国民年金法 第27条の5
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- 調整期間における基準年度以後改定率の改定については、前条の規定にかかわらず、第一号に掲げる率に第二号に掲げる率を乗じて得た率(当該率が一を下回るときは、一。第三項第一号ロにおいて「基準年度以後算出率」という。)を基準とする。
- 一物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)
- 二調整率に当該年度の前年度の基準年度以後特別調整率(当該年度が基準年度である場合にあつては、当該年度の前年度の前条第三項に規定する特別調整率)を乗じて得た率
- 2.次の各号に掲げる場合の調整期間における基準年度以後改定率の改定については、前項の規定にかかわらず、当該各号に定める率を基準とする。
- 一物価変動率が一を下回るとき(次号に掲げる場合を除く。)物価変動率
- 二物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、かつ、名目手取り賃金変動率が一を下回るとき名目手取り賃金変動率
- 3.第一項の基準年度以後特別調整率とは、第一号の規定により設定し、第二号の規定により改定した率をいう。
- 一基準年度における基準年度以後特別調整率は、イに掲げる率にロに掲げる率を乗じて得た率とする。
- 一基準年度の前年度の前条第三項に規定する特別調整率
- 二物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)に調整率を乗じて得た率を基準年度以後算出率で除して得た率(物価変動率又は名目手取り賃金変動率が一を下回るときは、調整率)
- 二基準年度以後特別調整率については、毎年度、前号ロに掲げる率を基準として改定する。
- 4.前三項の規定による基準年度以後改定率の改定の措置は、政令で定める。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第27条の5は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第27条の5の条文原文は「調整期間における基準年度以後改定率の改定については、前条の規定にかかわらず、第一号に掲げる率に第二号に掲げる率を乗じて得た率(当該率が一を下回るときは、一。」で始まります。
- 国民年金法第27条の5は第二節 老齢基礎年金に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第27条の5の前の条は国民年金法第27条の4です。
- 国民年金法第27条の5の次の条は国民年金法第28条です。
- 国民年金法第27条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第27条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第27条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/27_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法27条の5は、68歳到達年度以後の年金改定率を、物価変動率と名目手取り賃金変動率の低い方に調整率を乗じて定める規定である。算出率が1を下回る場合は1とされる。
Q · 物価が上がった年でも、68歳以降の年金は同じだけ増えないの?
増えません。低い方の率からさらに調整率が引かれます
国民年金法27条の5により、基準年度(68歳到達年度)以後の年金は、物価変動率と名目手取り賃金変動率のうち低い方を採り、そこに調整率と前年度からの基準年度以後特別調整率を乗じて改定されます。乗じた結果が1を下回るときは1と読むため名目額そのものは下がりませんが、削りきれなかった分は第3項により翌年度へ繰り越されます。物価が3% 上昇しても年金が3% 増えないのは、この二段構えの計算式が条文本文に書かれているためです。
解説
68歳。この年齢を境に、あなたの年金額を決める物差しが静かに入れ替わる。67歳までは現役世代の手取り賃金の伸びで、68歳到達年度(基準年度)以後は物価の伸びで改定される。本条の仕掛けは第1項第1号にある。物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、低い方である賃金変動率を採る。高い方ではなく、必ず低い方だ。そこへ調整率(公的年金被保険者総数の変動率 × 平均余命の伸びを勘案した率)と、前年度からの持ち越しである基準年度以後特別調整率が掛かる。掛けた結果が1を下回るときは1と読むため名目額そのものは下がらないが、削りきれなかった分は消えずに翌年度へ繰り越される。物価が3% 上がっても、あなたの年金は3% 増えない。それは運用の都合ではなく、条文の本文にそう書いてある。
法的な位置づけ
国民年金法27条の5は、マクロ経済スライドの調整期間において、基準年度(65歳到達年度から3年後の年度)以後の受給者に適用される改定率の算定方法を定める規定である。物価変動率を基礎としつつ名目手取り賃金変動率を上限とし、これに調整率および前年度の基準年度以後特別調整率を乗じて改定率を導く。算出率が1を下回る場合は1とみなされる。
手順
- 1.自分が基準年度以後かを確認する 生年月日から65歳到達年度を割り出し、その3年後の年度(原則68歳到達年度)に達しているかを確認する。到達前なら適用条文は27条の4で、物差しは名目手取り賃金変動率になり計算式が異なる
- 2.1月下旬の公表資料で来年度の改定率を先取りする 厚生労働省が公表する年金額改定の資料から、物価変動率・名目手取り賃金変動率・スライド調整率を書き出す。低い方の率に調整率と前年度からの繰越分を乗じて、実効改定率を自分で概算する
- 3.6月の通知書と概算値を突き合わせる 届いた年金額改定通知書の額と、自分で概算した額を照合する。差が出た場合は、加入期間・生年月日・繰下げ加算・基準年度の判定といった前提事実の入力誤りを疑う
- 4.年金事務所へ前提事実の照会を行う 差異の原因を特定するため、年金事務所に加入記録と算定の前提を照会する。ここで争えるのは適用の誤りであり、改定率の水準そのものは法律事項であることを念頭に置いて質問を組み立てる
- 5.不服がある場合は3か月以内に審査請求する 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、地方厚生局の社会保険審査官へ審査請求を行う。宛先は年金事務所ではない点に注意し、争点を適用の誤りに絞って主張する
よくある質問 AI による整理
Q1マクロ経済スライドとは?
現役世代の減少と平均余命の伸びに応じて年金の改定率を自動的に抑える仕組みです。平成16年改正で導入され、本条は68歳以降の受給者への適用方法を定めています。
Q2基準年度以後改定率はいつから適用されますか?
65歳到達年度から3年後の年度、つまり原則68歳到達年度以後です(27条の3)。それより前は27条の4により名目手取り賃金変動率が基礎となります。
Q3調整期間はいつ終わるのですか?
16条の2により、給付水準が長期的に均衡すると見込まれた時点で調整期間は終了します。終了年度は財政検証の結果で変動し、法定の固定年限ではありません。
Q4年金額改定通知書はいつ届く?
毎年6月に日本年金機構から送付されます。改定率自体は前年の統計を踏まえて1月下旬に厚生労働省が公表し、4月分(6月支払分)から適用されます。
Q5名目手取り賃金変動率とは?
物価変動率に、現役世代の実質賃金変動率と可処分所得割合の変化率を加味した率です。本条ではこれが物価変動率より低いとき、上限として機能します。
Q6自分の年金の改定率はどこで確認できる?
厚生労働省が1月下旬に公表する年金額改定の報道発表資料に、物価変動率・名目手取り賃金変動率・スライド調整率が個別に掲載されます。日本年金機構サイトでも確認できます。
Q7基準年度以後特別調整率とは?
第3項の率で、その年度に調整しきれなかった分を翌年度以降へ持ち越すためのものです。平成28年改正で導入され、物価が上がった年にまとめて差し引かれます。
Q8国民年金と厚生年金でマクロ経済スライドは同じ?
考え方は共通です。厚生年金では再評価率の改定として同旨の規定が置かれ、老齢基礎年金は本条の改定率で、報酬比例部分は厚生年金保険法側の規定で調整されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1物価が上がったのに、年金が同じだけ増えないのはなぜですか?
第1項第1号が、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは低い方を採ると定め、さらに第2号の調整率と基準年度以後特別調整率を掛けるからです。二段階で削られます。実務のポイント:厚生労働省が1月下旬に出す改定率の発表資料には、物価変動率・賃金変動率・スライド調整率が個別に載っています。ここを見れば減り分の内訳が分かる。窓口の職員は、聞かれない限り内訳までは説明しない
Q2物価が下がった年はマクロ経済スライドが止まると聞きましたが、得したことになりますか?
止まるのではなく、繰り越されます。第2項で物価変動率が1を下回る年は調整せず物価どおりに改定しますが、調整できなかった分は第3項の基準年度以後特別調整率として累積し、物価が上がった年に差し引かれます。実務のポイント:この仕組みは平成28年(2016年)改正で入ったもので、それ以前に書かれた解説書や古いファイナンシャルプランナー向け教材は「デフレ時は調整なし=得」のまま止まっている
Q368歳になると年金の計算方法が変わるって本当ですか?
本当です。27条の3が定める基準年度、つまり65歳到達年度から3年後の年度以後は、原則として物価変動率を基礎に改定されます(本条1項)。それより前は名目手取り賃金変動率です(27条の4)。実務のポイント:夫婦に年齢差があると、同じ年度に片方は賃金基準、片方は物価基準になる。世帯の年金収入を一つの率で見積もると必ずずれるので、家計試算は二人分を分けて置く
Q4年金額の決め方そのものがおかしいと思ったら、裁判で争えますか?
争える余地があるのは適用の誤り(生年月日、加入期間、基準年度の判定など)で、改定率の水準は立法裁量の領域とされ、堀木訴訟(最大判昭和57.7.7)以来、司法はほとんど立ち入りません。入口は社会保険審査官への審査請求です。実務のポイント:審査請求の宛先は年金事務所ではなく地方厚生局の社会保険審査官。窓口で断られても、それは請求の可否ではなく所管外という意味であることが多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「物価が上がれば年金も同じだけ上がる」を前提に老後資金を計算している人が多いが、問いの立て方そのものが外れている。本条は物価スライドの条文ではなく、物価スライドに上限(名目手取り賃金変動率)と減算(調整率・基準年度以後特別調整率)をかける条文である。家計の前提に置くべき数字は物価上昇率ではなく、そこから毎年一定率を引いた実効改定率だ
- マクロ経済スライドという言葉は知っていても、「効かなかった年の調整分は消える」と思っている人が多い。平成28年(2016年)改正で導入されたキャリーオーバーにより、調整しきれなかった分は第3項の基準年度以後特別調整率として累積し、物価が上がった年にまとめて差し引かれる。物価上昇局面ほど、過去の未調整分が牙をむく
- あなたから見れば毎年の通知書は「年金額の決定」だが、法律から見れば改定率という一個の係数が更新されただけである。だから窓口で「金額がおかしい」と言っても話が噛み合わない。争える対象は水準ではなく適用の誤りであり、この落差を知らないまま不服を訴えていると、3か月の期限だけが過ぎていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用対象者 | 27条の5:基準年度(原則68歳到達年度)以後の受給者 | 27条の4:調整期間中で67歳以下の受給者 27条の3:調整期間外(平時)の改定 |
| 改定の基礎となる率 | 物価変動率(名目手取り賃金変動率を上回るときは同変動率) | 名目手取り賃金変動率 物価変動率(調整率を乗じない) |
| 調整率の乗算 | 調整率 × 前年度の基準年度以後特別調整率を乗じる | 調整率 × 前年度の特別調整率を乗じる 乗じない |
| 下落局面の扱い | 第2項により物価変動率が1を下回る年等は調整せず、未調整分は第3項で繰越 | 同旨の調整停止と繰越の規定を置く 物価変動率どおりに改定 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は消費者物価指数の累計成長率が一定水準に達した場合に給付額を調整する方式で、被保険者数や平均余命を織り込む自動抑制係数は置いていない。日本のような繰越(キャリーオーバー)の観念もない
韓国は前年の全国消費者物価変動率に応じて基本年金額を改定する物価連動型で、日本の調整率に相当する自動抑制装置はない。財政安定化は給付率(所得代替率)の段階的引下げという別の手法で行われている
ドイツは現在年金価値を賃金変動に持続可能性係数(Nachhaltigkeitsfaktor)を乗じて改定する。§ 68a の保護条項と調整必要額(Ausgleichsbedarf)は、日本の名目下限+繰越と機能的にほぼ同じ設計であり、両国が同時期に類似の解を選んだ例として比較価値が高い
フランスは年次のインフレ連動改定を原則としつつ、財政状況に応じて予算法で改定を凍結・圧縮する運用が繰り返されてきた。抑制が法定の数式ではなく毎年の政治決定に委ねられる点が日本と対照的である
米国は CPI-W に基づく COLA で純粋な物価連動を維持し、人口動態を改定率に織り込む自動調整は導入していない。財政均衡は退職年齢の引上げや課税上限の調整といった立法措置で対応してきた
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 毎年6月に届く年金額改定通知書、物価は2% 以上上がったはずなのに増額はその半分以下。なぜか。差分の正体が第1項の調整率と基準年度以後特別調整率である。あなたの年金は誰かに削られたのではなく、最初からそう改定される設計になっている
- 夫70歳、妻66歳。同じ年度に、二人の年金は別々の物差しで改定される。片方は本条の物価基準、片方は27条の4の賃金基準という年が、同じ家計の中で起きる
- 年金額改定通知書が届いてから3か月。社会保険審査官へ審査請求できるのはこの期間だけで、これを過ぎれば額の決め方を争う入口は閉じる。封も切らずに引き出しへ入れたまま夏が終われば、その年度の額は確定する
- あなたが年金相談の窓口や社会保険労務士として説明する側に立ったとき。「物価が上がったのになぜ増えないのか」と声を荒げる相談者に、第1項第1号のかっこ書きを示せるかどうかで、その場は苦情から納得へ変わる
- 物価が下落した年。第2項第1号により調整は行われず、年金は物価の下落分だけ下がる。だが調整されなかった分は消えず、第3項の基準年度以後特別調整率として積み上がり、物価が戻った年にまとめて回収される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書の改定率と、日本年金機構が公表する当年度の改定率を突き合わせる2. 自分が基準年度(68歳到達年度)以後かを確認、67歳以下なら適用条文は27条の4で計算式が違う3. 生年月日・加入期間・繰下げ加算など前提事実の誤りがないか年金事務所へ照会4. 算定に不服なら、処分を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求。争点になるのは適用の誤りであり、改定率の水準自体は法律事項である
訴えられた側:説明を求められる側・これから受給する側の手順。1. ライフプランの前提を「物価連動」から「物価から調整率を引いた率」に置き換えて再計算する2. 68歳到達年度の前後で物差しが変わることを前提に、繰下げ・就労・私的年金の組み合わせを設計する3. 家族から「なぜ減ったのか」と問われたら、減額処分ではなく改定率の自動計算であることを示し、争える論点(適用誤り)と争えない論点(水準)を切り分けて説明する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。改定後の年金額に不服がある場合の審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条)。各支払期の年金を受ける権利(支分権)は5年で時効消滅する(国民年金法102条)。起算点は各支払期月であり、通知書の到達日ではない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:改定率の水準設定は憲法25条の具体化として立法裁量に属し、司法審査は著しい不合理の有無に限られる。訴訟で争いうるのは基準年度の判定や加入記録といった適用面の誤りであり、算定方式そのものではないと解される
有力説:既に受給が開始した年金については憲法29条の財産権保障が一定程度及ぶとし、名目額を下回らせない第1項かっこ書きを、その限界に対する立法的配慮として位置づける。もっとも実質価値の目減りまでは財産権侵害とはならないとするのが大勢である
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)年金制度改正 マクロ経済スライド導入に伴い新設。調整期間中、基準年度(68歳到達年度)以後の受給者について、物価変動率を基礎としつつ名目手取り賃金変動率を上限とし、調整率を乗じて改定する仕組みを定めた
- 平成28年(2016年)改正 調整しきれなかった分を翌年度以降へ繰り越すキャリーオーバー(基準年度以後特別調整率)を第3項に導入し、第2項で物価変動率または名目手取り賃金変動率が1を下回る場合の取扱いを整理した。施行は事項ごとに段階的
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:マクロ経済スライドの導入に伴い新設。調整期間中、基準年度以後の受給者について物価変動率を基礎としつつ名目手取り賃金変動率を上限とし、調整率を乗じて改定する仕組みを定めた
- 2.平成28年(2016年) 改正:調整しきれなかった分を翌年度以降へ繰り越すキャリーオーバー(基準年度以後特別調整率)を第3項に導入し、第2項で物価変動率または名目手取り賃金変動率が1を下回る場合の取扱いを整理した。施行は事項ごとに段階的
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