民事調停法 第35条(措置違反に対する制裁)
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当事者又は参加人が正当な事由がなく第十二条(第十五条において準用する場合を含む。)の規定による措置に従わないときは、裁判所は、十万円以下の過料に処する。
この条文の基本情報
措置違反に対する制裁とは何ですか?
定義措置違反に対する制裁とは、民事調停法第35条に定められた規定で、「当事者又は参加人が正当な事由がなく第十二条(第十五条において準用する場合を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事調停法第35条(措置違反に対する制裁)は、日本の民事調停法に含まれる条文です。
- 民事調停法第35条の条文原文は「当事者又は参加人が正当な事由がなく第十二条(第十五条において準用する場合を含む。」で始まります。
- 民事調停法第35条は第三章 罰則に置かれています。
- 民事調停法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 民事調停法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事調停法第35条の前の条は民事調停法第34条です。
- 民事調停法第35条の次の条は民事調停法第36条です。
- 民事調停法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000222 - 本サイト収録
民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC1000000222/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事調停法35条は、当事者又は参加人が正当な事由なく調停前の措置(12条)に従わないとき、裁判所が十万円以下の過料に処すると定める。措置自体に執行力はない。
Q · 調停委員会の「売るな」という措置を相手が無視したら、どうなるの?
強制はできず、違反者に十万円以下の過料が科されうるだけです
民事調停法35条により、当事者又は参加人が正当な事由なく調停前の措置(12条)に従わない場合、裁判所は十万円以下の過料に処することができます。ただし措置には執行力がなく(12条2項)、違反してなされた売却や工事を当然に無効にしたり元に戻したりする効力はありません。財産の処分を確実に止めたい場合は、民事保全法上の仮処分を別途検討する必要があります。
解説
上限は十万円、効力は「命令」ではなく「お願いプラス罰金」にとどまる。民事調停の途中で、調停委員会は「その土地を売るな」「工事を止めろ」といった調停前の措置(調停がまとまる前に、話し合いの土台を壊す行為を止めさせる暫定的な指示)を出せる(12条1項)。ただし、この措置には執行力がない(12条2項)。執行力とは、裁判所の力で強制的に実現させる効力のことだ。相手が従わなかったときに用意されている制裁が、本条の十万円以下の過料だけである。過料は刑罰ではなく、前科もつかない。損得だけを計算する相手なら、十万円を払ってでもマンションを売り抜けたほうが得だと考えるかもしれない。だからこそ、あなたが調停を申し立てた側なら、財産を本当に凍結したいときは本条を当てにせず、民事保全法の仮処分を並行して検討する。逆に措置を受けた側なら、「正当な事由」があれば過料を免れられる。それを裏付ける記録を、措置を受け取った日から残し始めることになる。
法的な位置づけ
民事調停法35条は、調停前の措置違反に対する過料を定める規定である。当事者又は参加人が、正当な事由なく、調停委員会又は調停を行う裁判官が12条に基づき命じた現状変更・物の処分の禁止等の措置に従わないとき、裁判所は十万円以下の過料に処する。過料は刑罰ではなく秩序罰であり、措置に執行力を付与するものではない。
よくある質問 AI による整理
Q1調停前の措置とは何ですか?
調停成立までの間、現状変更や財産処分など調停の土台を壊す行為を控えるよう、調停委員会等が命じる暫定的な措置です(民事調停法12条)。
Q2調停前の措置に違反するとどうなる?
正当な事由がなければ、裁判所から十万円以下の過料に処されることがあります(民事調停法35条)。ただし違反行為そのものを強制的に止める効力はありません。
Q3民事調停の過料はいくら?
調停前の措置違反は十万円以下(35条)、呼出しを受けた当事者の正当な事由のない不出頭は五万円以下(34条)です。
Q4調停前の措置に強制力はある?
ありません。民事調停法12条2項は措置に執行力がないと明記しています。強制力が必要なら民事保全法の仮処分を検討します。
Q5過料の決定に不服がある場合どうする?
過料の裁判に対しては即時抗告ができます。期間は告知を受けた日から2週間以内とされているため、正当な事由を示す資料を早めにそろえます。
Q6調停前の措置の正当な事由とは?
建物の倒壊防止の応急修繕など、措置に従えない合理的な理由がある場合です。事前に調停委員会へ相談した記録が判断材料になります。
Q7措置違反で売られた不動産は取り戻せる?
本条の過料では取り戻せません。売買の効力を争うには、詐害行為取消権など民法上の手段を別途検討する必要があります。
Q8家族が措置に違反した場合も過料になる?
本条の対象は当事者又は参加人に限られます。ただし当事者が家族を使って違反させた場合は、当事者自身の違反と評価されうる点に注意が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が措置を無視して土地を売っちゃったんですけど、その売買って取り消せないんですか?
本条だけでは取り消せない。措置には執行力がなく(民事調停法12条2項)、違反した当事者に十万円以下の過料が科されうるにとどまる。売買の効力を争うには、別途、詐害行為取消権など民法上の手段を検討することになる。実務のポイント:調停委員会の措置は、強制力より「この当事者は約束を破った」という記録を残す効果のほうが大きい。処分の危険が本当に高い案件では、最初から仮処分を並走させるのが定石だ
Q2過料って払ったら前科になりますか?
ならない。本条の過料は刑罰ではなく、手続の秩序を守るための秩序罰である。刑事手続も経ず、犯罪歴として記録されることもない。実務のポイント:前科がつかないからといって軽く見るのは危険だ。過料の決定は事件記録に綴られ、調停に代わる決定(同法17条)や、その後の訴訟で裁判官が目にする可能性がある
Q3家が壊れそうで修理したいんですが、「現状変更するな」と言われてます。どうすれば?
本条は「正当な事由」がある違反を過料の対象から外している。建物の倒壊防止などやむを得ない修繕は、正当な事由と評価される余地がある。ただ、自分で判断して先に動くのは危うい。実務のポイント:工事の前に調停委員会へ書面で相談し、業者の見積書と損傷部分の写真を添えておく。事前に相談した記録が残っていれば、後で「無断で現状を変えた」と言われても反論しやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「調停委員会が命令を出したのだから、相手はもう財産を動かせない」と考えるのは誤りである。措置には執行力がなく(12条2項)、相手が措置に違反して第三者に売却しても、その売買が当然に無効になるわけではない。本条の過料は違反者への事後の制裁であって、取引を巻き戻す力はない
- 過料の上限が十万円だと知って安心する人がいる。だが本当に払う代償は金額ではない。措置違反の事実が調停の記録に残ると、調停委員会が「この当事者は合意を守らない」と見ることになり、その後の和解条件の交渉で不利に働く。十万円は入口の値札にすぎない
- 「措置を受けたのは自分ではなく家族だから関係ない」という発想は半分正しい。12条の措置は相手方以外の「事件の関係人」にも出せるが、本条で過料を科されるのは「当事者又は参加人」に限られる。ただし、当事者が家族を使って違反させれば、当事者自身の違反と評価されうる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制裁の対象 | 民事調停法35条:調停前の措置(12条)に従わない当事者又は参加人 | 民事調停法34条:呼出しを受けて正当な事由なく出頭しない事件の関係人 民事保全法23条:仮処分命令(債務者に対する執行が可能) |
| 制裁・効力の内容 | 十万円以下の過料(秩序罰) | 五万円以下の過料(秩序罰) 執行力あり、保全執行により強制実現できる |
| 違反行為を止める力 | なし(12条2項で措置の執行力を否定) | なし(出頭の強制はできない) あり(処分禁止の登記等で第三者への対抗も図れる) |
| 免責の余地 | 正当な事由があれば過料の対象外 | 正当な事由があれば過料の対象外 保全異議・保全取消しで争う |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾の民事訴訟法上の調解には、日本の調停前の措置に直接相当する制度・違反制裁規定は見当たらず、罰鍰は調解期日の不到場に対するものが中心である
韓国の民事調停法も調停前の処分制度を置き、違反に過料(과태료)で対応する構造で、日本法と類似する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 隣地との境界をめぐる調停の最中、相手が境界ぎりぎりにブロック塀の工事を始めた。調停委員会は「工事の続行を差し控えること」という措置を出したが、翌週にはコンクリートが流し込まれていた。相手に科されうるのは十万円以下の過料だけで、塀そのものを壊させる効力は本条にはない
- 共有名義の実家について遺産とは別に共有物の整理を調停で話し合っていたところ、相手が持分を不動産業者に売ろうとしているという噂が入った。売買契約まであと十日。措置を申し立てるだけでは、売却を止める強制力が足りない
- もし、あなたが措置を受けた側で、「現状を変更するな」と命じられた倉庫の屋根が台風で崩れかけていたらどうなる? 修繕は現状変更にあたるが、建物の安全を守るための応急処置なら「正当な事由」と評価される余地がある。写真と業者の見積書がその根拠になる
- 措置に違反して過料の決定を受けた。思ったより安い。だがその違反の事実は調停委員の心証に残り、調停に代わる決定(17条)の内容や、調停不成立後の訴訟での信用性評価に影響しうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の措置違反を見つけたら、日時入りの写真・動画・登記事項証明書などで証拠を残す2. 速やかに書面で調停委員会へ報告し、本条による過料の発動を促す3. 財産の処分や現状変更が取り返しのつかない段階に近いなら、措置に頼り続けず、民事保全法の仮処分を弁護士と検討する4. 違反の経緯は、調停不成立後の訴訟でも相手の信用性を争う材料として保管しておく
訴えられた側:1. 措置の文言を正確に確認し、禁止されている行為の範囲を把握する。不明なら調停委員会に照会する2. 安全確保のための応急修繕など、やむを得ない行為が必要なら事前に調停委員会へ相談し、その記録を残す3. 過料の裁判を受けた場合は、「正当な事由」を示す資料を添えて即時抗告を検討する4. 違反が調停全体の心証を悪くすることを踏まえ、和解条件の見直しを早めに提案する
時効(請求できる期限):特定の時効はない。措置は調停事件が係属している間だけ効力を持つ。過料の裁判に対する即時抗告は、告知を受けた日から2週間以内(非訟事件手続法67条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の過料は秩序罰であり、措置に執行力を与えない12条2項の設計と一体で理解される。調停の任意性を維持しつつ最低限の抑止力を確保する趣旨であり、強制力が必要な場面は民事保全法の仮処分に委ねられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:民事調停法の制定に伴い、調停前の措置違反に対する過料規定として設けられた。
- 民事調停法 第12条調停前の措置の根拠、執行力否定
- 民事調停法 第15条裁判官単独調停への12条準用
- 民事調停法 第34条不出頭に対する五万円以下の過料
- 民事調停法 第17条調停に代わる決定、違反の心証が影響
- 家事事件手続法 第266条家事調停前の処分と違反時の過料
- 民事保全法 第23条執行力ある仮処分、措置の代替手段
- 非訟事件手続法 第120条過料の裁判の手続(現行効力を要確認)
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