国民年金法 第70条
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故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくはその原因となつた事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする給付は、その全部又は一部を行わないことができる。自己の故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、死亡又はその原因となつた事故を生じさせた者の死亡についても、同様とする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第70条は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第70条の条文原文は「故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、障害若しくはその原因となつた事故を生じさせ、又は障害の程度を…」で始まります。
- 国民年金法第70条は第六節に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第70条の前の条は国民年金法第69条です。
- 国民年金法第70条の次の条は国民年金法第71条です。
- 国民年金法第70条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第70条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第70条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/70
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法70条は、故意の犯罪行為・重大な過失・正当な理由のない療養指示違反で障害や死亡を招いた者への給付の全部又は一部を行わないことができると定める裁量規定である。
Q · 国民年金法70条で年金を止められたら、もう覆せないんですか?
止められることはあるが、義務ではなく裁量なので争える
覆せる余地があります。国民年金法70条は「その全部又は一部を行わないことができる」という裁量規定であり、故意による絶対的不支給を定める69条とは構造が違います。制限の可否と範囲は行政の判断であるため、判断が重すぎる、あるいは要件を満たしていないという主張は、社会保険審査官への審査請求(同法101条)で争えます。審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です。とくに療養指示違反の類型では、経済的事情や症状そのものによる受診困難が「正当な理由」に当たり得ます。
解説
無免許で原付を飛ばして電柱に激突し、下半身に麻痺が残った。障害基礎年金を請求すると、日本年金機構から「支給しない」という通知が届くことがある。その根拠がこの70条だ。ここで押さえるべきは語尾である。「行わないことができる」、つまり不支給は義務ではなく行政の裁量にすぎない。同法69条の「故意に障害を生じさせた者には支給しない」が問答無用の遮断であるのに対し、70条は全部止めることも、一部だけ止めることも、止めないことも選べる余地を残している。裁量である以上、その選び方は審査請求で争える。医師の指示に従わなかったとされた場合も、「正当な理由」(費用が払えない、指示内容の説明を受けていない、副作用が耐え難い)を立証できれば要件そのものが崩れる。年金が止まる理由は、あなたが思っているより脆い足場の上に立っている。
法的な位置づけ
国民年金法70条は、給付制限のうち裁量的制限を定める規定である。故意の犯罪行為、重大な過失、または正当な理由のない療養指示違反によって障害・死亡またはその原因となる事故を生じさせ、あるいは障害の程度を増進させた者について、それを支給事由とする給付の全部又は一部を行わないことができるとする。効果は義務的遮断ではなく行政裁量である。
手順
- 1.決定通知書で適用類型を特定する 不支給・減額決定の理由欄を読み、70条のどの類型(故意の犯罪行為・重大な過失・正当な理由のない療養指示違反)が根拠にされたかを確定する。書かれていない事情は審査されていない事情であり、そこが最初の突き所になる
- 2.類型に応じた反証資料を集める 犯罪行為の類型なら刑事処分の結果資料、重大な過失なら事故態様の客観資料(実況見分調書・事故証明)、療養指示違反なら通院できなかった経済的事情の記録と主治医の意見書を揃える。「正当な理由」は要件そのものなので、事情説明ではなく証拠として提出する
- 3.3か月以内に社会保険審査官へ審査請求する 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に、地方厚生局の社会保険審査官へ審査請求書を提出する(国民年金法101条)。期限を越えると裁量の当否を争う入口自体が閉じる
- 4.全部不支給には一部制限への引き下げを予備的に主張する 「要件を満たさないので制限は不当」という主位的主張に加え、「仮に要件を満たすとしても全部不支給は裁量権の逸脱・濫用であり、一部制限にとどめるべき」という予備的主張を必ず併記する。争点を有無から程度へ移すと、説明責任は処分庁側に移る
よくある質問 AI による整理
Q1国民年金法70条とは何ですか?
故意の犯罪行為・重大な過失・正当な理由のない療養指示違反で障害や死亡を招いた者への給付を、全部または一部行わないことができると定める裁量的給付制限の規定です。
Q2障害基礎年金が不支給になる理由は?
保険料納付要件や障害等級を満たさない場合のほか、70条の給付制限が使われる場合があります。決定通知書の理由欄でどの類型が根拠になったかを必ず特定してください。
Q3無免許運転の事故でも障害年金はもらえる?
もらえる可能性はあります。70条は裁量規定で、全部制限・一部制限・制限なしのいずれも選べます。無免許という事実だけで自動的にゼロになるわけではありません。
Q4年金の不支給決定に不服があるときは?
社会保険審査官へ審査請求します。期限は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内。決定後の取消訴訟は6か月以内が原則です。
Q5重大な過失とはどの程度の過失ですか?
わずかな注意で結果を回避できたのに漫然と見過ごした、著しく注意を欠いた状態を指します。通常の不注意(軽過失)は70条の対象になりません。
Q6遺族基礎年金が制限されるのはどんな場合?
本人が自己の故意の犯罪行為・重大な過失・正当な理由のない療養指示違反で死亡またはその原因となる事故を生じさせた場合です。この場合も全部・一部の裁量制限にとどまります。
Q7国民年金法69条と70条の違いは?
69条は故意に障害を生じさせた場合の絶対的不支給、70条は犯罪行為・重過失・療養指示違反に対する裁量的制限です。70条は一部制限という選択肢が残ります。
Q8給付制限は一部だけということもありますか?
あります。条文が「全部又は一部」と定めているため、全部不支給は重すぎるとして一部制限への引き下げを求める主張が成り立ちます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自殺した夫の遺族年金って、やっぱり出ないですよね?
出る。70条後段が止めるのは、故意の犯罪行為・重大な過失・療養指示違反による死亡であって、自殺そのものは日本では犯罪ではないため類型に当たらない。遺族基礎年金(37条)の要件を満たせば支給される。実務のポイント:民間生命保険の自殺免責で断られた遺族が、公的年金も同じだと思い込み、請求しないまま5年の時効(102条)を越える例がある。保険会社の回答と年金の可否は完全に別物である
Q2飲酒運転の事故で障害が残ったら、障害年金は絶対もらえないんですか?
絶対ではない。70条は「全部又は一部を行わないことができる」という裁量規定であり、故意による絶対的不支給を定める69条とは構造が違う。飲酒の程度、事故態様、障害の重さで結論は動く。実務のポイント:決定通知の理由欄には認定の根拠事実が書かれる。そこに書かれていない事情は、審査されていない事情である。審査請求で最初に突くのはその空白部分だ
Q3治療をしばらく中断していた期間があります。これだけで年金を止められますか?
中断の事実だけでは足りない。70条の要件は「正当な理由がなくて」指示に従わないことであり、経済的に通院できなかった、症状自体が受診を妨げた、副作用が耐え難かったといった事情があれば要件は満たされない。実務のポイント:正当な理由は本人の陳述だけでは弱い。中断期間の家計状況の記録と、再開後に主治医が中断の経緯をカルテに書いているかが、実際の分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「故意でなければ年金は出る」という理解は、半分しか届いていない。70条が捉えるのは結果に対する故意ではなく、犯罪行為そのものに対する故意である。無免許で走ろうという意思があれば足り、障害を負うつもりだったかは問われない。この構造を知らないまま「事故は自分の不注意でした」と丁寧に説明すると、それが重大な過失を裏づける供述として残る
- あなたから見れば「病院に行く金がなかった」は事情説明にすぎないが、法律から見ればそれは「正当な理由」という要件そのものである。同情を求める事情として語るか、要件として主張し証拠を添えるかで、まったく同じ事実が処分を左右する。この落差で落ちる請求は多い
- 不支給決定は白か黒かの最終判断だと受け取られがちだが、70条の効果は「全部又は一部」であり、しかも「できる」規定である。全部不支給は重すぎるという主張は、一部制限への引き下げを求める形で組み立てられる。ゼロか満額かの二択ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制限の性質 | 70条:裁量的制限(全部又は一部を行わないことが「できる」) | 69条:故意による絶対的不支給(義務的遮断) 71条:故意に死亡させた者への遺族給付制限 |
| 対象となる行為 | 故意の犯罪行為・重大な過失・正当な理由のない療養指示違反 | 障害またはその原因となる事故を故意に生じさせる行為 被保険者等を故意に死亡させる行為(受給権者側の行為) |
| 結果の幅 | 全部不支給・一部制限・制限なしのいずれも選択可能 | 支給しない(幅なし) 遺族給付の受給権を認めない |
| 争い方 | 要件不充足の主張+裁量権の逸脱・濫用の主張(審査請求101条) | 故意の有無という事実認定を争う 故意の有無・因果関係を争う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は故意の犯罪行為により保険事故が生じた場合を「概不給付」と定め、裁量による一部制限の幅を設けていない点が日本70条と対照的である
韓国も故意・重過失により障害や死亡を招いた場合に給付の全部または一部を制限できる構造を採り、日本70条と最も近い
ドイツは犯罪行為が刑事判決で認定されたことを制限の前提とし、要件を刑事手続の結果に結び付けている点で日本より入口が絞られている
米国は重罪の実行に関連して生じた障害を給付対象から除外する定め方であり、行政裁量による段階的制限という発想は薄い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 深酒のまま車を運転して事故を起こし、頸椎を損傷した。障害認定日を待って障害基礎年金を請求したが、審査で「重大な過失」が持ち出される。効いてくるのは、飲酒と障害の結びつきがどこまで具体的に認定されているか。重過失を基礎づける事実を示すのは処分をする側であり、あなたが無実を証明する構造ではない
- うつ病の療養中に処方薬を飲まなかった期間があったとしたら、それは「正当な理由がなくて療養に関する指示に従わない」に当たるのか? 精神疾患の症状そのものが服薬中断を招いている場合、判断能力の問題として制限が及ばないと扱われることがある。実務上、解釈が分かれる論点である
- 配偶者が自ら命を絶った。遺族基礎年金の請求書を前に、こういう死に方でも受け取れるのかと手が止まる。自殺は日本では犯罪ではなく、70条後段の「故意の犯罪行為」にも当たらない。生命保険の免責の話と混同して、請求そのものを諦める遺族が実際にいる
- 不支給決定通知が届いて、封も切らずに二週間が過ぎた。社会保険審査官への審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内。残りは2か月半、その間に主治医の意見書と当時のカルテを揃え直す必要がある。期限を越えれば、裁量の当否を争う入口そのものが閉じる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 決定通知書の理由欄で、70条のどの類型(故意の犯罪行為・重大な過失・療養指示違反)が使われたかを特定する2. 類型ごとに反証を組む。犯罪行為なら刑事処分の結果、重大な過失なら事故態様の客観資料、療養指示違反なら通院できなかった経済的・症状的事情と主治医の意見書3. 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求(国民年金法101条) 4. 全部不支給に対しては、少なくとも一部制限にとどめるべきという予備的主張を必ず併記する
訴えられた側:1. 事故直後に警察や保険会社へ話した内容は、後の年金審査でそのまま重過失の証拠になる。記憶で盛らない、推測を断定で語らない2. 治療を中断する事情があるなら、その理由をその都度カルテに記載してもらう。後から作れない記録が要件判断を分ける3. 病歴・就労状況等申立書は自分史であると同時に主張書面である。事実を隠すのではなく、正当な理由に当たる事情を漏らさず書く
時効(請求できる期限):70条自体に特定の期限はない。効いてくるのは争うための期限で、社会保険審査官への審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(社会保険審査官及び社会保険審査会法)、その決定を経た後の取消訴訟は6か月以内(行政事件訴訟法14条)。年金を受ける権利自体は支給すべき事由が生じた日から5年で時効消滅する(国民年金法102条)。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(行政裁量論):70条の給付制限は効果裁量を伴う不利益処分であり、要件充足の有無に加え、制限の幅が事案の悪質性に見合うかが審査対象となる。全部不支給を選んだ判断には固有の理由づけが求められ、理由が示されなければ裁量権の逸脱・濫用が問題となる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:国民年金法(昭和34年法律第141号)の制定に伴い、自ら保険事故を招いた者に対する裁量的給付制限として新設された。故意による絶対的不支給(69条)と二層構造をなす。
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