厚生年金保険法 第74条
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障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、第五十二条第一項の規定による改定を行わず、又はその者の障害の程度が現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして、同項の規定による改定を行うことができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第74条は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第74条の条文原文は「障害厚生年金の受給権者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げ…」で始まります。
- 厚生年金保険法第74条は第五節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第74条の前の条は厚生年金保険法第73条の2です。
- 厚生年金保険法第74条の次の条は厚生年金保険法第75条です。
- 厚生年金保険法第74条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第74条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第74条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/74
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法74条は、故意・重大な過失・正当な理由のない療養指示不履行で障害を悪化させた場合、実施機関が額改定を行わない、又は軽い等級として改定できると定める裁量規定である。
Q · 障害が重くなったのに、障害厚生年金が増額されないことってあるんですか?
あります。ただし裁量規定なので争う余地は残ります
厚生年金保険法74条により、故意、重大な過失、又は正当な理由のない療養指示不履行で障害を増進させ、又は回復を妨げた場合、実施機関は52条1項の額改定を行わないことができます。さらに、現に該当する障害等級以下の等級に該当するものとして改定することも文言上可能です。ただし条文は「行うことができる」という裁量規定であり、要件も「重大な」過失、「正当な理由がなくて」と絞られています。副作用や経済的事情を診療録に残せているかが結論を左右します。
解説
薬の副作用がつらくて自己判断で服用をやめた。仕事が続かず通院を半年あけた。その間に症状は重くなり、等級が上がるはずだと額改定を請求する。ところが増額されない。その根拠が厚生年金保険法74条だ。故意、重大な過失、または正当な理由なく療養に関する指示に従わないことで障害を悪化させた、もしくは回復を妨げたと判断されると、実施機関は52条1項の額改定を行わないことができる。条文はさらにもう一段用意している。現に該当する等級以下の等級に該当するものとして改定する、つまり実際の重さより軽い等級として扱う改定も文言上は可能である。ただし全体が「できる」で終わっている点を見落としてはならない。自動的に発動する減額装置ではなく、実施機関の裁量規定である。裁量である以上、あなたが「正当な理由」を記録として持っているかどうかが、そのまま結論を動かす。
法的な位置づけ
厚生年金保険法74条は、障害厚生年金の額改定に関する給付制限規定である。受給権者が故意、重大な過失、又は正当な理由のない療養指示の不履行により障害の程度を増進させ、又は回復を妨げた場合、実施機関は52条1項による額改定を行わないこと、又は現に該当する障害等級以下の等級として改定することができる。効果は裁量に委ねられている。
よくある質問 AI による整理
Q1厚生年金保険法74条とは?
障害厚生年金の額改定を制限する規定です。故意、重大な過失、正当な理由のない療養指示不履行で障害を増進させた場合、実施機関は52条1項の額改定を行わないことができます。
Q2障害年金は悪化しても増額されないことがある?
あります。厚生年金保険法74条の要件に当たると判断されると額改定が行われません。さらに現に該当する等級以下の等級として改定される可能性も条文上は残されています。
Q3通院をやめると障害年金は止まりますか?
74条が触るのは額の改定であって、すでに発生している受給権そのものではありません。支給の全部または一部を行わない場面は73条など別の条文が受け持ちます。
Q4障害年金の額改定請求はいつからできますか?
受給権取得日または直近の診査日から1年を経過した後が原則です(厚生年金保険法52条3項)。障害の程度が増進したことが明らかな場合には例外があります。
Q5額改定で等級が下がることはありますか?
74条は現に該当する障害等級以下の等級に該当するものとして改定できると定めており、実際の状態より軽い等級として扱う改定が文言上は可能です。運用の幅は解釈が分かれる論点です。
Q6経済的に通院できない場合も制限されますか?
条文は「正当な理由がなくて」と限定しており、経済的困窮は正当な理由たりうる事情です。自立支援医療や高額療養費の相談記録が残っていれば説明の裏づけになります。
Q7障害年金の処分に不服があるときの期限は?
処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求、決定書謄本の送付を受けた日の翌日から2か月以内に社会保険審査会へ再審査請求します。
Q8家族が通院を中断している場合どうすればいい?
通院再開の付き添いに加え、中断していた理由を主治医に説明して診療録へ残してもらうことが重要です。数年後の額改定の可否は当時の記録に左右されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1副作用がひどくて薬を飲むのをやめたんですが、これって「正当な理由」になりますか?
なりうる。条文は「正当な理由がなくて療養に関する指示に従わない」場合に限定しており(厚生年金保険法74条)、副作用の重さ、主治医への相談の有無、代替治療を探したかどうかで判断が分かれる。実務上、評価の幅がある論点である。実務のポイント:判断材料はほぼ診療録に集約される。中断した「その時」に理由を伝えて記載してもらった人と、数年後に口頭で説明する人とでは、同じ事情でも結論が変わる
Q2額改定を認めないと言われました。もう諦めるしかないですか?
諦める必要はない。保険給付に関する処分に不服があれば社会保険審査官へ審査請求でき(厚生年金保険法90条)、その決定にも不服なら社会保険審査会へ再審査請求できる。実務のポイント:74条は「行うことができる」という裁量規定である。だから「私の障害は重い」と繰り返すより、裁量の前提となった事実認定(本当に指示不履行だったのか、悪化との因果があるのか)を崩す方が筋がよい。この違いを意識できるかどうかで、書面の中身がまるごと変わる
Q3障害基礎年金も一緒にもらっています。両方まとめて止まるんですか?
別建てである。本条が制限するのは障害厚生年金の額改定(厚生年金保険法52条1項)であり、障害基礎年金の額改定については国民年金法に別の規定がある(国民年金法69条、現行効力を要確認)。実務のポイント:1級・2級は基礎と厚生の二階建て、3級は厚生年金のみである。3級から2級に上がると基礎年金が上乗せされるため、改定を止められたときの実損額は等級の境目で桁が変わる。どの境目に立っているかを先に把握しておく
間違えやすい点 AI による整理
- 74条は「増額されないだけの条文」と理解している人が多い。深刻なのはその先である。条文は「現に該当する障害等級以下の障害等級に該当するものとして」改定できると書いている。増額の停止にとどまらず、実際の状態より軽い等級として扱う改定まで射程に入っている。どこまで軽く扱えるのかは実務上、解釈の幅がある論点だが、「最悪でも据え置き」という理解は条文の文言と合っていない
- 「通院をサボったら年金を止められますか」という問いの立て方自体がずれている。74条が触るのは52条1項による額の改定であって、すでに発生している受給権そのものではない。支給の全部または一部を行わない場面は73条など別の条文が受け持つ。自分の状況がどの条文の射程にあるかを取り違えると、争う相手も、集めるべき書類も、主張の組み立ても全部ずれる
- うっかり悪化させたら制限される、と身構える人がいるが、条文が要求するのは「重大な」過失であって、通常の不注意では足りない。療養指示の不履行も「正当な理由がなくて」という限定が付く。副作用、経済的困窮、通院手段の欠如などは正当な理由たりうる。制限されるのは、理由を説明できない不履行である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制限の対象 | 74条:52条1項による障害厚生年金の額改定 | 73条:保険給付そのもの(支給の全部または一部) 73条の2:故意に障害を生じさせた場合の不支給 |
| 主観要件 | 故意、重大な過失、又は正当な理由のない療養指示不履行 | 故意の犯罪行為・故意による事故等 故意に障害またはその直接の原因となった事故を生じさせたこと |
| 効果の性質 | 改定を行わない、又は現に該当する等級以下の等級として改定(裁量) | 給付の全部または一部を行わないことができる(裁量) 支給しない(原則として裁量の余地が狭い) |
| 争い方の軸 | 指示不履行の有無・正当な理由・悪化との因果、裁量の前提事実 | 故意性・因果関係の有無 故意の立証そのもの |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は故意による事故の給付排除を中心に規定し、療養指示不履行を独立の制限事由として明文化する度合いは日本より弱い
韓国は故意・重過失による障害の発生や悪化を給付制限事由とし、日本74条と近い構造をとる
ドイツは受給者の治療措置への協力義務を社会法典総則で一般規定化し、違反時は給付の停止・減額を認める。個別給付法ではなく総則で処理する点が日本と異なる
米国は処方された治療に正当な理由なく従わない場合、障害認定自体を否定する構造。額改定の制限ではなく受給資格の判断に組み込まれている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 副作用がきつく、主治医に相談しないまま薬を半分に減らしていた。その後うつ症状が悪化し、3級から2級への額改定を請求したらどうなる? 争点は障害の重さではなく「正当な理由」の有無に移る。副作用の程度、相談の有無、代替薬を探した形跡、それがカルテに残っているかどうかで結論が割れる
- 主治医から「このままだと透析になる」と何度も言われていた。食事指導も服薬も続かなかった。数年後、腎機能が落ちたあなたは額改定を請求する側に立っている
- 額改定を認めない旨の通知が郵便で届いた。審査請求ができるのは処分を知った日の翌日から3か月以内。診療記録の開示に2週間、主治医の意見書に数週間かかる。机に置いたまま1か月を溶かすと、内容ではなく期間切れで負ける
- 精神疾患で障害厚生年金を受けている弟が、通院をやめて半年家から出ていない。家族としてまず何をするか。通院再開の付き添いだけでなく、中断していた理由を主治医に説明して診療録に残してもらうことが、将来の額改定の可否を左右する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 額改定を認めない旨の通知が来たら、理由欄が74条のどの類型(故意、重大な過失、療養指示の不履行)を指しているか特定する2. 医療機関に診療記録の開示を求め、「指示に従わない」と読める記載の有無と、その時期の自分の事情(副作用、経済的事情、症状そのものによる受診困難)を突き合わせる3. 主治医に、中断が症状や副作用に起因していた旨の意見書を依頼4. 社会保険審査官へ審査請求。74条は裁量規定なので、障害の重さを繰り返すより裁量判断の前提事実の誤りを突く方が届きやすい
訴えられた側:1. 治療を中断する、通院間隔を空ける、処方を自己調整する。そのいずれも実行前に主治医へ理由を伝え、診療録に残してもらう2. 経済的理由なら自立支援医療や高額療養費の相談記録も証拠になる3. 症状そのもの(意欲低下、外出困難)が受診を妨げているなら、それは指示不履行ではなく障害の現れであり、その旨を医師に説明して記載を求める4. 額改定請求の前に、自分の記録を先に確認してから書類を出す
時効(請求できる期限):額改定請求そのものには、受給権取得日または直近の診査日から1年経過後という待機の制約がある(厚生年金保険法52条3項、障害の程度が増進したことが明らかな場合は例外)。不服申立ては、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求、その決定書謄本の送付を受けた日の翌日から2か月以内に社会保険審査会へ再審査請求。取消訴訟は審査請求の決定を経た後でなければ提起できない(審査請求前置。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:74条は効果を「行うことができる」と定める裁量規定であり、要件該当が直ちに額改定の拒否を導くものではない。指示不履行と障害の増進・回復阻害との間の因果関係、及び正当な理由の有無が、裁量判断の前提事実として審査される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)の全部改正により現行法が成立し、障害厚生年金の額改定に関する給付制限規定が置かれた
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