要点国民年金法 27 条の 3 は、65 歳到達年度の 3 年後(基準年度)以後の年金改定率を物価変動率基準とし、物価が賃金を上回る年は名目手取り賃金変動率を用いると定める。
Q · 物価が上がった年でも、年金がその分増えないのはどうしてですか?
物価と賃金の低いほうで改定されるため、物価どおりには増えません
国民年金法 27 条の 3 により、65 歳到達年度の 3 年後(基準年度)以後の受給者の年金は物価変動率を基準に改定されます。ただし同条の括弧書きにより、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る年は、低いほうの賃金変動率が使われます。さらに調整期間中は 27 条の 4・27 条の 5 のマクロ経済スライドによる調整率が差し引かれるため、物価上昇分がそのまま年金額に反映されるわけではありません。
令和5年度(2023年度)、年金の改定率は二本あった。67歳以下は2.2%、68歳以上は1.9%。同じ制度、同じ4月、差は0.3ポイント。この分岐を作っているのが本条である。65歳になった年度から数えて3年後の年度、これを「基準年度」と呼び、そこから先のあなたの年金は前条の名目手取り賃金変動率ではなく、物価変動率を基準に改定される。ただし括弧書きが効く。物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、低いほうの賃金変動率を使う。物価が3%上がっても、現役世代の手取り賃金が1%しか伸びていなければ、あなたの年金は1%しか上がらない。インフレ下で年金の実質価値が削られる仕組みは、この一文の括弧の中に入っている。第2項は具体的な改定の措置を政令に委ねており、毎年度の数字は国会の議決を経ずに確定する。
国民年金法 27 条の 3 は、基準年度以後改定率を定める規定である。基準年度とは受給権者が 65 歳に達した日の属する年度の 3 年後の年度を指し、それ以後に適用される改定率は前条の例外として物価変動率を基準に改定される。ただし物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、名目手取り賃金変動率が基準となる。具体的な改定の措置は政令に委任される。
受給権者が 65 歳に達した日の属する年度の初日の属する年から 3 年後の年の 4 月 1 日が属する年度です。この年度以後、改定の基準が賃金から物価に切り替わります。
現役世代の手取り賃金の変化を示す指標で、物価変動率に実質賃金変動率と可処分所得割合の変化率を反映させたものです。社会保険料率の引き上げ分も織り込まれます。
計算の枠組みは国民年金法が定めますが、毎年度の具体的な改定の措置は本条 2 項の委任により政令で確定します。国会の議決を経ずに数字が決まる仕組みです。
違います。物価スライドは 27 条の 3 の物価変動率基準の改定、マクロ経済スライドは調整期間中に 27 条の 4・27 条の 5 で調整率を差し引く仕組みで、二段階で働きます。
毎年 6 月に届きます。改定後の年金額はその年度の 4 月分から適用され、6 月に支払われる 4 月・5 月分から新しい額が反映されます。
同じ構造です。厚生年金保険法 43 条の 3 が基準年度以後の再評価率について同様に物価変動率基準と賃金上限の仕組みを定めています。
なりません。繰下げの増額率と毎年度の改定率は別枠です。70 歳から受け取り始める場合、初年度からすでに基準年度を過ぎており、本条の改定が適用されます。
あります。年金給付を受ける権利は支給すべき事由が生じた日から 5 年で時効消滅します(国民年金法 102 条)。改定処分そのものを争う期限とは別枠です。
27条の3の括弧書きが効いているためです。基準年度以後の受給者は物価変動率が基準ですが、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る年は、低いほうの賃金変動率に合わせられます。調整期間中はさらに27条の5の調整率が引かれます。業界裏話ヒント:この賃金合わせのルールは平成28年(2016年)改正で入り、令和3年(2021年)4月から適用されたもの。それ以前に作られた老後資金シミュレーションは物価連動を前提にしており、数字がそのまま使えない。手元の試算表がいつ作られたかを先に見る
本当です。令和5年度(2023年度)は67歳以下が2.2%、68歳以上が1.9%でした。65歳到達年度の3年後が基準年度で、そこから27条の2ではなく27条の3が適用されるためです。業界裏話ヒント:夫婦に年齢差があると、同じ家計の中を二本の改定率が同時に走る年が出る。世帯の年金収入をひとつの伸び率でまとめて試算している人ほど、ずれが積み上がる。夫婦の年金は必ず別々に試算する
年金事務所の窓口ではなく、社会保険審査官への審査請求です(国民年金法101条)。期限は処分を知った日の翌日から3か月。取消訴訟は審査請求に対する決定を経た後でなければ提起できません(同法101条の2)。業界裏話ヒント:かつては社会保険審査会への再審査請求まで済ませないと訴訟に進めないと理解されていたが、現在は審査官の決定が出た時点で出訴できる。再審査請求で待つか、決定を持って裁判所へ行くかを自分で選べる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 改定の基準 | 27 条の 3:物価変動率(物価が賃金を上回るときは賃金変動率) | — |
| 適用される人 | 65 歳到達年度の 3 年後(基準年度)以後の受給権者 | — |
| 切り替えの通知 | 自動的に切り替わり、個別の通知はない | — |
| 具体的数字の決め方 | 2 項により政令で定める | — |
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