受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月2日読了 6 分6 分6 分

自衛隊法 第82条の3(弾道ミサイル等に対する破壊措置)

クイックジャンプ
  1. 防衛大臣は、弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。以下同じ。)が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。
  2. 2.防衛大臣は、前項に規定するおそれがなくなつたと認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、速やかに、同項の命令を解除しなければならない。
  3. 3.防衛大臣は、第一項の場合のほか、事態が急変し同項の内閣総理大臣の承認を得るいとまがなく我が国に向けて弾道ミサイル等が飛来する緊急の場合における我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため、防衛大臣が作成し、内閣総理大臣の承認を受けた緊急対処要領に従い、あらかじめ、自衛隊の部隊に対し、同項の命令をすることができる。この場合において、防衛大臣は、その命令に係る措置をとるべき期間を定めるものとする。
  4. 4.前項の緊急対処要領の作成及び内閣総理大臣の承認に関し必要な事項は、政令で定める。
  5. 5.内閣総理大臣は、第一項又は第三項の規定による措置がとられたときは、その結果を、速やかに、国会に報告しなければならない。

この条文の基本情報

弾道ミサイル等に対する破壊措置とは何ですか?

定義弾道ミサイル等に対する破壊措置とは、自衛隊法第82条の3に定められた規定で、「防衛大臣は、弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 自衛隊法第82条の3(弾道ミサイル等に対する破壊措置)は、日本の自衛隊法に含まれる条文です。
  2. 自衛隊法第82条の3の条文原文は「防衛大臣は、弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。」で始まります。
  3. 自衛隊法第82条の3は第六章 自衛隊の行動に置かれています。
  4. 自衛隊法の公布日は昭和29年6月9日です。
  5. 自衛隊法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
  6. 自衛隊法第82条の3の前の条は自衛隊法第82条の2です。
  7. 自衛隊法第82条の3の次の条は自衛隊法第83条です。
  8. 自衛隊法第82条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第82条の3
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000165
  • 本サイト収録自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第82条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000165/82_3

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点自衛隊法82条の3は、日本に向けて飛来する弾道ミサイル等を、防衛大臣が総理の承認を得て、領域又は公海上空で破壊させる命令を出せると定める。

Q · ミサイルが日本の上を飛んでも、自衛隊が撃ち落とさないのはなぜ?

日本に向かって落ちてくる物だけが対象で、通過弾は原則対象外だから

自衛隊法82条の3第1項は、破壊措置の対象を「我が国に向けて現に飛来する」弾道ミサイル等に限っています。目的は、落下による我が国領域での人命・財産の被害を防ぐことです。そのため、日本上空を越えて太平洋に落下する軌道のミサイルは、原則としてこの条文による迎撃の対象になりません。他国に向かうミサイルへの対処は、存立危機事態の認定(76条)と武力行使(88条)という別の枠組みの問題になります。

解説

スマホが突然けたたましく鳴り、画面に「ミサイル発射。建物の中、又は地下に避難して下さい」と出る。そのとき空の上で動く判断の仕組みが、自衛隊法82条の3である。ポイントは三つある。第一に、ミサイルを撃ち落とす措置は、原則として「戦争(防衛出動)」の枠ではなく、国民の人命・財産を落下被害から守るための措置として作られている。だから武力攻撃事態の認定がなくても動ける。第二に、条文の対象は「我が国に向けて現に飛来する」物体に限られる。日本の上空を越えて太平洋へ落ちる軌道なら、原則として迎撃の対象外になる。2017年や2022年に上空を通過したミサイルを撃たなかったのは、手抜きではなくこの構造のためである。第三に、総理の承認を待つ時間がない場合に備え、あらかじめ「緊急対処要領」に従って命令を出しておける(3項)。発射から着弾まで約10分という現実に、法律の側が先回りした条文である。この構造を知っていれば、「なぜ撃たなかったのか」という報道にも自分の頭で判断を下せる。

法的な位置づけ

自衛隊法82条の3は、弾道ミサイル等に対する破壊措置を定める規定である。防衛大臣は、弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがあり被害防止に必要と認めるとき、内閣総理大臣の承認を得て、我が国に向けて現に飛来するものを我が国領域又は公海上空で破壊するよう部隊に命じることができ、急変時は緊急対処要領による事前命令も認められる。

よくある質問 AI による整理

Q1破壊措置命令とは何ですか?

日本に向けて飛来する弾道ミサイル等を空中で破壊するよう、防衛大臣が自衛隊の部隊に出す命令です。根拠は自衛隊法82条の3です。

Q2破壊措置命令は誰が出すのですか?

命令を出すのは防衛大臣です。原則として内閣総理大臣の承認が必要で、緊急時は総理が承認した緊急対処要領に従って事前に命令します。

Q3破壊措置命令はいつ解除されますか?

飛来のおそれがなくなったと防衛大臣が認めたとき、総理の承認を得て速やかに解除しなければなりません(82条の3第2項)。

Q4ミサイルの迎撃はどこの空で行われますか?

条文上、我が国の領域の上空か、公海の上空です。公海には排他的経済水域(EEZ)も含まれるため、漁場や航路の真上も迎撃空域になりえます。

Q5人工衛星と称するロケットも迎撃できますか?

対象は名目ではなく、落下で重大な被害が生じると認められる航空機以外の物体です。日本に落ちるおそれがあれば、衛星名目でも対象になりえます。

Q6ミサイル迎撃の結果は国会に報告されますか?

報告されます。1項または3項の措置がとられたときは、内閣総理大臣がその結果を速やかに国会へ報告しなければなりません(5項)。

Q7Jアラートと破壊措置命令の関係は?

Jアラートは住民に避難を促す警報システム、破壊措置命令は自衛隊に迎撃を命じる法的根拠です。警報が鳴っても迎撃が行われるとは限りません。

Q8自治体はミサイル迎撃に関わりますか?

迎撃の判断と実施は国(防衛大臣・自衛隊)の役割です。自治体の役割は、防災無線や避難所開放など住民の避難誘導が中心になります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1ミサイル飛んできたら、自衛隊ってすぐ撃っていいことになってるの?

原則は、防衛大臣が総理の承認を得て命令する(82条の3第1項)。ただし承認を待つ時間がない急変に備え、総理が承認した緊急対処要領に従い、防衛大臣が期間を定めてあらかじめ命令しておける(3項)。実務のポイント:報道では、この事前命令が長期にわたり継続されていると伝えられている。「命令が出た」というニュースがないことは、スタンバイしていないことを意味しない

Q2撃ち落とした破片がうちに落ちたら、国が弁償してくれるんですか?

条文には補償規定がない。国家賠償法1条は違法な公権力行使を前提とするため、適法な破壊措置による被害に使えるかは、実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:被害が出たら、まず写真・時刻・位置を記録し、自治体と防衛省の窓口に早めに相談の記録を残すこと。法的根拠が曖昧な分野ほど、早い段階で公式な記録を残した側が交渉で有利になる

Q3アメリカのグアムに向かうミサイルも、日本が撃ち落とせるの?

82条の3の対象は「我が国に向けて現に飛来する」ものに限られるため、本条では撃ち落とせない。他国に向かうミサイルへの対処は、存立危機事態(76条1項2号)の認定と武力行使(88条)という全く別の枠組みの問題になる。実務のポイント:国会で平和安全法制の審議が紛糾したのは、まさにこの「日本に向かっていない弾」をどう扱うかという論点だった

間違えやすい点 AI による整理

  • 「日本の上をミサイルが飛んだのに撃ち落とさなかったのは弱腰だ」という声は多い。だが問いそのものがずれている。82条の3の要件は「我が国に向けて現に飛来する」ことで、領域に落ちない通過弾は原則として対象外である。迎撃ミサイルを撃つ判断は、落下被害の防止という条文の目的から逆算される
  • 「ミサイルを撃ち落とせば、それは戦争の始まりだ」と思われがちだが、政府の整理では、本条の破壊措置は武力攻撃への反撃(76条の防衛出動、88条の武力行使)とは別枠で、落下による人命・財産被害を防ぐ措置と位置付けられている。ただし、発射国が武力攻撃の意図を持つと認定されれば、事態は防衛出動の枠組みへ切り替わる
  • 3項の「緊急対処要領」による事前命令は、条文上は例外扱いだが、報道によれば2016年以降、破壊措置命令は長期間継続して出され続けているとされる(最新の運用状況をご確認ください)。例外の条文が、実務では常時スタンバイの根拠になっている。この落差を知らないと、「今は命令が出ていない」と思い込む
比較の観点この条文ほかの条文
発動の前提82条の3:弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれ(武力攻撃事態の認定は不要)76条:武力攻撃事態・存立危機事態の認定
84条:外国航空機による領空侵犯
対象我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等(航空機以外の物体)武力攻撃を行う相手国の部隊等
領空を侵犯した航空機
命令・承認の構造防衛大臣が総理の承認を得て命令(急変時は緊急対処要領による事前命令)内閣総理大臣が出動を命令(原則として国会の承認が必要)
防衛大臣が部隊に措置を命令(着陸・退去させる措置)
事後の統制結果を総理が国会に速やかに報告(5項)事態対処法の手続に基づく国会承認
条文上の国会報告義務規定なし(要確認)

他国ではどう定めているか 2 か国

台湾
國防法

台湾では弾道ミサイル迎撃に特化した個別条文は置かれておらず、国防法の一般的な枠組みで扱われる

ドイツ
Grundgesetz Art. 87a

ドイツは連邦軍の出動を基本法で限定的に規律しており、ミサイル迎撃のみを対象とする日本型の個別授権規定はない

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • もし北朝鮮が「人工衛星」と称してロケットを打ち上げたら、それも迎撃対象になるのか? 条文の定義は「弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であって航空機以外のもの」。名目が衛星でも、日本に落ちる恐れがあれば対象になりうる。実際、過去の衛星打ち上げ予告の際にも破壊措置命令が出されている
  • 早朝、J アラートで目を覚ました。政府発表は「発射から数分で日本上空を通過」。迎撃しなかったのは、日本の領域への落下が見込まれなかったから。条文は「我が国に向けて現に飛来する」ものだけを対象にしている
  • あなたは排他的経済水域でイカ釣りをしている漁業者だ。条文は迎撃の場所として「公海(排他的経済水域を含む)の上空」を明記している。つまりあなたの漁場の真上は、法律上の迎撃空域になりうる。落下物や破片を見つけても、甲板に上げずに海上保安庁(118番)へ通報すること。推進剤には毒性の強い物質が含まれる場合がある
  • あなたは市役所の防災担当。J アラート受信から着弾予想まで、残された時間は10分もない。防災無線の放送、避難所の開放、学校への連絡をこの数分で回さなければならない。迎撃判断は国の仕事だが、住民を地下へ動かすのは自治体の仕事である。その分担を平時の訓練で確認しておかないと、本番で時間が溶ける
  • 破壊措置が成功して空中でミサイルが砕けた。その破片が自分の家の屋根を突き破った。誰が責任を負うのか。法律上の答えは、実はまだ固まっていない

取るべき行動

被害を受けた側:1. 警報を受けたら、迎撃の成否を待たずに頑丈な建物や地下へ移動し、窓から離れる2. 落下物や破片を見つけても触らず、近づかない。推進剤に毒性物質が含まれる場合がある3. 陸上なら警察・消防、海上なら海上保安庁(118番)へ通報する4. 破片で家屋や漁具が損壊したら、写真・位置・時刻を記録し、自治体の窓口で相談する。国の補償や賠償の可否は、実務上、解釈が固まっていない論点なので、弁護士への相談も検討する

訴えられた側:自治体・学校・事業者として住民や顧客の安全対応を問われる立場なら:1. 警報受信から数分で動ける連絡網と避難先を平時に文書化しておく2. 船舶・漁船の運航者は、航行警報や海上保安庁の情報を受信できる体制を整える3. 落下物の回収や SNS 投稿を従業員が勝手に行わないよう指示しておく。証拠の保全と安全確保は当局に委ねる

時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。発射から着弾まで約10分という物理的な時間が最大の制約である。破片による被害で国に賠償を求める場合は国家賠償法4条により民法が適用され、損害および加害者を知った時から3年(人の生命・身体の侵害は5年)、不法行為時から20年(民法724条、724条の2)となる。ただし適法な迎撃による被害に国家賠償が及ぶかは、実務上、解釈が分かれている

学説

政府見解:政府は、本条の破壊措置を武力攻撃を前提とする防衛出動や武力の行使とは別枠の措置とし、落下による国民の生命・財産への被害を防止するための措置と位置付けているとされる

改正沿革 AI による整理

  • 平成17年(2005年) 弾道ミサイル防衛の法的根拠として、弾道ミサイル等に対する破壊措置の規定が第82条の2として新設されたとされる
  • 平成21年(2009年) 海賊対処行動の規定が第82条の2に置かれたことに伴い、本規定は第82条の3に移ったとされる(条番号の変遷と以後の改正は要確認)

改正の年表

  1. 1.平成17年(2005年) 新設:弾道ミサイル防衛の法的根拠として、弾道ミサイル等に対する破壊措置の規定が第82条の2として新設されたとされる
  2. 2.平成21年(2009年) 改正:海賊対処行動の規定が第82条の2に置かれたことに伴い、第82条の3に移ったとされる(以後の改正は要確認)

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

自衛隊法の全文を見る所属する編章節を開く:第六章 自衛隊の行動

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›