要点国民年金法27条の4は、調整期間中の年金改定率を名目手取り賃金変動率に調整率を乗じて定める。調整率は被保険者数の減少率と〇・九九七の積で、賃金が下がった年には適用されない。
Q · 物価が2%上がったのに、年金が2%増えないのはなぜ?
人口指標に基づく調整率が自動的に差し引かれるためです
国民年金法27条の4により、調整期間中の年金額の改定率は、名目手取り賃金変動率に調整率を乗じて決まります。調整率は公的年金被保険者総数の変動率の三乗根に〇・九九七(平均余命の伸びに対応する率)を乗じたもので、これがマクロ経済スライドと呼ばれる目減り装置です。第2項により名目手取り賃金変動率が一を下回る年は調整を行いませんが、削り残しは第3項の特別調整率として翌年度以降へ繰り越され、賃金や物価が伸びた年に回収されます。結果として、上がる年ほど上がり方が抑えられます。
〇・九九七。国民年金法の条文本文に、この数字がそのまま書き込まれている。意味は「平均余命が延びた分、年金を毎年〇・三%削る」。さらに公的年金の加入者が減れば、その減少率(三年平均を三乗根で均したもの)も掛け算で差し引かれる。二つを掛けたものが調整率であり、あなたの年金を静かに目減りさせる装置の正体だ。ここで効いてくるのが第二項。賃金がマイナスの年は、この削減を行わない。名目額は減らさないという譲歩である。ただし削り残しは消えない。第三項の特別調整率が未使用分を翌年度以降へ繰り越し、賃金や物価が伸びた年にまとめて回収する。結果として、年金は上がる年ほど上がり方が抑えられる。「増えているのに実質は減っている」というあの奇妙な感覚の設計図が、この一条に収まっている。
国民年金法第27条の4は、マクロ経済スライドの根拠規定であり、調整期間における年金額の改定率の算出方法を定める。改定率は名目手取り賃金変動率に、公的年金被保険者総数の変動率の三乗根と〇・九九七を乗じて得た調整率、および前年度の特別調整率を乗じて算出される。名目手取り賃金変動率が一を下回る年度は調整を行わず、未調整分は特別調整率として翌年度以降に繰り越される。
公的年金の給付水準を、加入者数の減少と平均余命の伸びという2つの人口指標で自動的に抑える仕組みです。国民年金法27条の4と厚生年金保険法43条の4が根拠で、2004年改正で導入されました。
平均余命の伸びに対応する固定値で、条文本文に直接書き込まれています。毎年およそ0.3%を給付水準から差し引く意味を持ち、統計で変動する被保険者数の変動率と異なり法改正がない限り動きません。
第2項の名目下限措置で削りきれなかった調整分を翌年度以降へ繰り越す率です。平成29年度を1として起点とし、賃金や物価が伸びた年にまとめて回収されます。第3項が根拠です。
適用されます。本条は改定率そのものを調整する規定であり、老齢・障害・遺族の別を問わず改定率を用いるすべての給付に一律に及びます。受給期間が長い若年の障害基礎年金受給者ほど累積的な影響を受けます。
改定率は毎年度4月分から適用されますが、公的年金は2か月分をまとめて後払いするため、実際の振込に反映されるのは6月の支払からです。1月下旬の改定発表から半年近い時差があります。
平成16年(2004年)の年金制度改正で、保険料水準固定方式への転換に伴って新設されました。その後平成28年(2016年)改正で第3項の特別調整率が加わり、平成30年(2018年)4月から施行されています。
条文は減少幅の総量を定めていません。将来の水準は5年ごとの財政検証(第4条の3)が所得代替率の見通しとして示すため、個別の予測値ではなく直近の財政検証の数字を確認するのが正しい調べ方です。
両方に適用されます。国民年金法27条の4と厚生年金保険法43条の4が同一構造の調整特例を置いています。ただし調整期間の終了見込み時期は制度ごとに異なり、基礎年金のほうが長く続く見通しが示されてきました。
終期は年数で決まっていない。財政の均衡を保つことができると見込まれるようになったときに調整期間が終了する(第16条の2)。その見通しは5年ごとの財政検証(第4条の3)で更新されるため、終了予定年度は検証のたびに動く。業界裏話ヒント:基礎年金と厚生年金では調整が終わる時期が異なり、基礎年金のほうが長く調整が続く見通しが示されてきた。老後収入が基礎年金中心の人ほど、影響は長く重い
第2項により、名目手取り賃金変動率が1を下回る年は調整率を掛けず、その変動率だけを基準にする。つまり本条による上乗せの削減は行わない。ただし変動率自体がマイナスなら年金額は下がる。業界裏話ヒント:削られなかった分は消えず、第3項の特別調整率として翌年度以降へ繰り越される。景気の悪い年に守られた分は、賃金や物価が伸びた年にまとめて回収される
打ち消せない。繰下げの増額率(1か月あたり0.7%、最大75歳まで、第28条)は改定率を掛けた後の額に働くため、目減りした土台の上に増額が乗る形になる。名目の底上げ効果自体は残る。業界裏話ヒント:繰下げ待機中に亡くなった場合、遺族が未支給年金として請求できる範囲は時効(第102条、5年)で頭打ちになりうる。健康状態と家族構成を必ずセットで判断する
毎年1月下旬に翌年度の年金額改定が公表され、名目手取り賃金変動率・物価変動率・調整率(スライド調整率)の内訳が数字で示される。最終的な改定率との差が、その年に本条で差し引かれた分である。業界裏話ヒント:報道は「年金〇%引き上げ」としか伝えず、内訳まで報じることはほとんどない。公表資料一枚を開くだけで、引き上げの見出しの裏側にある数字が見える
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用場面 | 第27条の4:調整期間中の改定率(マクロ経済スライド適用時) | — |
| 基準となる率 | 名目手取り賃金変動率 × 調整率 × 前年度の特別調整率 | — |
| 人口指標の反映 | 公的年金被保険者総数の変動率の三乗根 × 〇・九九七で毎年反映 | — |
| 名目額の下限 | 第2項により賃金変動率が一を下回る年は調整せず、未調整分は繰越し | — |
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