要点国民年金法 72 条は、受給権者が正当な理由なく報告命令や職員の質問に応じないとき、又は障害基礎年金の受給権者等が診断を拒んだときに、年金給付の全部又は一部の支給を停止できると定める裁量規定である。
Q · 不正受給をしていなくても、年金って止められることがあるんですか?
あります。照会や診断に応じないだけで止められます
国民年金法 72 条により、受給権者が正当な理由なく報告命令に従わず若しくは職員の質問に応じないとき、又は障害基礎年金の受給権者等が正当な理由なく診断を拒んだときは、給付額の全部又は一部の支給を停止することができます。不正受給の有無は要件ではありません。ただし「停止することができる」という裁量規定であり、入院、施設入所、通知の不達、判断能力の低下など応答が事実上不可能だった事情があれば、そもそも停止事由が成立しません。処分に不服がある場合は社会保険審査官へ審査請求ができます(同法 101 条)。
年金が止まる原因といえば、所得が増えた、不正があった、そのあたりが思い浮かぶだろう。だが 72 条が定める停止事由は、もっと地味である。日本年金機構から届いた照会に答えなかった、職員の質問に応じなかった、障害基礎年金なのに指定された診断を拒んだ。それだけで、年金の全部または一部の支給を止めることができる。ここで押さえるべき語が二つある。一つは「正当な理由がなくて」。入院していた、判断能力が落ちて郵便を開けられなかった、転居先に通知が届いていなかった、こうした事情があれば停止事由そのものが成立しない。もう一つは「停止することができる」。義務ではなく裁量である。止めるかどうか、全部か一部かは行政の判断であり、判断である以上は争える。支給停止は罰金ではなく行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)であり、社会保険審査官への審査請求という反撃ルートが最初から制度に埋め込まれている。
国民年金法 72 条は、年金給付の支給停止事由を定める規定である。受給権者が正当な理由なく同法 107 条 1 項の報告命令に従わず又は職員の質問に応じない場合、及び障害基礎年金の受給権者等が正当な理由なく同条 2 項の命令に従わず又は診断を拒んだ場合に、給付額の全部又は一部の支給を停止することができる。効果は裁量的であり、受給権そのものを失わせる失権規定ではない。
年金給付の支給停止事由を定める規定です。正当な理由なく報告命令・職員の質問に応じない場合、又は障害基礎年金で診断を拒んだ場合に、給付の全部又は一部を停止できると定めています。
止まる可能性があります。提出を求める命令に正当な理由なく応じない状態が続けば 72 条の停止事由に当たりえます。届いていない、入院中だったなどの事情があれば、その旨を疎明して提出してください。
入院、災害、施設入所、判断能力の低下、転居による通知の不達など、応答が事実上不可能だった事情が典型です。主観的な多忙や失念だけでは足りず、客観的に裏付ける資料が重要になります。
実務上は日本年金機構から書面で届きます。通知書の末尾にある教示欄に、処分庁、審査請求先、審査請求できる期間が記載されているため、まずそこを確認してください。
72 条は「全部又は一部」と定めており、どちらにするかは行政の裁量です。したがって全部停止を告げられても、必要性と均衡を理由に一部停止への軽減を求める余地があります。
社会保険審査官に対して行います。処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内が期限で、その決定に不服があれば社会保険審査会へ再審査請求という順序になります。
答えられなかった事情を裏付ける診断書を提出し、求められていた報告・診断に応じます。あわせて成年後見制度や日常生活自立支援事業で、次回以降の受領・応答体制を作り直すことが実質的な再発防止になります。
違います。72 条の支給停止は確認に応じないことを理由とする将来的な給付の停止で、不正受給を前提としません。過去に受け取った分の返還請求は別の根拠に基づく別個の処分です。
求められた報告や診断に応じれば停止事由は解消され、支給が再開されるのが通常です。ただし再開は将来に向けてのもので、停止期間分が自動的に戻るとは限りません。遡らせたいなら処分自体を争う必要があります(国民年金法 101 条)。業界裏話ヒント:電話した日付と担当者名を必ず控える。いつから協力していたかの記録は、正当な理由の判断でも処分の相当性の判断でも効いてくる
入院、災害、施設入所、判断能力の低下、通知の不達など、応答が事実上不可能だった事情は「正当な理由」に当たりえます。72 条は正当な理由がない場合に限って停止を認めており、理由があれば停止事由自体が成立しません。業界裏話ヒント:入院証明や診断書は、処分が出てから慌てて集めるより、期限を過ぎたと気付いた時点で添えて出す方が通る。事後の弁解と事前の疎明では記録上の重みが違う
起こせません。年金の処分に対する取消訴訟は、社会保険審査官への審査請求の決定を経た後でなければ提起できない仕組みです(国民年金法 101 条、101 条の 2)。審査請求、社会保険審査会への再審査請求、その先に訴訟という順序になります。業界裏話ヒント:審査請求の期限は 3 か月。相談先を探して迷っている時間が、そのまま入口を閉じる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 停止の引き金となる行為 | 72 条:報告命令・職員の質問への不応答、診断の拒否 | — |
| 前提となる根拠規定 | 107 条(報告命令・質問・診断命令)が前提 | — |
| 効果 | 額の全部又は一部の支給停止(裁量) | — |
| 解消の道筋 | 命じられた報告・診断に応じれば停止事由が消滅、争うなら 101 条の審査請求 | — |
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