厚生年金保険法 第82条(保険料の負担及び納付義務)
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- 被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。
- 2.事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
- 3.被保険者が同時に二以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。
- 4.第二号厚生年金被保険者についての第一項の規定の適用については、同項中「事業主は」とあるのは、「事業主(国家公務員共済組合法第九十九条第六項に規定する職員団体その他政令で定める者を含む。)は、政令で定めるところにより」とする。
- 5.第三号厚生年金被保険者についての第一項の規定の適用については、同項中「事業主は」とあるのは、「事業主(市町村立学校職員給与負担法(昭和二十三年法律第百三十五号)第一条又は第二条の規定により給与を負担する都道府県その他政令で定める者を含む。)は、政令で定めるところにより」とする。
この条文の基本情報
保険料の負担及び納付義務とは何ですか?
定義保険料の負担及び納付義務とは、厚生年金保険法第82条に定められた規定で、「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第82条(保険料の負担及び納付義務)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第82条の条文原文は「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。」で始まります。
- 厚生年金保険法第82条は第五章に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第82条の前の条は厚生年金保険法第81条の3です。
- 厚生年金保険法第82条の次の条は厚生年金保険法第83条です。
- 厚生年金保険法第82条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第82条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第82条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/82
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法82条は、保険料を被保険者と事業主が折半して負担し、その全額を国に納付する義務は事業主のみが負うと定める。被保険者に納付義務はない。
Q · 会社が厚生年金保険料を納めていなかったら、私が国から請求されるんですか?
折半で負担、国に納めるのは会社だけの義務です
厚生年金保険法82条1項により、保険料は被保険者と事業主が半額ずつ負担します。しかし2項は、被保険者負担分を含む保険料全額を国に納付する義務を事業主だけに課しています。したがって会社が滞納しても、年金事務所が本人に請求することはありません。給与から控除されていた事実が確認できれば、厚生年金特例法により被保険者期間として記録が回復されます。ただし資格取得届が未提出であれば、回復すべき記録自体が存在しません。
解説
給与明細の厚生年金保険料の欄に並ぶ数字は、あなたのために国へ入る金額の半分でしかない。同額を会社が負担している(1項)。だが本条の急所は2項にある。国に対して保険料を納める義務を負うのは、事業主だけである。あなたには納付義務がない。つまり会社が天引きした保険料を年金事務所に納めなかったとしても、国はあなたに請求できない。逆に言えば、自分の保険料が本当に納付されたかを日常的に確認する術を、あなたは持たされていない。給与から控除された事実さえ証明できれば、事業主が滞納していても年金記録を回復する道は用意されている(厚生年金特例法)。しかし会社がそもそも資格取得届を出していなければ、記録は最初から存在しない。制度に守られている部分と、丸腰の部分。その境界線を引いているのが、この2項である。
法的な位置づけ
厚生年金保険法82条は、保険料の負担と納付義務の帰属を定める規定である。1項は被保険者と事業主が保険料の半額ずつを負担すると定め、2項は被保険者負担分を含む保険料全額の納付義務を事業主に課す。3項は二以上の事業所に使用される場合の按分を政令に委任し、4項・5項は第二号・第三号厚生年金被保険者について事業主の範囲を読み替える。
手順
- 1.在職中にねんきんネットで被保険者記録を照会する ねんきんネットまたは年金事務所の窓口で、加入期間と各月の標準報酬月額を確認する。退職後は社内資料へのアクセスが絶たれるため、着手は必ず在職中に行う
- 2.給与明細と年金記録を一件ずつ突き合わせる 毎月の給与明細の厚生年金保険料控除額を、記録上の標準報酬月額から算出される本人負担額(保険料率の半額)と照合する。加入期間の欠落や標準報酬月額のずれを洗い出す
- 3.天引きの事実を示す資料を時系列で保全する 給与明細・源泉徴収票・雇用契約書・タイムカードの写しを月順に保存する。事業主が控除の事実を争ったとき、82条2項の下で記録回復を支える唯一の証拠になる
- 4.年金事務所に記録訂正を申し出る 年金事務所へ訂正の申出を行う。事業主が届出漏れや滞納を認めない場合でも、厚生年金特例法に基づく訂正請求の道が残る。徴収権の2年時効(92条)と記録訂正請求は別軌道である
よくある質問 AI による整理
Q1厚生年金保険料はいくら引かれますか?
保険料率は18.3%で、厚生年金保険法82条1項の労使折半により本人負担は標準報酬月額の9.15%です。賞与にも標準賞与額に同じ率がかかります。
Q2厚生年金保険料の納付期限はいつですか?
事業主はその月の保険料を翌月末日までに納付します(83条)。給与からの控除は前月分を当月給与から行うのが原則です(84条)。
Q3会社が厚生年金に加入してくれないときは?
働き方の実態が雇用であれば、名目が業務委託でも被保険者に該当しえます。年金事務所へ申し出れば、事業主は82条の負担・納付義務を免れません。
Q4育児休業中の厚生年金保険料は免除されますか?
事業主が申出をすれば、育児休業等の期間中は本人負担分と事業主負担分がともに免除されます(81条の2)。免除期間も納付したものとして年金額に反映されます。
Q5賞与からも厚生年金保険料は引かれますか?
引かれます。標準賞与額に同じ保険料率をかけ、82条1項どおり労使で折半します。標準賞与額には1か月あたり150万円の上限があります。
Q6厚生年金保険料の滞納は何年遡って請求されますか?
保険料を徴収する権利は納期限の翌日から2年で時効消滅します(92条)。未加入が発覚しても、遡及徴収は原則として2年分までです。
Q7子ども・子育て拠出金も労使折半ですか?
折半しません。拠出金は事業主が全額負担するため、給与明細には一円も現れません。82条の折半は厚生年金保険料についての規律です。
Q8公務員の厚生年金保険料は誰が負担しますか?
第二号・第三号厚生年金被保険者には82条4項・5項の読替えが適用され、職員団体や県費負担教職員の給与を負担する都道府県も事業主に含まれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が社会保険料を滞納していたら、私の年金は減るんですか?
原則として減らない。納付義務を負うのは事業主だけであり(2項)、あなたは国に対する納付義務者ではない。給与から控除されていた事実が確認できれば、厚生年金特例法により保険料納付があったものとして記録に反映される。実務のポイント:その確認の決め手は、あなたが持っている給与明細である。事業主が「控除していない」と主張したとき、明細を捨てていた人と保存していた人とで結論が割れる
Q2社長から「保険料の半分は君の負担だから」と言われましたが、割合を変えることはできますか?
1項は労使折半を定めるが、事業主が本人負担分まで負担することは被保険者に有利なので妨げられない。逆に、被保険者に半額を超えて負担させる合意は本条に反し効力を持たない。実務のポイント:事業主が本人負担分を肩代わりした場合、その分は原則として給与課税の対象になる。手取りが増えたつもりで年末に精算されることがあるので、税務処理まで確認してから受け入れる
Q3二つの会社で役員をしています。両方から保険料を引かれるんでしょうか?
二以上事業所勤務の届出をすると、両社の報酬を合算して標準報酬月額を決定し、各事業主が報酬額に応じて按分した保険料を負担・納付する(3項、厚生年金保険法施行令)。二重取りにはならない。実務のポイント:届出をしないまま各社が別々に計算していると、調査で最大二年分を遡って請求される。しかも遡及分は事業主が一括で払うことになり、退職済みの本人負担分の回収で揉めるのが典型パターン
Q4退職月の給与から社会保険料が2か月分引かれていました。ミスでは?
ミスとは限らない。保険料は前月分を当月給与から控除するのが原則なので(84条)、最終月は前月分と当月分をまとめて控除することになる。月末退職の場合に起きやすい。実務のポイント:月末の前日に退職すると当月分の保険料は労使とも発生しない。ただしその月の被保険者期間も付かず、健康保険の資格も一日早く切れるので、空白期間の国民健康保険の手続が必要になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が半分払ってくれている」という言い方自体が、実は問いをずらしている。法律上は1項どおり労使折半で間違いないが、経済学では事業主負担分も人件費として賃金水準にあらかじめ織り込まれているという議論(保険料の帰着)がある。恩恵として受け取るか、自分の労働費用の一部として見るかで、賃上げ交渉の場での立ち位置が変わる
- 保険料が天引きされていることは誰でも知っている。だが「納付義務者が自分ではない」ことの深刻度はほとんど理解されていない。会社が倒産しても、あなた個人に未納保険料の請求書は届かない。その代わり、納付されたかどうかを確認する権限も手続も、あなたの側には日常的に開かれていない。得と失は同じ一枚のコインの裏表である
- 「未納があると年金が減る」は国民年金の話であって、厚生年金にはそのまま当てはまらない。給与から控除されていた事実が確認できれば、事業主の滞納期間も記録として回復されうる。ただし条件がある。そもそも資格取得届が提出されていなければ、回復すべき記録が存在しない。守られるのは「天引きされていた人」であって「働いていた人」ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律している内容 | 82条:保険料の労使折半(1項)と事業主の納付義務(2項) | 83条:保険料の納期限(原則として翌月末日) 84条:事業主が被保険者の報酬から本人負担分を控除する権限 |
| 義務を負う主体 | 負担は労使双方、国への納付義務は事業主のみ | 事業主(納期限までの納付) 事業主(控除は権限であり、控除後は預り金的性格を帯びる) |
| 被保険者側の立場 | 半額を負担するが、国に対する納付義務者ではない | 納期限の遵守について責任を負わない 控除を受忍する立場、控除の事実が後の記録回復の証拠になる |
| 違反・不履行のときの帰結 | 滞納しても本人に請求は及ばず、控除の事実があれば記録回復の余地 | 延滞金の加算(87条)、督促と滞納処分(86条) 控除しないまま納付すれば事業主が実質全額を負担する結果になる |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾の労工保険は普通事故保険料を投保単位・被保険者・政府の三者で分担し、労使折半ではない。保険料の申報納付義務は投保単位(事業主)に集中する点は日本と共通する
韓国も事業場加入者について本人の寄与金と使用者の負担金を折半し、使用者が源泉控除して納付する。構造は日本法とほぼ同型で、継受関係を色濃く残す
用人単位と職工がそれぞれ基本養老保険料を納付するが、用人単位が自ら申告し全額を納付し、職工負担分は代扣代繳(源泉徴収)する。納付義務の集中という点で日本82条2項と機能的に一致する
ドイツも被用者について労使が保険料を折半して負担し(SGB VI § 168)、社会保険料全体の支払義務者(Beitragsschuldner)は使用者とされる(SGB IV § 28e)。日本82条の原型に最も近い
フランスは老齢保険料を使用者負担分と被用者負担分に分けるが、比率は折半ではない。もっとも申告納付の義務は使用者に一元化されており、納付義務者の集中という設計思想は共通する
米国の社会保障税は被用者税(§ 3101)と使用者税(§ 3111)が同率で、実質的に折半となる。使用者が源泉徴収して納付する義務を負い(§ 3102)、未納は使用者の責任として追及される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 毎月の給与明細でしっかり天引きされていたのに、会社が年金事務所に一円も納めていなかったとしたら、あなたの老後の年金はどうなる? 答えは「原則として減らない」。納付義務者は事業主であり(2項)、控除の事実が確認できれば厚生年金特例法により被保険者期間として記録訂正される。ただしその立証資料は、あなたが捨ててしまった給与明細の中にある
- 資金繰りが苦しく、社会保険料の納付を三か月止めた事業主の側から見る。年金事務所から督促状が届いたとき直視すべきは、滞納額の半分が従業員の給与から預かった金だという構造だ。延滞金が加算され(87条)、督促の指定期限を過ぎれば国税滞納処分の例により財産を差し押さえられる(86条)。分割納付の協議は、督促状を待たず自分から出向いたかどうかで温度がまるで違う
- 二つの会社で役員を兼務している。どちらの会社も、自社の報酬だけで保険料を計算している。二以上事業所勤務の届出を出していないだけで、調査が入れば報酬を合算して計算し直され、最大二年分を遡って請求される(3項、厚生年金保険法施行令)
- 退職日まであと三日。上司から「月末付でいいよね」と言われている。3月31日退職なら資格喪失は4月1日となり3月分の保険料が労使双方にかかる。3月30日退職なら3月分はかからない。ただし前者は年金記録が一か月増え、健康保険の資格も一日長い。どちらが得かは、次の職場が決まっているかで逆転する
- 友人が「うちの会社、社会保険に入れてくれなくて業務委託扱いなんだ」と相談してきた。確認すべきは契約書の表題ではなく働き方の実態だ。指揮命令を受け勤務時間が管理されているなら、名目が業務委託でも被保険者に該当しうる。該当するなら、事業主は保険料の半額を負担し納付する義務を免れない(1項、2項)
取るべき行動
被害を受けた側:1. ねんきんネットまたは年金事務所で被保険者記録を照会し、加入期間と標準報酬月額を給与明細と一件ずつ突き合わせる2. ずれがあれば給与明細・源泉徴収票・雇用契約書を時系列で保全する。天引きの事実を示すこの紙束が唯一の武器になる3. 年金事務所に記録訂正を申し出る。事業主が届出漏れや滞納を認めない場合でも、厚生年金特例法に基づく訂正請求の道が残る4. 必ず在職中に着手すること。退職後は社内資料へのアクセスが絶たれる
訴えられた側:1. 滞納が生じたら督促状を待たず年金事務所へ自ら相談する。換価の猶予や分割納付の協議は、自主申告のほうが明らかに通りやすい2. 従業員から控除した分を納めていない状態は、単なる資金繰りの遅れではなく預り金の未納として評価されると認識する3. 資格取得届の漏れは最大二年遡って徴収されるので、パート・アルバイト・役員兼務者の適用要件を先に総点検する4. 二以上の事業所で使用される者については届出を行い、報酬按分による計算に切り替える(3項)
時効(請求できる期限):保険料を徴収する権利は、納期限(原則として翌月末日、83条)の翌日から2年で時効消滅する(92条)。未加入や未納が発覚しても、遡及徴収は原則2年分まで。一方、被保険者側の年金記録訂正の請求には期限がなく、厚生年金特例法により2年より前の期間も記録が回復されうる。徴収の時効と記録回復の可否は、別々の軌道で動いている
学説
通説:82条は負担と納付義務を意図的に分離した規定であり、国は事業所のみを徴収の相手方とすることで徴収コストと未納率を抑える一方、被保険者の記録上の不利益は給付段階の救済(厚生年金特例法による記録回復)で吸収する設計と理解されている
通説:1項の折半は被保険者保護のための最低基準であり、事業主が本人負担分まで負担する合意は有効だが、被保険者に半額を超えて負担させる合意は本条に反し効力を持たないと解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成24年(2012年)被用者年金一元化法、平成27年(2015年)10月1日施行 共済年金を厚生年金に統合したことに伴い、国家公務員共済組合員(第二号厚生年金被保険者)および地方公務員共済組合員(第三号厚生年金被保険者)について、事業主の範囲を読み替える4項・5項を新設。職員団体や県費負担教職員の給与負担者である都道府県を事業主に含める処理を明文化した
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 改正:厚生年金保険法の全部改正により現行法が成立し、保険料の労使折半と事業主の納付義務が現行の条建てで整理された
- 2.平成24年(2012年)成立・平成27年(2015年)10月1日施行 改正:被用者年金一元化法により共済年金を厚生年金に統合。第二号・第三号厚生年金被保険者について事業主の範囲を読み替える4項・5項を新設し、職員団体や県費負担教職員の給与を負担する都道府県を事業主に含める処理を明文化した
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