国民年金法 第27条の3
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- 受給権者が六十五歳に達した日の属する年度の初日の属する年の三年後の年の四月一日の属する年度(第二十七条の五第一項第二号及び第三項第一号において「基準年度」という。)以後において適用される改定率(以下「基準年度以後改定率」という。)の改定については、前条の規定にかかわらず、物価変動率(物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率)を基準とする。
- 2.前項の規定による基準年度以後改定率の改定の措置は、政令で定める。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第27条の3は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第27条の3の条文原文は「受給権者が六十五歳に達した日の属する年度の初日の属する年の三年後の年の四月一日の属する年度(第二十七条の五第一項第二号及び第三項第一号において「基準年度」という…」で始まります。
- 国民年金法第27条の3は第二節 老齢基礎年金に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第27条の3の前の条は国民年金法第27条の2です。
- 国民年金法第27条の3の次の条は国民年金法第27条の4です。
- 国民年金法第27条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第27条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第27条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/27_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法27条の3は、65歳到達年度の3年後(基準年度)以後の年金改定率を物価変動率基準とし、物価が賃金を上回る年は名目手取り賃金変動率を用いると定める。
Q · 物価が上がった年でも、年金がその分増えないのはどうしてですか?
物価と賃金の低いほうで改定されるため、物価どおりには増えません
国民年金法27条の3により、65歳到達年度の3年後(基準年度)以後の受給者の年金は物価変動率を基準に改定されます。ただし同条の括弧書きにより、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る年は、低いほうの賃金変動率が使われます。さらに調整期間中は27条の4・27条の5のマクロ経済スライドによる調整率が差し引かれるため、物価上昇分がそのまま年金額に反映されるわけではありません。
解説
令和5年度(2023年度)、年金の改定率は二本あった。67歳以下は2.2%、68歳以上は1.9%。同じ制度、同じ4月、差は0.3ポイント。この分岐を作っているのが本条である。65歳になった年度から数えて3年後の年度、これを「基準年度」と呼び、そこから先のあなたの年金は前条の名目手取り賃金変動率ではなく、物価変動率を基準に改定される。ただし括弧書きが効く。物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、低いほうの賃金変動率を使う。物価が3%上がっても、現役世代の手取り賃金が1%しか伸びていなければ、あなたの年金は1%しか上がらない。インフレ下で年金の実質価値が削られる仕組みは、この一文の括弧の中に入っている。第2項は具体的な改定の措置を政令に委ねており、毎年度の数字は国会の議決を経ずに確定する。
法的な位置づけ
国民年金法27条の3は、基準年度以後改定率を定める規定である。基準年度とは受給権者が65歳に達した日の属する年度の3年後の年度を指し、それ以後に適用される改定率は前条の例外として物価変動率を基準に改定される。ただし物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は、名目手取り賃金変動率が基準となる。具体的な改定の措置は政令に委任される。
よくある質問 AI による整理
Q1基準年度とはいつのことですか?
受給権者が65歳に達した日の属する年度の初日の属する年から3年後の年の4月1日が属する年度です。この年度以後、改定の基準が賃金から物価に切り替わります。
Q2名目手取り賃金変動率とは何ですか?
現役世代の手取り賃金の変化を示す指標で、物価変動率に実質賃金変動率と可処分所得割合の変化率を反映させたものです。社会保険料率の引き上げ分も織り込まれます。
Q3年金の改定率は誰が決めるのですか?
計算の枠組みは国民年金法が定めますが、毎年度の具体的な改定の措置は本条2項の委任により政令で確定します。国会の議決を経ずに数字が決まる仕組みです。
Q4マクロ経済スライドと物価スライドは同じですか?
違います。物価スライドは27条の3の物価変動率基準の改定、マクロ経済スライドは調整期間中に27条の4・27条の5で調整率を差し引く仕組みで、二段階で働きます。
Q5年金額改定通知書はいつ届きますか?
毎年6月に届きます。改定後の年金額はその年度の4月分から適用され、6月に支払われる4月・5月分から新しい額が反映されます。
Q6厚生年金も同じルールで改定されますか?
同じ構造です。厚生年金保険法43条の3が基準年度以後の再評価率について同様に物価変動率基準と賃金上限の仕組みを定めています。
Q7繰下げ受給をすると改定率も有利になりますか?
なりません。繰下げの増額率と毎年度の改定率は別枠です。70歳から受け取り始める場合、初年度からすでに基準年度を過ぎており、本条の改定が適用されます。
Q8年金を受け取る権利に時効はありますか?
あります。年金給付を受ける権利は支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅します(国民年金法102条)。改定処分そのものを争う期限とは別枠です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1物価が上がってるのに、なんで年金はその分増えないんですか?
27条の3の括弧書きが効いているためです。基準年度以後の受給者は物価変動率が基準ですが、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る年は、低いほうの賃金変動率に合わせられます。調整期間中はさらに27条の5の調整率が引かれます。実務のポイント:この賃金合わせのルールは平成28年(2016年)改正で入り、令和3年(2021年)4月から適用されたもの。それ以前に作られた老後資金シミュレーションは物価連動を前提にしており、数字がそのまま使えない。手元の試算表がいつ作られたかを先に見る
Q267歳と68歳で改定率が違うって、本当なんですか?
本当です。令和5年度(2023年度)は67歳以下が2.2%、68歳以上が1.9%でした。65歳到達年度の3年後が基準年度で、そこから27条の2ではなく27条の3が適用されるためです。実務のポイント:夫婦に年齢差があると、同じ家計の中を二本の改定率が同時に走る年が出る。世帯の年金収入をひとつの伸び率でまとめて試算している人ほど、ずれが積み上がる。夫婦の年金は必ず別々に試算する
Q3改定された金額に納得できないとき、どこに文句を言えばいいんですか?
年金事務所の窓口ではなく、社会保険審査官への審査請求です(国民年金法101条)。期限は処分を知った日の翌日から3か月。取消訴訟は審査請求に対する決定を経た後でなければ提起できません(同法101条の2)。実務のポイント:かつては社会保険審査会への再審査請求まで済ませないと訴訟に進めないと理解されていたが、現在は審査官の決定が出た時点で出訴できる。再審査請求で待つか、決定を持って裁判所へ行くかを自分で選べる
間違えやすい点 AI による整理
- 年金は物価に連動すると知っている人は多い。だがその連動に「上限」がついていることまで知る人は少ない。物価が賃金を上回った年に受け取るのは賃金側の低い数字であり、しかも調整期間中はそこからマクロ経済スライドの調整率(27条の4、27条の5)が差し引かれる。二段階で削られる構造を、「物価スライド」という一語が覆い隠している
- 「今年の年金改定率は何%か」と調べる人は、問いの立て方を一段間違えている。改定率は一つではなく、基準年度前と以後で二本走っている。自分がどちらの線に乗っているかを確定させないまま数字だけ拾うと、家計試算が丸ごとずれる
- 「年金額は法律で決まっているから政治判断では動かない」と思われている。だが本条2項は改定の措置を政令に委ねており、毎年度の具体的な数字は内閣が政令で確定させる。法律が決めているのは計算の枠組みだけである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 改定の基準 | 27条の3:物価変動率(物価が賃金を上回るときは賃金変動率) | 27条の2:名目手取り賃金変動率 27条の4・27条の5:上記からマクロ経済スライドの調整率を控除 |
| 適用される人 | 65歳到達年度の3年後(基準年度)以後の受給権者 | 新規裁定者および基準年度前の受給権者 調整期間中のすべての受給権者 |
| 切り替えの通知 | 自動的に切り替わり、個別の通知はない | 裁定時に適用 毎年度の改定率公表時に反映 |
| 具体的数字の決め方 | 2項により政令で定める | 同じく政令で定める 同じく政令で定める |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は消費者物価指数の累計成長率が一定水準に達した場合に給付額を調整する方式で、賃金上限やマクロ経済スライドに相当する自動抑制装置は持たない
韓国は前年の全国消費者物価変動率で年金額を調整する純粋な物価連動方式。日本のような賃金上限の括弧書きはなく、給付水準の抑制は所得代替率の段階的引き下げで行われている
ドイツは賃金連動を原則としつつ、持続可能性係数(Nachhaltigkeitsfaktor)で被保険者と受給者の比率変化を反映させる。日本のマクロ経済スライドはこの発想と近縁
米国は CPI-W に基づく COLA を毎年自動適用する物価連動一本。賃金上限や人口動態による抑制係数はなく、財政調整は信託基金の枯渇時に立法で対応する構造
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし今年、物価が3%上がり、現役世代の手取り賃金が1%しか伸びなかったら、68歳のあなたの年金はどうなる? 答えは1%増。そこから調整期間中はマクロ経済スライドの調整率がさらに引かれる。年金額改定通知書が届くのは毎年6月、争うなら処分を知った日の翌日から3か月が持ち時間。封を切らずに置いた1か月は、そのまま期限から削られる
- 親の介護施設を、親の年金でまかなう前提で選んだ。月額利用料は固定、年金は物価に連動して増えるはずだった。だが本条の括弧書きにより、物価が上がった年でも年金は賃金の伸びまでしか上がらない。差額を毎月埋めるのは、支える側であるあなたの給料になる
- 65歳で受給を始めた友人が「来年からルールが変わるらしい」と言ってきた。変わるのは法律ではなく、その人が基準年度に入るタイミングである。3年目の4月、適用条文が27条の2から27条の3へ静かに切り替わる
- 繰下げ受給を選んで70歳から受け取り始めた場合、受給開始の初年度にはすでに基準年度を過ぎている。70歳繰下げの増額率42%は確かに効くが、その後の毎年の改定は最初から物価と賃金の低いほう。金融機関の繰下げ試算表が置いている「毎年○%上昇」という前提を、誰も保証していない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書の改定率を、その年度の物価変動率・名目手取り賃金変動率と照合する(厚生労働省の年金額改定の公表資料で確認できる) 2. 自分の65歳到達年度から基準年度を算出し、27条の2と27条の3のどちらが適用されているか確定させる3. 計算違いや加入記録の誤りを疑うなら、処分を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求(国民年金法101条) 4. 決定に不服なら再審査請求か、決定を経た時点での取消訴訟を選ぶ(同法101条の2)
訴えられた側:本条に加害者はいない。ここでは支える側・これから受け取る側の防御策として読む。1. 親の年金を前提に施設や住み替えを決める前に、年金が物価に完全追随しない条件で5年分を試算する2. 自分の老後は基準年度以後に賃金という上限がかかると織り込み、不足分をiDeCoや積立で埋める3. 繰下げの増額率と毎年の改定率は別枠、増額率だけで判断しない4. 家族に受給者がいるなら、6月の通知書を一緒に読む
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。争う対象は各年度の年金額改定処分であり、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(国民年金法101条、行政不服審査法18条)。再審査請求は決定書の謄本の送付を受けた日の翌日から2か月以内。年金給付を受ける権利そのものは支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅する(同法102条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(保険料水準固定方式の構造理解):平成16年改正により保険料に上限を設けた以上、給付側の調整は制度存続の必然的帰結であるとする。本条の賃金上限は、既裁定者にも現役世代の負担能力を反映させる装置であり、世代間の負担配分を給付側で実現するものと理解される。
批判的学説:物価基準という文言を残しながら括弧書きで賃金上限をかぶせる構造は、受給者にとって適用ルールが不透明であり、実質価値の維持という物価スライド本来の趣旨を空洞化させているとの指摘がある。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 年金制度改正(平成16年法律第104号)により新設。保険料水準固定方式への転換に伴い、新規裁定者は賃金基準(27条の2)、基準年度以後の既裁定者は物価基準(本条)とする二本立ての改定ルールが導入された
- 平成28年(2016年)公布、令和3年(2021年)4月施行 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための改正により、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は賃金変動率を用いる括弧書きを追加。既裁定者の年金も現役世代の賃金の伸びを上限とする仕組みが完成した
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:年金制度改正(平成16年法律第104号)により新設。保険料水準固定方式への転換に伴い、新規裁定者は賃金基準(27条の2)、基準年度以後の既裁定者は物価基準(本条)とする二本立ての改定ルールを導入
- 2.平成28年(2016年)公布 / 令和3年(2021年)4月施行 改正:公的年金制度の持続可能性の向上を図るための改正により、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合は賃金変動率を用いる括弧書きを追加。既裁定者の年金にも現役世代の賃金の伸びを上限とする仕組みが完成
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