国民年金法 第40条(失権)
クイックジャンプ
- 遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
- 一死亡したとき。
- 二婚姻をしたとき。
- 三養子となつたとき(直系血族又は直系姻族の養子となつたときを除く。)。
- 2.配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、前項の規定によつて消滅するほか、第三十九条第一項に規定する子が一人であるときはその子が、同項に規定する子が二人以上であるときは同時に又は時を異にしてその全ての子が、同条第三項各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
- 3.子の有する遺族基礎年金の受給権は、第一項の規定によつて消滅するほか、子が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。
- 一離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の子でなくなつたとき。
- 二十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき。ただし、障害等級に該当する障害の状態にあるときを除く。
- 三障害等級に該当する障害の状態にある子について、その事情がやんだとき。ただし、その子が十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるときを除く。
- 四二十歳に達したとき。
この条文の基本情報
失権とは何ですか?
定義失権とは、国民年金法第40条に定められた規定で、「遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第40条(失権)は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第40条の条文原文は「遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する。」で始まります。
- 国民年金法第40条は第四節 遺族基礎年金に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第40条の前の条は国民年金法第39条の2です。
- 国民年金法第40条の次の条は国民年金法第41条です。
- 国民年金法第40条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第40条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第40条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/40
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法40条は遺族基礎年金の失権事由を定める。受給権者の死亡・婚姻・養子縁組のほか、子は18歳到達年度末の終了や20歳到達で失権し、支給停止と違い権利は回復しない。
Q · 再婚したら遺族基礎年金は止まるんですか? 届を出さなければ大丈夫?
止まるのではなく消えます。離婚しても復活しません。
国民年金法40条1項2号により、婚姻をしたときに遺族基礎年金の受給権は消滅します。実務上この「婚姻」は婚姻届の有無ではなく生活の実態で判断され、事実上の夫婦関係に入った時点で失権として処理されます。41条の支給停止と違い、失権は権利そのものの消滅であるため、後に離婚しても年金は戻りません。また子については、離縁、18歳に達した日以後の最初の3月31日の終了、障害状態がやんだとき、20歳到達で失権します(40条3項)。
解説
遺族基礎年金には「止まる」と「消える」の二つの終わり方があり、40条が定めるのは後者だ。受給権者が死亡・婚姻・養子縁組(直系血族または直系姻族の養子となった場合を除く)をすれば、その時点で権利そのものが消滅する。ここで多くの人が足を取られるのが「婚姻」の意味である。実務では婚姻届の有無ではなく生活の実態で判断され、事実上の夫婦関係に入った時点で失権として処理される。届を出していないから大丈夫、という理屈は通らない。さらに配偶者側の年金は、自分の事情とは無関係に、子が18歳到達年度末を過ぎるなどして全員が対象から外れた瞬間に消える。子側は離縁、18歳到達年度末、障害の状態がやんだとき、20歳到達で消える。そして失権は不可逆だ。再婚を解消しても、この年金が戻ることはない。
法的な位置づけ
国民年金法40条は、遺族基礎年金の受給権の消滅事由を定める規定である。受給権者の死亡・婚姻・養子縁組(直系血族又は直系姻族の養子となった場合を除く)を共通の失権事由とし、配偶者については全ての子が39条3項各号の事由に該当したとき、子については離縁、18歳到達日以後の最初の3月31日の終了、障害状態の消滅、20歳到達を失権事由とする。41条の支給停止と異なり権利自体が消滅する。
手順
- 1.自分に起きた事実が40条の失権事由に当たるか条文で照合 死亡・婚姻・養子縁組(1項)、全ての子の39条3項各号該当(2項)、離縁・18歳到達年度末・障害状態の消滅・20歳到達(3項)のどれに当たるかを特定する。養子縁組は相手が直系血族・直系姻族なら1項3号括弧書きで除外され失権しない
- 2.失権の起算日をカレンダー上で確定させる 18歳到達による失権は18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した時点、20歳到達による失権は20歳に達した日(年齢計算上は誕生日の前日)。事実上の婚姻の場合は共同生活が始まった日が起算日になりうるため、同居開始日を客観資料で押さえる
- 3.失権日より前に代替制度の申請サイクルへ乗せる 子の18歳到達年度末が見えたら高校三年の秋までに動く。児童扶養手当、就学支援金、奨学金、20歳前傷病による障害基礎年金、遺族厚生年金の残存分を並べ、収入が途切れる月を先に埋める。年度単位で回る制度が多く、失権後に動くと半年の空白が生じる
- 4.失権の届出を期限内に提出し、返還が生じるなら納付方法を先に相談 失権事由が生じたら原則14日以内に年金事務所へ届け出る。過払いが避けられない場合は、額の確定より先に分割納付など納付方法を相談する。辻褄合わせの追加説明は、偽りその他不正の手段による受給と評価される危険があるため行わない
よくある質問 AI による整理
Q1遺族基礎年金の失権とは何ですか?
受給権そのものが消滅することです。国民年金法40条が事由を定めており、いったん失権すると事情が変わっても年金は再開されません。
Q2遺族基礎年金の失権事由はいくつありますか?
共通事由が死亡・婚姻・養子縁組の3つ(40条1項)、配偶者固有が全ての子の減額改定事由該当(2項)、子固有が離縁・18歳到達年度末・障害状態の消滅・20歳到達の4つ(3項)です。
Q3遺族基礎年金の失権の届出はいつまでにする必要がありますか?
失権事由が生じたときは速やかな届出が必要で、原則として事由発生から14日以内とされています。届出を怠った期間の受給分は過払いとして返還対象になります。最新の施行規則をご確認ください。
Q4障害のある子は何歳まで遺族基礎年金を受けられますか?
障害等級に該当する状態であれば18歳到達年度末を過ぎても継続し、20歳に達したときに失権します(40条3項4号)。20歳前傷病による障害基礎年金への切替を事前に準備してください。
Q5離縁すると子の遺族基礎年金はどうなりますか?
離縁によって死亡した被保険者等の子でなくなったときは、その時点で子の受給権が消滅します(40条3項1号)。養子縁組の解消は年金上の親子関係の終了を意味します。
Q6遺族基礎年金を受け取りすぎた場合は返還が必要ですか?
失権後に受け取った分は過払いとして返還対象になります。返還請求権は原則5年で時効にかかりますが、偽りその他不正の手段による受給には別の取扱いがあります。最新の改正状況をご確認ください。
Q7配偶者の遺族基礎年金だけが先に消えることはありますか?
あります。子が全員18歳到達年度末を過ぎるなど39条3項各号に該当すると、配偶者自身に何もなくても2項により配偶者の受給権が消滅します。
Q8遺族基礎年金と遺族厚生年金の失権は同じですか?
同じではありません。40条は国民年金(一階部分)の規定で、遺族厚生年金は厚生年金保険法が別に失権事由を定めます。基礎年金が消えても厚生年金側が残る家庭があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1彼と暮らし始めただけで、籍は入れていません。それでも年金は止まりますか?
止まるのではなく消えます。40条1項2号の婚姻は、実務上、届出の有無ではなく生活の実態で判断され、事実上の夫婦関係に入った時点で失権として処理されます。実務のポイント:判定材料は住民票だけではなく、光熱費の名義、口座の入出金、近隣からの聴取まで含まれる。届を出していないから分からないだろう、と放置した期間がそのまま返還額に変わる
Q2子が18歳になったら、本当に一円も出なくなるんですか?
遺族基礎年金は、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した時点で子の受給権が消滅し(40条3項2号)、その子しかいなければ配偶者の受給権も同時に消えます(同条2項)。障害等級に該当する状態なら20歳まで続きます。実務のポイント:亡くなったのが厚生年金の被保険者なら二階部分は別枠で残ることが多い。全部なくなると思い込んで手続を止める人がいるが、一階と二階は失権のルールが違う
Q3失権したあとで離婚したら、年金は復活しますか?
復活しません。40条の失権は権利そのものの消滅で、41条の支給停止のように事情が変われば再開する構造にはなっていません。再び受けるには新たな死亡による別の受給権が必要です。実務のポイント:この不可逆性を知らないまま、とりあえず籍を入れて駄目なら戻せばいいと考える人がいる。戻らないという一点だけで、再婚のタイミングは家計上の重大な意思決定になる
Q4子が再婚相手の養子になったら、子の分も消えますか?
消えません。40条1項3号は直系血族または直系姻族の養子となった場合を除外しており、母の再婚相手は子から見て直系姻族に当たります。ただし生計を同じくする父または母がある間、子の遺族基礎年金は支給停止です(41条2項)。実務のポイント:縁組の相手が叔父・伯母などの傍系血族だと除外に当たらず、その日に子の受給権が消える。相手の続柄で結論が反転する
間違えやすい点 AI による整理
- 「再婚したら年金は止まりますか」という問いの立て方自体がずれている。止まるのではなく消えるのであり、しかも「再婚」の判定に婚姻届は要らない。本当に問うべきは「いつの時点から事実上の夫婦と見られるか」であり、その日付が返還額の大きさを決める
- 事実婚でも失権することは知られるようになった。だが深刻なのはその先で、認定は過去に遡る。共同生活が始まった時点まで戻って失権とされ、それ以降の受給分は過払いとして一括返還を求められる。偽りその他不正の手段による受給と評価されれば、さらに重い対応が待つ
- あなたから見れば、子が18歳を過ぎた後こそ大学の学費で支出が膨らむ局面だ。法から見れば、子は18歳到達年度末で保護対象から外れる。この落差が家計を直撃するのに、通知は事務的な一枚で届く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 効果の性質 | 40条:受給権そのものが消滅(失権) | 41条:支給が止まるだけで受給権は存続(支給停止) 39条:子の数の変動による年金額の減額改定 |
| 回復の可否 | 回復しない。離婚しても年金は戻らない | 事情が消えれば支給が再開しうる 子の状況が変われば額が再計算される |
| 主な発動事由 | 死亡・婚姻・養子縁組、18歳到達年度末、障害状態の消滅、20歳到達 | 労災等による支給停止、生計を同じくする父母がある間の子の分の停止 子の一部が39条3項各号に該当 |
| 権利の入口との関係 | 37条・37条の2で発生した権利の出口を定める | 権利は存続したまま流れだけを止める 権利は存続し金額だけが変わる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も遺族側の再婚や子の年齢到達を資格喪失事由とする点で構造が近い。ただし国民年金と労工保険が並立し、どちらの制度に属していたかで喪失要件と金額の扱いが変わる
韓国も死亡・再婚・파양(離縁)・子や孫の年齢到達を失権事由とする。日本の1959年国民年金法を参照して1986年に国民年金制度を整えた経緯があり、条文構造が最も日本に近い
ドイツも再婚により遺族年金が終了する。ただし再婚時に一時金(Rentenabfindung)が支給される点、遺児年金が就学等の事情で27歳まで延びる点が日本と大きく異なる
米国は60歳以降の再婚では遺族給付が終了しないという年齢による線引きを採る。子の給付は18歳(在学中は19歳)で終了し、日本の18歳到達年度末に近い断絶が生じる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 夫を事故で亡くし、小学生の子二人と遺族基礎年金で暮らしてきた。三年後、交際相手が週の半分あなたの家に泊まるようになる。住民票は別のまま。日本年金機構の調査でこの生活実態が事実上の婚姻関係と認定されれば、認定された日ではなく共同生活が始まった日に遡って失権し、その間に受け取った分は返還対象になる
- もし子が高校三年の3月31日を迎えたら、その日で終わりなのか? 終わりである。18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した時点で子の受給権は消滅し、その子しかいなければ配偶者の受給権も同時に消える(40条2項、3項2号)。4月に大学へ進学しても年金は続かない。学費のピークと年金の断絶が同じ月に来る
- あと二か月で子が20歳になる。障害等級に該当する状態のため受給が続いてきたが、20歳到達で遺族基礎年金は失権する。20歳前傷病による障害基礎年金への切替を、今のうちに動かしておかないと収入がまるごと空白になる
- 日本年金機構から現況の調査票が届いた。同居している人はいますか、という欄。あなたは三年前から交際相手と生活を共にしている。ここで事実と違う記載をすれば、過払い分の返還だけでは済まず、詐欺罪(刑法246条)の射程に入る。あなたが問われる側に回る瞬間はここから始まる
- 子を連れて実家に戻り、子が祖父の養子になった。祖父は直系血族なので40条1項3号の括弧書きで除外され、失権しない。ところが子が叔父夫婦の養子になれば、叔父は傍系血族で除外に当たらず、その日に子の受給権は消える。同じ養子縁組でも、相手の続柄一つで結論が正反対になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 失権事由に本当に当たるか条文で検証する。子の養子縁組なら相手が直系血族・直系姻族か(40条1項3号括弧書き)を確認2. 障害の状態がやんだと言われても、その子が18歳到達年度末までの間にあるなら3項3号ただし書きで失権しない3. 失権の決定に納得できなければ社会保険審査官への審査請求を検討4. 障害基礎年金、児童扶養手当、遺族厚生年金の残存分を並べ、収入の空白期間を先に埋める
訴えられた側:1. 機構が主張する事実上の婚姻関係の起算日を必ず特定させ、生計の実態がどの時点から重なったのかを争点にする2. 家賃・光熱費の名義、口座の分離、生活費の負担関係を示す資料で反証を組む3. 返還が避けられないなら、額の確定より先に納付方法を相談する4. 意図的な不申告と評価されると詐欺罪(刑法246条)の射程に入るため、辻褄合わせの追加説明は絶対にしない
時効(請求できる期限):失権事由が生じたときの届出は、事由発生から原則14日以内(国民年金法105条および同法施行規則。最新の改正状況をご確認ください)。子の18歳到達による失権は3月31日が終了した時点、20歳到達による失権は20歳に達した日(年齢計算上は誕生日の前日)で、この日付は動かない。過払い分の返還請求権は原則5年で時効にかかるが、偽りその他不正の手段による受給には別の取扱いがある(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国民年金法制定。被用者年金の対象外であった自営業者等を含む全国民を対象とする拠出制年金制度が発足した
- 2.昭和60年(1985年) 改正:基礎年金制度の導入に伴う大改正。全国民共通の一階部分として遺族基礎年金が位置づけられ、その受給権の消滅事由が現行の枠組みに整理された
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める