航空法 第143条(耐空証明を受けない航空機の使用等の罪)
クイックジャンプ
- 航空機の使用者が次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 一第十一条第一項又は第二項の規定に違反して、耐空証明を受けないで、又は耐空証明において指定された用途若しくは運用限界の範囲を超えて、当該航空機を航空の用に供したとき。
- 二第十七条第一項の規定に違反して、同項又は同条第二項の規定による検査に合格しないで、当該航空機を航空の用に供したとき。
- 三第十九条第一項の規定に違反して、第二十条第一項第四号の能力について同項の認定を受けた者が第十九条第一項の整備又は改造をせず、又は同項の確認をしないで、当該航空機を航空の用に供したとき。
- 四第十九条第二項の規定に違反して、同項の確認をせず、かつ、これを受けないで、当該航空機を航空の用に供したとき。
この条文の基本情報
耐空証明を受けない航空機の使用等の罪とは何ですか?
定義耐空証明を受けない航空機の使用等の罪とは、航空法第143条に定められた規定で、「航空機の使用者が次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第143条(耐空証明を受けない航空機の使用等の罪)は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第143条の条文原文は「航空機の使用者が次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」で始まります。
- 航空法第143条は第十三章に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第143条の前の条は航空法第138〜142条です。
- 航空法第143条の次の条は航空法第143条の2です。
- 航空法第143条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第143条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第143条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/143
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法143条は、耐空証明・検査・整備の確認を欠いたまま航空機を航空の用に供した違反行為者を、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又は併科すると定める。
Q · 整備確認のサインが抜けたまま飛ばしても、無事に着陸すれば問題ないの?
いいえ、離陸した時点で処罰対象になりえます
航空法143条は、耐空証明を受けていない、用途や運用限界を超えた、第17条の検査に合格していない、第19条の整備・確認を欠いた、という状態で航空機を航空の用に供した行為そのものを罰します。事故が起きたかどうかは要件ではありません。法定刑は三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金、又はその併科で、処罰されるのは「その違反行為をした者」です。
解説
整備記録の一欄が空いたまま、プロペラ機が離陸する。それだけで刑事事件になりうる。航空法143条が罰するのは墜落や事故ではない。飛ばす前の「紙と手続」が欠けていた、という事実そのものである。対象は四つ。有効な耐空証明(国が機体の安全性を認めた証明書)を受けていないか、証明で指定された用途や運用限界を超えて飛ばしたこと。第17条の検査に合格しないまま飛ばしたこと。第19条第1項が求める認定事業場での整備・改造や確認をしないまま飛ばしたこと。第19条第2項の確認をせず、受けもしないまま飛ばしたこと。法定刑は三年以下の拘禁刑か百万円以下の罰金、または両方である。見落とされやすいのは処罰される人だ。条文の主語は「航空機の使用者」だが、実際に罰せられるのは「その違反行為をした者」である。社長でもパイロットでもなく、出発を決めた運航担当者や整備の現場責任者が被告人席に座ることがある。機体が無事に着陸していても、犯罪は離陸の時点ですでに成立している。
法的な位置づけ
航空法143条は、航空機の使用者が耐空証明を受けず又はその用途・運用限界を超えて、第17条の検査に合格せず、又は第19条第1項・第2項の整備・改造・確認を欠いて航空機を航空の用に供した場合に、その違反行為をした者を三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又は併科する行政刑罰規定である。
よくある質問 AI による整理
Q1耐空証明とは何ですか?
航空機の強度・構造・性能が安全基準に適合していることを国が証明するものです。証明では用途と運用限界が指定され、これがない機体は原則として飛ばせません。
Q2耐空証明の有効期間はいつまで?
原則として1年とされています(航空法14条)。期限が切れた状態で飛ばすと、本条第1号の違反になりうるため、期限管理が重要です。
Q3航空法143条の罰則はどれくらい?
三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金、又はその両方の併科です。2025年6月1日の施行で「懲役」から「拘禁刑」に改められました。
Q4運用限界とは何ですか?
耐空証明で指定される最大離陸重量、速度、高度などの使用条件です。証明書があっても、この範囲を超えて飛べば本条第1号の違反になりえます。
Q5認定事業場とは何ですか?
航空機の整備や改造について、国土交通大臣から能力の認定を受けた事業場です(航空法20条)。第19条第1項の整備・確認の前提になります。
Q6耐空証明なしで飛べる例外はある?
試験飛行などで国土交通大臣の許可を受けた場合は、航空法11条第1項ただし書により例外的に飛行できます。許可条件を外れれば違反になりえます。
Q7航空法違反で罰金になったら前科はつく?
罰金刑も刑事罰なので、確定すれば前科になります。行政処分とは別に刑事手続が進む点に注意が必要です。
Q8整備後の確認は誰がする?
航空法19条に基づき、認定事業場や所定の資格を持つ整備士などが確認を行います。確認を欠いたまま飛ばすと本条第3号・第4号の対象になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1耐空証明が切れてたのに気付かずに飛んじゃいました。わざとじゃなくても罰せられるんですか?
本条は故意犯であり、刑法38条1項により、証明が失効しているという事実の認識がなければ原則として処罰されない。ただし「失効を知らなかった」と主張しても、有効期間の管理は使用者の基本的な責任であり、未必の故意が認定される余地がある。実務のポイント:捜査では本人の弁解よりも、期限管理の台帳や社内システムの警告履歴が重視される。警告を無視した記録が残っていれば、知らなかったという主張は通りにくい
Q2会社の指示で飛ばしたのに、なんで現場の自分が罰せられるんですか?
航空法143条は「航空機の使用者」が違反状態にある場合に「その違反行為をした者」を罰する構造だからである。指示した上司も共犯として問われうるが、出発を実際に決めた者が免れるわけではない。実務のポイント:航空法には法人にも罰金を科す両罰規定があるが、それは個人の責任を肩代わりする仕組みではない。会社と個人が並んで処罰されうる(両罰規定の条番号は最新の条文をご確認ください)
Q3ドローンを登録なしで飛ばしたら、この条文で捕まりますか?
本条の対象ではない。航空法上、ドローンなどは「無人航空機」として航空機とは別に定義され、登録や機体認証、飛行許可の違反には別の罰則が用意されている。実務のポイント:ただし人が乗れる大型の機体や、空飛ぶクルマのような新しい機体は「航空機」に分類されうる。分類を誤ると、より重い本条の世界に入ることになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「事故がなければ問題ない」と考える人は多い。しかし本条は危険が現実になったかどうかを問わず、証明や検査を欠いたまま「航空の用に供した」行為そのものを罰する。結果を見る刑法とは発想が逆であり、無事故の運航記録は防御の材料にならない
- 問いの立て方が誤っているケースがある。「会社が罰せられるのか、自分は関係ないのか」と考えるかもしれないが、条文は使用者の違反状態を前提に「違反行為をした者」を処罰する。法人の看板の陰に隠れられるとは限らず、出発を決めた現場担当者個人が真っ先に問われうる
- 耐空証明があることは知っていても、その中身まで意識している人は少ない。証明には用途(旅客輸送、農薬散布など)と運用限界(重量、速度、高度など)が指定されている。証明書が機内にあっても、指定の外側で飛べば第1号違反になる。手元の証明書は白紙委任状ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規範の性質 | 航空法143条:違反行為者への刑事罰(三年以下の拘禁刑・百万円以下の罰金) | 航空法11条:耐空証明なき航空機の使用禁止(行為規範) 航空法19条:整備・改造と確認の義務(行為規範) |
| 名あて人 | 使用者の違反状態を前提に「その違反行為をした者」 | 航空機を航空の用に供する者 航空機の使用者 |
| 本条との関係 | 第1号〜第4号で各義務違反を処罰につなぐ | 第1号の前提となる禁止規定 第3号・第4号の前提となる義務規定 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も適航証明書(耐空証明に相当)を欠く航空器の飛航を禁止し、違反に罰則を設ける。条番号は最新条文を要確認
韓国は航空安全法で감항증명(耐空証明)を規律し、証明なき運航に罰則を置く。日本と同じくシカゴ条約準拠の構造
米国は有効な耐空証明のない民間航空機の運航を連邦法で禁止し、FAA による民事制裁が中心。刑事罰は限定的な場面に置かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自家用の小型機を持つオーナーパイロットが、耐空証明の有効期間切れに気付かないまま週末の遊覧飛行に出た。天気は良く、着陸も問題なかった。だが格納庫に戻った時点で、本条第1号の構成要件はもう満たされている
- もし整備士の確認署名が抜けた機体を、運航スケジュールを守るために「後でサインをもらえばいい」と送り出したら、どうなる? 送り出しを判断したあなた自身が「違反行為をした者」として捜査対象になりうる。会社の指示だったという事情は、量刑で考慮される余地があるにとどまる
- あなたは地方の小さな運航会社で整備部門を任されている。国の監査は来週。過去半年の改造記録に、認定事業場の確認を経ていない作業が一件あると気付いた。監査が来る前に自分から報告して是正するか、黙って見つかるのを待つか。残された時間は数日しかない
- 耐空証明で「運用限界」として最大離陸重量が決められている機体に、取材機材を積み込んで撮影飛行をした。カメラマンを一人追加しただけのつもりが、重量超過で証明の範囲外の運航になった
- 中古の外国製小型機を輸入し、日本で飛ばすつもりで買った。外国の証明書はそろっているが、日本の耐空証明はまだ受けていない。試運転のつもりで一周飛んだら、それが違反になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 証明や検査を欠いた運航の疑いがある機体に乗った、または損害を受けた場合、搭乗日時、便名、機体登録記号を記録する2. 国土交通省航空局(地方航空局)へ情報提供する。刑事告発とは別に、行政としての立入検査や事業停止につながりうる3. 損害がある場合の賠償は、民法709条や運送契約に基づき別途請求する。本条違反の有無は過失を裏付ける材料になる
訴えられた側:1. 運航記録、整備記録、耐空証明書、確認の記録を改ざんせず保全する。後から書き足すと証拠隠滅の疑いを招く2. 違反の時点で証明が本当に失効していたか、用途や運用限界の範囲を本当に超えていたかを、書類の日付と数値で精査する3. 出発の判断が誰の権限と指示によるものだったかを整理する。「違反行為をした者」が誰かは争点になりうる4. 航空法と刑事事件の双方に通じた弁護士に早期に相談し、自主的な是正と報告の記録を整える
時効(請求できる期限):公訴時効は3年(長期5年未満の拘禁刑にあたる罪、刑事訴訟法250条2項6号)。違反運航の終了時から起算する(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等改正に伴う関係法律の整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:航空法制定。耐空証明制度とその違反に対する罰則が整備された(制定時の条文構成は原典を要確認)
- 2.令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年)施行 改正:刑法等の一部改正に伴う関係法律の整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める