地方税法 第374条(固定資産税に係る滞納処分に関する罪)
クイックジャンプ
- 固定資産税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、若しくは市町村の不利益に処分し、その財産に係る負担を偽つて増加する行為をし、又はその現状を改変して、その財産の価額を減損し、若しくはその滞納処分に係る滞納処分費を増大させる行為をしたときは、その者は、三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 2.納税者の財産を占有する第三者が納税者に滞納処分の執行を免れさせる目的で前項の行為をしたときも、同項と同様とする。
- 3.情を知つて前二項の行為につき納税者又はその財産を占有する第三者の相手方となつたときは、その相手方としてその違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 4.法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関して前三項の違反行為をした場合には、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、当該各項の罰金刑を科する。
この条文の基本情報
固定資産税に係る滞納処分に関する罪とは何ですか?
定義固定資産税に係る滞納処分に関する罪とは、地方税法第374条に定められた規定で、「固定資産税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、若しくは市町村の不利益に処分し、その財産に係る負担を偽つて増加する行為をし、又はその現…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方税法第374条(固定資産税に係る滞納処分に関する罪)は、日本の地方税法に含まれる条文です。
- 地方税法第374条の条文原文は「固定資産税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的でその財産を隠蔽し、損壊し、若しくは市町村の不利益に処分し、その財産に係る負担を偽つて増加する行為をし、又はその現…」で始まります。
- 地方税法第374条は第三款に置かれています。
- 地方税法の公布日は昭和25年7月31日です。
- 地方税法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 地方税法第374条の前の条は地方税法第373条です。
- 地方税法第374条の次の条は地方税法第375条です。
- 地方税法第374条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第374条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226 - 本サイト収録
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第374条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000226/374
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方税法374条は、固定資産税の滞納処分を免れる目的で財産を隠す・壊す・不利益に処分する行為を罰し、三年以下の拘禁刑または二百五十万円以下の罰金を科す。
Q · 固定資産税を滞納している間に財産を動かすと、犯罪になるの?
差押え逃れが目的なら拘禁刑3年以下の犯罪になりうる
地方税法374条1項により、固定資産税の納税者が滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠蔽・損壊・不利益に処分するなどした場合、三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金又はその併科となります。滞納そのものは犯罪ではありません。ただし財産を預かる第三者(2項)、事情を知って取引した相手方(3項、二年以下の拘禁刑等)、業務として関与した従業者の法人(4項)まで処罰が及びます。
解説
固定資産税を滞納したまま実家の名義を息子に移す。預金を全部引き出してタンスにしまう。差押えが来る前に重機で離れを取り壊す。どれも「自分の財産をどうしようと自由」に見える。しかし目的が滞納処分(役所が裁判所を通さずに財産を差し押さえ、売って税に充てる強制手続)を逃れることなら、地方税法374条の犯罪になる。法定刑は三年以下の拘禁刑か二百五十万円以下の罰金、または両方である。滞納していた税額よりはるかに重い代償だ。見落とされやすいのは、罰せられるのが本人だけではないという点である。財産を預かっている第三者が同じことをすれば同じ罪になる。事情を知りながら安値で買い取った相手方も、二年以下の拘禁刑の対象になる。従業員が業務として行えば、会社にも罰金が科される。滞納そのものは犯罪ではない。犯罪になるのは逃げ方のほうである。
法的な位置づけ
地方税法374条は固定資産税に係る滞納処分免脱罪を定める規定であり、納税者または財産を占有する第三者が滞納処分の執行を免れる目的で、財産の隠蔽、損壊、市町村に不利益な処分、負担の仮装増加、現状改変による価額減損や滞納処分費の増大を行う行為を処罰し、情を知った相手方および両罰規定による法人等もその対象とする。
よくある質問 AI による整理
Q1滞納処分免脱罪とは?
税の滞納処分(差押え・公売)を逃れる目的で財産を隠す、壊す、不利益に処分するなどの行為を罰する罪です。固定資産税については地方税法374条が定めています。
Q2固定資産税を滞納しただけで逮捕される?
滞納だけでは犯罪になりません。延滞金や差押えなどの行政上の不利益にとどまります。刑事罰の対象は、滞納処分を免れる目的で財産を隠すなどの行為です。
Q3差押え前に預金を全額引き出したら罪になる?
生活費の支払など正当な理由のある出金なら直ちに犯罪ではありません。差押えを逃れる目的で現金化して隠した場合は、財産の隠蔽として374条に当たりえます。
Q4滞納処分免脱罪の罰金はいくら?
納税者本人や財産を占有する第三者は二百五十万円以下の罰金、情を知った相手方は百五十万円以下の罰金です。拘禁刑との併科もありえます。
Q5滞納処分免脱罪の時効はいつまで?
公訴時効は行為が終わった時から3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。固定資産税の徴収権の時効(5年)とは別に進みます。
Q6従業員が財産を隠したら会社も罰せられる?
罰せられえます。374条4項の両罰規定により、従業者が業務や財産に関して違反行為をすれば、行為者のほか法人や個人事業主にも罰金刑が科されます。
Q7差押え前に建物を取り壊すと犯罪になる?
滞納処分を免れる目的で建物を取り壊せば、財産の損壊や現状改変による価額減損に当たりえます。老朽化など正当な理由があるかどうかが分かれ目になります。
Q8架空の借金で抵当権を付けるのは違法?
違法です。実在しない債務で抵当権を設定する行為は、財産に係る負担を偽って増加する行為として374条1項の処罰対象になります。登記を手伝った者も問われえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1固定資産税を滞納してるんですけど、家を妻の名義に変えたらまずいですか?
滞納処分を逃れる目的での名義変更は、隠蔽や不利益処分として地方税法374条1項に当たりうる。妻が事情を知って受け取れば同条3項の対象にもなる。実務のポイント:実務で先に来やすいのは刑事告発より、無償や低額で受け取った人への第二次納税義務(同法11条の8)の告知である。名義変更は財産を守るどころか、妻を新しい納税者にしてしまうことが多い
Q2どうしても払えない場合、差押えされるのを待つしかないんですか?
待つ必要はない。地方税法15条以下に徴収の猶予や換価の猶予の制度があり、一定の要件を満たせば分割納付が認められうる。実務のポイント:猶予の相談は差押え前のほうが通りやすい。窓口で財産状況を正直に開示した記録は、後に財産移転を疑われたときにも、逃げる意思がなかったことを示す材料になる
Q3知り合いに土地を安く買ってくれと頼まれました。買ったら私も罪になるんですか?
相手が滞納処分を逃れる目的だと知りながら買えば、374条3項で二年以下の拘禁刑または百五十万円以下の罰金の対象になりうる。知らなかった場合は同項に当たらない。実務のポイント:知っていたかどうかは内心ではなく状況から判断される。相場から極端に安い価格、異常な急ぎ方、役所に取られる前にという言葉、この三つが揃うと「情を知っていた」と推認されやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 固定資産税を滞納すると犯罪になると怯えている人が多いが、問いの立て方が誤っている。滞納そのものに刑罰はなく、延滞金と滞納処分という行政上の不利益が待つだけである。刑罰の対象は、滞納処分の執行を免れる目的で財産を隠す、壊す、不利益に処分するなどの行為に限られる
- 名義を家族に移せば財産は守れるという発想は、あなたから見れば家族を守る行動でも、法律から見れば滞納処分を逃れる典型的な手口である。この落差が大きい。刑事罰の可能性に加え、無償や著しい低額で受け取った家族には第二次納税義務(地方税法11条の8)が課されうるため、守ったつもりの家族が新たな納税者になる
- 相手方の処罰が本人より軽いことは知られていても、その範囲の広さは知られていない。安値で買った人、財産を預かって移した人、指示を受けて動いた従業員とその会社まで射程に入る。一人の滞納者の逃避行為が、周囲の複数人を同時に被疑者にする構造になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の性質 | 地方税法374条:刑事罰(固定資産税の滞納処分免脱罪) | 地方税法11条の8:行政上の徴収手段(第二次納税義務) 国税徴収法187条:刑事罰(国税の滞納処分免脱罪) |
| 主観的要件 | 滞納処分の執行を免れる目的が必要。相手方は「情を知って」いることが必要 | 免脱目的は要件とされず、無償・著しい低額での譲受け等の客観的事情が中心 国税の滞納処分の執行を免れる目的が必要 |
| 受け取った側への影響 | 情を知った相手方は二年以下の拘禁刑若しくは百五十万円以下の罰金 | 受けた利益の限度で滞納税の納付義務を負いうる 国税の滞納処分について、相手方を処罰する同型の規定がある |
他国ではどう定めているか 5 か国
強制執行を受けようとする債務者が債権者を害する意図で財産を毀損・処分・隠匿する行為を罰する一般規定。租税債権に特化した日本の374条より射程が広い一般犯罪として位置づけられる
体納処分の執行を免れる目的での財産隠匿・脱漏・虚偽譲渡等を罰し、事情を知った協力者も処罰する。日本の構造と近い
欠税者が財産の移転・隠匿により税務機関の追徴を不能にした場合を処罰。一定額以上の結果発生を要件とする点で日本の目的犯構成と異なる
差し迫った強制執行の満足を妨げる意図での財産の譲渡・隠匿を罰する一般規定。租税に限定されない
租税の徴収・差押えを免れる目的での財産の移転・隠匿を連邦犯罪として処罰する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 市役所から差押予告書が届いた翌週、父が「土地は長男に生前贈与しておけば取られない」と言い出し、司法書士に登記を頼もうとしている。登記の日付は差押予告の直後になる。滞納処分を逃れる目的を推認させる証拠を、自分で公的記録に刻むことになる
- 税金を滞納している知人から、評価額二千万円の土地を三百万円で買ってくれと頼まれた。「急いでいる、役所に取られる前に」とまで言われている。もし買ったら、どうなる? 事情を知った相手方として374条3項の対象になりうるうえ、取得した土地そのものも第二次納税義務で狙われる
- あなたは不動産管理会社の担当者で、オーナーの物件に滞納による差押えが迫っている。オーナーから「架空の工事代金で抵当権を付けておいてくれ」と指示された。財産に係る負担を偽って増加させる行為に当たり、実行したあなたが罰せられ、会社も罰金の対象になる
- 離婚協議中、固定資産税を滞納している夫が「家は全部お前にやる」と財産分与を急がせてくる。分与の中身が相場から極端に外れていれば、受け取る側も無関係ではいられない
- 差押えまで残り数日。滞納者が倉庫の機械設備を夜のうちに知人の工場へ運び出した。運び出しを手伝った知人も、財産を隠蔽する行為の担い手として疑われる立場に入る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 市町村職員の立場なら、滞納者の財産移転の時期と差押予告などの通知時期を時系列で整理する2. 登記簿、預金の出金履歴、売買価格と固定資産評価額の乖離を証拠化する3. 第二次納税義務の告知による徴収と刑事告発のどちらが回収と再発防止に効くかを検討する4. 巻き込まれた家族や買主の立場なら、受け取った経緯と対価を記録し、早期に弁護士へ相談する
訴えられた側:1. まだ財産を動かしていないなら、何も動かさず納税課に分納や換価の猶予を相談する2. 既に移転した場合は、移転の経緯と正当な理由(売却代金の使途、既存債務の返済など)を書面で整理する3. 相手方なら、価格の妥当性と事情を知らなかったことを示す資料を集める4. 捜査や告発の気配があれば、供述前に刑事弁護に通じた弁護士へ相談する
時効(請求できる期限):本条の罪の公訴時効は、行為が終わった時から3年(刑事訴訟法250条2項6号、長期5年未満の拘禁刑に当たる罪)。固定資産税の徴収権自体は法定納期限の翌日から5年で時効消滅するが(地方税法18条)、差押えなどで時効の更新が生じる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
条文構造上の理解:本罪は「滞納処分の執行を免れる目的」を要件とする目的犯であり、条文上、現実に滞納処分を免れた結果の発生は要件とされていない。単なる滞納や通常の生活上の処分は、目的要件により処罰範囲から外される
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた
- 罰金額の改正時期 罰金上限が現行の二百五十万円(相手方は百五十万円)に引き上げられた年次は人的検証が必要
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた(令和7年(2025年)6月1日施行)
- 地方税法 第373条固定資産税に係る滞納処分の根拠
- 地方税法 第371条督促、滞納処分の前提手続
- 地方税法 第11条の8無償譲受人等の第二次納税義務
- 地方税法 第9条相続による納税義務の承継
- 地方税法 第18条地方税の徴収権の消滅時効
- 国税徴収法 第187条国税の滞納処分免脱罪、同型の罰則
- 刑法 第96条の2強制執行妨害目的財産損壊等罪との対比
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める