要点国民年金法 71 条は、被保険者を故意に死亡させた者には遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金を支給しないと定める。死因が自殺や病気でも、遺族が手を下していなければ支給される。
Q · 家族が起こした事件のあと、遺族年金はもう受け取れないのでしょうか?
不支給になるのは故意に死亡させた本人だけです
国民年金法 71 条 1 項は、被保険者又は被保険者であった者を故意に死亡させた者に、遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金を支給しないと定めます。2 項は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときに、その受給権を消滅させます。欠格となるのは加害者本人だけで、他の遺族の受給権は失われません。また 71 条は有罪判決の確定を要件としておらず、不支給決定は行政処分であるため、社会保険審査官への審査請求で争うことができます。
年金の世界には、刑事裁判とは別の時計が動いている。国民年金法 71 条 1 項は、被保険者を故意に死亡させた者に、遺族基礎年金も寡婦年金も死亡一時金も支給しないと定める。裏を返せば、死因が自殺でも病気でも事故でも、遺族の側が手を下していない限り給付は出る。多くの人が読み落とすのは、この条文に「刑に処せられた」という文字がないことだ。相続欠格(民法 891 条 1 号)は有罪判決の確定を要件にするが、71 条は要件にしていない。理屈の上では、不起訴でも執行猶予でも、裁定する厚生労働大臣の側が独自に「故意」を認定して支給を拒める建て付けになっている。さらに 2 項は、すでに受給権を得た者が他の受給権者を故意に死亡させたとき、その受給権を消滅させる。1 項は権利を発生させず、2 項は発生した権利を消す。あなたが遺族の側でも疑われる側でも、勝負どころは刑事法廷ではなく年金の裁定と不服申立ての手続にある。
国民年金法 71 条は、遺族給付の欠格事由を定める規定である。1 項は、被保険者又は被保険者であった者を故意に死亡させた者、及びその死亡前に受給権者となるべき者を故意に死亡させた者に対し、遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金を支給しないと定める。2 項は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときに、その受給権が消滅する旨を定める。
一定の事由がある場合に年金を支給しない仕組みです。国民年金法 71 条は故意に死亡させた者への絶対的不支給、70 条は重大な過失等による裁量的制限を定めています。
被保険者又は被保険者であった者の死亡を意図して惹起した者を指します。条文は有罪判決の確定を要件とせず、裁定を行う側が独自に故意を認定できる建て付けです。
保険料納付要件や生計維持要件を満たさない場合のほか、国民年金法 71 条により被保険者や他の受給権者を故意に死亡させた場合です。死因が自殺であることは不支給事由ではありません。
違います。相続欠格(民法 891 条 1 号)は刑に処せられたことを要件としますが、国民年金法 71 条は有罪判決を要件としません。同じ事件で結論がずれることがあります。
国民年金法 102 条により、遺族基礎年金・寡婦年金は支給事由が生じた日から 5 年、死亡一時金は死亡日の翌日から 2 年で時効消滅します。刑事手続の確定を待つと先に閉じます。
社会保険審査官への審査請求、社会保険審査会への再審査請求、その後に取消訴訟という順序です。審査請求は決定があったことを知った日の翌日から 3 か月以内が原則です。
71 条の射程は「故意」に限られるため、過失運転致死などでは同条による不支給にはなりません。ただし 70 条の裁量的な給付制限が別途問題となる余地があります。
70 条は重大な過失等の場合に給付の全部または一部を行わないことが「できる」裁量規定、71 条は故意による死亡招致に対する絶対的不支給です。71 条には情状を酌む余地がありません。
出ます。国民年金法に自殺を理由とする不支給規定はなく、71 条が断つのは遺族の側が故意に死亡させた場合だけです。支給要件(37 条)と保険料納付要件さえ満たせば死因は問われません。業界裏話ヒント:生命保険には約款で通常 3 年の自殺免責期間があり、ここが年金と正反対。保険が出なかったから年金も無理だろうと請求をやめる遺族が実際にいる。制度ごとに結論が違うと知っている人だけが、両方に手を伸ばせる
71 条は有罪判決の確定を要件にしていないため、理屈の上では不起訴でも不支給がありえます。ただし実務上、解釈が分かれる領域で、不起訴の中身が決定的です。業界裏話ヒント:不起訴には嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予の三類型があり、起訴猶予は故意を前提に訴追しないという意味なので年金では最も不利。処分の通知にその区別が書かれるとは限らない。弁護人がいるうちに確認したかどうかで、後の手札がまるで違う
消えません。71 条が欠格にするのは加害者本人だけで、他の遺族の受給権には触れません。配偶者が 1 項で受給権を得られない以上、子への支給を止める調整(41 条)も働かない構造です。業界裏話ヒント:年金は請求主義で、誰も代理で請求してくれない。加害者が手続を放置している間も時効は進む。子の側から自分名義の請求書を出すこと、それが止まった時計を動かす一手になる
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|---|---|---|
| 制限の性質 | 国民年金法 71 条:故意による死亡招致に対する絶対的不支給・受給権消滅 | — |
| 裁量の有無 | 裁量なし。情状は支給の可否に影響しない | — |
| 効果の及ぶ範囲 | 加害者本人の受給権のみ。他の遺族には及ばない | — |
| 刑事手続との関係 | 有罪判決の確定を要件としない。不支給決定は行政処分として争う | — |
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