民事調停法 第12条(調停前の措置)
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- 調停委員会は、調停のために特に必要があると認めるときは、当事者の申立てにより、調停前の措置として、相手方その他の事件の関係人に対して、現状の変更又は物の処分の禁止その他調停の内容たる事項の実現を不能にし又は著しく困難ならしめる行為の排除を命ずることができる。
- 2.前項の措置は、執行力を有しない。
この条文の基本情報
調停前の措置とは何ですか?
定義調停前の措置とは、民事調停法第12条に定められた規定で、「調停委員会は、調停のために特に必要があると認めるときは、当事者の申立てにより、調停前の措置として、相手方その他の事件の関係人に対して、現状の変更又は物の処分の禁…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事調停法第12条(調停前の措置)は、日本の民事調停法に含まれる条文です。
- 民事調停法第12条の条文原文は「調停委員会は、調停のために特に必要があると認めるときは、当事者の申立てにより、調停前の措置として、相手方その他の事件の関係人に対して、現状の変更又は物の処分の禁…」で始まります。
- 民事調停法第12条は第一節 通則に置かれています。
- 民事調停法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 民事調停法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事調停法第12条の前の条は民事調停法第11条です。
- 民事調停法第12条の次の条は民事調停法第12条の2です。
- 民事調停法第12条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第12条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000222 - 本サイト収録
民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)第12条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC1000000222/12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事調停法12条は、調停委員会が当事者の申立てにより、相手方等に現状変更や物の処分の禁止などを命じる「調停前の措置」を定める。ただし執行力はない。
Q · 調停中に相手が財産を売りそうなとき、調停委員会に止めてもらえる?
命令は出せるが執行力はなく、違反しても売買は原則有効
民事調停法12条1項により、当事者が申し立てれば、調停委員会は相手方などに現状変更や物の処分の禁止を命じることができます。ただし同条2項により、この措置に執行力はありません。命令に反した売却や登記は原則として有効のまま残り、違反者には10万円以下の過料(同法35条)が科されるにとどまります。財産を確実に凍結したい場合は、民事保全法の仮差押え(20条)や処分禁止の仮処分(23条)を並行して申し立てる必要があります。
解説
調停の席で相手が「話し合いで穏便に」と頭を下げた翌週、争っている土地の登記が第三者に移っていた。こうした事態を止めるために用意されたのが、本条の「調停前の措置」である。あなたが申し立てれば、調停委員会は相手方やその他の関係人に命令を出せる。現状を変えるな、物を処分するな、調停で決める内容の実現を不可能や著しく困難にする行為をやめろ、という命令だ。ところが第2項は冷たく告げる。この措置には執行力(命令の内容を国の力で強制的に実現させる効力)がない。相手が無視して売っても、売買は原則として有効のまま残る。相手が受けるのは10万円以下の過料(民事調停法35条)だけだ。財産を本当に凍結したいなら、民事保全法の仮差押えや仮処分を別に申し立てる必要がある。措置は誠実な相手への念押しで、保全は不誠実な相手にかける鍵である。この二つを区別できる人だけが、調停中に財産を消されずに済む。
法的な位置づけ
調停前の措置とは、民事調停法12条に基づき、調停委員会が調停のため特に必要と認めるときに、当事者の申立てにより、相手方その他の事件の関係人に対して現状の変更、物の処分その他調停内容の実現を不能または著しく困難にする行為の排除を命じる処分をいう。執行力を有せず、違反に対しては同法35条の過料が科される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.処分・変更の兆候を証拠化する 相手方が財産を処分・変更しそうな兆候(不動産サイトの売出し広告、工事の着手、資材の搬出など)をスクリーンショットや写真、日付入りメモで保存する
- 2.禁止してほしい行為を特定する 売却、建築工事、資材の搬出など、何を禁止してほしいのかを対象物と行為の両面から具体的に整理する。範囲が曖昧だと命令の実効性が下がる
- 3.調停委員会へ措置を書面で申し立てる 調停が係属する裁判所に、調停前の措置の申立書を提出する。調停申立てと同日に出せば、初回期日前に命令が出る可能性が高まる
- 4.財産価値が大きければ民事保全を並行する 相手方の誠実さが期待できない場合や財産価値が大きい場合は、仮差押え(民事保全法20条)や処分禁止の仮処分(同法23条)を別途申し立てる。担保金の額を見積もって判断する
- 5.違反があれば調停委員会に報告する 措置命令に違反された場合、その事実を調停委員会に報告し、過料(民事調停法35条)の発動を求める。違反事実は保全の必要性を説明する材料にもなる
よくある質問 AI による整理
Q1調停前の措置とは何ですか?
民事調停法12条に基づき、調停委員会が相手方などに現状変更や財産処分の禁止を命じる処分です。当事者の申立てが必要で、執行力はありません。
Q2調停前の措置の申立て方法は?
調停が係属している裁判所に、禁止してほしい行為と必要性を具体的に記載した書面で申し立てるのが一般的です。調停申立てと同時に出すこともできます。
Q3調停前の措置に違反したらどうなる?
正当な事由なく従わない者には10万円以下の過料が科されます(民事調停法35条)。刑罰ではないため前科はつかず、違反行為自体も原則として有効です。
Q4調停前の措置 いつまで申し立てできる?
調停が続いている間、つまり申立てから調停の成立・不成立・取下げまでです。調停が終了した後は申し立てられません。
Q5調停前の措置で登記を止められる?
止められません。措置には執行力がなく登記簿にも記録されないため、第三者への移転登記は阻止できません。登記を止めるには処分禁止の仮処分が必要です。
Q6調停前の措置に担保は必要?
民事保全法の仮差押え・仮処分と異なり、調停前の措置は原則として担保を立てずに申し立てられます。その分、強制力もありません。
Q7調停前の措置 違法な命令に不服申立てできる?
命じられた側は、正当な事由や事情変更を調停委員会に説明し、措置の変更や取消しを求めることが考えられます。具体的な不服手段は弁護士に確認してください。
Q8民事調停中に仮処分も申し立てできる?
できます。調停と民事保全は二者択一ではなく併用可能です。調停で話し合いを進めつつ、仮処分で財産を固定するのが実務上の定石とされます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1措置を無視して相手が土地を売っちゃったら、その売買って取り消せるんですか?
原則として取り消せません。措置には執行力がなく(12条2項)、売買は有効なまま残ります。相手に科されるのは10万円以下の過料(35条)だけです。第三者への処分を確実に止められるのは、処分禁止の仮処分(民事保全法23条)で、登記簿に記録されます。実務のポイント:措置は原則として担保(保証金)なしで申し立てられますが、保全は担保が必要です。費用を惜しんで措置だけで済ませた結果、財産を失う人が少なくありません
Q2調停委員会から「現状を変えるな」って言われたんだけど、従わないと前科がつくの?
つきません。制裁は過料(10万円以下、民事調停法35条)で、刑罰ではなく行政上の秩序罰(ルール違反に対する金銭の制裁)です。正当な事由があれば過料も科されません。実務のポイント:怖いのは過料よりも、違反の事実が記録に残ることです。後で訴訟になったとき「調停中に命令を無視した当事者」という印象が裁判官に伝わり、和解の交渉でも不利に働きます
間違えやすい点 AI による整理
- 「調停委員会が処分禁止を命じたのだから、相手はもう売れない」と思い込むのが最も危険である。12条2項は執行力を明確に否定している。命令に反してされた売却や登記は原則として有効で、あなたが取り戻せるわけではない。相手に科されるのは過料だけである
- 措置に過料の制裁があることは知っていても、その上限が10万円(民事調停法35条)にすぎないことまで把握している人は少ない。数千万円の不動産を動かしたい相手にとって、10万円は通行料のようなものだ。財産の価値が大きい事件ほど、措置だけでは歯止めにならない
- 「調停と仮処分のどちらを選ぶべきか」という問いの立て方自体がずれている。両者は二者択一ではなく、併用できる。調停で話し合いを進めながら、裁判所に保全を申し立てて財産を固定する。実務では、この二本立てが財産保全の定石とされる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 根拠と手続の場 | 民事調停法12条:民事調停中に調停委員会が命じる | 民事保全法23条:裁判所が保全命令として発する仮処分 家事事件手続法266条:家事調停中の調停前の処分 |
| 執行力 | なし(12条2項) | あり(処分禁止の登記等により第三者にも対抗可能) なし |
| 違反時の効果 | 10万円以下の過料(35条)、違反行為は原則有効 | 仮処分に反する処分は申立人に対抗できない 10万円以下の過料 |
| 担保の要否 | 原則不要 | 原則として担保を立てる必要がある 原則不要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の民事調解手続には日本の調停前の措置に直接対応する規定は見当たりにくく、財産の現状固定は主に假處分で行う構造と整理できる
韓国も民事調停と保全処分(가처분)を別手続として持ち、確実な現状固定は保全処分による点で日本と類似する
ドイツでは現状固定は裁判所の仮命令(einstweilige Verfügung)で行い、執行力を伴う
米国では preliminary injunction が現状維持の典型手段で、裁判所侮辱(contempt)による強制が伴う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、相続した実家の分け方を兄と調停で争っている最中に、兄が実家を勝手に売りに出していると不動産サイトで知ったら、どうなる? 調停委員会に措置を申し立てれば「処分するな」という命令は出してもらえる。しかし買主が現れて登記まで済めば、その命令では売買を止められない。登記を止める力があるのは、処分禁止の仮処分(民事保全法23条)だけである
- 隣家との境界をめぐる調停中、隣人が問題の部分にブロック塀を建て始めた。工事が完成すると、撤去を求める交渉はぐっと重くなる。調停委員会に工事中止の措置を求めるなら今週中に動くべきで、それでも止まらなければ、工事禁止の仮処分を並行して検討する
- あなたは賃貸物件のオーナーで、賃料増額調停の最中に建物の改装工事を始めようとしたところ、調停委員会から現状変更を禁じる措置を命じられた。正当な事由なく工事を進めれば、10万円以下の過料の対象になる。
- 工事代金の調停で、元請けが倉庫にある資材を転売しようとしているらしい。次の調停期日は3週間後で、それまで待っていたら資材は消えている。期日を待たずに書面で措置を申し立て、同時に仮差押えの要否を弁護士に相談する。時間との勝負になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手が財産を処分・変更しそうな具体的な兆候(売出し広告、工事の着手、登記の動き)を、スクリーンショットや写真で保存する2. 調停委員会に措置を書面で申し立てる。何を禁じてほしいのか(売却、建築、資材の搬出など)を具体的に書く3. 財産の価値が大きい場合や相手に誠実さが期待できない場合は、民事保全法の仮差押え(20条)や仮処分(23条)を並行して申し立てる。担保金の額を見積もって比較する4. 命令に違反されたら、違反の事実を調停委員会に報告し、過料の発動を求める
訴えられた側:1. 措置命令を受け取ったら、禁止された行為の範囲を正確に確認する。対象外の行為まで止める必要はない2. 工事の継続や事業上の売却にやむを得ない理由があるなら、正当な事由として事前に調停委員会へ説明し、措置の変更を求める3. 無視して強行すると10万円以下の過料(民事調停法35条)の対象になる。さらに調停委員会の心証が悪化し、相手が保全処分に踏み切るきっかけにもなる4. 事件の争点そのものに反論があるなら、措置と切り離して調停の場で主張する
時効(請求できる期限):特定の時効はない。措置を申し立てられるのは調停が続いている間(申立てから成立・不成立・取下げまで)に限られる。調停が不成立になった後に訴えを起こす場合は、不成立の通知を受けた日から2週間以内に提起すれば、調停を申し立てた時に訴えを起こしたものとみなされる(民事調停法19条)
学説
通説:調停前の措置は調停の実効性を確保するための付随的処分であり、執行力が否定されているため、違反行為の私法上の効力には影響しない。実効的な現状固定は担保と審理を伴う民事保全手続に委ねられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:民事調停法の制定に伴い、調停委員会による調停前の措置と、その執行力の否定を規定
- 民事調停法 第35条措置に従わない者への10万円以下の過料
- 民事調停法 第15条裁判官だけで調停を行う場合への準用
- 民事調停法 第16条調停成立が裁判上の和解と同じ効力を持つこと
- 民事調停法 第19条調停不成立後2週間以内の訴え提起の効果
- 民事保全法 第23条執行力を伴う仮処分による実効的な現状固定
- 民事保全法 第20条金銭債権保全のための仮差押え
- 家事事件手続法 第266条家事調停における調停前の処分(同じ構造)
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