地方公務員法 第56条(不利益取扱の禁止)
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職員は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもつて不利益な取扱を受けることはない。
この条文の基本情報
不利益取扱の禁止とは何ですか?
定義不利益取扱の禁止とは、地方公務員法第56条に定められた規定で、「職員は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもつて不利益…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 地方公務員法第56条(不利益取扱の禁止)は、日本の地方公務員法に含まれる条文です。
- 地方公務員法第56条の条文原文は「職員は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもつて不利益…」で始まります。
- 地方公務員法第56条は第九節 職員団体に置かれています。
- 地方公務員法の公布日は昭和25年12月13日です。
- 地方公務員法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 地方公務員法第56条の前の条は地方公務員法第55条の2です。
- 地方公務員法第56条の次の条は地方公務員法第57条です。
- 地方公務員法第56条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第56条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000261 - 本サイト収録
地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第56条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000261/56
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点地方公務員法56条は、職員団体への加入、結成・加入の試み、正当な団体活動を理由とする不利益取扱いを禁止する。争議行為は同法37条で禁止され保護されない。
Q · 公務員が組合に入ったことを理由に異動や評価で不利に扱われたら違法?
違法です。加入を理由とする不利益扱いは56条違反です
地方公務員法56条は、職員団体の構成員であること、結成や加入をしようとしたこと、職員団体のために正当な行為をしたことを理由とする不利益な取扱いを禁止しています。ただし一般の地方公務員には労働組合法の不当労働行為救済が適用されないため(58条)、救済は人事委員会・公平委員会への審査請求、措置要求、国家賠償請求によります。争議行為は37条で禁止されており、保護の対象外です。
解説
「組合に入ったら出世に響く」。役所の休憩室でささやかれるこの噂を、地方公務員法56条ははっきり否定している。禁止されるのは、職員団体(公務員版の労働組合)の構成員であること、結成や加入をしようとしたこと、職員団体のために正当な行為をしたこと、この三つを理由とする不利益な扱いである。守られるのは加入した後だけではない。加入しようとした段階から保護が始まる点が肝心である。ただし落とし穴がある。一般の地方公務員には、労働組合法の不当労働行為救済(労働委員会への申立て)が使えない(58条)。本条はあなたを守るが、それを使う場所は人事委員会・公平委員会への審査請求、措置要求、国家賠償請求訴訟になる。さらに、ストライキなどの争議行為は37条で禁止されており、「正当な行為」には入らない。守られる線と守られない線、その境目を知っている人だけが、安心して声を上げられる。
法的な位置づけ
地方公務員法56条は、職員団体に関する不利益取扱いの禁止を定める規定である。職員団体の構成員であること、その結成または加入を試みたこと、職員団体のための正当な行為をしたことの三つを理由として、昇任・配置・給与・処分等で職員を不利益に扱うことを禁じ、憲法28条の団結権を地方公務員の人事上保障する。
手順
- 1.不利益な扱いの記録を時系列で残す 上司の発言、メール、異動内示、人事評価コメントを日付入りで保存し、組合への加入・加入検討・活動の時期と並べた時系列表を作る。加入前からの記録も保護の立証に使える
- 2.処分説明書を確認・請求する 懲戒・降任・減給などの不利益処分であれば処分説明書を確認する。交付されていなければ地方公務員法49条2項に基づき任命権者に交付を請求する(15日以内に交付義務)
- 3.人事委員会・公平委員会へ審査請求する 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に審査請求を行う。処分理由が組合活動と無関係な後付けであることを、時系列表と比較資料で示す
- 4.処分にあたらない差別には措置要求・国家賠償を検討 昇任見送りや評価上の差別など処分にあたらない扱いには、職員団体を通じた申入れ、措置要求(46条)、国家賠償請求訴訟を検討する。国家賠償は損害と加害者を知った時から3年以内
よくある質問 AI による整理
Q1地方公務員法56条とは?
職員団体の構成員であること、結成・加入しようとしたこと、正当な団体活動をしたことを理由に、職員を不利益に扱うことを禁じた規定です。
Q2職員団体と労働組合の違いは?
職員団体は地方公務員法52条に基づく公務員の団体で、労働組合法は原則適用されません。団体協約締結権がなく、争議行為も禁止されている点が民間の労働組合と異なります。
Q3公務員の組合費の給与天引きは違法?
給与は全額払いが原則ですが(地方公務員法25条2項)、条例で特に認めた場合は控除できます。条例の根拠がなければ天引きはできません。
Q4地方公務員は労働委員会に不当労働行為を申し立てできる?
一般職の地方公務員はできません。58条で労働組合法が適用除外されているためです。公営企業職員や単純労務職員は地公労法により申立てが可能です。
Q5公務員の不利益処分の審査請求はいつまで?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内、かつ処分の日の翌日から1年以内です(地方公務員法49条の3)。期限を過ぎると原則として争えません。
Q6消防職員は組合に加入できる?
できません。地方公務員法52条5項で警察職員と消防職員は職員団体の結成・加入が禁止されています。代替として消防職員委員会制度があります。
Q7公務員は組合への加入を強制される?
強制されません。地方公務員法52条3項は、職員団体に加入する自由と加入しない自由の両方を認めており、いわゆるオープンショップ制です。
Q8処分説明書はどうやって請求する?
不利益処分を受けたと思うとき、任命権者に処分説明書の交付を請求できます(49条2項)。任命権者は請求から15日以内に交付しなければなりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1組合に入ってるって上司にバレたら、査定に響きますか?
加入を理由に人事評価や昇任で差をつければ、56条違反である。なお、条例で組合費の給与天引き(チェックオフ)を認めている自治体では、給与担当の部署には加入の事実が見えている。実務のポイント:実際に争点になるのは「評価が下がったか」ではなく、「同じ仕事ぶりの非組合員と比べて低いか」である。同期の評価や昇任時期を比べられる資料を持っている人が、審査でも訴訟でも強い
Q2非常勤の会計年度任用職員でも、組合に入って大丈夫?
会計年度任用職員も一般職の地方公務員であり、職員団体に加入でき、56条の保護も受ける。実務のポイント:弱点は任期が1年であることだ。再度の任用をしないことは「処分」ではないと扱われやすく、審査請求の対象になりにくい。争うなら国家賠償請求が現実的な選択肢になる。だからこそ、加入前後の面談記録が決め手になる
Q3ストライキに参加しても、この条文で守られませんか?
守られない。争議行為は37条1項で禁止されており、56条の「正当な行為」にあたらない。参加すれば懲戒処分の対象になりうるし、37条2項により任用上の権利を主張して対抗することもできなくなる。実務のポイント:勤務時間に食い込む職場集会も、争議行為と評価されることがある。組合が集会を勤務時間外に設定することに神経を使うのは、この線を踏まないためである
間違えやすい点 AI による整理
- 「組合に入っていない人のほうが昇進で有利」という空気があっても、法律はそれを認めていない。加入の有無で昇任・昇給・配置に差をつければ56条違反である。その空気は法が許した慣行ではなく、違法の疑いがある運用にすぎない
- 「不当労働行為として労働委員会に申し立てよう」という発想自体が、一般の地方公務員にはずれている。58条で労働組合法の該当規定は適用されず、救済ルートは人事委員会・公平委員会への審査請求、措置要求、国家賠償請求などになる。一方、水道・交通など地方公営企業の職員や単純労務職員は、地方公営企業等の労働関係に関する法律により労働組合法が適用される。まず自分がどちらの区分かを確認すること
- 「正当な行為」は広く守られると思われがちだが、ストライキやサボタージュなどの争議行為は37条で全面的に禁止されている。そそのかしやあおりは61条で刑事罰の対象にもなる。本条の保護は、この禁止線の手前でしか働かない。その深刻さを知らないまま職場集会の企画に関わる人は少なくない
- 消防職員のあなたから見れば「組合に入れないのは不公平」に映る。しかし法律上、警察職員と消防職員は52条5項で職員団体の結成・加入そのものが禁止されており、本条が保護する前提がない。代わりに用意されているのは消防職員委員会の制度(消防組織法17条)である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律内容 | 地公法56条:職員団体への加入・結成の試み・正当な行為を理由とする不利益取扱いの禁止 | 地公法37条:争議行為・怠業的行為の禁止 地公法58条:労働組合法等の適用除外 |
| 職員への作用 | 職員を保護する(団結の自由の保障) | 職員の行為を制限する(違反すれば懲戒の対象) 民間向けの救済制度を職員に使わせない |
| 違反・逸脱時の帰結 | 違反の処分は審査請求・取消訴訟、事実上の差別は国家賠償請求で争う | 参加者は懲戒処分の対象、あおり等は61条で刑事罰 労働委員会への不当労働行為救済申立てができない |
| 本条との関係 | 保護の内側の線 | 「正当な行為」の外枠を画する 本条の救済ルートを限定する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の公務員は労働組合ではなく公務人員協会を組織し、協会への加入・活動を理由とする不利益取扱いが禁止される。争議行為が認められない点も日本と近い
韓国は公務員にも労働組合の設立を認め、不当労働行為制度を準用する。救済ルートの点では日本の一般職より保護が手厚い
ドイツでは団結の自由が Beamte にも保障され、これを制限する取決めは無効とされる。他方で Beamte のストライキは認められないとされる
米国連邦職員については組合員であることを理由とする差別が不当労働行為とされ、連邦労働関係機関が救済する。州・地方職員は州法によって扱いが分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 組合の説明会に顔を出した翌月、係長から「君、あっち側なの?」と言われ、希望していた部署への異動が見送られた。異動の理由が組合への参加なら56条違反の疑いがある。ただ、異動は任命権者(人事権を持つ首長など)の裁量が広い。組合が理由だと示す材料(発言のメモ、時期の一致、他の職員との比較)がなければ争いにくい
- 会計年度任用職員として図書館で働くあなたが組合に加入した直後、翌年度の再度の任用が見送られたら、どうなる? 会計年度任用職員も地方公務員法上の職員なので、本条で守られる。ただ、再度の任用を受ける権利や期待は法的に保護されにくいとする裁判例が多い。組合加入と任用見送りの因果関係をどう立証するかが勝負になり、実務上も評価が分かれる領域である
- 課長であるあなたが、組合役員をしている部下の人事評価に「協調性に欠ける」と書いて評価を下げた。本当の理由が勤務態度なら問題はない。しかし評価コメントに組合活動への言及が一行でも混じれば、それが56条違反の証拠として国家賠償請求訴訟に出される
- 組合活動を理由にしたとしか思えない減給処分の説明書が届いた。審査請求の期限は、処分を知った日の翌日から3か月。カレンダーの3か月後に、今夜のうちに赤丸をつけること
- 勤務時間中に組合のビラを庁内で配ったら上司に注意され、次は懲戒をちらつかされた。条例で定める場合を除き、給与を受けながら職員団体の活動をすることは55条の2第6項で禁じられている。「正当な行為」かどうかは、活動の中身ではなく時間・場所・方法で線が引かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 発言、メール、異動内示、評価コメントを日付入りで保存し、組合加入や活動の時期と並べた時系列表を作る2. 懲戒・降任などの不利益処分なら処分説明書を確認する(未交付なら49条2項で請求)。そのうえで人事委員会または公平委員会へ審査請求3. 処分にあたらない昇任差別や嫌がらせには、職員団体を通じた申入れ、措置要求(46条)、国家賠償請求を検討4. 同期の非組合員との評価・昇任時期の比較資料を集める
訴えられた側:1. 異動・評価・処分の理由を、勤務記録や業務成果など客観的事実で書面化する。組合への言及は一切混ぜない2. 勤務時間中の組合活動に注意するときは、55条の2第6項や職務専念義務(35条)を根拠にし、対象を活動の中身ではなく時間・場所に限る3. 組合役員への処分が、同種の事案での他職員の扱いと釣り合っているかを事前に点検する4. 審査請求に備え、判断過程の記録を整えておく
時効(請求できる期限):不利益処分への審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内。処分の日の翌日から1年を過ぎると請求できない(地方公務員法49条の3)。取消訴訟は審査請求を先に経る必要があり(51条の2)、裁決を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。処分にあたらない差別的な扱いへの国家賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年(国家賠償法4条、民法724条)
学説
通説:56条は憲法28条の団結権を地方公務員の人事について具体化した規定である。違反する処分は違法として審査請求・取消訴訟で取り消されうるが、労働組合法7条のような行政救済制度はなく、処分にあたらない差別は国家賠償で争うほかない
批判的見解:争議行為禁止・団体協約締結権の否定・不当労働行為救済の適用除外が重なる現行構造では、56条の保護は実効性に乏しいとする見解がある。ILO からも公務員の労働基本権制約について改善勧告が繰り返されている
改正沿革 AI による整理
- 昭和25年(1950年) 地方公務員法の制定時から、職員団体に関する不利益取扱いの禁止として置かれている
- 昭和40年(1965年)ILO 第87号条約批准に伴う改正 職員団体に関する章(52条以下)が大幅に改められた。本条の文言が変更されたかどうかは要確認
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:地方公務員法の制定に伴い、職員団体に関する不利益取扱いの禁止として設けられた
- 地方公務員法 第52条職員団体の定義、警察・消防の除外
- 地方公務員法 第55条の2在籍専従と勤務時間中の活動制限
- 地方公務員法 第58条労働組合法等の適用除外
- 地方公務員法 第49条の2不利益処分に対する審査請求
- 地方公務員法 第37条争議行為の禁止、正当な行為の外枠
- 国家公務員法 第108条の7国家公務員についての同旨の保護
- 労働組合法 第7条民間の不当労働行為禁止、一般職員は適用外
- 地方公営企業等の労働関係に関する法律 第4条企業職員等へ労働組合法を適用
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