要点国民年金法28条は、66歳到達前に老齢基礎年金を請求しなかった者が支給繰下げを申し出られると定める。支給は申出月の翌月に始まり、年金額に加算がされる。
Q · 65歳で年金をもらわずに待つと、本当に増えるんですか?
増えます。66歳以降に申し出れば待った月数分だけ加算されます
国民年金法28条により、66歳に達する前に老齢基礎年金を請求していなかった者は、厚生労働大臣に支給繰下げの申出ができます。支給は申出のあった日の属する月の翌月から始まり(3項)、年金額は27条の額に政令で定める額を加算した額になります(4項)。申出ができるのは66歳到達日以後75歳到達日まで、75歳到達日後の申出は同日に申出があったものとみなされます(2項2号)。ただし65歳到達時に他の年金たる給付の受給権者であった者は、1項但書により繰下げの申出そのものができません。
65歳で受け取らずに待つと1か月ごとに0.7%増え、75歳まで待てば84%増。ここまではネットにいくらでも書いてある。だが国民年金法28条の本当の勝負どころは、待っている間にあなたが失うものの側にある。1項但書、65歳の時点で障害年金や遺族年金の受給権を持っていたら、繰下げという選択肢そのものが存在しない。2項、66歳を過ぎてから他の年金の受給権が発生すれば、その日で増額は止まる。そして5項、2023年4月に動き出した特例で、70歳を過ぎて請求し繰下げの申出をしなかった場合、請求日の5年前に申し出たとみなされ、増額された5年分がまとめて入る。時効で消えるはずだった分が救済される仕組みだ。ただし80歳を過ぎると、この扉は音もなく閉まる。
国民年金法28条は老齢基礎年金の支給繰下げを定める規定であり、受給権者が66歳到達前に当該年金を請求していない場合に、厚生労働大臣へ繰下げの申出をする権利を認める。申出により支給開始は申出月の翌月へ繰り延べられ、年金額には政令で定める加算が行われる。65歳到達時に他の年金たる給付の受給権者であった者は対象外となる。
老齢基礎年金を65歳で受け取らず、66歳以降に申し出て支給開始を遅らせる制度です。国民年金法28条が根拠で、遅らせた月数に応じて年金額に政令で定める加算がつきます。
申出ができるのは66歳到達日以後、75歳到達日までです。75歳到達日後に申し出た場合は、75歳到達日に申出があったものとみなされます(28条2項2号)。
1か月あたり0.7%で、10年(120か月)繰り下げると84%増になります。加算額そのものは28条4項の委任を受けた政令で定められており、条文本体には率が書かれていません。
います。65歳に達したときに他の年金たる給付の受給権者であった人、または65歳から66歳までの間に受給権者となった人は、28条1項但書により繰下げの申出ができません。
70歳到達後に繰下げの申出をせずに老齢基礎年金を請求した場合、請求日の5年前に申出があったとみなす制度です(28条5項)。時効で消えるはずだった分が増額付きで支給されます。
遺族は未支給年金として請求できますが(19条)、増額は一切付きません。受け取れるのは時効内5年分の本来額に限られ、増額を前提にした試算とは大きく差が出ます。
老齢基礎年金を繰下げている間は振替加算も支給されません。しかも振替加算部分は繰下げても増額されないため、対象者は待つほど純損失が積み上がる構造になります。
年金事務所または街角の年金相談センターで支給繰下げ申出書を提出します。支給は申出のあった日の属する月の翌月から始まるため(28条3項)、月末をまたぐかどうかで1か月ずれます。
時効は5年(102条)なので、単純に遡って本来請求するとはみ出た分は消えます。ただし2023年4月から5項の特例が動き、70歳到達後に繰下げの申出をせずに請求すると、請求日の5年前に申し出たとみなされ、増額された5年分が一括で入ります。業界裏話ヒント:この特例は80歳到達日以後は使えない。80歳の壁を越えた瞬間、増額と遡及を同時に失う
できます。老齢基礎年金の繰下げは本条、老齢厚生年金の繰下げは厚生年金保険法44条の3と規定が別建てで、片方だけ選べます。業界裏話ヒント:配偶者の加給年金が付いている人が厚生年金を繰下げると、待機中の加給年金が丸ごと消える。この層は基礎年金だけ繰下げるのが定石だが、窓口では聞かれない限り説明されないことが多い
本当です。増額分はそのまま公的年金等の雑所得となり、所得税・住民税に加えて国民健康保険料と介護保険料の算定基礎が上がります。医療費の窓口負担割合が動く境目も所得で決まる。業界裏話ヒント:損益分岐点は約12年と語られるが、それは額面の話。試算を頼むときは「手取りで」と一言添えるだけで、結論が変わることがある(最新の改正状況をご確認ください)
申出をして年金が始まった後の撤回はできません。取り消せるのは申し出る前まで。待機中であればいつでも方針を変えられ、繰下げの申出をせずに請求すれば増額なしで時効内5年分が一括で入ります。業界裏話ヒント:この「まだ何も決めていない」状態こそ本条の最大の資産。65歳の窓口で決断した気になっている人ほど、この自由を早々に捨てている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 支給が始まる時期 | 28条:申出のあった日の属する月の翌月から(3項が18条1項を排除) | — |
| 受け取れる年金額 | 28条:27条の額に政令で定める額を加算(1か月0.7%、最大84%) | — |
| 選択できる期間 | 28条:66歳到達日以後75歳到達日まで、1か月単位で申出可 | — |
| 待機中に死亡した場合 | 28条:増額は付かない。遺族は本来額を未支給年金として請求(19条) | — |
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