航空法 第71条の2(操縦者の見張り義務)
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航空機の操縦を行なつている者(航空機の操縦の練習をし又は計器飛行等の練習をするためその操縦を行なつている場合で、その練習を監督する者が同乗しているときは、その者)は、航空機の航行中は、第九十六条第一項の規定による国土交通大臣の指示に従つている航行であるとないとにかかわらず、当該航空機外の物件を視認できない気象状態の下にある場合を除き、他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをしなければならない。
この条文の基本情報
操縦者の見張り義務とは何ですか?
定義操縦者の見張り義務とは、航空法第71条の2に定められた規定で、「航空機の操縦を行なつている者(航空機の操縦の練習をし又は計器飛行等の練習をするためその操縦を行なつている場合で、その練習を監督する者が同乗しているときは、その者…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第71条の2(操縦者の見張り義務)は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第71条の2の条文原文は「航空機の操縦を行なつている者(航空機の操縦の練習をし又は計器飛行等の練習をするためその操縦を行なつている場合で、その練習を監督する者が同乗しているときは、その者…」で始まります。
- 航空法第71条の2は第一節 航空機の運航に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第71条の2の前の条は航空法第71条です。
- 航空法第71条の2の次の条は航空法第71条の3です。
- 航空法第71条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第71条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第71条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/71_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法71条の2は、航行中の操縦者に他の航空機等と衝突しないよう見張りをする義務を課す。管制指示に従っているかを問わず、外が視認できない気象状態の場合だけ免除される。
Q · 管制官の指示どおりに飛んでいれば、パイロットは外を見張らなくていいの?
見張りは必要。管制に従っていても免除されない
航空法71条の2は、96条1項に基づく国土交通大臣の指示に従った航行であるかどうかにかかわらず、操縦者に見張り義務を課しています。免除されるのは、雲や霧の中など機外の物件を視認できない気象状態にある場合だけです。また、練習のための操縦で練習を監督する者が同乗しているときは、見張り義務を負うのは操縦している訓練生ではなく監督者です。
解説
管制レーダーに映り、管制官の指示どおりに飛んでいても、パイロットは窓の外から目を離してはならない。航空法71条の2は、航行中の操縦者に「他の航空機その他の物件と衝突しないように見張りをする」義務を課している。条文はわざわざ「第96条第1項の国土交通大臣の指示に従っているかどうかにかかわらず」と書き込んだ。つまり、管制に従っていることは、見張りをしなくてよい理由にならない。この義務が外れるのは、雲や霧の中で外の物件をそもそも視認できない気象状態のときだけである。練習中の操縦については、教官など練習を監督する者が同乗していれば、見張りの責任はハンドルを握る訓練生ではなく監督者が負う。事故が起きたとき、「管制の指示に従っていた」という言い分が過失の否定にならない理由はここにある。
法的な位置づけ
航空法71条の2は操縦者の見張り義務を定める規定であり、航空機の航行中、操縦者に対し他の航空機その他の物件との衝突を避けるための見張りを義務付ける。管制指示への服従の有無を問わず適用され、機外の物件を視認できない気象状態の下では免除される。監督者同乗の練習飛行では、義務主体は監督者となる。
よくある質問 AI による整理
Q1航空法71条の2とは?
航行中の操縦者に、他の航空機その他の物件と衝突しないよう見張りをする義務を課す規定です。管制指示に従っているかどうかを問いません。
Q2パイロットの見張り義務はいつ免除される?
機外の物件を視認できない気象状態の下にある場合だけです。雲や霧の中が典型で、計器飛行方式で飛んでいること自体は免除理由になりません。
Q3見張り義務を負うのは機長だけ?
条文の主体は「航空機の操縦を行なつている者」です。ただし監督者同乗の練習飛行では、練習を監督する者が見張り義務を負います。
Q4ドローンにも見張り義務はある?
本条は「航空機」の操縦者が対象です。無人航空機には航空法の別の章に独自の飛行ルールがあり、そちらを確認する必要があります。
Q5ニアミスしたら報告義務はある?
あります。航空法76条の2により、機長は航行中に他の航空機との衝突・接触のおそれがあったと認めたときは国土交通大臣に報告しなければなりません。
Q6見張り義務違反は事故の過失になる?
本条の義務は、操縦者の注意義務を判断する重要な物差しになります。民事の損害賠償や業務上過失致死傷罪の過失判断で、見張りの実態が争点になります。
Q7グライダーや超軽量動力機の操縦者も対象?
人が乗るグライダーや超軽量動力機も航空法上の航空機にあたり、その操縦者は本条の見張り義務を負います。機体の大小は関係ありません。
Q8見張り義務と管制の責任はどう分かれる?
管制は航空交通の間隔設定を担い、操縦者は機外の見張りを担います。両者は二重の安全装置で、管制の指示に従ったことは見張り懈怠を正当化しません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管制官に言われたとおりに飛んでたのに、それでも見張りしなきゃダメなんですか?
必要である。航空法71条の2は、96条1項の国土交通大臣(管制)の指示に従っているかどうかにかかわらず見張りを求めている。管制が把握していない機体(有視界飛行の小型機やグライダー等)もあるからだ。実務のポイント:事故調査では、管制側の指示の適否と操縦者の見張りは別々に評価される。「管制に従った」は操縦者の過失を否定する決め手にならず、見張りの実態の記録が勝負を分ける
Q2訓練中に生徒が操縦してて事故ったら、責任は生徒にあるんですか?
練習のために操縦していて、練習を監督する者が同乗している場合、本条の見張り義務を負うのは監督者である(航空法71条の2括弧書き)。実務のポイント:ただし本条は見張りの主体を決めるにとどまり、刑事・民事の過失がすべて監督者に移るわけではない。個別事情で訓練生の責任が問われる余地はあり、実務上は事案ごとに判断が分かれる。最初に誰が見張りを担う体制だったかを固めることが防御の出発点になる
Q3自動操縦にしてる間は、外を見てなくてもいいんじゃないですか?
条文は「航空機の航行中」と定めており、自動操縦中を除外していない。外の物件を視認できない気象状態でない限り、見張り義務は続く(航空法71条の2)。実務のポイント:自動操縦中は操縦者の注意が計器や書類作業に向きやすく、見張りの空白が生まれやすい時間帯として知られる。各社の運航規程でも見張りの分担が定められていることが多く、規程との照合が実務の争点になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「レーダー管制下なら衝突回避は管制官の仕事」と思われがちだが、条文は管制指示に従っているかどうかを問わず見張りを求めている。管制による間隔設定と操縦者の見張りは二重の安全装置であり、片方が働いていることは、もう片方を外してよい理由にならない
- 見張り義務が雲の中では免除されることは知られていても、その例外の狭さはあまり意識されていない。免除されるのは「機外の物件を視認できない気象状態」に限られ、計器飛行方式で飛んでいること自体は理由にならない。雲の切れ間を飛んでいる時間は、見張り義務が戻っている時間である
- 練習飛行の事故で「操縦していた本人が悪い」と考えるのは、問いの立て方がずれている。監督者が同乗している練習では、法が見張りの主体として定めるのは監督者である。誰が操縦桿を握っていたかではなく、誰が見張りを担っていたかが最初の論点になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 航空法71条の2:航行中の見張り(衝突回避のための監視) | 航空法96条:管制区等での国土交通大臣の指示への服従 航空法76条の2:衝突・接触のおそれがあった事態の報告 |
| 義務の主体 | 操縦を行っている者(監督者同乗の練習飛行では監督者) | 管制区等を航行する航空機の運航者側 機長 |
| 義務が問われる時点 | 航行中の全時間(視認不能な気象状態を除く) | 管制指示を受けて航行している間 異常接近等の事態を認めた後 |
| 相互関係 | 96条の指示に従っていても免除されない | 指示服従は見張り義務と並存する 見張りで察知した事態を事後に報告する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も ICAO 附属書2に準拠した飛航規則で目視による警戒と衝突回避を定めており、規範内容は日本とほぼ共通する
韓国も ICAO 標準に基づき、航空機の衝突回避と見張りを飛行規則で定めている
ドイツ・フランスは EU 共通の欧州標準航空規則(SERA)で衝突回避を規律し、各国法はこれを補完する構造
米国は IFR・VFR を問わず、天候が許す限り他機を視認し回避する「see and avoid」義務を明文で課しており、日本の本条と構造が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 管制官から高度と針路の指示を受け、自動操縦で巡航中。前方に VFR(有視界飛行)の小型機が迫っていたが、計器を見ていて気付くのが遅れた。管制の指示どおりに飛んでいても、晴天の空なら見張り義務違反を問われうる
- 教官同乗で訓練生が操縦していたセスナがグライダーと接近した。見張りの法的責任を負うのは誰か? 条文は、同乗する監督者が見張りをすると定めている。訓練生ではなく教官の側が問われる構造である
- 雲の中を計器飛行中に他機と異常接近した。外がまったく見えない気象状態だったなら、本条の見張り義務は課されない。争点は「本当に視認できなかったか」に移る
- あなたは週末に超軽量動力機を飛ばす趣味のパイロットだ。人が乗る超軽量動力機は航空法上の航空機にあたり、本条の見張り義務を負う。「小さいから関係ない」は通らない
- 空中で他機とニアミスした。着陸後、報告書の提出と会社の事情聴取が待っている。航空法76条の2の報告とあわせ、そのとき外をどう見張っていたかの記憶を今夜のうちに書き残さないと、数日後には説明できなくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 事故やニアミスの被害を受けたら、運航者・機体登録記号・日時・位置を特定し、目撃情報や写真を確保する2. 運輸安全委員会の調査報告書は、相手側操縦者の見張り状況を知る重要な手がかりになる。公表を待って入手する3. 損害賠償は相手操縦者(民法709条)と運航会社(民法715条)の双方を視野に入れ、見張り義務違反を過失の具体的根拠として示す4. 時効が進むので、報告書の公表を待つ間も請求準備は止めない
訴えられた側:1. 事故直後、見張りの方法・視界・気象状態を時系列で記録する2. 外を視認できない気象状態だったなら、本条の例外にあたることを気象データ(METAR 等)と飛行記録で裏付ける3. 練習飛行なら、監督者が同乗していたかと、見張りを誰が担っていたかを明確にする4. 航空法76条の2の報告義務は別途果たし、報告内容と供述の整合性を弁護士と確認する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期限はない。民事の損害賠償請求は、損害および加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、不法行為時から20年(民法724条、724条の2)。刑事の業務上過失致死傷罪の公訴時効は別途進行する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
実務上の一般的理解:管制による航空交通の間隔設定と操縦者の見張りは相互補完的な二重の安全装置であり、管制指示に従ったことは操縦者の見張り懈怠を正当化しない。見張りの免除は視認不能な気象状態に限定して狭く解される
- 航空法 第96条管制指示への服従義務、見張りとの並存
- 航空法 第76条の2衝突のおそれ等の事態の報告義務
- 航空法 第2条航空機の定義、本条の適用範囲を画定
- 航空法 第70条酒精飲料等の影響下での操縦禁止
- 民法 第715条運航者の使用者責任、見張り違反の民事帰責
- 刑法 第211条業務上過失致死傷、見張り懈怠の刑事責任
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