国民年金法 第71条
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- 遺族基礎年金、寡婦年金又は死亡一時金は、被保険者又は被保険者であつた者を故意に死亡させた者には、支給しない。被保険者又は被保険者であつた者の死亡前に、その者の死亡によつて遺族基礎年金又は死亡一時金の受給権者となるべき者を故意に死亡させた者についても、同様とする。
- 2.遺族基礎年金の受給権は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときは、消滅する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民年金法第71条は、日本の国民年金法に含まれる条文です。
- 国民年金法第71条の条文原文は「遺族基礎年金、寡婦年金又は死亡一時金は、被保険者又は被保険者であつた者を故意に死亡させた者には、支給しない。」で始まります。
- 国民年金法第71条は第六節に置かれています。
- 国民年金法の公布日は昭和34年4月16日です。
- 国民年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 国民年金法第71条の前の条は国民年金法第70条です。
- 国民年金法第71条の次の条は国民年金法第72条です。
- 国民年金法第71条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第71条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 本サイト収録
国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第71条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000141/71
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民年金法71条は、被保険者を故意に死亡させた者には遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金を支給しないと定める。死因が自殺や病気でも、遺族が手を下していなければ支給される。
Q · 家族が起こした事件のあと、遺族年金はもう受け取れないのでしょうか?
不支給になるのは故意に死亡させた本人だけです
国民年金法71条1項は、被保険者又は被保険者であった者を故意に死亡させた者に、遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金を支給しないと定めます。2項は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときに、その受給権を消滅させます。欠格となるのは加害者本人だけで、他の遺族の受給権は失われません。また71条は有罪判決の確定を要件としておらず、不支給決定は行政処分であるため、社会保険審査官への審査請求で争うことができます。
解説
年金の世界には、刑事裁判とは別の時計が動いている。国民年金法71条1項は、被保険者を故意に死亡させた者に、遺族基礎年金も寡婦年金も死亡一時金も支給しないと定める。裏を返せば、死因が自殺でも病気でも事故でも、遺族の側が手を下していない限り給付は出る。多くの人が読み落とすのは、この条文に「刑に処せられた」という文字がないことだ。相続欠格(民法891条1号)は有罪判決の確定を要件にするが、71条は要件にしていない。理屈の上では、不起訴でも執行猶予でも、裁定する厚生労働大臣の側が独自に「故意」を認定して支給を拒める建て付けになっている。さらに2項は、すでに受給権を得た者が他の受給権者を故意に死亡させたとき、その受給権を消滅させる。1項は権利を発生させず、2項は発生した権利を消す。あなたが遺族の側でも疑われる側でも、勝負どころは刑事法廷ではなく年金の裁定と不服申立ての手続にある。
法的な位置づけ
国民年金法71条は、遺族給付の欠格事由を定める規定である。1項は、被保険者又は被保険者であった者を故意に死亡させた者、及びその死亡前に受給権者となるべき者を故意に死亡させた者に対し、遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金を支給しないと定める。2項は、受給権者が他の受給権者を故意に死亡させたときに、その受給権が消滅する旨を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1遺族基礎年金の給付制限とは?
一定の事由がある場合に年金を支給しない仕組みです。国民年金法71条は故意に死亡させた者への絶対的不支給、70条は重大な過失等による裁量的制限を定めています。
Q2国民年金法71条の「故意に死亡させた者」とは?
被保険者又は被保険者であった者の死亡を意図して惹起した者を指します。条文は有罪判決の確定を要件とせず、裁定を行う側が独自に故意を認定できる建て付けです。
Q3遺族年金がもらえないのはどんな場合?
保険料納付要件や生計維持要件を満たさない場合のほか、国民年金法71条により被保険者や他の受給権者を故意に死亡させた場合です。死因が自殺であることは不支給事由ではありません。
Q4相続欠格と年金の欠格は同じ?
違います。相続欠格(民法891条1号)は刑に処せられたことを要件としますが、国民年金法71条は有罪判決を要件としません。同じ事件で結論がずれることがあります。
Q5遺族基礎年金の時効はいつまで?
国民年金法102条により、遺族基礎年金・寡婦年金は支給事由が生じた日から5年、死亡一時金は死亡日の翌日から2年で時効消滅します。刑事手続の確定を待つと先に閉じます。
Q6不支給決定に不服がある場合の手続きは?
社会保険審査官への審査請求、社会保険審査会への再審査請求、その後に取消訴訟という順序です。審査請求は決定があったことを知った日の翌日から3か月以内が原則です。
Q7過失で死亡させた場合も遺族年金は出ない?
71条の射程は「故意」に限られるため、過失運転致死などでは同条による不支給にはなりません。ただし70条の裁量的な給付制限が別途問題となる余地があります。
Q8国民年金法70条と71条の違いは?
70条は重大な過失等の場合に給付の全部または一部を行わないことが「できる」裁量規定、71条は故意による死亡招致に対する絶対的不支給です。71条には情状を酌む余地がありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1夫が自殺しました。遺族年金は出ないと言われたんですが、本当ですか?
出ます。国民年金法に自殺を理由とする不支給規定はなく、71条が断つのは遺族の側が故意に死亡させた場合だけです。支給要件(37条)と保険料納付要件さえ満たせば死因は問われません。実務のポイント:生命保険には約款で通常3年の自殺免責期間があり、ここが年金と正反対。保険が出なかったから年金も無理だろうと請求をやめる遺族が実際にいる。制度ごとに結論が違うと知っている人だけが、両方に手を伸ばせる
Q2不起訴になりました。それでも年金は出ないことがあるんですか?
71条は有罪判決の確定を要件にしていないため、理屈の上では不起訴でも不支給がありえます。ただし実務上、解釈が分かれる領域で、不起訴の中身が決定的です。実務のポイント:不起訴には嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予の三類型があり、起訴猶予は故意を前提に訴追しないという意味なので年金では最も不利。処分の通知にその区別が書かれるとは限らない。弁護人がいるうちに確認したかどうかで、後の手札がまるで違う
Q3母が父を死なせた事件です。子である私の年金まで消えますか?
消えません。71条が欠格にするのは加害者本人だけで、他の遺族の受給権には触れません。配偶者が1項で受給権を得られない以上、子への支給を止める調整(41条)も働かない構造です。実務のポイント:年金は請求主義で、誰も代理で請求してくれない。加害者が手続を放置している間も時効は進む。子の側から自分名義の請求書を出すこと、それが止まった時計を動かす一手になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「刑事裁判で無罪になれば年金は出るはずだ」という問いの立て方自体が誤っている。71条は刑の確定を要件にしておらず、不支給決定は行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)である。争う舞台は刑事法廷ではなく、社会保険審査官への審査請求、社会保険審査会への再審査請求、そして取消訴訟。刑事で勝った日から年金の期限が始まるのではない。
- 「故意に死亡させたら年金が出ない」ことは知っていても、その判定が相続・生命保険とバラバラの物差しで行われる深刻さまでは知られていない。相続欠格は刑に処せられたことが要件(民法891条1号)、生命保険は受取人が故意に死亡させた場合の免責(保険法51条3号)、年金は有罪判決不要。同じ一つの事件で、三つの制度の結論がずれることが現に起こりうる。
- あなたから見れば「介護に追い詰められた末の悲劇」でも、71条から見れば「故意に死亡させた者」の一語で終わる。70条には重大な過失などの場合に給付の全部または一部を行わないことができるという裁量規定があるのに、71条にはそれがない。情状は刑期を縮めても、支給の可否には手が届かない。この落差を知らないまま刑事弁護だけに全力を注ぐと、生活基盤の側で足元が抜ける。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制限の性質 | 国民年金法71条:故意による死亡招致に対する絶対的不支給・受給権消滅 | 国民年金法70条:重大な過失等に対する裁量的な給付制限 国民年金法37条:そもそもの支給要件(満たさなければ受給権が発生しない) |
| 裁量の有無 | 裁量なし。情状は支給の可否に影響しない | 全部または一部を行わないことが「できる」裁量あり 要件充足の有無のみで判断、裁量の問題ではない |
| 効果の及ぶ範囲 | 加害者本人の受給権のみ。他の遺族には及ばない | 制限の対象者本人 死因を問わず、要件を満たす遺族全体 |
| 刑事手続との関係 | 有罪判決の確定を要件としない。不支給決定は行政処分として争う | 刑事手続とは独立に判断 刑事手続と無関係 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も社会保険法で故意に被保険者を死亡させた者の請領権を否定する。相続法上の欠格と社会保険上の欠格が別の条文体系に置かれる点は日本と同じ構造
韓国も故意に加入者・受給権者を死亡させた場合に遺族年金を制限する。日本と同様、刑事処分の結果と行政上の給付制限が別個に判断される
ドイツは故意に死亡を惹起した遺族への年金を排除する。刑事有罪の確定を形式的要件とせず、社会保険の判断として処理する点で日本71条に近い
米国は判例法上の Slayer Rule により、故意に被保険者を死亡させた者の遺族給付・保険金・相続を一括して否定する運用。州により有罪判決の要否が分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相手を殺した上で自分も死のうとして生き残ったら、遺族基礎年金はどうなるのか。答えは不支給。71条の「故意に死亡させた者」に、無理心中の生存者は正面から当たる。
- 介護に疲れ果てた末に配偶者を死亡させ、執行猶予付きの判決を受けた。刑務所には行かない。だが71条には70条のような「一部を行わないことができる」という裁量の余地がなく、情状は支給の可否を一ミリも動かさない。しかも死亡一時金の請求権は死亡日の翌日から2年で消える。順位が他の遺族に回るのなら、その2年は加害者の刑事手続とは無関係に進んでいる。
- 父が母に殺された。加害者である母は71条1項で受給権そのものが発生しない。だから子であるあなたに遺族基礎年金が回る可能性がある。ここで動かなければ、誰も代わりに請求してくれない。年金は請求しない限り一円も出ない仕組みだからだ。
- 配偶者を交通事故で死亡させてしまった側の遺族。過失運転致死で有罪になっても、71条の射程は「故意」だけで、遺族基礎年金は支給される。それでも「自分は加害者だから請求する資格などない」と思い込み、請求書を出さないまま時効を迎える人が実際にいる。制度は、請求しない人を救わない。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 死亡診断書、戸籍、住民票、年金手帳を揃え、刑事手続の決着を待たずにまず自分名義で請求する。請求しない限り時効だけが進む2. 加害者が別にいる場合、その者が71条で欠格である事実を請求時に明記する3. 不支給決定が来たら決定日と末尾の教示欄を確認し、社会保険審査官への審査請求を3か月以内に出す4. 死亡一時金2年、遺族基礎年金5年(102条)の二つの締切を、最初にカレンダーへ入れる
訴えられた側:1. 刑事の防御方針が年金に波及することを弁護人と共有する。正当防衛が成立すれば「故意に死亡させた」の評価に影響しうるが、実務上、解釈が分かれる2. 心神喪失で刑事責任を免れても、71条の故意は責任能力と別次元で判断されうる点を織り込む3. 不起訴になったら、その類型(嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予)を記録として残す4. 不支給決定は行政処分なので、審査請求と取消訴訟で正面から争える
時効(請求できる期限):遺族基礎年金・寡婦年金は支給事由が生じた日から5年、死亡一時金は死亡日の翌日から2年で時効消滅する(国民年金法102条)。不支給決定への審査請求は、決定があったことを知った日の翌日から3か月以内(社会保険審査官及び社会保険審査会法)。刑事手続の確定を待つと、いずれの期限も先に閉じる(最新の改正状況をご確認ください)
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