要点国民年金法 27 条の 2 は、年金額の基礎となる改定率を毎年度、名目手取り賃金変動率を基準に改定すると定める。基準は物価ではなく賃金の側にあり、具体的な措置は政令で定める。
Q · 年金額って、物価が上がった分だけ増えるんじゃないんですか?
基準は物価ではなく名目手取り賃金変動率です
国民年金法 27 条の 2 は、年金額の基礎となる改定率を毎年度改定する規定です。基準は物価変動率そのものではなく、物価変動率に 2 年度前から 4 年度前の実質賃金変動率の 3 乗根と可処分所得割合変化率を乗じた「名目手取り賃金変動率」です。改定後の率は当該年度の 4 月以降の給付に適用され、具体的な数値は政令で確定します(同条 3 項)。さらに調整期間中は 27 条の 4 のマクロ経済スライドにより伸びが削られるため、物価の上昇幅より年金の増額幅が小さくなるのが通常の設計です。
毎年 1 月下旬、厚生労働省が翌年度の年金額を発表する。ニュースは「物価上昇で年金増額」と伝えるが、そこに最初のズレがある。国民年金法 27 条の 2 が基準に置くのは物価ではなく「名目手取り賃金変動率」、つまり物価変動率に、2 年度前から 4 年度前の実質賃金変動率(3 年度平均を取るため 3 乗根を使う)と可処分所得割合変化率を掛け合わせた率だ。そして注目すべきは、この条文が金額ではなく「改定率」という倍率を管理している点にある。平成 16 年度の改定率は 1、以後この倍率だけが毎年書き換わり、老齢基礎年金の満額は 27 条の 780,900 円にその倍率を掛けて出てくる。あなたの年金は固定額ではなく、毎年ダイヤルを回された結果の数字である。だから賃金の伸びが物価に追いつかない年は、物価が上がっても年金の伸びは賃金の側に引き戻される。
国民年金法 27 条の 2 は、年金給付額の算定に用いる改定率の改定方法を定める規定である。平成 16 年度の改定率を 1 と置き、以後は毎年度、物価変動率に実質賃金変動率の 3 乗根および可処分所得割合変化率を乗じて得た名目手取り賃金変動率を基準として改定する。改定後の率は当該年度の 4 月以降の年金たる給付に適用され、具体的な措置は政令に委任される。
年金額を毎年度書き換えるための倍率です。平成 16 年度を 1 とし、27 条の 27 条の法定額 780,900 円にこの倍率を乗じて老齢基礎年金の満額が算出されます。
物価変動率に、2 年度前から 4 年度前の実質賃金変動率の 3 乗根と可処分所得割合変化率を乗じた率です。27 条の 2 第 2 項が改定の基準に据えています。
改定率は毎年度改定され、当該年度の 4 月分以降の給付に適用されます。実際の振込に反映されるのは 6 月支払分からとなるのが通例です。
調整期間中に改定率の伸びを抑える仕組みで、27 条の 4 が定めます。名目額を下げるのではなく増額幅を削る形で発動し、削り残しは翌年度以降に繰り越されます。
毎年 6 月頃に送付されるのが通例です。改定率の内容は前年度 1 月下旬に公表され、政令で確定した後に個別の通知へ反映されます。
改定率は政令で全国一律に決まるため個別に争えません。争えるのは納付記録の漏れや裁定額の計算誤りで、社会保険審査官への審査請求は処分を知った日の翌日から 3 か月以内です。
年金給付を受ける権利および支払を受ける権利は 5 年で時効消滅します(国民年金法 102 条)。記録訂正を争うときは同時に請求手続も走らせる必要があります。
計算式は 27 条の 2 が定めますが、最終的な数値は政令で確定します(同条 3 項)。毎年 1 月下旬に厚生労働省が翌年度の改定内容を公表します。
発表される増額率は名目の数字だからである。27 条の 2 の基準は名目手取り賃金変動率で、さらに調整期間中は 27 条の 4 のマクロ経済スライドで伸びが削られるため、物価の伸びを下回るのが通常の設計になっている。業界裏話ヒント:1 月の厚生労働省の発表資料には、物価変動率と名目手取り賃金変動率が両方載っている。増額率だけを見て安心する人と、二つの率を引き算する人とでは、実質の目減りに気付く速度が数年違う
本当である。67 歳以下は 27 条の 2 の名目手取り賃金変動率、68 歳到達年度以後は 27 条の 3 の物価変動率が基準になる。ただし賃金の伸びが物価を下回る年は、68 歳以上も賃金の方に合わせる扱いに改められている(平成 28 年改正、令和 3 年度から)。業界裏話ヒント:夫婦の家計試算を合算で作ると、この年齢差による伸びの違いが消えてしまう。必ず一人ずつ分けて試算する
式は 27 条の 2 に全部書いてある。ただし物価指数は総務省の全国消費者物価指数、実質賃金変動率は数年度前の平均を使うため、確定値は毎年 1 月に公表されるまで出ず、最終的な数値は政令で確定する(同条 3 項)。業界裏話ヒント:賃金側の指標が 2 年度前から 4 年度前の平均である以上、来年度の年金額を決めているのは今の景気ではなく数年前の景気である。だから景気回復の実感と年金への反映は、構造的に数年ずれる
制度としてゼロになる話ではない。27 条の 2 と調整期間の仕組み(16 条の 2、27 条の 4)は、給付を止めるのではなく実質的に薄めていく設計である。調整をいつまで続けるかは 5 年ごとの財政検証で見直される。業界裏話ヒント:議論すべき問いは「もらえるか」ではなく「所得代替率が何 % まで下がるか」。財政検証の資料には複数の経済前提ごとの見通しが並んでおり、そこを読む人だけが自分の不足額を数字で持てる(最新の改定状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 改定の基準 | 27 条の 2:名目手取り賃金変動率(物価変動率 × 実質賃金変動率の 3 乗根 × 可処分所得割合変化率) | — |
| 対象となる受給者 | 原則として 67 歳到達年度以前の受給者(新規裁定者) | — |
| 発動の前提 | 毎年度、常に適用される原則規定 | — |
| 受給者への効果 | 賃金の伸びが鈍い年は年金の伸びも賃金側に引き戻される | — |
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