航空法 第143条の2(耐空検査員の罪)
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- 耐空検査員が、次の各号のいずれかに該当するときは、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- 一第十条第四項の基準に適合しない滑空機について、耐空証明を行つたとき。
- 二第十条第四項の基準に適合しない滑空機について、第十七条第二項の検査に合格させたとき。
この条文の基本情報
耐空検査員の罪とは何ですか?
定義耐空検査員の罪とは、航空法第143条の2に定められた規定で、「耐空検査員が、次の各号のいずれかに該当するときは、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第143条の2(耐空検査員の罪)は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第143条の2の条文原文は「耐空検査員が、次の各号のいずれかに該当するときは、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」で始まります。
- 航空法第143条の2は第十三章に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第143条の2の前の条は航空法第143条です。
- 航空法第143条の2の次の条は航空法第144条です。
- 航空法第143条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第143条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第143条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/143_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法143条の2は、基準に適合しない滑空機に耐空証明を出したり検査に合格させたりした耐空検査員に、3年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその併科を科す。
Q · グライダーの検査員が基準外の機体を合格させたら、事故がなくても罪になるの?
なる。事故がなくても検査員本人が刑事罰の対象
航空法143条の2により、耐空検査員が10条4項の基準に適合しない滑空機について耐空証明を行ったり、17条2項の修理・改造後の検査に合格させたりした場合、三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金、又はその併科となります。墜落や負傷は成立要件ではありません。事故が起きた場合は、業務上過失致死傷(刑法211条)など別の罪が問題になりえます。
解説
グライダーの安全を最後に確かめる関門は、国の役所の窓口とは限らない。滑空機(エンジンを持たず、上昇気流に乗って飛ぶ航空機)の耐空証明(その機体が安全に飛べると公的に認める証明)は、国土交通大臣が認めた民間の「耐空検査員」が担うことがある。本条は、その耐空検査員が基準(航空法10条4項)を満たさない機体に耐空証明を出したり、17条2項の検査(修理や改造のあとの検査)に合格させたりした場合に、三年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金を科し、両方を同時に科すこともできると定めている。押さえるべき点は二つある。一つ目は、罰せられるのが機体の持ち主ではなく、ハンコを押した検査員本人だという点だ。二つ目は、事故が起きていなくても処罰されうるという点である。グライダークラブの会員として機体に乗る人も、検査員の資格を持つ人も、その一枚の証明書が「誰の責任で出たのか」を知っていれば、検査の場での態度が変わる
法的な位置づけ
航空法第143条の2は、国土交通大臣が認めた耐空検査員を名宛人とする罰則規定である。10条4項の基準に適合しない滑空機に対する耐空証明の付与、および17条2項に基づく修理・改造後の検査の合格判定を構成要件とし、法定刑は三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金又はその併科である。
よくある質問 AI による整理
Q1耐空検査員とは何ですか?
滑空機の耐空証明や修理・改造後の検査を、国に代わって担う民間の検査員です。証明に関する判断には、本条により個人として刑事責任が伴います。
Q2航空法143条の2の罰則はどのくらい重い?
三年以下の拘禁刑または百万円以下の罰金です。両方を同時に科す併科も可能で、罰金だけで済むとは限りません。
Q3滑空機とはどんな航空機ですか?
グライダーのように、主に上昇気流などを利用して飛ぶ航空機です。航空法上、耐空証明の対象となる航空機の一種として扱われます。
Q4耐空証明のないグライダーを飛ばすと違法?
航空法11条は、耐空証明のない航空機を航空の用に供することを原則として禁じています。違反には同法の別の罰則が適用されえます。
Q517条2項の検査とは何の検査ですか?
耐空証明を受けた航空機に修理や改造を加えたあとに行う検査です。修理・改造後も基準に適合しているかを確認します。
Q6耐空検査員の罪の時効はいつまで?
法定刑の長期が3年の拘禁刑なので、公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は証明や合格を出した時点です。
Q7罰金刑だけでも前科になりますか?
なります。罰金も刑罰であり、有罪判決が確定すれば前科となります。資格や今後の検査業務への影響も考える必要があります。
Q8グライダー事故が起きたら本条以外にどんな罪がある?
死傷者が出た場合は業務上過失致死傷(刑法211条)が問題になりえます。本条の罪と並んで成立する可能性があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うっかり見落として合格させちゃった場合も、この罪になるんですか?
本条には過失犯を処罰するという規定がないため、刑法38条1項の原則により、基本的には基準に適合しないことを認識していた故意の場合が対象と解される。ただし見落としによって事故が起きれば業務上過失致死傷(刑法211条)が問題になりうる。実務のポイント:故意かどうかは本人の言い分ではなく検査記録の中身で判断される。チェック項目を飛ばした痕跡があると「認識していた」と推認されやすい
Q2検査を頼んだクラブ側も罰せられますか?
本条が処罰するのは耐空検査員だけである。ただし、基準外と知りながら検査員に働きかけた依頼者は、刑法61条の教唆や62条の幇助として共犯に問われる余地がある。実務のポイント:「大会に間に合わせて」というメッセージ一通が、働きかけの証拠として残ることがある。依頼する側こそ、言葉選びが重要になる
Q3ハンググライダーやパラグライダーにも関係ありますか?
本条が対象とするのは、航空法上の滑空機として耐空証明を受ける機体である。ハンググライダーやパラグライダーは、実務上は耐空証明の対象として扱われていないことが多く、本条が直接問題になる場面は少ない。ただし扱いには解釈の余地がある。実務のポイント:法令上の位置付けがはっきりしない機材ほど、事故の際は民事の安全配慮義務で争われやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「検査員は国の代わりに見ているだけだから、責任は最終的に国にある」と思われがちだ。実際には、基準不適合の機体を通した行為について刑事責任を負うのは検査員本人であり、本条は検査員を名指しする身分犯(特定の立場にある人だけが犯しうる罪)として組み立てられている
- 事故が起きなければ問題にならない、という感覚は前提から外れている。本条は基準に適合しない機体に証明を出した、または合格させた時点で成立する。墜落や負傷は成立要件ではなく、起きれば業務上過失致死傷など別の罪が重なってくるだけである
- クラブ会員の立場からは、検査に通った機体は安全な機体に見える。だが法律から見ると、合格は基準に適合していることの公的な確認にすぎず、その後の運用や点検の義務が消えるわけではない。この落差に気付かないと、「合格していたから」という言い訳が自分の過失を打ち消してくれると誤解する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 航空法143条の2:耐空検査員に対する罰則 | 航空法10条:耐空証明の制度と適合すべき基準 航空法17条:修理・改造に関する検査 |
| 名宛人 | 耐空検査員本人(身分犯) | 耐空証明を申請する者と証明を行う者 修理・改造を行った航空機の使用者等 |
| 違反の効果 | 三年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金、又は併科 | 基準に適合しなければ耐空証明を受けられない 検査に合格しなければ修理・改造後の機体を使用できない |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾も民用航空法に航空器の適航検定制度と罰則を置くが、民間検査員個人を名指しする刑事罰の構造が同一かは要確認
米国は FAA が民間の指定耐空代理人(DAR)に検査権限を委任する仕組みを持ち、民間委託型という点で日本の耐空検査員と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは耐空検査員で、旧知のクラブ代表から「来週の大会に間に合わせたい、翼の補修跡は前回と同じだから」と頼まれた。書類だけ見て耐空証明を出せば、あなたが本条の行為者になる。友情は、判決文の中では情状として触れられる程度にしかならない
- もし大学の航空部の機体が、改造後の検査に「合格」した翌月に空中で操縦系統の不具合を起こしたら、どうなる? 機体の管理者だけでなく、合格を出した検査員の判断過程が真っ先に調べられる
- クラブの整備担当として、検査記録の写しが手元にない機体に乗ろうとしている。シーズン開幕まであと3日だ。今のうちに耐空証明書と直近の検査記録を確認しておかないと、何かあったとき、自分の機体が基準を満たしていたことを示す材料がなくなる
- 検査員が基準外と知りながら合格させた。罰金で済むとは限らない。拘禁刑と罰金が併科されることもある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 検査済みの機体で不具合や事故に遭った場合、機体と部品をそのまま保全し、写真と動画で現状を残す2. 耐空証明書、検査記録、整備記録の写しをクラブや所有者に請求する3. 国土交通省(地方航空局)と運輸安全委員会への報告状況を確認する4. 負傷があれば、検査員と機体管理者の双方を相手方候補として、民法709条に基づく損害賠償を弁護士と検討する
訴えられた側:1. 検査当時の基準書、チェックリスト、写真、測定記録をすべて保全し、追記や修正はしない2. 基準適合と判断した根拠、適合しない点を認識していたかどうかを時系列で整理する3. 依頼者からの働きかけの記録(メール、LINE)があれば保存する4. 捜査機関や国土交通省から事情を聴かれる前に、航空法に詳しい弁護士に相談し、供述の範囲を整理する
時効(請求できる期限):本条の罪は法定刑の長期が3年の拘禁刑のため、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は耐空証明を出した時点、または検査に合格させた時点。事故による民事賠償は、損害と加害者を知った時から3年(人の生命・身体侵害は5年)、不法行為時から20年(民法724条、724条の2)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:本条は過失犯処罰の規定を欠くため、刑法38条1項の原則により、基準不適合を認識していた故意の場合が処罰対象と解される。身分のない依頼者は刑法65条を介して共犯として問題になりうる
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一部を改正する法律に伴う整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められたと考えられる。本条の新設時期とその他の改正経緯は人的検証が必要
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部改正に伴う関係法律の整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められ、令和7年(2025年)6月1日に施行された
- 航空法 第10条耐空証明と適合すべき基準の根拠
- 航空法 第11条耐空証明のない航空機の使用禁止
- 航空法 第17条修理・改造に関する検査の根拠
- 航空法 第14条耐空証明の効力停止等の行政措置(現行効力を要確認)
- 刑法 第211条事故発生時の業務上過失致死傷との関係
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