国民年金法 第69条
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故意に障害又はその直接の原因となつた事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害基礎年金は、支給しない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第69条は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第69条の条文原文は「故意に障害又はその直接の原因となつた事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害基礎年金は、支給しない。」で始まります。
- 国民年金法第69条は第六節に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第69条の前の条は国民年金法第53〜68条です。
- 国民年金法第69条の次の条は国民年金法第70条です。
- 国民年金法第69条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第69条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第69条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/69
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法69条は、故意に障害やその原因事故を生じさせた者には、その障害を支給事由とする障害基礎年金を支給しないと定める。ただし精神疾患による自殺企図は故意に当たらない。
Q · 自殺未遂で重い障害が残った場合、障害基礎年金はもらえないのですか?
一律不支給ではなく、精神疾患下の自殺企図は故意に当たりません
国民年金法69条は、故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者について、当該障害を支給事由とする障害基礎年金を支給しないと定めます。ただしここでの「故意」は自由な意思決定のもとで自らの障害を意図した場合を指し、うつ病等の症状として自殺企図に至った場合は故意に当たらないという扱いが定着しています。制限が及ぶのは当該障害の障害基礎年金だけで、老齢基礎年金や別の傷病による障害基礎年金は影響を受けません。重大な過失や故意の犯罪行為は同法70条の裁量的制限の領域です。
解説
うつ病の果てに自ら命を絶とうとして、一命は取り留めたが重い後遺障害が残った。この人に障害基礎年金は出るのか。条文だけを読めば「故意に障害を生じさせた者」に見え、69条で門前払いされそうに思える。ところが実務の答えは逆に近い。精神疾患の症状として自殺企図に至った場合、自由な意思決定ができる状態ではなかったとして69条の「故意」には当たらないと扱うのが定着した運用である。ここであなたが握るべき事実は三つ。第一に、69条が消すのは「その障害を支給事由とする障害基礎年金」だけで、老齢基礎年金も遺族基礎年金も、別の傷病による障害も無傷であること。第二に、故意があったことを立証する側は請求者ではなく保険者であること。第三に、故意と認められない重過失や犯罪行為は70条の領域に落ち、そちらは「全部又は一部を行わないことができる」という裁量規定で、ゼロか満額かの世界ではないこと。
法的な位置づけ
国民年金法69条は障害基礎年金の給付制限を定める規定であり、故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者について、当該障害を支給事由とする障害基礎年金を支給しない旨を規定する。制限の効果は当該障害に係る年金に限定され、他の給付には及ばない。重大な過失又は故意の犯罪行為による場合は、裁量的制限を定める同法70条の適用範囲に属する。
手順
- 1.医学的経過を示す資料を確保する 精神科・救急のカルテを開示請求し、希死念慮の出現、病識の喪失、治療経過の記載を探す。障害の原因となった出来事が病態の流れの中に位置づけられるかどうかが、69条の入口を決める
- 2.診断書の経過欄を提出前に確認する 診断書の経過欄が「自ら飛び降りた」の一行で止まっていないか確認し、必要なら「うつ病の症状として希死念慮が出現し」という病態の流れの記載を主治医に依頼する。書き直しを頼めるのは提出前だけである
- 3.初診日と保険料納付要件を固めて請求書を出す 受診状況等証明書で初診日を特定し、国民年金法30条の納付要件を確認する。窓口で口頭に「対象外」と言われても、請求書を提出して書面の決定を取らなければ不服申立ての土俵に上がれない
- 4.不支給決定が出たら3か月以内に審査請求する 社会保険審査官へ審査請求を行う。冒頭で、69条は支給要件ではなく支給制限であり故意の立証責任は保険者側にあることを明示し、併せて保有個人情報開示請求で認定の元資料を特定する
よくある質問 AI による整理
Q1障害基礎年金の給付制限とは何ですか?
支給要件を満たしていても、一定の事情があるときに年金を支給しない仕組みです。国民年金法69条(故意)と70条(故意の犯罪行為・重大な過失・療養指示不遵守)が中心で、69条は全部不支給、70条は裁量による全部または一部の不支給です。
Q2国民年金法69条はどんな場合に適用されますか?
自らの障害、またはその直接の原因となった事故を故意に生じさせた場合に限られます。自由な意思決定のもとで障害という結果を意図したことが前提で、精神疾患の症状として判断能力を失っていた場合は適用されません。
Q3障害年金の不支給決定に不服がある場合、いつまでに争えますか?
社会保険審査官への審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内、社会保険審査会への再審査請求は決定書謄本の送付日の翌日から2か月以内です。期限を過ぎると処分が確定し、争う道がほぼ閉じます。
Q420歳前に初診日がある場合でも障害基礎年金はもらえますか?
国民年金法30条の4により、20歳前傷病による障害基礎年金は保険料納付要件を問いません。所得制限はありますが、納付要件で落ちる心配がない別ルートとして、69条の議論とは独立に検討する価値があります。
Q5障害基礎年金の請求に時効はありますか?
年金を受ける権利は、支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅します(国民年金法102条)。遡及請求できる範囲が5年に限られるため、認定日請求を考えるなら早く動くほど受け取れる額が増えます。
Q6故意と認定されたら、他の年金も全部もらえなくなりますか?
なりません。69条が止めるのは当該障害を支給事由とする障害基礎年金だけです。老齢基礎年金の受給権、遺族基礎年金、別の傷病を原因とする障害基礎年金は影響を受けず、制度から追放されるわけではありません。
Q7厚生年金にも同じ給付制限はありますか?
あります。厚生年金保険法73条が故意による障害についての支給制限を定めており、国民年金法69条と同旨の構造です。2階部分も同時に判断されるため、争点は共通になることが多いです。
Q8労災が不支給でも障害基礎年金は受け取れますか?
受け取れる場合があります。労災の給付制限(労働者災害補償保険法12条の2の2)と国民年金法69条の認定は別々に行われるため、片方で制限されてももう片方が残ることがあります。まず年金側の請求書を提出して書面の決定を得ることが出発点です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自殺未遂で障害が残ったんですが、やっぱり年金はもらえないんですよね?
一律に不支給ではない。69条の故意は自由な意思決定のもとで障害を生じさせた場合を指し、うつ病等の症状としての自殺企図は故意に当たらないという扱いが定着している。争点は初診日と保険料納付要件(30条)に移ることが多い。実務のポイント:窓口で「対象外です」と言われても、それは職員の説明であって処分ではない。請求書を出して書面の不支給決定を取らない限り、審査請求という土俵にすら上がれない
Q2無茶な運転で事故って障害が残った場合も「故意」扱いになるんですか?
別枠である。69条は自分の障害そのものを意図した場合の規定で、無謀運転や飲酒運転は70条の「重大な過失」または「故意の犯罪行為」に整理される。70条は「全部又は一部を行わないことができる」という裁量規定なので、ゼロか満額かの二択ではない。実務のポイント:不支給や減額の通知が届いたら、理由欄がどちらの条文を引いているかを最初に見る。70条なら、減額の幅そのものを争える余地が残っている
Q3故意かどうかって、結局だれが証明するんですか?
支給しないという不利益な決定を下す保険者の側である。69条は支給要件ではなく支給制限であり、請求者が「故意でなかったこと」を積極的に証明する構造にはなっていない。実務のポイント:理由が「〜と認められる」の一行だけで根拠資料の特定がない決定は珍しくない。審査請求の前に保有個人情報の開示請求で認定の元資料を取り、その一行が何に依拠しているのかを先に潰す
間違えやすい点 AI による整理
- 「自殺未遂でも年金はもらえますか」という問いの立て方自体がずれている。実務で問われているのは自殺かどうかではなく、その行為が精神疾患の症状の一部だったかどうかである。診断書とカルテに病態の流れが記録されていれば、故意の議論は入口で終わる。書かれていなければ、起きた事実は同じでも結論が変わる
- 「わざとやったなら年金は一切出ない」と思われているが、69条が止めるのは当該障害を支給事由とする障害基礎年金だけである。老齢基礎年金の受給権も、別の傷病による障害基礎年金も、遺族基礎年金も影響を受けない。年金制度全体から追放される規定ではない
- 本人から見れば「無茶をした自分が悪い」だが、法律から見れば無謀運転や飲酒運転は69条ではなく70条の重過失であり、しかも70条は「全部又は一部を行わないことができる」という裁量規定である。自分で自分を69条に押し込んで請求そのものを出さない人が、いちばん損をしている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制限の対象となる行為 | 69条:自らの障害又はその直接の原因となった事故を故意に生じさせた場合 | 70条:故意の犯罪行為・重大な過失、正当な理由のない療養指示の不遵守 71条:被保険者等を故意に死亡させた場合 |
| 効果の性質 | 69条:当該障害の障害基礎年金を支給しない(羈束的、ゼロか満額か) | 70条:全部又は一部を行わないことができる(裁量、減額の余地あり) 71条:遺族基礎年金を支給しない(羈束的) |
| 影響が及ぶ給付の範囲 | 69条:当該障害を支給事由とする障害基礎年金のみ。老齢・遺族・別傷病の障害年金は無傷 | 70条:当該障害を支給事由とする障害基礎年金の全部又は一部 71条:当該死亡を支給事由とする遺族基礎年金 |
| 実務上の主要争点 | 69条:精神疾患下の自殺企図が「故意」に当たるか、立証責任の所在 | 70条:重過失の有無と、減額幅そのものの相当性 71条:死亡との因果関係と故意の認定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は「為領取保險給付,故意造成保險事故者」と目的要件を明示し、給付目的の作為であることを条文上要求する。日本の69条は目的要件を明示せず、解釈で「故意」の射程を絞る点が異なる
韓国は「지급하지 아니할 수 있다」という裁量的な書きぶりを採り、日本の69条(羈束)と70条(裁量)を一本にまとめたような構造をとる
ドイツは稼得能力減少年金について、故意に招いた場合に全部又は一部の不支給とする裁量構成を採る。日本の69条のような全部不支給の羈束規定とは効果の弾力性が異なる
米国は自傷それ自体を一般的な不支給事由とせず、重罪の遂行に関連して生じた障害等を除外事由とする。自殺企図による障害の扱いは日本の運用と結論的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、うつ病で休職中の家族が自殺を図り、一命は取り留めたものの重度の高次脳機能障害が残ったら? 窓口で「自分でやったことだから対象外では」と言われても、そこで引き下がってはいけない。精神疾患の影響下での自殺企図は69条の故意に当たらないという扱いが定着しており、実際の争点は故意の有無ではなく初診日と保険料納付要件(30条)の方に移ることが多い
- バイク事故で下肢を失った。周囲は「無謀運転なんだから自業自得だ」と言う。だが69条の故意は自分の障害を意図した場合を指し、無謀運転は70条の重過失の話であって、そちらは裁量による減額であり自動的な全額不支給ではない
- 不支給決定通知が届いた。理由欄には「故意に生じさせたものと認められる」の一行だけ。審査請求ができるのは処分を知った日の翌日から3か月、残り時間はカレンダーで数えられる。診断書に「うつ病の症状として希死念慮が出現」という経過が書かれているかどうかで結論が変わるので、今週中にカルテ開示を請求すべき局面である
- 保険金目的の自傷を疑われている製造業の従業員。労災は労働者災害補償保険法12条の2の2で止まり、国民年金側も69条で障害基礎年金が消える構図に見える。だが「疑い」と「認定」は別物で、故意を積み上げて示す責任を負うのは行政の側である。手元の実況見分調書と診断書のどの一行が根拠にされているのかを先に特定する
- 友人から「兄が自殺未遂で寝たきりになった、年金は諦めるしかないよね」と相談された。あなたが三分で説明できるのは、諦める前に精神科の初診日を特定すること、そして20歳前に初診日があるなら保険料納付要件を問わない障害基礎年金(30条の4)という別ルートが立っていることだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 障害の原因となった出来事の医学的経過を確保する。精神科・救急のカルテを開示請求し、希死念慮や病識の喪失に関する記載を探す2. 診断書の経過欄が「自ら飛び降りた」で止まっていないか提出前に確認し、必要なら加筆を依頼する3. 不支給決定が出たら社会保険審査官へ審査請求(処分を知った日の翌日から3か月以内)を行い、故意の立証責任が保険者側にあることを冒頭に書く4. 並行して初診日と保険料納付要件(30条)を固める。故意の議論に勝っても納付要件で落ちれば結果は同じである
訴えられた側:故意を疑われている側の防御。1. 保有個人情報の開示請求で、行政が「故意」と判断した根拠資料を特定する。多くは実況見分調書か診断書の一行に依存している2. その一行が医学的経過と矛盾していないかを主治医の意見書で崩す3. 故意の認定が動かせない場合は、争点を70条(重過失・犯罪行為なら裁量で一部支給の余地)へ移せないか検討する4. 詐欺など刑事事件が並行しているなら、年金手続での供述が刑事側に流用されうる点を弁護人と事前に調整する
時効(請求できる期限):69条自体に期限の定めはないが、不支給決定を争う期限は厳格である。社会保険審査官への審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内、その決定に対する社会保険審査会への再審査請求は決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条、32条)。取消訴訟は原則として審査請求の決定を経た後でなければ提起できない(国民年金法101条の2)。年金給付を受ける権利自体は支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅する(同法102条)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:69条の「故意」は障害という結果の発生を意図し又は認容した場合に限られ、原因行為の故意だけでは足りない。精神疾患により判断能力を失った状態での自殺企図は故意に含まれず、重過失は70条に振り分けられる
支給制限構造説(立証責任論):69条は支給要件ではなく受給権者への不利益処分の根拠であるから、故意を基礎づける事実の立証責任は保険者側にある。請求者に「故意でなかったこと」の証明を求める運用は構造上逆転している
改正沿革 AI による整理
- 昭和60年(1985年)改正 基礎年金制度の導入により障害年金が障害基礎年金へ再編され、給付制限規定も現行の条文構成に整理された。個別の条番号と文言の変遷は要検証
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国民年金法の制定により、被用者以外を含む国民皆年金体制が構築され、故意による障害についての給付制限規定が置かれた
- 2.昭和60年(1985年) 改正:基礎年金制度の導入により障害年金が障害基礎年金へ再編され、給付制限規定も現行の条文構成に整理された。個別の条番号と文言の変遷は要検証
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