地方税法 第358条(固定資産税の脱税に関する罪)
クイックジャンプ
- 偽りその他不正の行為により固定資産税の全部又は一部を免れたときは、その違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 2.前項の免れた税額が百万円を超える場合には、情状により、同項の罰金の額は、同項の規定にかかわらず、百万円を超える額でその免れた税額に相当する額以下の額とすることができる。
- 3.第一項に規定するもののほか、第三百八十三条、第三百八十四条又は第三百九十四条の規定により申告すべき事項について申告をしないことにより、固定資産税の全部又は一部を免れたときは、その違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 4.前項の免れた税額が五十万円を超える場合には、情状により、同項の罰金の額は、同項の規定にかかわらず、五十万円を超える額でその免れた税額に相当する額以下の額とすることができる。
- 5.法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して第一項又は第三項の違反行為をした場合には、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、当該各項の罰金刑を科する。
- 6.前項の規定により第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、同項の罪についての時効の期間による。
この条文の基本情報
固定資産税の脱税に関する罪とは何ですか?
定義固定資産税の脱税に関する罪とは、地方税法第358条に定められた規定で、「偽りその他不正の行為により固定資産税の全部又は一部を免れたときは、その違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方税法第358条(固定資産税の脱税に関する罪)は、日本の地方税法に含まれる条文です。
- 地方税法第358条の条文原文は「偽りその他不正の行為により固定資産税の全部又は一部を免れたときは、その違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」で始まります。
- 地方税法第358条は第一款に置かれています。
- 地方税法の公布日は昭和25年7月31日です。
- 地方税法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 地方税法第358条の前の条は地方税法第357条です。
- 地方税法第358条の次の条は地方税法第359条です。
- 地方税法第358条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第358条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 - 本サイト収録
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第358条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000226/358
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方税法358条は、偽りその他不正の行為で固定資産税を免れた者を5年以下の拘禁刑等に処し、償却資産等の不申告による免脱も3年以下の拘禁刑等で罰する。
Q · 償却資産の申告をずっと出していないと、本当に犯罪になるの?
不申告で税を免れれば、3年以下の拘禁刑等の対象になりうる
地方税法358条3項により、383条などで求められる償却資産等の申告をしないことで固定資産税を免れた場合、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(併科あり)の対象になります。資産隠しなど偽りその他不正の行為を伴えば、1項により5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。実務では刑事訴追まで進む例は少なく、遡及課税と延滞金で決着することが大半ですが、自主的な修正申告が評価を大きく左右します。
解説
固定資産税は「役所が勝手に計算して通知してくる税金」だと思われがちだ。土地と家屋だけならそれでほぼ合っている。ところが事業をしている人には、もう一つ別の課税対象がある。償却資産(事業に使う機械・厨房設備・看板・太陽光パネルなど)だ。こちらは、あなたが毎年1月31日までに市町村へ申告して初めて課税される仕組みになっている。本条は、この自己申告の仕組みを悪用した場合の刑罰を定める。第1項は「偽りその他不正の行為」による脱税で、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、あるいはその両方を科す。免れた額が100万円を超えれば、罰金の上限は免れた税額まで引き上げられる。第3項は、383条などで求められる申告を出さなかったことで税を免れた場合を対象とし、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科す。つまり「申告しない」だけでも犯罪の構成要件になりうるのだ。さらに第5項の両罰規定により、従業員や税理士などの代理人が業務の中で違反行為をすれば、会社や個人事業主本人にも罰金が科される。実際に刑事訴追まで進む例は多くなく、ほとんどは遡って課税され延滞金を払うことで決着する。ただ、その「多くない」という状態は、あなたの申告書の中身次第で変わる。
法的な位置づけ
地方税法358条は固定資産税の逋脱犯を定める罰則規定であり、偽りその他不正の行為による免脱(第1項)と、383条・384条・394条に基づく申告をしないことによる免脱(第3項)を区別して法定刑を定める。免れた税額に応じた罰金上限の引上げ(第2項・第4項)、法人等に対する両罰規定(第5項)および法人等の公訴時効の特則(第6項)を規定する。
よくある質問 AI による整理
Q1固定資産税の脱税とは何ですか?
偽りその他不正の行為や、償却資産等の申告をしないことで固定資産税の全部または一部を免れることです。地方税法358条が刑事罰を定めています。
Q2償却資産の申告はいつまでですか?
毎年1月1日時点で所有する償却資産について、1月31日までに所在地の市町村へ申告します(地方税法383条)。
Q3償却資産 申告しないとどうなる?
調査で発覚すると過去分の遡及課税と延滞金が課されます。条例上の過料(386条)に加え、税を免れた場合は358条3項の刑事罰の対象にもなりえます。
Q4固定資産税の脱税 罰金はいくら?
不正の行為による免脱は100万円以下、不申告による免脱は50万円以下です。免れた税額がこれを超えれば、罰金は税額相当まで引き上げられます。
Q5固定資産税の脱税罪 時効は何年?
公訴時効は第1項(5年以下の拘禁刑)が5年、第3項(3年以下の拘禁刑)が3年です(刑事訴訟法250条2項5号・6号)。法人への第1項の罰金は第6項により5年です。
Q6経理担当者も固定資産税の脱税で処罰される?
処罰されえます。本条は「違反行為をした者」を罰するため、虚偽の申告書を作成・提出した担当者本人が行為者となり、会社も第5項で罰金を科されます。
Q7固定資産税の脱税 両罰規定とは?
従業員や代理人が業務に関して違反行為をした場合、行為者に加えて法人や事業主本人にも罰金刑を科す仕組みです(地方税法358条5項)。
Q8固定資産税の減免申請で嘘をつくと違法?
虚偽の資料で減免を受けて税を免れれば、358条1項の「偽りその他不正の行為」に当たる可能性があります。減免の要件は各市町村の条例を確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1償却資産の申告、何年も出してなかったんですけど、いきなり逮捕されたりします?
不申告だけで直ちに刑事訴追される例は、実務上ほとんどない。まず実地調査や照会が入り、過去5年分程度の遡及課税と延滞金(369条)の請求で決着するのが一般的である。実務のポイント:市町村は法人税の申告書にある減価償却資産の明細と、償却資産の申告を突き合わせることがある。国税側に出した数字と食い違えば、調査対象に挙がる可能性は一気に高まる
Q2税理士が勝手に申告を間違えたら、私も罪になるんですか?
本条第1項・第3項はいずれも故意犯であり、税理士の単純ミスについて、あなたが刑事責任を問われることは通常ない。ただし第5項の両罰規定により、代理人が業務に関して故意に違反した場合は、本人であるあなたにも罰金が科されうる。実務のポイント:申告書の控えと、税理士に渡した資産リストを毎年保管しておくこと。「正しい情報は渡していた」と示す証拠になる
Q3免れた税金を後から全部払えば、罪にはならないんですよね?
納付しても、すでに成立した罪が消えるわけではない。ただし起訴・不起訴の判断や量刑では、自主的な是正と完納が大きく考慮される。実務のポイント:第2項・第4項により、免れた額が大きいと罰金の上限は免れた税額まで引き上げられる。逆に言えば、早く払って免れた額を確定させておくことが、刑事面のリスクを抑えることにもつながる
間違えやすい点 AI による整理
- 固定資産税は役所が計算して通知するものだから、納税者側に申告義務などないと思われている。それは土地と家屋の話であり、償却資産は毎年1月1日時点の状況を1月31日までに申告する義務がある(383条)。申告がなければ課税されないまま放置されるが、その状態こそが第3項の構成要件に近づいている状態である
- 「出さなかった」ことと「嘘を書いた」ことの違いを、多くの人は軽く見ている。不申告で免れた場合(第3項)は3年以下・50万円以下だが、偽装や隠蔽を伴う場合(第1項)は5年以下・100万円以下で、罰金は免れた税額まで上がりうる。同じ額を免れても、手口によって刑の上限がほぼ倍になる
- 「脱税で罰せられるのは社長や会社だ」という見方は、視点がずれている。本条でまず罰せられるのは「違反行為をした者」、つまり実際に申告書を偽った経理担当者や代理人本人である。会社への罰金は第5項によってその上に積み重なる。指示を受けて手を動かした人が最初の被告になる構造だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 358条:不正の行為または不申告により固定資産税を免れたこと(免脱の結果が必要) | 385条:申告すべき事項について虚偽の申告をしたこと自体 386条:正当な事由なく申告しなかったこと |
| 制裁の内容 | 1項:5年以下の拘禁刑・100万円以下の罰金/3項:3年以下の拘禁刑・50万円以下の罰金(いずれも併科可、税額相当まで引上げ可) | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 条例で定める10万円以下の過料 |
| 制裁の性質 | 刑事罰(逋脱犯) | 刑事罰(申告秩序違反) 行政上の秩序罰(刑罰ではない) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は国税・地方税を通じて逃税罪を稅捐稽徵法に一本化しており、房屋稅・地價稅の逃脱も同法で処罰される。日本のように税目ごとに罰則を置く方式とは異なる
韓国も地方税の逋脱罪を地方税基本法にまとめて規定しており、税目横断型である
ドイツは租税通則法で全税目の脱税罪を規律し、Grundsteuer(不動産税)の逋脱もこれによる
米国では事業用動産への財産税と申告義務・罰則が州ごとに定められ、統一的な規定はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 居酒屋を開業して6年。厨房機器と内装に1,200万円かけたが、償却資産の申告書は一度も出していない。届いた封筒を毎年「よく分からない」と捨ててきた。市の実地調査が入れば、まず過去5年分の遡及課税と延滞金が来る。資産を隠すための工作まで見つかれば、話は第1項の領域に入る
- 経理担当のあなたは、社長から「償却資産の申告は取得価額を半分にしておけ、どうせ市はチェックしない」と言われた。言われた通りに書けば、実行者として罰せられるのはあなた本人であり、会社にも第5項で罰金が科される。「指示されただけ」は免責にならない
- 父が亡くなり、実家の土地を相続した。生前の父が、空き家なのに住宅用地として申告を続け、固定資産税を6分の1程度に抑えていたと分かった。相続人のあなたは、どこまで責任を引き継ぐのか?
- あと3週間で1月31日、償却資産の申告期限が来る。昨年、太陽光発電設備を設置したばかりだ
- 知人の不動産業者が「減免申請に被災の写真を少し盛れば税金が下がる」と言っている。虚偽の資料による減免は、本条第1項の「偽りその他不正の行為」に当たりうるのでは?
取るべき行動
被害を受けた側:1. 事業の買収や相続で、前の所有者の不申告・虚偽申告を引き継いだ可能性があれば、まず市町村の資産税課で過去の課税台帳を閲覧・取得する2. 遡及課税の対象年度と金額を確定させ、譲渡契約の表明保証条項や売主への求償の可能性を弁護士に確認する3. 社内で上司から虚偽の申告を指示された場合は、指示内容を書面やメールで残し、自分の名前では提出しない。社内通報窓口や顧問税理士に相談する
訴えられた側:1. 調査の連絡が来たら、資産台帳・取得時の請求書・過去の申告控えを揃え、不申告が「知らなかった」なのか「隠した」なのかを示す客観資料を確保する2. 偽装工作がないことを説明できれば、論点は第1項ではなく第3項、さらには行政上の遡及課税と過料(386条)に移る3. 自主的な修正申告と速やかな納付は、悪質性の評価を左右する最大の材料になる4. 刑事事件化の兆しがあれば、税務に強い弁護士と税理士を同時に入れる
時効(請求できる期限):第1項(5年以下の拘禁刑)、第3項(3年以下の拘禁刑)とも公訴時効は5年(刑事訴訟法250条2項5号)。第6項により、法人等への罰金も第1項の罪の時効期間による。起算点は一般に納期限の経過時と解されるが、事案により異なりうる。税額の賦課は通常5年、偽りその他不正の行為によって免れた場合は法定納期限の翌日から7年まで遡れる(地方税法17条の5、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:1項の「偽りその他不正の行為」は、課税を困難にする積極的な工作を要し、単純な不申告は含まない。そのため単純不申告による免脱は3項で別途、より軽い法定刑の下で処罰される構造と理解される。
通説・判例:5項の両罰規定は、事業主に従業者の選任・監督上の過失を推定するものと解され、事業主は注意を尽くしたことを証明すれば責任を免れうる。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正に伴う関係法律の整理により、第1項・第3項の「懲役」が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年)施行 改正:刑法改正に伴う関係法律の整理により、第1項・第3項の「懲役」が「拘禁刑」に改められた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める