要点最低賃金法 9 条は、地域別最低賃金をあまねく全国各地域で決定し、労働者の生計費・賃金・通常の事業の賃金支払能力の三要素を考慮して定めると規定する。
Q · 最低賃金って、生活できる金額として決められているんですか?
違います。会社の支払能力も同じ基準に入っています
最低賃金法 9 条 2 項は、地域別最低賃金を「地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力」を考慮して定めると規定します。労働者の生計費は三つの考慮要素のうちの一つにすぎず、地域の賃金相場と事業者の支払能力も対等に並びます。ただし 3 項が、生計費の考慮に当たり健康で文化的な最低限度の生活を営めるよう生活保護に係る施策との整合性に配慮するとして、下限側に歯止めを置いています。
毎年秋、あなたの時給の下限は法律の手で書き換えられる。その書き換えのルールがここに置かれている。第1項が命じるのは、地域別最低賃金を全国どの地域にも漏れなく決めること。最低賃金が存在しない土地は日本に一つもない。第2項が挙げる考慮要素は三つ、労働者の生計費、地域の賃金水準、そして通常の事業の賃金支払能力である。三つ目に目を止めてほしい。あなたの生活費が足りるかどうかだけでなく、会社が払えるかどうかも、法律上は同じ天秤に載っている。だから最低賃金は「生活できる額」とイコールにはならない。そして第3項、平成19年(2007年)改正で加わった歯止めが、生計費を見るときは生活保護に係る施策との整合性に配慮せよと定める。働いて得る最低額が生活保護を下回る逆転現象を潰すために入った一行である。
最低賃金法 9 条は地域別最低賃金の原則を定める規定である。1 項は賃金の低廉な労働者の最低額保障のため、あまねく全国各地域について地域別最低賃金を決定すべきことを、2 項は労働者の生計費・賃金・通常の事業の賃金支払能力という三要素を考慮すべきことを、3 項は生計費の考慮において生活保護に係る施策との整合性に配慮すべきことを規定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
一定の地域ごとに定められる賃金の最低額です。最低賃金法 9 条 1 項により、あまねく全国各地域について決定しなければならないとされ、最低賃金が存在しない地域はありません。
9 条 2 項の三要素(労働者の生計費、地域の賃金、通常の事業の賃金支払能力)を考慮し、地方最低賃金審議会の調査審議を経て都道府県労働局長が決定します(同法 10 条)。
9 条 3 項が生活保護に係る施策との整合性への配慮を求めており、逆転解消が立法趣旨です。ただし世帯構成によっては保護の方が手厚くなる場合もあります。
例年 7 月末から 8 月に答申が公表され、10 月前後に発効します。発効日は都道府県ごとに異なるため、勤務地の労働局公表日を確認してください。
働いている事業場の所在地です。住所地ではありません。派遣中の労働者は派遣先事業場の所在地の地域別最低賃金が適用されます(同法 13 条)。
違法です。最低賃金額に達しない定めはその部分が無効となり、最低賃金額と同額を定めたものとみなされます(同法 4 条 2 項)。50 万円以下の罰金もあります(同法 40 条)。
9 条 2 項の三要素を地域ごとに評価するためです。中央最低賃金審議会がランク別の引上げ目安を示し、各地方最低賃金審議会の審議を経て決定されます。
できます。賃金請求権の消滅時効は 5 年(当分の間 3 年、労基法 115 条・附則 143 条 3 項)で、在職・退職を問わず時効内なら請求可能です。
厚生労働省と各都道府県労働局が公表しており、使用者には事業場での周知義務もある(最低賃金法8条)。基準は住所地ではなく勤務先事業場の所在地である。業界裏話ヒント:発効日が都道府県ごとに数日から数週間ずれるため、県境をまたいで複数拠点を持つ会社ほど改定漏れが起きやすい。9月と10月の給与明細で時間単価が動いていなければ、まずそこを疑う
無効である。最低賃金額に達しない賃金を定める労働契約はその部分が無効となり、最低賃金額と同額を定めたものとみなされる(最低賃金法4条2項)。違反には50万円以下の罰金もある(同法40条)。業界裏話ヒント:差額請求は退職後でもできる。在職中の申告で報復を恐れる人は多いが、監督機関への申告を理由とする不利益取扱いは同法34条2項で明文禁止されている
比べられる。月給から通勤手当、家族手当、精皆勤手当、時間外・休日・深夜の割増、賞与など臨時の賃金を除き、1か月平均所定労働時間で割って時間額に換算する。業界裏話ヒント:固定残業代込みの月給は、その残業代相当分を全部除いてから割る。固定残業代の比率が高い求人ほど、額面は立派でも換算後は最低賃金ぎりぎりということが実際に起きる
第2項の三要素、生計費・地域の賃金・通常の事業の賃金支払能力を地域ごとに評価するからである。中央最低賃金審議会がランク別の引上げ目安を示し、地方最低賃金審議会の審議を経て決定される(最低賃金法10条)。業界裏話ヒント:目安に法的拘束力はなく、目安を上回る決定をする県もあれば渋る県もある。その差を動かすのは答申前の審議であり、公聴会や意見公募がその数少ない外部入力口になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 9 条:地域別最低賃金の決定原則と考慮要素を定める | — |
| 誰に向けたルールか | 額を決める側(審議会・労働局長)への決定基準 | — |
| 違反したときの効果 | 決定手続の適否の問題(個別契約を直接無効にはしない) | — |
| 実務で最初に見る場面 | 毎年の改定額がなぜその水準になったかを理解するとき | — |
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