厚生年金保険法 第84条(保険料の源泉控除)
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- 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなつた場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
- 2.事業主は、被保険者に対して通貨をもつて賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。
- 3.事業主は、前二項の規定によつて保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。
この条文の基本情報
保険料の源泉控除とは何ですか?
定義保険料の源泉控除とは、厚生年金保険法第84条に定められた規定で、「事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなく…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第84条(保険料の源泉控除)は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第84条の条文原文は「事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなく…」で始まります。
- 厚生年金保険法第84条は第五章に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第84条の前の条は厚生年金保険法第83条の2です。
- 厚生年金保険法第84条の次の条は厚生年金保険法第84条の2です。
- 厚生年金保険法第84条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第84条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第84条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/84
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法84条は、事業主が給与から控除できるのは原則として前月分の保険料と定める。退職などで資格を喪失する月に限り、前月分とその月の分を合わせて控除できる。
Q · 退職した月の給料から厚生年金が二か月分引かれていたけど、これって間違いじゃないの?
退職月に二か月分を控除するのは84条が認めた正規の処理です
厚生年金保険法84条1項は、事業主が報酬から控除できる保険料を原則として被保険者負担分の前月分に限定していますが、括弧書きで、被保険者がその事業所に使用されなくなった場合には前月分とその月の分をまとめて控除できると定めています。月末退職だと資格喪失日が翌月1日になり退職月も被保険者期間に入るため、最後の給与で二か月分が控除されます。3項により、事業主は控除に関する計算書を作成し、控除額を本人に通知する義務を負います。
解説
退職した月の最後の給与明細を見て、厚生年金保険料が二か月分引かれていた。計算ミスではない。厚生年金保険法84条1項がそれを正面から認めている。この条文の本体は「被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料を報酬から控除することができる」という一行だ。つまり事業主が今月の給与から差し引けるのは原則として前月分の保険料であって、当月分ではない。ところが退職、法律の言葉でいう資格喪失の場面だけは括弧書きで例外が立ち、前月分とその月の分をまとめて控除できる。さらに3項は、控除したら計算書を作って本人に通知しなければならないと事業主に義務を課している。あなたが給与明細の控除欄の根拠を尋ねる行為は、遠慮すべきクレームではなく、条文が最初から予定していた手続である。
法的な位置づけ
厚生年金保険法84条は保険料の源泉控除を定める規定であり、事業主が報酬から控除できるのは原則として被保険者が負担すべき前月分の保険料に限られる。被保険者が使用されなくなった場合は前月分とその月の分を、賞与については標準賞与額に係る保険料を控除でき、控除の際は計算書の作成と被保険者への通知が義務づけられる。
手順
- 1.直近三か月分の給与明細を並べて検算する 厚生年金の控除額が標準報酬月額の9.15% と一致するかを確認する。標準報酬月額は年金事務所の決定通知または「ねんきんネット」で確認できる。ずれがあれば控除対象月がずれている可能性が高い
- 2.自社が前月控除方式か当月控除方式かを確定させる 84条1項の原則は前月分の控除。人事・給与担当に「控除しているのは前月分ですか、当月分ですか」と方式そのものを先に確認する。方式が分からないまま金額だけ争っても議論が噛み合わない
- 3.3項の計算書を根拠に内訳開示を書面で求める 「社会保険料」一行の表示では厚生年金・健康保険・雇用保険の内訳が判別できない。84条3項の通知義務を根拠に、在職中にメールなど記録の残る形で内訳の開示を依頼する
- 4.退職日を決める前に月末・月末前日の差を試算する 月末退職は資格喪失日が翌月1日となり退職月も被保険者期間に入る。月末前日退職なら退職月の厚生年金保険料は発生しないが、その月は国民年金を自分で払い加入月数も一か月減る。転職先の入社日とセットで人事に提示する
- 5.控除されているのに記録が疑わしければ資格の確認請求を行う 年金事務所で被保険者記録を照会し、控除された期間が記録に反映されているかを突き合わせる。空白があれば給与明細を証拠として資格の確認請求を検討する。明細は絶対に廃棄しない
よくある質問 AI による整理
Q1社会保険料の源泉控除とは何ですか?
事業主が給与を支払う際、被保険者が負担すべき保険料をあらかじめ差し引く仕組みです。厚生年金保険法84条が事業主にこの控除権限を与えています。
Q2厚生年金保険料は前月分と当月分どちらが引かれますか?
84条1項の原則は前月分の控除です。当月分を入社初月から控除する運用を採る会社もありますが、その適法性は実務上、解釈が分かれています。
Q3厚生年金保険料の労使折半の割合は?
保険料率は18.3% で固定され、労使が折半するため本人負担は9.15% です。明細に載る金額と同額を会社がもう一枚負担しています。
Q4会社が厚生年金保険料を滞納したら年金はもらえない?
納付義務は82条で事業主にあり、控除とは別の話です。資格取得の届出がなされていれば被保険者記録は原則として保護されます。
Q5厚生年金保険料の控除に計算書は必要ですか?
84条3項が計算書の作成と控除額の通知を事業主に義務づけています。実務では給与明細の内訳表示で足りるとされています。
Q6産休・育休中も厚生年金保険料は引かれますか?
所定の申出により保険料が免除される制度があり、免除期間は84条の控除対象そのものが発生しません。免除には事業主の届出が必要です。
Q7厚生年金保険料を多く引かれていたら返還請求できますか?
過大控除分は賃金請求権として事業主に返還を求められます。保険料の徴収・還付を受ける権利は92条により2年で時効消滅します。
Q8退職後に社会保険料の内訳を会社へ問い合わせできますか?
可能ですが実務上ハードルが上がります。賃金台帳の保存期間(労働基準法109条、当分の間3年)を過ぎると資料自体が残りません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1退職した月の給料から社会保険料が2回分引かれてたんですけど、これって普通ですか?
84条1項の括弧書きが認めた正規の処理である。月末退職だと資格喪失日が翌月1日になり退職月も被保険者期間に入るため、前月分とその月の分をまとめて控除できる。実務のポイント:月末の前日に退職すれば退職月の厚生年金保険料は発生しないが、その月は国民年金を自分で払うことになり、厚生年金の加入月数も一か月減る。目先の一万円台と生涯の年金額の交換だと理解したうえで退職日を決める
Q2入社した月の給料から社会保険料が引かれてませんでした。あとでまとめて請求されますか?
原則として引かれないのが正しい姿である。1項が認めるのは前月分の控除なので、入社初月には控除すべき前月分が存在しない。翌月の給与から前月分が乗り、以後は一か月遅れで進む。実務のポイント:入社初月から控除する当月控除方式を採る会社もあるが、1項の文言がこれを当然に想定しているかは実務上、解釈が分かれている。入社時に方式を確認しておくと、退職時の精算で揉めない
Q3ボーナスからも厚生年金が引かれるのは何条ですか。上限はありますか?
2項が賞与からの控除を認めている。基礎となる標準賞与額には上限があり、厚生年金は一か月あたり150万円まで(同じ月に複数回支給された賞与は合算して判定)。これを超える部分に保険料はかからない。実務のポイント:健康保険の上限は年度累計573万円で計算単位そのものが違う。高額賞与を月またぎで分割すると厚生年金保険料は増えるが、その分だけ将来の年金額も増える。損得は受給見込み年数で反転する
Q4明細に「社会保険料」とだけ書いてあって内訳が分かりません。分けて書いてもらえますか?
3項は控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知することを事業主に義務づけている。実務では給与明細の内訳表示で足りるとされるが、厚生年金と健康保険と雇用保険を一行にまとめる表示は通知として不十分になりうる。実務のポイント:内訳開示の依頼は在職中にメールなど記録の残る形で出す。退職後は担当者が代わり、賃金台帳の保存期間(労働基準法109条、当分の間3年)の壁に当たる
間違えやすい点 AI による整理
- 労使折半であることは多くの人が知っているが、折半の重さを見誤っている。あなたの明細に載る9.15%の隣で、会社は同額をもう一枚払っている。厚生年金保険料率は18.3%で固定されているので、年収500万円なら労使合わせて年90万円超が動く。転職の年収交渉で会社が社会保険料の事業主負担まで含めた人件費で考えているのは、この一枚が理由である
- 「今月の給与から引かれているのは今月分の保険料」という前提で検算すると、必ず一か月ずれて合わない。問いの立て方そのものが誤っている。1項の原則は前月分の控除であり、入社初月から控除する当月控除方式を採る会社は例外的な運用で、その適法性については実務上、解釈が分かれている。まず自社がどちらの方式かを確定させないと、検算は永久に合わない
- 控除されている以上、会社が年金の保険料を納めてくれているはずだと考えがちだが、控除と納付は別々の条文の話である。納付義務は82条で事業主に課されており、84条の控除はその原資を給与から回収する権限にすぎない。事業主が滞納しても、届出がなされていればあなたの被保険者記録は原則として保護される。逆に資格取得の届出自体がされていなければ、控除されていても記録は空白のままになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 84条:事業主が報酬・賞与から本人負担分を控除する権限 | 82条:保険料の労使折半負担と事業主の納付義務 83条:保険料の納期限(翌月末日) |
| 義務を負う相手 | 被保険者に対する通知義務(3項の計算書) | 国(実施機関)に対する納付義務 国(実施機関)に対する期限内納付 |
| 違反したときの帰結 | 過大控除は賃金の未払いとして返還対象、通知欠如は労務トラブルの温床 | 滞納すれば督促・滞納処分の対象、被保険者記録は届出があれば保護 納期限徒過で延滞金が発生し滞納処分に進む |
| 労働者側の使いどころ | 控除額の検算と内訳開示の請求根拠 | 会社が半分負担している事実の確認(人件費交渉の材料) 控除済み保険料が預り金であることの裏づけ |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾も投保単位(事業主)が賃金支払時に被保険者負担分を控除して納付する構造で、控除権限と納付義務を事業主に集中させる点は日本と同型
韓国も使用者が毎月の賃金から加入者負担分の寄与金を控除する仕組みを採り、負担割合も労使折半である点で日本と近い
用人単位が従業員負担分を代扣代繳する構造。控除と納付を単位に一本化する点は共通するが、地域ごとに料率と徴収実務が分かれる
ドイツは源泉控除の遡及可能範囲を条文で明示的に制限しており、控除漏れを後から取り戻せる範囲が限定される点が日本より明確
米国は社会保障を税として構成し、雇用主が従業員負担分を源泉徴収して納付する。控除内容の通知は給与明細および Form W-2で行われる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 9月30日付で退職し、最後の給与から厚生年金保険料が二か月分引かれた。同僚は9月29日付で辞めて一か月分だった。資格喪失日は退職日の翌日という仕組みと84条1項の括弧書きが噛み合った結果、一日の差が一万円台の差になった
- 入社初月の給与から社会保険料が引かれていなかったとしたら、それは会社が得をしているのか、それともあなたの後払いなのか。答えは後者ですらない。1項は前月分の控除を認める規定なので、入社初月は控除すべき前月分がそもそも存在しない。翌月から一か月遅れの列が動き始め、その列の最後尾が退職月にまとめて精算される
- あなたが十数人の会社の経理担当で、社長から「資金繰りが苦しいから今月の社会保険料の納付は来月に回せ」と指示された。納期限は翌月末日(83条)。だが従業員の給与からはすでに本人負担分を控除済みで、その金銭は会社の運転資金ではなく預り金である。滞納すれば延滞金に加えて滞納処分の対象になり、督促状の指定期限は発する日から十日程度しか置かれない
- ボーナス80万円と聞いて計算した手取りより、実際の振込額が少ない。2項が標準賞与額に係る保険料を賞与から直接控除することを認めているためだ。厚生年金の標準賞与額は一か月あたり150万円が上限で、同じ月に複数回支給された賞与は合算して判定される。支給を月またぎで分けるかどうかが、保険料にも将来の年金額にも効いてくる
- 給与明細に「社会保険料」という一行しかなく、厚生年金と健康保険と雇用保険の内訳が分からない。3項は控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならないと定めている。内訳の説明を求めるのは、条文が事業主に負わせた義務の履行を求めているだけだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 直近三か月分の給与明細を並べ、厚生年金の控除額が標準報酬月額の9.15%と一致するか検算する2. ずれていたら、控除しているのが前月分か当月分かを人事に確認する。方式が分からないまま争っても噛み合わない3. 3項の計算書(実務上は給与明細の内訳表示で代替)を根拠に、厚生年金と健康保険を分けた内訳の開示を求める4. 控除されているのに記録が疑わしい場合は年金事務所で被保険者記録を照会し、必要なら資格の確認請求を行う。給与明細は控除の事実を示す証拠なので廃棄しない
訴えられた側:1. 控除できるのは前月分が原則。当月控除の慣行を採っているなら、就業規則と入社時説明で方式を明示し、退職時の精算ルールを文書化する2. 資格喪失月に二か月分を控除する場合は、支給前に本人へ理由を通知する。無説明の二重控除は賃金トラブルの典型3. 3項の計算書は給与明細の内訳表示で足りるが、社会保険料を一行にまとめる表示は通知として不十分になりうる4. 控除した本人負担分は預り金である。納期限(83条、翌月末日)を過ぎれば延滞金と滞納処分の対象になり、資金繰りの調整弁には使えない
時効(請求できる期限):84条自体に固有の時効はない。関連する期限は三つ。事業主の納付期限は翌月末日(83条)。保険料等を徴収する権利および還付を受ける権利は2年で時効消滅する(厚生年金保険法92条、起算点は納期限の翌日)。過大控除分の返還など賃金に関する請求権は、労働基準法115条により本来5年だが附則で当分の間3年、起算点は各給与の支払期日(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:84条は労働基準法24条1項の賃金全額払い原則に対する「法令に別段の定め」として位置づけられ、控除できる範囲は条文が明示した前月分、資格喪失月の二か月分、標準賞与額に係る保険料に限られると理解されている
実務上の議論:入社初月から控除する当月控除方式については、1項が前月分の控除を予定している文言との整合性をめぐって解釈が分かれており、就業規則および入社時説明での方式明示が実務上の解決策とされている
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)総報酬制の導入 賞与にも月給と同率の保険料を課す総報酬制へ移行し、標準賞与額に係る保険料を賞与から控除する現行2項の枠組みが整備された。新設か既存規定の改正かは要検証
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:厚生年金保険法の全部改正により現行法が成立し、事業主による保険料の源泉控除と計算書の作成・通知義務が条文として整備された(前身は労働者年金保険法。詳細な条番号の対応は要検証)
- 2.平成15年(2003年) 改正:総報酬制の導入により賞与にも月給と同率の保険料が課されることとなり、標準賞与額に係る保険料を賞与から控除する現行2項の枠組みが整備された(新設か既存規定の改正かは要検証)
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