要点厚生年金保険法81条の2により、育休期間中は事業主の申出で保険料が免除される。本人負担分と事業主負担分の双方が対象で、その期間も納付済みとして年金額に反映される。
Q · 育休中の厚生年金保険料って、結局どうなるんですか?
免除される。しかも将来の年金額は減らない。ただし申出は会社が行う
厚生年金保険法81条の2により、育児休業等をしている被保険者の保険料は、事業主が実施機関に申出をしたときに徴収されません。免除されるのは本人負担分だけでなく事業主負担分も同額で、しかもその期間は保険料を納付したものとして扱われるため、将来の年金額は減りません。ただし免除は自動的には始まらず、申出をするのは被保険者本人ではなく事業主です。また、同一月内で開始し終了する育児休業等は、その月の育休日数が14日以上であることが必要で、賞与にかかる保険料の免除は育児休業等の期間が1か月を超える場合に限られます。
「保険料が免除される」と聞くと、その分だけ将来の年金が減ると誰もが身構える。ここが最大の誤解である。厚生年金保険法81条の2による育休中の免除は、保険料を納めたものとして扱われ、将来の年金額は一円も減らない。しかも消えるのは本人負担分だけではなく、会社が払う事業主負担分も同額である。つまりあなたの育休は、会社にとってもコスト減だ。ただし、免除は自動では始まらない。動くのは事業主で、実施機関への申出があって初めて発動する。あなたが申請書を書くのではなく、会社が出す。会社が出し忘れれば、あなたの口座からは保険料が引かれ続ける。そして2022年10月から条件が変わった。同じ月に始まり同じ月に終わる短い育休でも、その月の育休日数が14日以上あれば免除される。逆に賞与にかかる保険料が免除されるのは、育休が1か月を超える場合に限られた。月末に1日だけ育休を取って賞与の保険料を丸ごと浮かせる、という手はもう通らない。
厚生年金保険法81条の2は、育児休業等の期間における保険料免除を定める規定である。事業主が実施機関へ申出をした場合に、育児休業等を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月までの保険料の徴収を行わない。同一月内で開始し終了する場合は当該月の育休日数が14日以上であることを要し、期間が1か月以下のときは標準報酬月額に係る保険料に限り免除される。
育児休業等をしている被保険者について、事業主が実施機関に申出をすることで厚生年金保険料の徴収が行われなくなる制度です。本人負担分と事業主負担分の双方が免除され、その期間も保険料納付済みとして年金額に反映されます。
原則として育児休業等を開始した日の属する月から、終了する日の翌日が属する月の前月までです。つまり終了日の翌日が同じ月にあるかどうかで、その月が免除対象になるかが変わります。月末をまたぐ設計が効きます。
被保険者本人ではなく、その者が使用される事業所の事業主です。事業主が主務省令の定めにより実施機関へ申出をして初めて免除が発動します。本人がすべきは申請ではなく、会社が提出したかの確認です。
同一月内で開始し終了する育児休業等について、その月の育児休業等の日数を厚生労働省令の定めにより計算します。育休中に就業した日の扱いなど細目は省令によるため、境界事例は年金事務所への確認が確実です。
育児休業等の期間が1か月以下の場合、免除は標準報酬月額に係る保険料に限られます。賞与保険料まで免除させるには1か月を超える育児休業等が必要です。月末1日だけ取得して賞与保険料を免れる手法は塞がれました。
連続する二以上の育児休業等をしている場合、その全部を一の育児休業等とみなして判定します(第3項)。分割取得でも通算して1か月超かどうか、同月内なら14日以上かどうかを見ることになります。
健康保険については健康保険法159条に同内容の免除規定があり、実務上は同一の申出書で処理されます。厚生年金と健康保険の両方の控除がゼロになっているかを給与明細で確認するのが確実です。
第2号厚生年金被保険者・第3号厚生年金被保険者については第2項で読み替えが行われ、「事業所の事業主が」の部分が外れます。免除の実体は共通ですが、申出のルートが所属の実施機関ごとに異なります。
減らない。本条による免除期間は保険料を納付したものとして扱われ、年金額の計算に反映される。業界裏話ヒント:本当に痛いのは復帰後だ。時短勤務で標準報酬月額が下がると、そこからは実額で年金が計算される。厚生年金保険法26条の養育期間の特例を申し出れば、3歳未満の子を養育する間は従前の高い標準報酬月額で計算される。遡及は2年までなので、復帰月に出すのが正解
気付いた時点から遡って2年以内の分なら取り戻せる可能性がある。保険料の還付を受ける権利は2年で時効消滅する(厚生年金保険法92条)。業界裏話ヒント:確認は会社に聞くより先に、育休中の月の給与明細を横一列に並べること。厚生年金と健康保険の控除額がゼロになっていない月が一つでもあれば、そこが未提出の証拠になる。会社に指摘する前に控えを手元に確保しておく
2022年9月までの話で、今は通らない。同じ月に始まって同じ月に終わる育休は、その月の育休日数が14日以上必要になった(第1項第2号)。業界裏話ヒント:ただし日数要件がかかるのは同月内で完結する場合だけ。1月25日から2月5日のように月をまたげば、育休が12日でも1月分の保険料は免除される(第1項第1号)。月末をまたぐ設計が効率的なのは、今も変わっていない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 免除の対象期間 | 81条の2:育児休業等の期間(同月内完結なら14日以上) | — |
| 申出の主体 | 事業主(第2号・第3号厚生年金被保険者は第2項で読み替え) | — |
| 年金額への影響 | 免除期間も保険料納付済みとして年金額に反映 | — |
| 見落としやすい点 | 申出がなければ発動しない/賞与保険料は1か月超が要件 | — |
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