厚生年金保険法 第75条
クイックジャンプ
保険料を徴収する権利が時効によつて消滅したときは、当該保険料に係る被保険者であつた期間に基づく保険給付は、行わない。ただし、当該被保険者であつた期間に係る被保険者の資格の取得について第二十七条の規定による届出若しくは第三十一条第一項の規定による確認の請求又は第二十八条の二第一項(同条第二項及び第三項において準用する場合を含む。)の規定による訂正の請求があつた後に、保険料を徴収する権利が時効によつて消滅したものであるときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 厚生年金保険法第75条は、日本の厚生年金保険法に含まれる条文です。
- 厚生年金保険法第75条の条文原文は「保険料を徴収する権利が時効によつて消滅したときは、当該保険料に係る被保険者であつた期間に基づく保険給付は、行わない。ただし、当該被保険者であつた期間に係る被保険…」で始まります。
- 厚生年金保険法第75条は第五節に置かれています。
- 厚生年金保険法の公布日は昭和29年5月19日です。
- 厚生年金保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 厚生年金保険法第75条の前の条は厚生年金保険法第74条です。
- 厚生年金保険法第75条の次の条は厚生年金保険法第76条です。
- 厚生年金保険法第75条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第75条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 本サイト収録
厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第75条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000115/75
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点厚生年金保険法75条は、保険料の徴収権が時効消滅した期間に基づく保険給付を行わないと定める。ただし時効完成前に届出・確認の請求・訂正の請求があれば、給付は行われる。
Q · 給料から厚生年金は引かれていたのに会社が納めていなかったら、その期間の年金はもらえないの?
原則もらえないが、時効完成前に確認請求をしていれば守られる
厚生年金保険法75条は、保険料を徴収する権利が時効消滅したとき、その保険料に係る被保険者であった期間に基づく保険給付を行わないと定めます。徴収権の消滅時効は各月の納期限の翌日から2年です(92条1項)。ただし同条ただし書により、資格取得の届出(27条)、被保険者資格の確認の請求(31条1項)、年金記録の訂正の請求(28条の2第1項)のいずれかがあった後に時効が完成した場合は、給付は行われます。分かれ目は「納めたか」ではなく「時効完成の前に行政の記録に申出が残っているか」です。
解説
給与明細に「厚生年金保険料」と書かれ、毎月天引きされている。だがその金額が本当に日本年金機構へ渡っているかは、明細を見ても分からない。事業主が納めなかった場合、保険料を徴収する権利は2年で時効消滅する(厚生年金保険法92条1項)。そして本条は、時効で徴収できなくなった保険料に対応する期間について、年金給付を行わないと宣言する。天引きされたのに、年金は増えない。ここまでが原則だ。しかし本条にはただし書がある。事業主による資格取得の届出(27条)、被保険者資格の確認請求(31条1項)、年金記録の訂正請求(28条の2第1項)のいずれかがあった後に時効が完成した場合は、給付は行われる。時効が完成する前に「この期間、確かに働いていた」と行政の記録に残しておけば、事業主の不払いのツケをあなたが背負わずに済む。動くか黙るかで、老後に受け取る額が変わる。
法的な位置づけ
厚生年金保険法75条は、保険料の徴収権が時効消滅した場合における保険給付の不支給を定める規定である。同法92条1項の2年の消滅時効により徴収できなくなった保険料に対応する被保険者であった期間は、原則として保険給付の基礎とされない。ただし書は、時効完成前に届出・確認の請求・訂正の請求があった期間を例外として給付の対象に留める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.被保険者記録を月単位で照会し、空白期間を特定する ねんきんネットまたは年金事務所の窓口で厚生年金の被保険者記録を取得し、勤務期間と突き合わせて抜けている月を1か月単位で特定する。徴収権の時効は月ごとに順次完成するため、どの月が残っているかの把握が最優先になる
- 2.在籍と源泉控除を示す証拠を集める 給与明細、源泉徴収票、雇用契約書、タイムカード、社員名簿、当時の同僚の連絡先などを集める。厚生年金保険料が実際に控除されていた事実(84条)と、その期間に在籍していた事実の二つを示せる資料が中心になる
- 3.年金事務所へ被保険者資格の確認の請求を提出する 空白期間の全体についてまとめて確認の請求(31条1項)を提出する。窓口で相談として処理されないよう、確認の請求として受け付けてほしいと明示し、受付日の分かる控えを保管する。これが75条ただし書を起動させる記録になる
- 4.事業主も資料も残っていない古い記録は訂正の請求へ切り替える 事業所が既に消滅している場合や資料が乏しい場合は、厚生労働大臣への年金記録の訂正の請求(28条の2第1項)を選ぶ。同僚の証言や断片的資料の積み重ねで判断されるため、証拠が薄いという自己判断で申出をやめない
よくある質問 AI による整理
Q1厚生年金保険法75条とは?
保険料の徴収権が時効消滅した期間について保険給付を行わないと定める規定です。ただし書により、時効完成前に届出・確認の請求・訂正の請求があった期間は給付の対象に残ります。
Q2ねんきん定期便で厚生年金の期間が抜けていたら?
まず年金事務所またはねんきんネットで被保険者記録を月単位で照会します。抜けている期間を特定したうえで、被保険者資格の確認の請求(31条1項)を出すのが最初の一手です。
Q3被保険者資格の確認請求はどこに出しますか?
お近くの年金事務所の窓口です。口頭の「相談」では記録が残らないことがあるため、確認の請求として受け付けてほしいと明示し、受付の控えを必ず保管してください。
Q4会社が厚生年金に加入していないのは違法?
適用事業所であれば加入と届出は事業主の義務です(27条)。届出を怠り保険料を納付しない状態は法令違反であり、従業員は確認の請求により自ら記録の回復を求めることができます。
Q5年金記録の訂正請求はいつまでできる?
厚生労働大臣への訂正の請求(28条の2第1項)自体に一律の期限は設けられていません。ただし75条ただし書の救済は徴収権の時効完成前の請求を前提とするため、早期の申出が決定的です。
Q6事業主が保険料を滞納するとどうなる?
納付義務は事業主にあり(82条2項)、源泉控除した保険料を納めない状態が続けば督促・滞納処分の対象になります。徴収権が2年で時効消滅しても、従業員側の請求があれば給付は行われます。
Q7確認請求をすると会社に連絡がいく?
資格の有無を判断するため、年金事務所が事業主に事実関係を照会することがあります。在職中の申出を迷う場合は、給与明細や雇用契約書など自ら立証できる資料を先に確保してください。
Q8年金事務所での記録照会に費用はかかる?
被保険者記録の照会や確認の請求の手続そのものに手数料はかかりません。ねんきんネットを使えば自宅からも確認でき、転職や退職のタイミングが最も点検しやすい時期です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1給料から厚生年金は引かれてたのに、会社が払ってなかったみたいです。私の年金どうなるんですか?
原則として、徴収権が時効消滅した期間(納期限から2年、92条1項)は本条により給付に反映されない。ただし時効完成より前に資格取得の届出(27条)や確認請求(31条1項)があれば、ただし書で給付は行われる。実務のポイント:窓口で「相談」とだけ言うと記録が残らないことがある。必ず「確認請求として受け付けてほしい」と明示し、受付の控えを保管する。この一言の有無が、後から時効前の申出を証明する材料になる
Q2会社が潰れて社長とも連絡がつきません。もう証明のしようがないですよね?
事業主が消えても道は残っている。厚生労働大臣への年金記録の訂正請求(28条の2第1項)は、事業主の協力がなくても本人の資料や関係者の証言をもとに審議される。実務のポイント:同僚の証言、社員名簿、給与明細のコピー、当時の社内報や写真まで判断材料になる。決定的な一枚がなくても、断片の積み重ねで認められた事例は多い。証拠が薄いという自己判断で請求を出さないことが、最大の損失になる
Q3時効の2年って、いつから数えるんですか?
各月の保険料ごとに、その納期限の翌日から2年である(92条1項)。つまり時効は一括ではなく月単位で順次完成し、古い月から静かに消えていく。実務のポイント:この月送りの構造のため、発見から手続きまでの1か月の遅れが、そのまま1か月分の記録の消失に直結する。まず全期間についてまとめて確認請求を出し、細かい立証は後から積み上げる。順序を逆にすると間に合わない
Q4自分で不足分を後から払って、期間を復活させることはできますか?
厚生年金保険料の納付義務者は事業主であり(82条2項)、従業員が個人で遡って納付し期間を回復する制度は原則として存在しない。救済の入口は本条ただし書の届出・確認請求・訂正請求に限られる。実務のポイント:国民年金の任意加入や追納とは制度がまったく別物である。ネット上の「後から払えばいい」という助言は国民年金の話であることが多く、厚生年金にそのまま当てはめると貴重な2年を空費する
間違えやすい点 AI による整理
- 保険料が未納だと年金が減ること自体は、多くの人が知っている。知られていないのは、その不可逆性の深さだ。徴収権の時効はわずか2年(92条1項)、しかも本条により給付そのものが行われなくなる。後から自分で払いたいと申し出ても、事業主が納めるべき厚生年金保険料を従業員が代わりに納めて期間を復活させる仕組みは原則として存在しない。短い時効と取り返しのつかなさが、同時に襲ってくる
- あなたから見れば、給与から天引きされた時点で保険料は納めたことになっている。だが法律から見れば、納付義務者はあくまで事業主であり(82条2項)、天引きは事業主が行う源泉控除(84条)にすぎない。この視点の落差が、事業主が納付を怠ったときにあなたの年金記録を空白のまま放置する
- 「時効になったらもう何もできないのか」という問いの立て方自体がズレている。本条ただし書が見ているのは、時効完成の「前」に届出や請求の記録が残っているかどうかだ。問うべきは「今から何ができるか」ではなく「当時の申出の痕跡がどこかに残っていないか」。年金事務所での記録照会が、最初の一手になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 75条:徴収権が時効消滅した期間の保険給付を行わない(ただし書で救済) | 92条1項:徴収権2年・受給権5年の消滅時効そのものを定める 31条1項:被保険者が自ら資格の確認を請求できる権利を定める |
| 誰が動く条文か | 行政(給付の可否の判断基準) | 行政(保険料徴収の期間制限) 被保険者本人(申出により記録を守る) |
| 時間軸での位置 | 時効完成後の効果を決める | 納期限の翌日から2年の経過を測る 時効完成前に打つべき一手 |
| 怠った場合の帰結 | 当該期間が年金額に反映されない | 保険料の徴収そのものが不能になる ただし書が発動せず75条本文に戻る |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は投保單位(雇主)が加保手続や保険料納付を怠った場合、労工に生じた損失を投保單位が賠償する構成をとる。日本のように給付そのものの可否を時効で切る条文ではなく、雇主への民事的賠償責任に振り替える点が対照的
韓国も事業場加入者の保険料は事業主が納付する建付けだが、体納時に被用者が自らの寄与金部分を個別に納付して加入期間を確保できる特例が置かれているとされる。被保険者が自ら期間を買い戻せる点で日本より救済の幅が広い可能性がある
ドイツは保険料債権の消滅時効を原則4年、故意の未納は30年とし、被用者が賃金から保険料が控除された事実を疎明すれば納付されたものとみなす規定を置く。日本が申出の有無で切るのに対し、ドイツは疎明という証明の水準で切る
フランスは URSSAF による保険料徴収に時効を設けるが、被用者の年金権が使用者の未納によって直ちに失われるかについては別途の規律による。具体条項は要検証
米国は社会保障の収入記録に3年3か月15日の訂正期間制限を置きつつ、記録の誤りを示す証拠があれば期間経過後の訂正を認める例外を設ける。時効の対象が保険料徴収権ではなく記録訂正権である点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- ねんきん定期便を開いたら、5年前に勤めていた会社の期間が丸ごと抜けていた。給与明細には確かに厚生年金が天引きされていたのに、記録がない。この場合どうなる? 徴収権の時効2年を過ぎていれば、原則としてその期間は年金額に反映されない。ただし当時あなたが確認請求を出していたなら、ただし書が発動して給付は守られる
- あなたが小さな飲食店の経営者で、資金繰りが苦しく社会保険料の納付を数か月止めたとする。2年経てば徴収権は時効で消えると考えるのは早計だ。従業員が確認請求を出していれば給付は行われるうえ、納付義務(82条2項)と源泉控除した保険料(84条)をめぐる責任は、時効とは別軌道で残り続ける
- 転職先の総務から「前職の厚生年金の記録が2か月分ありません」と言われる。前職は既に倒産、社長とも連絡が取れない。それでも、あなたが今日打てる一手はまだ残っている
- 年金事務所から、勤務先が保険料を滞納していると連絡が来た。最も古い月の徴収権の時効まであと3か月。この3か月のうちに確認請求(31条1項)を出しておくかどうかが、あなたの老後の受給額を一生分左右する
- 親を看取ったあと、遺族厚生年金の手続きで記録を照会したら、昭和期の勤務先の期間が反映されていなかった。厚生労働大臣への訂正請求(28条の2第1項)は、まさにこうした古い記録の掘り起こしのために置かれた制度で、本条ただし書に直結している
取るべき行動
被害を受けた側:1. ねんきんネットまたは年金事務所で被保険者記録を照会し、抜けている期間を月単位で特定する2. 給与明細・源泉徴収票・雇用契約書・タイムカードなど、在籍と天引きを示す証拠を集める3. 年金事務所へ被保険者資格の確認請求(31条1項)を提出、これが本条ただし書を起動させる鍵になる4. 事業主も資料も存在しない古い記録は、厚生労働大臣への訂正請求(28条の2第1項)へ。窓口では「訂正請求として受け付けてほしい」と明示する
訴えられた側:1. 滞納がある場合、時効を待つ発想を捨てる。従業員の確認請求があれば給付は行われ、未納の責任も消えない2. 納付義務は事業主にあり(82条2項)、源泉控除した保険料(84条)を納めない状態を放置すれば評価は一段と重くなる3. 年金事務所へ自ら早期相談し、納付計画の協議に入る4. 資格取得届(27条)の未提出があれば直ちに提出し、従業員の記録空白そのものを先に塞ぐ
時効(請求できる期限):保険料を徴収する権利の消滅時効は2年(厚生年金保険法92条1項)、起算点は各月の保険料の納期限の翌日で、月ごとに順次完成していく。保険給付を受ける権利の時効は5年(同条同項)。ただし記録訂正に基づく増額分については、年金時効特例法により5年の時効が適用されない場合がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:本条本文は、保険料の拠出と給付の対応関係という保険原理および財源の裏づけを確保する趣旨に基づく。他方でただし書は、納付をコントロールできない被保険者に事業主の不履行の結果を全面的に負わせることの不当性を踏まえ、時効完成前の申出という行動可能性の有無を救済の分水嶺とした調整規定と解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成19年(2007年)前後(要検証) いわゆる年金記録問題を受け、届出または確認請求の後に徴収権が時効消滅した場合を救済するただし書が整備されたとされる。制定年次と改正法名は人的検証が必要
- 平成26年(2014年)前後(要検証) 年金記録の訂正請求制度(28条の2)創設に伴い、ただし書の救済事由に訂正請求が追加されたとみられる。施行日と条項番号は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 改正:厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)の全部改正により現行法が成立。本条の条文構造およびただし書に確認の請求・訂正の請求が加えられた時期と改正法名は人的検証が必要
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める