航空法 第148条の3(アルコール又は薬物の影響を受けて航空業務を行う罪)
クイックジャンプ
第七十条の規定に違反して、その航空業務に従事した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
アルコール又は薬物の影響を受けて航空業務を行う罪とは何ですか?
定義アルコール又は薬物の影響を受けて航空業務を行う罪とは、航空法第148条の3に定められた規定で、「第七十条の規定に違反して、その航空業務に従事した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第148条の3(アルコール又は薬物の影響を受けて航空業務を行う罪)は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第148条の3の条文原文は「第七十条の規定に違反して、その航空業務に従事した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 航空法第148条の3は第十三章に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第148条の3の前の条は航空法第148条の2です。
- 航空法第148条の3の次の条は航空法第149条です。
- 航空法第148条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第148条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第148条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/148_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法148条の3は、飲酒や薬品の影響で正常な運航ができないおそれがある間に航空業務に従事した者を、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
Q · パイロットがお酒の残った状態で乗務したら、事故がなくても犯罪になるの?
なる。影響が残る状態で乗務した時点で処罰対象
航空法70条は、航空機乗組員が酒精飲料や麻酔剤その他の薬品の影響で正常な運航ができないおそれがある間、航空業務を行うことを禁じています。これに違反して業務に従事すると、航空法148条の3により三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金が科されます。事故や遅延の有無は問われません。さらに刑事罰とは別に、国土交通大臣による技能証明の取消しや業務停止(同法30条)の対象にもなります。
解説
数百人の命を預かる機長が酒の影響下で操縦席に座った場合の法定刑は、三年以下の拘禁刑または五十万円以下の罰金である。自動車の酒気帯び運転(道路交通法117条の2の2)と同じ上限だ。意外に軽く見えるかもしれないが、本当の重さは刑罰の外にある。航空法70条は、航空機乗組員が酒精飲料や麻酔剤その他の薬品の影響で「正常な運航ができないおそれがある間」は航空業務を行ってはならないと定める。処罰の対象は事故を起こしたことではない。「おそれがある状態で乗務したこと」そのものである。墜落も遅延も起きていなくても、乗務した時点で犯罪は完成する。さらに国土交通大臣は技能証明の取消しや業務停止(30条)を命じることができ、航空会社は国交省から厳しい行政対応を受ける。パイロットにとっての致命傷は罰金額ではない。ライセンスとキャリアが同時に消えることだ。「ほろ酔い程度なら問題ない」という感覚は、この条文の前では通用しない
法的な位置づけ
航空法第148条の3は、航空機乗組員が酒精飲料、麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は航空業務を行ってはならないとする同法70条の禁止に違反して、航空業務に従事した行為を処罰する罰則規定である。法定刑は三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金とされる。
よくある質問 AI による整理
Q1パイロットの飲酒乗務の罰則は?
航空法148条の3により、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金です。別途、技能証明の取消しや業務停止の行政処分もあり得ます。
Q2飲酒乗務は事故がなくても罪になる?
なります。本罪は危険犯で、正常な運航ができないおそれがある状態で航空業務に従事した時点で成立し、無事に着陸しても罪は消えません。
Q3副操縦士の飲酒も処罰の対象?
対象です。航空法70条の主語は「航空機乗組員」であり、機長に限らず運航に従事する副操縦士なども含まれると解されています。
Q4風邪薬を飲んで乗務したら違法?
航空法70条は酒だけでなく「麻酔剤その他の薬品」も対象です。眠気など正常な運航を妨げるおそれのある影響が残る状態での乗務は違反になり得ます。
Q5ドローンを飲酒して飛ばすのは違法?
違法になり得ます。航空法は無人航空機についても、アルコールや薬物の影響下での飛行を別の条文で禁止しており、罰則も設けられています。
Q6飲酒乗務罪の公訴時効はいつまで?
法定刑の長期が5年未満の拘禁刑のため、刑事訴訟法250条2項6号により3年です。起算点は航空業務への従事が終わった時とされます。
Q7乗務前に飲酒を自己申告したら罪になる?
航空業務に従事する前に申告して乗務を降りれば、本罪の構成要件には当たりません。ただし社内規程に基づく懲戒の対象になる可能性はあります。
Q8航空会社も飲酒乗務で処分される?
本条で罰せられるのは乗務した個人ですが、航空会社は安全管理体制の不備を理由に国土交通省から業務改善勧告などの行政対応を受けることがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1パイロットって何時間前までなら飲んでいいんですか?
航空法70条自体は時間を定めず、「正常な運航ができないおそれがある間」を禁じています。具体的な線は国の飲酒基準と各社規程で引かれ、乗務前の一定時間の飲酒禁止や呼気検査の数値基準が設けられています。実務のポイント:社内規程は国の基準より厳しいことが多く、法の線より手前の社内の線で処分されるのが実務の現実です(最新の基準をご確認ください)
Q2客室乗務員や整備士がお酒を飲んで働いた場合も、この条文で処罰されるんですか?
本罪は70条違反が前提で、70条の主語は「航空機乗組員」です。そのため主に運航乗務員が対象となり、客室乗務員や整備士は国の通達や社内規程による管理が中心になります(実務上の適用範囲は要確認)。実務のポイント:刑罰の対象外でも、航空会社への行政対応や社内懲戒は厳しく、職を失うリスクは決して小さくありません
間違えやすい点 AI による整理
- 「事故を起こさなければ罪にならない」と考えがちだが、前提が誤っている。本罪は危険犯であり、正常な運航ができないおそれがある間に航空業務に従事した時点で成立する。無事に着陸したことは無罪の理由にならない
- 刑罰は三年以下と知っていても、その深刻度を知らない人が多い。刑事罰とは別に、国土交通大臣は技能証明の取消しまたは航空業務の停止を命じうる(航空法30条)。パイロットにとっては、罰金よりも技能証明を失うことのほうが生活全体を壊す
- 乗務員の目には「体調は普通、操縦もできる」と映っても、法律が見るのは自覚ではなく客観的な影響の有無である。国の基準では呼気検査の数値で線が引かれており、本人の感覚との落差が、そのままキャリアの断絶になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 航空法148条の3:70条違反の乗務に対する刑事罰 | 航空法70条:飲酒・薬品の影響下での航空業務の禁止(行為規範) 航空法30条:技能証明の取消し・業務停止(行政処分) |
| 判断主体 | 検察官の起訴と裁判所の判決 | 乗組員自身および航空会社の運航管理(乗務前の判断) 国土交通大臣 |
| 効果 | 三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金 | それ自体に罰則はなく、本条と30条の前提要件となる 技能証明の取消しまたは一定期間の航空業務停止 |
| 実務上の重さ | 前科が付き、国際線では渡航面にも影響し得る | 社内規程はこれより厳しい基準を置くことが多い パイロットにとって職業生命に直結する最大の制裁 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも航空機乗組員の飲酒は規則で規制され、行政上の処分が中心となる。刑事面では刑法185条の3の適用が議論される(具体的な適用範囲は要確認)
韓国も航空従事者の飲酒・薬物摂取下での業務を禁止し、罰則と資格処分を併置する構造で日本と近い
ドイツは航空機の操縦を鉄道・船舶と並べて刑法典の交通危険罪で処罰し、飲酒等による運航能力欠如での操縦を対象とする
米国は連邦航空規則で乗務前の飲酒時間と血中濃度の基準を定め、連邦刑法でも一定濃度以上での運航を刑事罰の対象とする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 前夜のフライト明けにホテルのバーでワインを数杯。翌朝、乗務前の呼気検査で基準値を超えた。あと四十分で出発予定。ここで自ら申告して乗務を降りるか、黙って操縦席に向かうか。前者なら社内処分で済む余地があり、後者なら148条の3の構成要件に自ら踏み込むことになる
- もし搭乗した便の副操縦士から酒の匂いがしたら、乗客のあなたに何ができる? 客室乗務員に伝えるだけでいい。機長の判断や会社の運航管理が動き、出発前に交代が行われることは実際にある
- 風邪で処方された眠気の出る薬を飲んで乗務した。酒ではないから大丈夫だと思っていたが、70条は「麻酔剤その他の薬品」も対象にしている。薬の影響も同じ線上にある
- あなたは航空会社の運航管理部門で働いている。乗務員の飲酒検査記録に空白の日が見つかった。国交省の監査は来週だ。記録の欠落そのものが、会社の安全管理体制を問う入口になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 乗客として乗務員の飲酒を疑ったら、客室乗務員または地上係員に具体的に伝える(匂い、言動、時刻) 2. 遅延・欠航が生じた場合、運送約款に基づく払戻しや振替を確認する3. 実害が生じた場合は、航空会社に対し債務不履行(民法415条)や使用者責任(民法715条)による損害賠償請求を検討する4. 国土交通省航空局への情報提供も選択肢になる
訴えられた側:1. 乗務前に基準超過や体調異変を自覚したら、業務に就く前に申告して降りることが最大の防御2. 捜査を受けた場合、弁護人を早期に選任し、検査時刻・数値・機材の校正記録を確認させる3. 処方薬が原因なら、処方内容と服用時刻、医師の説明を記録として揃える4. 技能証明の処分手続(航空法30条)では聴聞等の手続保障があるため、刑事と行政の両面で同時に準備する
時効(請求できる期限):本罪の公訴時効は3年(法定刑の長期が5年未満の拘禁刑のため、刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は航空業務に従事した行為が終わった時。技能証明の処分には時効期間の定めはない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:本罪は70条の禁止規範を前提とする抽象的危険犯と理解され、運航への具体的な支障や事故の発生は要件とされない。「おそれ」の判断は本人の自覚ではなく客観的な影響の有無による
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)航空法改正(要検証) 2018年の乗務員飲酒問題を受け、飲酒乗務の罰則を引き上げ本条を整備したとされる。改正年・旧法定刑・新設か改正かの区別は人的検証が必要
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等改正に伴い「懲役」を「拘禁刑」に改めた
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部改正に伴う関係法律の整理により「懲役」が「拘禁刑」に改められ、令和7年(2025年)6月1日に施行された
- 航空法 第70条飲酒・薬物下の航空業務禁止、本罪の前提
- 航空法 第30条違反者の技能証明取消し・業務停止
- 航空法 第2条「航空業務」の定義規定
- 航空法 第71条身体障害時の航空業務禁止、並列の適性規制
- 道路交通法 第65条陸上の酒気帯び運転禁止、比較対象
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める