警察法 第73条(長官の命令、指揮等)
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- 第七十一条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、長官は布告に記載された区域(以下本条中「布告区域」という。)を管轄する都道府県警察の警視総監又は警察本部長に対し、管区警察局長は布告区域を管轄する府県警察の警察本部長に対し、必要な命令をし、又は指揮をするものとする。
- 2.第七十一条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、長官は、布告区域を管轄する都道府県警察以外の都道府県警察に対して、布告区域その他必要な区域に警察官を派遣することを命ずることができる。
- 3.第七十一条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、布告区域(前項の規定により布告区域以外の区域に派遣された場合においては、当該区域)に派遣された警察官は、当該区域内のいかなる地域においても職権を行うことができる。
この条文の基本情報
長官の命令、指揮等とは何ですか?
定義長官の命令、指揮等とは、警察法第73条に定められた規定で、「第七十一条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、長官は布告に記載された区域(以下本条中「布告区域」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 警察法第73条(長官の命令、指揮等)は、日本の警察法に含まれる条文です。
- 警察法第73条の条文原文は「第七十一条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、長官は布告に記載された区域(以下本条中「布告区域」という。」で始まります。
- 警察法第73条は第六章 緊急事態の特別措置に置かれています。
- 警察法の公布日は昭和29年6月8日です。
- 警察法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 警察法第73条の前の条は警察法第72条です。
- 警察法第73条の次の条は警察法第74条です。
- 警察法第73条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第73条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000162 - 本サイト収録
警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第73条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000162/73
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点警察法73条は、緊急事態の布告が発せられたとき、警察庁長官が布告区域の都道府県警察に直接命令・指揮し、他県警察に警察官の派遣を命じられると定める。
Q · 大災害や暴動のとき、国は都道府県の警察を直接動かせるの?
緊急事態の布告が出れば、長官が直接命令できる
平時の都道府県警察は各都道府県公安委員会の管理下にあり、警察庁長官が指揮監督できるのは警察庁の所掌事務に限られます(警察法16条2項)。しかし内閣総理大臣が71条の緊急事態の布告を発すると、73条により長官は布告区域の警視総監・警察本部長に直接命令・指揮でき、他県警察に警察官の派遣も命じられます。布告は20日以内に国会の承認を求める必要があります(74条)。
解説
県警は国の警察ではない。平時の都道府県警察は、各都道府県の公安委員会の管理下にある自治体の組織である。警察庁長官が直接指揮監督できる範囲は、警察庁の所掌事務に限られている(警察法16条2項)。この分権の仕組みを一時的に切り替えるのが本条である。内閣総理大臣が71条の「緊急事態の布告」(大規模災害や騒乱で、国が治安維持の非常体制に入るという公式宣言)を発すると、三つのことが同時に起きる。第一に、長官は布告区域の警視総監・警察本部長に直接命令し、指揮できるようになる。管区警察局長も府県警察の本部長に対して同じことができる。第二に、長官はほかの都道府県警察に、布告区域などへ警察官を送るよう命じられる。平時の応援派遣は、受け入れ側の公安委員会からの要求が前提になる(60条)。本条では、その要求がなくても命令で動かせる。第三に、派遣された警察官は、その区域内であればどこでも職権を行える。この布告は1954年の制定以来一度も発せられていない。だからこそ、この条文を読めば「非常時の警察を誰が動かすのか」という統治の設計図が見えてくる
法的な位置づけ
警察法73条は、緊急事態の布告(同法71条)が発せられた場合における警察の指揮系統の特例を定める規定である。警察庁長官および管区警察局長による布告区域の都道府県警察への直接の命令・指揮、長官による他の都道府県警察への警察官派遣命令、ならびに派遣警察官の区域内全域における職権行使を認める。
よくある質問 AI による整理
Q1警察法の緊急事態の布告とは?
大規模な災害や騒乱などで治安維持のため特に必要なとき、内閣総理大臣が国家公安委員会の勧告に基づき発する宣言です(警察法71条)。
Q2警察庁長官は都道府県警察に命令できる?
平時は警察庁の所掌事務の範囲で指揮監督するにとどまります(16条2項)。緊急事態の布告が出れば、布告区域の警察に直接命令・指揮できます(73条1項)。
Q3他県の警察官の派遣は誰が命令できる?
布告が出た場合、警察庁長官が布告区域以外の都道府県警察に対し、布告区域その他必要な区域への警察官派遣を命じることができます(73条2項)。
Q4緊急事態の布告 国会承認 いつまで?
内閣総理大臣は布告の日から20日以内に国会に付議して承認を求めなければなりません(警察法74条)。不承認なら速やかに布告を廃止します。
Q5警察の緊急事態の布告は誰が出す?
内閣総理大臣です。ただし単独ではなく、国家公安委員会の勧告に基づいて発することが要件とされています(警察法71条1項)。
Q6警視庁は管区警察局の指揮を受ける?
受けません。73条1項で管区警察局長が命令できるのは「府県警察」の本部長に限られ、警視庁と北海道警察には長官が直接命令・指揮します。
Q7派遣された警察官はどこで職権を行える?
布告区域(または派遣先の区域)内であれば、いかなる地域においても職権を行えます(73条3項)。所属県の管轄に縛られません。
Q8緊急事態の布告の要件は?
大規模な災害又は騒乱その他の緊急事態に際し、治安維持のため特に必要があると認められることです。布告には区域・事態の概要・効力発生日時を記載します(71条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1東日本大震災のときって、緊急事態の布告は出たんですか?
出ていない。警察法71条の布告は、1954年の制定以来一度も発せられていないとされる。震災時の全国からの警察官派遣は、主に被災県の公安委員会が要求する援助の枠組み(警察法60条)で行われた。実務のポイント:災害対策基本法105条の「災害緊急事態の布告」も、あの震災では見送られた。現場は重い布告に頼らず、平時の仕組みを最大限に使って回すという運用が定着している
Q2よその県の警察官に職務質問されたら、断ってもいいですか?
状況による。布告区域に派遣された警察官は、区域内のどこでも職権を行える(警察法73条3項)。平時の援助派遣でも、要求した県の公安委員会の管理下で職権を行える(60条3項)。実務のポイント:もともと職務質問は任意であり、応じる義務はない。ポイントは管轄ではなく警察官職務執行法2条の要件である。「他県の警官だから」という理由で争うより、その要件を押さえた方が役に立つ
間違えやすい点 AI による整理
- 「全国の警察は警察庁の下にある一つの組織だ」と思われがちだが、法律の建て付けは逆である。都道府県警察は自治体の組織で、長官が直接命令できるのは原則として限られた事務だけにとどまる。本条はその原則の例外であり、布告という重い手続を踏んだときにしか発動しない
- 「非常時なら警察は何でもできる」と考えるのは視角のずれである。本条が変えるのは、誰が命令し、どこへ派遣し、どの区域で職権を行えるかという指揮と管轄の問題にすぎない。警察官がどんな手段を使えるかという権限の中身は、警察官職務執行法などの規定に縛られたままである。さらに内閣総理大臣は、布告から20日以内に国会の承認を求めなければならない(74条)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動条件 | 警察法73条:71条の緊急事態の布告が発せられたとき | 警察法60条:都道府県公安委員会による援助の要求 警察法16条:平時(常時適用) |
| 指揮・命令の主体 | 長官・管区警察局長が布告区域の警察に直接命令・指揮 | 派遣警察官は要求した公安委員会の管理下で活動 長官は警察庁の所掌事務についてのみ指揮監督 |
| 他県からの派遣 | 長官の命令で派遣(受入側の要求不要) | 受入側公安委員会の要求が前提 派遣の規定なし |
| 職権行使の区域 | 派遣先区域内のいかなる地域でも可 | 要求した都道府県の区域内 各都道府県警察の管轄区域が原則 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は内政部警政署が全国警察を指導監督する中央集権寄りの体制で、日本のような平時の分権と非常時の切替という二段構造は明確ではない。緊急事態には総統の緊急命令制度がある
韓国は2021年に自治警察制度を導入し、非常事態時には警察庁長が自治警察事務を直接指揮・命令できる仕組みを設けた。構造的に日本の本条と近い
ドイツも警察権は原則として州に属し、連邦政府は民主的基本秩序への危険や広域災害の場合に限って州警察を指示下に置ける。分権と非常時統制の組み合わせが日本と類似
フランスは国家警察が平時から中央集権的であり、非常事態法は指揮系統の切替ではなく行政警察権限の拡大を中心とする点で日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 首都直下地震の後、暴動や略奪が同時多発したら、あなたの街の交差点に立つ警察官は誰の命令で動いているのか? 布告が出ていれば、答えは東京都公安委員会ではなく、内閣総理大臣の統制下にある警察庁長官である。制服は同じでも、指揮系統はまったく別物になっている
- 被災地で見慣れない県名の腕章をつけた警察官に職務質問された。「管轄外だろう」と思っても、布告区域に派遣された警察官は、区域内のどこでも職権を行える。拒む根拠にはならない
学説
通説的理解:現行警察法は、国家的要請に基づく事務と自治体警察としての運営を調和させる体制をとるとされる。本条は、その均衡を非常時に限って国家の一元指揮へ傾ける例外規定と位置づけられ、発動は布告と国会承認という厳格な手続に服する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:現行警察法の制定に伴い、第6章「緊急事態の特別措置」の一条として新設。都道府県警察制度の導入と同時に、非常時の長官による直接指揮と派遣命令の仕組みが定められた。
- 警察法 第71条緊急事態の布告、本条の発動要件
- 警察法 第72条布告時の内閣総理大臣による統制
- 警察法 第74条布告後20日以内の国会承認
- 警察法 第60条平時の援助要求と派遣警察官の職権
- 警察法 第16条平時の長官による指揮監督の範囲
- 自衛隊法 第78条警察力で足りない場合の命令治安出動
- 災害対策基本法 第105条災害緊急事態の布告、別系統の非常体制
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