航空法 第96条(航空交通の指示)
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- 航空機は、航空交通管制区若しくは航空交通管制圏又は航空交通管制圏に係る空港等の着陸帯若しくは誘導路の区域(次項及び第三項第三号において「着陸帯等」という。)においては、国土交通大臣が安全かつ円滑な航空交通の確保を考慮して、離陸若しくは着陸の順序、時機若しくは方法、飛行の方法又は地上走行の方法について与える指示に従つて航行しなければならない。
- 2.航空交通管制圏に係る空港等の業務に従事する者(国土交通省令で定める空港等の工事に関する業務に従事する者を含む。)は、着陸帯等において業務を行う場合は、その業務に関し、国土交通大臣が当該空港等における航空交通の安全のために与える指示に従わなければならない。
- 3.航空機は、次に掲げる航行を行う場合は、第一項の規定による国土交通大臣の指示を受けるため、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に連絡した上、これらの航行を行わなければならない。
- 一航空交通管制圏に係る空港等からの離陸(そのための地上走行を含む。)及び当該航空交通管制圏におけるその離陸に引き続く上昇飛行
- 二航空交通管制圏に係る空港等への着陸(これに引き続く地上走行を含む。)及び当該航空交通管制圏におけるその着陸のための降下飛行
- 三前二号に掲げる航行以外の航空交通管制圏又は着陸帯等における航行
- 四第一号に掲げる飛行に引き続く上昇飛行又は第二号に掲げる飛行に先行する降下飛行が行われる航空交通管制区のうち国土交通大臣が告示で指定する空域(以下「進入管制区」という。)における計器飛行方式による飛行
- 五前号に掲げる飛行以外の航空交通管制区における計器飛行方式による飛行
- 六航空交通管制区内の特別管制空域又は第九十四条の二第一項の国土交通省令で定める高さ以上の空域における同項ただし書の許可を受けてする計器飛行方式によらない飛行(国土交通省令で定める飛行を除く。)
- 4.航空機は、前項各号に掲げる航行を行つている間は、第一項の規定による指示を聴取しなければならない。
- 5.国土交通大臣は、航空交通管制圏ごとに、前二項の規定による規制が適用される時間を告示で指定することができる。
- 6.前項の規定により指定された時間以外の時間のうち国土交通大臣が告示で指定する時間において第三項第一号から第三号までに掲げる航行を行う場合については、次条第一項及び第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定を準用する。
この条文の基本情報
航空交通の指示とは何ですか?
定義航空交通の指示とは、航空法第96条に定められた規定で、「航空機は、航空交通管制区若しくは航空交通管制圏又は航空交通管制圏に係る空港等の着陸帯若しくは誘導路の区域(次項及び第三項第三号において「着陸帯等」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 航空法第96条(航空交通の指示)は、日本の航空法に含まれる条文です。
- 航空法第96条の条文原文は「航空機は、航空交通管制区若しくは航空交通管制圏又は航空交通管制圏に係る空港等の着陸帯若しくは誘導路の区域(次項及び第三項第三号において「着陸帯等」という。」で始まります。
- 航空法第96条は第一節 航空機の運航に置かれています。
- 航空法の公布日は昭和27年7月15日です。
- 航空法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 航空法第96条の前の条は航空法第95条の3です。
- 航空法第96条の次の条は航空法第96条の2です。
- 航空法第96条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第96条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC0000000231 - 本サイト収録
航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第96条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/327AC0000000231/96
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点航空法96条は、航空交通管制区・管制圏や空港の着陸帯・誘導路を航行する航空機に、国土交通大臣(管制)の指示に従う義務を課す。管制圏内の離着陸等では事前連絡と指示の聴取も義務となる。
Q · 管制官の無線の指示って、法律上の義務なの?
義務である。航空法96条が遵守を定めている
航空法96条1項により、航空交通管制区・管制圏や空港の着陸帯・誘導路を航行する航空機は、国土交通大臣(実際には権限を委ねられた航空管制官)が与える離着陸の順序や地上走行方法などの指示に従わなければなりません。3項は指示を受けるための事前連絡を、4項は航行中の指示聴取を義務づけています。2項により、着陸帯等で働く空港業務従事者や省令で定める工事の従事者にも指示遵守義務が及びます。
解説
管制官が無線で告げる「滑走路手前で待機せよ」は、丁寧な依頼ではない。法的な拘束力を持つ指示である。航空法96条は、航空交通管制区、航空交通管制圏、空港の着陸帯や誘導路を飛ぶ航空機や地上を走る航空機に、国土交通大臣の指示に従う義務を課している。指示を実際に出すのは、権限を委ねられた航空管制官だ。条文には見落とされやすい層が三つある。第一に、指示を受けるために事前に連絡する義務がある(3項)。第二に、航行している間は指示を聴き続ける義務がある(4項)。指示を聴取しないまま管制区を飛べば、それだけで義務違反の状態になる。第三に、この義務は機長だけでなく、着陸帯や誘導路で働く空港スタッフや工事業者にも及ぶ(2項)。2024年1月の羽田空港地上衝突事故で焦点になったのも、管制の指示がどう伝わり、どう受け取られたかであった。あなたが乗る旅客機の安全は、一本の無線交信の正確さの上に成り立っている。
法的な位置づけ
航空法96条は航空交通の指示に関する規定であり、航空交通管制区・管制圏および空港等の着陸帯・誘導路における航空機の航行について、国土交通大臣が安全かつ円滑な航空交通の確保のために与える指示への遵守義務を定める。あわせて、空港業務従事者の指示遵守義務、所定の航行に先立つ連絡義務、航行中の指示聴取義務、および規制適用時間の告示指定を規定する。
手順
- 1.航行前に管制へ連絡する 管制圏の空港からの離陸(地上走行を含む)、着陸、進入管制区での計器飛行などを行う前に、国土交通省令の定めに従って管制機関に連絡し、指示を受けられる状態にする(96条3項)
- 2.航行中は管制周波数を聴取し続ける 3項各号の航行を行っている間は、指定された管制周波数を継続して聴取する(96条4項)。無線が途絶したらトランスポンダを7600に設定し、通信途絶時の手順に移る
- 3.指示を復唱し、曖昧なら確認する 滑走路番号・停止位置・高度などの指示は必ず復唱する。少しでも不明確なら「Say again」で再確認し、聞き取り違いのまま動かない
- 4.実行できない指示は即座に伝える 機体性能や安全上の理由で実行できない指示には「Unable」と伝え、別の指示を求める。地上作業者も、車両が退避できない等の事情は直ちに管制へ伝える(96条2項)
- 5.逸脱やインシデントを記録・報告する TCAS 回避指示などで指示から逸脱した場合は、管制と所属会社へ速やかに報告し、交信記録の保全を求める。後の行政処分・刑事手続に備えた証拠となる
よくある質問 AI による整理
Q1航空法96条とは何を定めた条文ですか?
航空交通管制区・管制圏や空港の着陸帯・誘導路で、航空機が国土交通大臣(管制)の指示に従って航行する義務を定めた条文です。
Q2管制官の指示に従わないとどうなる?
96条違反として航空法の罰則の対象となりうるほか、操縦士は技能証明の取消しや効力停止などの行政処分(航空法30条)を受ける可能性があります。
Q3航空交通管制区と管制圏の違いは?
管制圏は空港周辺の離着陸を管理する空域、管制区は主に計器飛行方式の航空機が飛ぶ上空の空域です。96条はどちらにも指示遵守義務を課します。
Q4無線が故障したら管制指示違反になる?
聴取義務(4項)を果たせない状態ですが、トランスポンダを7600に設定し通信途絶時の手順に従えば、安全上必要な対応として説明できます。
Q5管制の指示で離陸の順番が決まるのは本当?
本当です。96条1項は「離陸若しくは着陸の順序、時機」を指示の対象に含めており、離陸待ちの順番は航空会社ではなく管制が決めます。
Q6ゴーアラウンドは違法な操作ですか?
違法ではありません。管制の指示または機長の判断で行われる正規の安全手順で、先行機が滑走路に残る場合などに「着陸の方法」の指示として出されます。
Q7管制の指示ミスで事故が起きたら誰が責任を負う?
管制官は国家公務員のため、損害賠償は国家賠償法1条により国に請求します。管制官個人は業務上過失致死傷罪で刑事責任を問われることがあります。
Q8管制指示と TCAS の回避指示はどちらが優先?
現在の国際ルールでは、衝突防止装置 TCAS の回避指示(RA)が管制指示より優先します。回避後は速やかに管制へ報告します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管制官の指示って、パイロットが断ることはできるの?
96条1項により従う義務がある。ただし実務上、機体の性能や安全上の理由で実行できない指示には「Unable」と伝え、別の指示を求める運用がある。実務のポイント:衝突防止装置 TCAS の回避指示(RA)は、管制指示より優先するのが現在の国際ルールである。2001年の焼津ニアミスは、この優先順位の徹底が不十分だった時代の事故であり、その後の運用見直しにつながった
Q2空港のグランドスタッフも、管制の指示に従わないといけないの?
従わなければならない。96条2項により、着陸帯や誘導路で業務を行う空港業務従事者には、管制の指示に従う義務がある。省令で定める工事の従事者も対象である。実務のポイント:制限区域内で車両を運転するには、空港管理者が行う講習を受け、構内運転の許可を得るのが通例である。現場は法律より先に、この空港ルールで細かく縛られている
Q3地方空港って、夜になると管制がいなくなるって本当?
本当である。96条5項により、管制圏ごとに規制が適用される時間を告示で指定でき、その時間外は連絡義務と聴取義務が外れる。ただし6項により、別に告示された時間帯には96条の2の情報入手のための連絡が準用される。実務のポイント:運用時間外は、遠隔地の航空局の拠点から無線で情報を提供する体制がとられている空港もある。管制がないことは、情報がないことを意味しない
間違えやすい点 AI による整理
- 乗客の目から見れば、機内の最高権力者は機長である。しかし法律の目から見ると、管制区内の航空機は国土交通大臣の指示に従う義務を負う。とはいえ、機長の判断が消えるわけではない。安全上どうしても従えない指示には「Unable」と伝えて別の指示を求める運用がある。緊急時の逸脱も国際基準上認められており、事後に管制へ通報する。指示に従う義務と機長の判断が二重にかかる構造を理解しないと、事故報道を誤って読むことになる
- 管制指示に従うのはパイロットだけ、という程度の理解は多くの人が持っている。だが見落とされているのは、2項が着陸帯や誘導路で働く空港業務従事者にも同じ義務を課している点である。国土交通省令で定める工事の従事者も含まれる。作業車一台が誤って立ち入るだけで、滑走路誤進入(ランウェイ・インカージョン)が起こりうる。地上の一人の判断が、数百人の乗客の命に直結している
- 「空港の近くでドローンを飛ばすとき、管制の指示を受ければいいのか」という問いは、そもそも前提がずれている。96条の「航空機」は、人が乗ることのできる機器を指す(航空法2条1項)。ドローンなどの無人航空機は、これとは別の規定で、空港周辺の飛行禁止空域と国の許可制によって規制されている。管制指示の枠組みで考えると、本当に必要な許可手続を見落とす
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 航空法96条:管制区・管制圏・着陸帯等での管制指示の遵守、連絡、聴取 | 航空法96条の2:管制時間外等における航空交通情報入手のための連絡 航空法97条:飛行計画の通報と承認 |
| 適用される場面 | 告示で指定された管制の運用時間内の航行 | 管制が行われない時間・空域での航行(96条6項で一部準用) 計器飛行方式等で飛行する前の段階 |
| 義務の性質 | 国土交通大臣の指示に「従う」義務(拘束力あり) | 情報を「入手するため連絡する」義務(指示への服従ではない) 計画を通報し承認を「受ける」義務 |
| 機長権限との関係 | 指示遵守が原則、安全上実行不能なら Unable で別指示を求める運用 | 得た情報を基に機長が判断する余地が大きい 承認後も実際の航行は96条の指示に従う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も ICAO 標準に沿い、飛航管制の指示遵守を航空法令で定める。管制は交通部民用航空局の飛航服務総臺が担う
韓国は航空安全法で管制業務の指示遵守を明文化しており、日本の96条と同じく ICAO 附属書を国内法化した構造
ドイツは EU 共通航空規則 SERA が直接適用され、国内の LuftVO が補完する。管制業務は DFS が担う
米国は管制許可・指示の遵守を連邦規則で義務づける一方、緊急時の逸脱を機長権限(14 CFR § 91.3)として明示し、事後報告を求める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは空港の舗装補修を請け負う会社の現場監督である。夜間工事の最中、管制から「誘導路から作業車両を退避させよ」と無線が入った。ところが重機の一台がすぐには動かせない。96条2項は、国土交通省令で定める工事業務の従事者にも指示に従う義務を課している。退避が間に合わないのなら、黙って作業を続けてはならない。動かせない事実をすぐ管制に伝えることが、法的にも安全面でも唯一の正解である
- 地方空港で管制の運用時間が終わった直後に離陸したら、どうなる? 告示で指定された時間の外では、96条3項と4項の連絡義務と聴取義務は適用されない。ただし別の告示で指定された時間帯であれば、6項により96条の2の情報入手のための連絡義務が準用される。管制官がいないからといって、何をしてもよいわけではない
- 小型機で遊覧飛行中に、無線機が沈黙した。管制区の中で、聴取義務(4項)を果たせない状態に陥ったのである。トランスポンダを7600に合わせ、通信途絶時の手順に移れるかどうかが分かれ目になる
- 管制は「降下せよ」と言い、衝突防止装置 TCAS は「上昇せよ」と叫ぶ。判断に使える時間は十数秒しかない。2001年の焼津上空ニアミスでは、一方の機長が管制指示に従って降下し、相手機も TCAS の指示に従って降下した。両機は異常接近し、急な回避操作で多数の負傷者が出た
- 友人から LINE が来た。「着陸直前に飛行機がまた急上昇した。何か事故だったの?」。着陸復行(ゴーアラウンド)は、管制の指示で行われることもあれば、機長の判断で行われることもある。どちらであっても、手順に沿った安全行動である。滑走路上に先行機が残っている場合などに、96条1項の「着陸の方法」の指示として出される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 搭乗機の異常接近や急な回避操作で負傷したら、診断書、搭乗券、座席番号、発生時刻を記録する2. 重大インシデントは運輸安全委員会が調査し、報告書を公表する。航空会社に報告の有無を確認する3. 原因が管制指示の誤りであれば国(国家賠償法1条)が請求先となる。運航側の過失であれば航空会社(民法709条、715条、運送約款)が請求先となる4. 国際線では国際航空運送に関する条約上の責任制度も確認する
訴えられた側:1. 違反を指摘されたら、まず交信記録の保全を求め、指示の内容と自分の復唱を照合する2. 機器の故障や通信途絶が原因であれば、当時とった手順(7600の設定など)の証拠をそろえる3. TCAS の回避指示などによる逸脱であれば、管制と会社へ速やかに報告した記録を残す4. 技能証明の効力停止などの行政処分(航空法30条)と刑事手続は別々に進む。両方に備え、早い段階で航空法務に通じた弁護士に相談する
時効(請求できる期限):96条違反そのものに固有の時効規定はない。罰金刑にとどまる罪の公訴時効は3年である(刑事訴訟法250条2項6号。罰則の具体的範囲は最新の改正状況をご確認ください)。負傷者の損害賠償請求権は、損害と加害者を知った時から5年、行為の時から20年で消滅する(民法724条、724条の2)。国家賠償請求にも民法の時効が適用される(国家賠償法4条)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和27年(1952年) 新設:航空法の制定とともに、航空交通管制に関する指示遵守の規定として置かれた。その後の改正で管制圏・管制区の区分や連絡・聴取義務が整備されたが、改正の詳細は最新の法令沿革で要確認
- 航空法 第96条の2管制時間外の情報入手連絡義務
- 航空法 第97条飛行計画の通報と承認
- 航空法 第94条の2特別管制空域等での有視界飛行制限
- 航空法 第73条機長の指揮監督権との関係
- 航空法 第30条違反時の技能証明取消し等
- 国家賠償法 第1条管制官の過誤による国の賠償責任
- 刑法 第211条管制官・機長の業務上過失致死傷
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