要点厚生年金保険法81条は、標準報酬月額と標準賞与額に保険料率を乗じて保険料額を算定すると定める。率は平成29年9月以降18.3%で固定され、労使折半のため本人負担は9.15%となる。
Q · 給与明細から引かれている厚生年金保険料って、どうやって決まっているんですか?
標準報酬月額と標準賞与額に18.3%を掛けた額で、本人負担はその半分です
厚生年金保険法81条3項により、保険料額は標準報酬月額および標準賞与額に保険料率を乗じて算出されます。保険料率は同条4項の表で定められ、平成29年(2017年)9月以降18.3%で固定されています。82条1項で労使折半とされるため、本人負担は実質9.15%です。また同条2項により保険料は被保険者期間の計算の基礎となる各月ごとに徴収され、日割りされません。そのため退職日が月末か月末前日かで、1か月分の保険料が動きます。
給与明細の控除欄で、所得税より大きな数字が並んでいることに気付いているだろうか。厚生年金保険料である。81条は徴収の根拠であると同時に、その計算式そのものを書いている。標準報酬月額と標準賞与額に保険料率を掛ける、それだけだ。押さえるべき点は三つ。第一に、率は平成29年(2017年)9月以降18.3%で固定され、労使折半なのであなたの実負担は9.15%(82条1項)。第二に、保険料は日割りされず「月」単位で徴収される(2項)。だから退職日が月末か月末前日かで、まるまる1か月分が動く。第三に、1項の括弧書きにある基礎年金拠出金、これが会社員が国民年金保険料を別途払わなくてよい理由だ。控除額は会社が裁量で決めているのではない。全部この一条から逆算できる数字である。
厚生年金保険法81条は、保険料の徴収根拠と算定方式を定める規定である。政府等は基礎年金拠出金を含む厚生年金保険事業に要する費用に充てるため保険料を徴収し、その額は標準報酬月額および標準賞与額に保険料率を乗じて算出される。保険料率は同条4項の表により定められ、徴収の単位は被保険者期間の計算の基礎となる各月とされる。
各月分の保険料は翌月末日までに納付します(83条1項)。納付義務者は事業主で、期限を過ぎると督促状が発せられ、延滞金(87条)が加算され、最終的には国税滞納処分の例により差押えに至ります。
変わります。保険料は月単位で徴収され日割りされません(81条2項)。月末退職なら資格喪失は翌月1日となり退職月の保険料が発生し、月末前日退職なら退職月は徴収されず国民年金第1号として自分で納めます。
免除されます(81条の2)。従来は月末日を含む月が対象でしたが、令和4年(2022年)10月施行の改正により、同一月内に14日以上の育児休業を取得した場合もその月の保険料が免除されるようになりました。
厚生年金の標準報酬月額は等級制で、上限は65万円です。これを超える報酬があっても保険料は頭打ちになるため、高所得者ほど実質的な負担率は下がります。標準賞与額は1回あたり150万円が上限です。
平成16年(2004年)改正で保険料水準固定方式が導入され、段階的な引上げを経て平成29年(2017年)9月以降18.3%で固定されました(81条4項)。労使折半のため本人負担は9.15%です。
徴収権も還付請求権も2年で時効にかかります(92条1項、督促により時効更新)。標準報酬の遡及訂正も原則この2年に縛られますが、控除済みで未納付の場合は厚生年金特例法による例外の余地があります。
国民年金(基礎年金)の給付費用を各被用者年金制度が拠出する仕組みで、81条1項の括弧書きにより厚生年金保険料の使途に含まれています。会社員が国民年金保険料を別途納めなくてよいのはこのためです。
納付義務者は事業主であるため(82条2項)、督促・延滞金・国税滞納処分の例による差押えの対象は会社です。従業員は給与明細で控除の事実を証明できれば、記録訂正により受給権を守れる余地があります。
標準報酬月額に18.3%を掛けた額の半分、つまり9.15%が本人負担です(81条3項・4項、82条1項)。標準報酬月額は等級制で上限は65万円なので、それを超える高所得者は実質負担率が下がります。業界裏話ヒント:日本年金機構が公表する都道府県別の保険料額表と自分の明細を並べれば、等級のずれが数分で分かる。会社の届出ミスは珍しくなく、指摘して直せるのは原則2年以内です
納付義務者は事業主であり(82条2項)、あなたの分は給与からの控除にすぎません(84条)。給与明細などで控除の事実が確認できれば、厚生年金特例法により記録訂正と給付の道が残ります。業界裏話ヒント:この救済は「控除されていた証拠」が全てです。退職後に明細を処分した人が最も詰む。転職のたびに最終月の明細と源泉徴収票だけはPDF化して残しておく
平成15年(2003年)4月の総報酬制導入で、賞与にも月給と同率の保険料がかかるようになりました(3項の標準賞与額)。上限は1か月あたり150万円です。業界裏話ヒント:年4回以上支給される賞与は標準賞与額ではなく報酬として扱われ、毎月の標準報酬月額に組み込まれる。支給回数の設計次第で保険料の基礎が変わるため、賞与制度を変えるときは人事より先に社会保険労務士に見せた方がよい
本当です。定時決定(21条)はこの3か月の平均報酬で9月からの1年分を決めるためです。ただし標準報酬月額が下がれば将来の報酬比例部分も同じだけ下がります。業界裏話ヒント:繁忙期が構造的に4月から6月に来る業種には、年間平均で算定し直す保険者算定の申立てが用意されている。残業を無理に削るより、この申立ての要件に当てはまるかを先に確認する方が筋がいい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 何を定めているか | 81条:保険料の徴収根拠と算定式(標準報酬月額・標準賞与額 × 保険料率) | — |
| 誰に向けられた規律か | 政府等(徴収主体)と保険料額の計算そのもの | — |
| 実務で効く場面 | 控除額の検算、標準報酬の等級確認、賞与保険料の算定 | — |
| 隣接する例外規定 | 81条の2(育児休業等期間中の保険料免除)、21条(定時決定) | — |
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