認済証があるのだから工事中に止められるはずがない」という問いの立て方そのものが外れている。90条の2は違反を前提としない。適法性ではなく、工事中の実際の状態が安全上・防火上・避難上著しく支障があるかどうかだけを見る。適法だから大丈夫、という防御線は、この条文の前では存在しない
- 命令違反に罰則がある、というところまでは多くの人が知っている。知られていないのはその先で、9条12項の準用により特定行政庁は命令をした旨の標識を当該建築物に設置できる。商業施設やホテルにとって、罰金より重いのは入口に立つその一枚だ
- あなたから見れば工事は「一時的な不便」だが、法律から見れば防火設備が機能していない期間は「使用してはならない建物」になりうる。この落差が、営業を続けたいという経営判断を致命傷に変える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動の入口 | 90条の2:工事施工中に使用されている建築物が著しく支障(違反不要) | 9条:違反建築物であること 10条:既存建築物が保安上危険等であること |
| 建物の適法性 | 建物も工事も適法であることを想定 | 建物または工事が法令違反 適法だが老朽化等で危険 |
| 対象建築物の範囲 | 6条1項1号・2号に限定 | 違反建築物一般 既存不適格を含む保安上危険な建築物等 |
| 命令を出せる者 | 特定行政庁のみ(9条10項の建築監視員による緊急命令は準用なし) | 特定行政庁+建築監視員(9条10項) 特定行政庁 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は施工中の建築物について、主管建築機関が勒令停工・修改・強制拆除等の処分を行える。日本の90条の2が「使用」を止めるのに対し、台湾58条は「工事」を止める方向に重心があり、危険建築物の使用停止は81条以下で別建てになっている
韓国は許可権者が違反建築物等に対し工事中止・使用禁止・使用制限を命じられる。ただし条文の入口が「違반 건축물」であり、違反を前提としない日本90条の2のような独立の工事中類型は設けられていない
ドイツは工事停止命令(§ 80)と使用禁止命令(§ 81)を分けて規定し、実際の権限は各州の建築法(LBO)に置かれる。危険防止の一般権限(Gefahrenabwehr)として構成される点で、違反不要という日本90条の2の発想に近い
米国はモデルコードを州・自治体が条例として採択する方式。building official が Stop Work Order や Unsafe Structure の使用停止・退去命令を発する権限を持ち、工事中の防火設備の機能停止(impairment)は消防コード側で別途管理される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、入居しているビルの入口に、ある朝「使用禁止命令」の標識が立っていたら? 通知書が届いたのは大家だけかもしれないが、占有者であるあなたも名宛人になりうる。公開による意見の聴取を請求できるのは通知書の交付から3日以内(9条3項の準用)。週末をはさめば、実質的に動ける時間は一日もない
- あなたはホテルの改修を発注した建築主。客室を半分閉じて残り半分で営業を続ける計画で、防火区画を一時的に開放する期間が三週間ある。特定行政庁がここを「避難上著しく支障がある」と見れば、営業継続そのものが止まる。工程表を組む前に、この判断の物差しを握っておくべきだった
- 夜、緊急の仮命令が出た。9条7項の準用により、事前の手続を経ずに使用禁止を命じられる。翌朝の開店は、その時点で消えている
- 友人が自分のビルで「工事中も一階の店だけ営業させたい」と相談してきた。あなたが最初に確認すべきは一点、その建物が6条1項1号か2号に当たるかどうか。2025年4月施行の改正で2号の範囲は大きく広がり、木造か否かを問わず階数2以上または延べ面積200平方メートル超の建築物が入るようになった(最新の改正状況をご確認ください)
- 入居中のテナントビルで大規模改修が始まり、二方向避難のうち片方の階段が資材置き場になっている。管理会社に言っても「工事中だから仕方ない」と返される。9条の違反にも10条の危険にも当たらない、それでも動かせる条文がある。知っているかどうかで、特定行政庁への情報提供に書く言葉がまるで変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 危険を具体化して記録する。閉鎖された階段、外された防火戸、停止中の自動火災報知設備、避難経路を塞ぐ資材。写真に日付を残す2. 管理会社と施工者へ書面で是正を求め、回答を保存する3. 動かなければ建物所在地の特定行政庁(都道府県または建築主事を置く市区町村の建築指導担当)へ情報提供。違反がなくても工事中の使用継続として90条の2で動く余地がある、と明示する4. 並行して所轄消防署へ。消防法5条の2の使用禁止命令という別ルートが同時に走る
訴えられた側:1. 通知書の交付日を確認する。公開による意見の聴取の請求期限は3日以内(9条3項準用)、緊急の仮命令でも3日以内(同8項準用) 2. 争点は二つ、「著しく支障」の有無と、全面禁止ではなく使用制限で足りるか。仮設区画、誘導員の配置、営業階の限定、夜間工事への変更を数値付きで用意する3. 猶予期限は「相当の」とされており、工程上の実現可能性を根拠に交渉の余地がある4. 不服なら建築審査会へ審査請求(94条)。主戦場は準用される9条の公開による意見の聴取である
時効(請求できる期限):公開による意見の聴取の請求は、通知書の交付を受けた日から3日以内(9条3項の準用)。緊急の仮命令を受けた場合も命令の日から3日以内(同8項の準用)で、請求があった日から5日以内に聴取が行われる(同9項の準用)。命令そのものへの審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条1項)
学説
通説(行政監督処分の体系的理解):建築基準法の監督処分は、9条の違反建築物に対する是正命令、10条の保安上危険な既存建築物に対する措置命令、90条の2の工事中の建築物に対する措置命令の三系統で構成される。90条の2は違反性も既存不適格性も要件とせず、工事施工中という一時的状態に着目する点で独自の適用領域を持つ。
実効性確保に関する通説:使用禁止命令は不作為を命じるものであるため行政代執行にはなじまないとされ、実効性は罰則と9条12項準用による標識設置に依存する。標識は商業施設・宿泊施設にとって罰金を上回る不利益となりうるとの指摘がある。
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