要点厚生年金保険法78条の14は、離婚等をした第3号被保険者が、相手方の同意なく実施機関に請求すれば、特定期間の標準報酬が2分の1に改定されると定める。効力は請求日以降のみ。
Q · 離婚するとき、相手がイヤだと言っても年金は分けてもらえるんですか?
相手の同意がなくても、請求だけで記録が半分に移ります
厚生年金保険法78条の14により、第3号被保険者だった配偶者は、離婚等をしたときに実施機関へ標準報酬の改定を請求できます。請求権者は被扶養配偶者本人だけで、特定被保険者(相手方)の同意は要件ではありません。実施機関は特定期間の各月について、標準報酬月額と標準賞与額をそれぞれ2分の1に改定・決定し、その期間は被扶養配偶者自身の被保険者期間とみなされます(4項)。ただし対象は2008年4月1日以後の第3号被保険者期間に限られ、請求は原則として離婚等の翌日から2年以内、効力は請求の日から将来に向かってのみ生じます(5項)。
配偶者の扶養に入っていた期間、あなたの年金記録に保険料の足跡は残らない。国民年金の第3号被保険者は自分で保険料を納めない扱いだからだ。離婚すればその期間の厚生年金は全部相手のもの、と思っていたなら、78条の14がその前提を崩す。2008年4月1日以後の第3号被保険者期間について、あなたは相手の同意を一切必要とせず、実施機関(日本年金機構や共済組合など年金記録を管理する窓口)に標準報酬(給与や賞与を等級化した、年金額計算の基礎になる数字)を2分の1にする改定を請求できる。相手が拒んでも、話し合いから逃げても、裁判所を通す必要すらない。割合の交渉もない。法律が最初から2分の1と決めている。ただし原則2年という期限があり、効力は請求の日から将来に向かってのみ生じる(5項)。動かなければ、権利ごと消える。
厚生年金保険法78条の14は、第3号被保険者であった被扶養配偶者による標準報酬の分割請求(3号分割)を定める規定である。特定被保険者が被保険者であった期間のうち、その配偶者が国民年金法7条1項3号に該当していた特定期間について、離婚又は婚姻の取消し等を要件として、相手方の同意を要さずに標準報酬月額及び標準賞与額を各2分の1に改定・決定することを認める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
厚生年金保険法78条の14に基づき、離婚等をした第3号被保険者が、相手方の同意なしに特定期間の標準報酬を2分の1に分割できる制度です。割合は法定で交渉の余地がありません。
原則として離婚等をした日の翌日から2年以内です。相手方が死亡した場合など、厚生労働省令により別の取扱いが定められている場合があるため、最新の運用を年金事務所でご確認ください。
実施機関です。会社員だった元配偶者なら日本年金機構(年金事務所)、公務員や私学教職員なら各共済組合が窓口になります。2015年の被用者年金一元化で窓口が実施機関に統一されました。
標準報酬改定請求書のほか、婚姻期間と離婚等の事実がわかる戸籍謄本、基礎年金番号がわかる書類が基本です。相手方の署名や同意書は不要で、単独で提出できます。
減ります。2項・3項は当事者双方の標準報酬を特定被保険者の額の2分の1に改定すると定めており、分割された分だけ元配偶者側の記録も下がります。片方が増えるだけの制度ではありません。
できません。3号分割の射程は施行日である2008年4月1日以後の第3号被保険者期間に限られます。それ以前の期間は78条の2の合意分割で、按分割合を協議または審判で決める必要があります。
1項ただし書により、請求日に特定被保険者が当該特定期間を額の計算の基礎とする障害厚生年金の受給権者であるときなど、厚生労働省令が定める場合は請求できません。事前確認が要ります。
戻りません。改定・決定された標準報酬はその後の婚姻・再婚に左右されず、分割を受けた期間は自身の被保険者期間とみなされたまま(4項)老齢厚生年金の計算に用いられます。
できる。78条の14第1項が請求権者としているのは被扶養配偶者本人だけで、特定被保険者の同意は要件に入っていない。請求を受けた実施機関が2分の1に改定・決定する(2項、3項)。業界裏話ヒント:合意分割(78条の2)と混同して「同意が要る」と思い込み、交渉が決裂したまま2年を空費する人が多い。合意分割が壊れていても、2008年4月以降の3号期間だけは先に確保できる
入金はあなた自身が老齢厚生年金の受給開始年齢に達してからである。78条の14が分割するのは標準報酬という記録であり(2項、3項)、その期間があなたの被保険者期間とみなされる(4項)。相手が既に年金を受け取っていても、あなたの年齢が届かなければ1円も出ない。業界裏話ヒント:3号期間が数年なら増額は月数千円にとどまることも珍しくない。情報提供請求で見込額を先に確認し、交渉の重み付けを実額に合わせる
なりうる。78条の14第1項は「離婚又は婚姻の取消しをしたときその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定めるとき」を対象としており、事実婚関係の解消も省令の定めにより含まれる。前提として国民年金法7条1項3号の第3号被保険者であったことが必要だ。業界裏話ヒント:事実婚は解消日の特定が争点になりやすい。健康保険の被扶養者資格喪失日や住民票の続柄変更が、2年の起算点を裏付ける材料になる
2008年3月以前に扶養に入っていた期間があるなら、その部分は合意分割(78条の2)でしか分けられないため、両方の検討が要る。実務上、合意分割を請求すると対象の特定期間について3号分割も併せて処理される取扱いになっている。業界裏話ヒント:3号分割は割合が2分の1で固定されているので、按分割合の交渉に意味があるのは合意分割の対象期間だけである。ここを分けずに交渉すると、労力の配分を間違える
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 相手方の同意 | 78条の14(3号分割):不要。被扶養配偶者が単独で請求できる | — |
| 対象期間 | 2008年4月1日以後の第3号被保険者期間(特定期間)のみ | — |
| 分割割合 | 法定の2分の1に固定、交渉の余地なし(2項・3項) | — |
| 効力の発生時点 | 請求のあった日から将来に向かってのみ(5項)、遡及受給なし | — |
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