行政事件訴訟法 第27条(内閣総理大臣の異議)
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- 第二十五条第二項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。
- 2.前項の異議には、理由を附さなければならない。
- 3.前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。
- 4.第一項の異議があつたときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。
- 5.第一項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない。
- 6.内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第一項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。
この条文の基本情報
内閣総理大臣の異議とは何ですか?
定義内閣総理大臣の異議とは、行政事件訴訟法第27条に定められた規定で、「第二十五条第二項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 行政事件訴訟法第27条(内閣総理大臣の異議)は、日本の行政事件訴訟法に含まれる条文です。
- 行政事件訴訟法第27条の条文原文は「第二十五条第二項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。」で始まります。
- 行政事件訴訟法第27条は第一節 取消訴訟に置かれています。
- 行政事件訴訟法の公布日は昭和37年5月16日です。
- 行政事件訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 行政事件訴訟法第27条の前の条は行政事件訴訟法第26条です。
- 行政事件訴訟法第27条の次の条は行政事件訴訟法第28条です。
- 行政事件訴訟法第27条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第27条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000139 - 本サイト収録
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第27条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/337AC0000000139/27
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点行政事件訴訟法27条は、内閣総理大臣が執行停止に異議を述べると裁判所は執行停止できず、既にした決定も取り消さなければならないと定める。異議はやむをえない場合に限られ国会報告を要する。
Q · 裁判で執行停止を勝ち取っても、総理大臣の一言で取り消されるって本当?
本当。総理の異議があれば裁判所は執行停止を取り消す
行政事件訴訟法27条により、内閣総理大臣は執行停止の申立てや決定に異議を述べることができ、異議があると裁判所は執行停止ができず、既にした決定も取り消さなければなりません(4項)。司法判断を行政が上書きできる異例の規定です。ただし「やむをえない場合」に限られ(6項)、理由には公共の福祉への重大な影響を示す必要があり(3項)、述べたら次の常会で国会に報告する義務を負います(6項)。歯止めは司法の中ではなく政治責任に置かれています。
解説
行政処分の取消しを求めて裁判を起こし、判決が出る前に処分の効力を止める「執行停止」を勝ち取ったとする。役所による営業停止命令も、退去強制も、ひとまず凍結された。ところがそこに、内閣総理大臣が一枚のカードを切る。「異議あり」。この一言で、裁判所は執行停止を出せなくなり、すでに出した決定も取り消さなければならない(4項)。裁判官の判断を、行政のトップが合法的に上書きできる。三権分立を学校で習ったあなたは、こんな抜け道があるとは思っていなかったはずだ。ただし無制限ではない。総理は「やむをえない場合」でなければ異議を述べられず、述べたときは次の国会で報告義務を負う(6項)。理由には、処分を止めれば公共の福祉に重大な影響が及ぶ事情を示さなければならない(3項)。歯止めは司法の中ではなく政治責任、つまり最後はあなたを含む有権者の目に置かれている。
法的な位置づけ
行政事件訴訟法27条にいう内閣総理大臣の異議とは、行政処分の執行停止の申立てまたはその決定に対し、内閣総理大臣が裁判所に述べることのできる異議をいう。異議があれば裁判所は執行停止をすることができず、既にした決定も取り消さなければならず、行政権が司法の仮の救済判断を覆す例外的制度として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象処分が「異議が出うる類型」か見積もる 執行停止を申し立てる前に、対象処分が国の重要政策や大規模公共事業に直結するかを弁護士と評価し、総理大臣の異議が現実的に出るリスクを見積もる。リスクが高い類型ほど、勝ち取った停止が最も脆い
- 2.本案訴訟の立証を同時並行で厚くする 異議リスクが高い場合、執行停止という仮の救済だけに資源を集中させず、本案(取消訴訟)の立証準備を最初から並行して進める。仮の救済が消えても本案で勝てる布陣を組む
- 3.異議が出たら国会報告義務を梃子にする 総理大臣の異議が出されたら、6項の次期常会での国会報告義務を踏まえ、示された理由が「やむをえない場合」と公共の福祉への重大な影響を満たすか精査し、薄ければ政治・世論の場で問う
- 4.本案勝訴に集中して時間との勝負に臨む 仮の救済が消えた以上、処分の効力に晒されながら本案の判決確定まで戦う。取消訴訟の出訴期間(処分を知った日から6箇月、行訴法14条、最新の改正状況をご確認ください)を徒過しないよう手続を管理する
よくある質問 AI による整理
Q1内閣総理大臣の異議とは何ですか?
行政訴訟で執行停止の申立てや決定に対し、内閣総理大臣が裁判所に述べる異議です。異議があると裁判所は執行停止ができず、既にした決定も取り消さなければなりません(行訴法27条4項)。
Q2総理大臣の異議はいつ述べられますか?
執行停止の申立てがあった場合に加え、執行停止の決定後でも述べられます(1項後段)。決定後の異議は、停止を決定した裁判所、抗告係属中は抗告裁判所に対して述べます(5項)。
Q3総理大臣の異議に歯止めはありますか?
あります。異議には理由が必要で(2項)、公共の福祉への重大な影響を示し(3項)、やむをえない場合に限られ、述べたら次の常会で国会に報告する義務を負います(6項)。
Q4内閣総理大臣の異議は実際に使われていますか?
戦後ごく僅かな例にとどまり、近年はほぼ行使されていません。制度として存在することと、現実に個別事案へ行使されることは別と理解されています(行使状況は最新の情報をご確認ください)。
Q5総理大臣の異議は違憲ではないのですか?
司法権(憲法76条)を行政が覆す構造として合憲性が議論されてきましたが、行政権(65条)と国会報告等の統制を根拠に、通説・実務は合憲と整理しています。
Q6異議が出されたら原告はどう対抗できますか?
仮の救済は消え、残る道は本案訴訟で勝つことです。加えて6項の国会報告義務を梃子に、理由の薄さを政治・世論の場で問うことができます。
Q7内閣総理大臣の異議に理由は必要ですか?
必要です(2項)。理由には、処分を止めれば公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示さなければなりません(3項)。理由を欠く異議は許されません。
Q8仮の義務付け・仮の差止めにも総理大臣の異議は及びますか?
及びます。行訴法37条の5第4項が27条を準用しており、仮の義務付け・仮の差止めについても内閣総理大臣の異議の対象となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判で執行停止が認められても、総理大臣の一言でひっくり返るって本当ですか?
本当です。27条1項で内閣総理大臣は執行停止の申立てや決定に異議を述べることができ、異議があると裁判所は執行停止できず、すでに出した決定も取り消さなければなりません(4項)。司法の判断を行政が上書きできる、極めて異例の規定です。実務のポイント:ただし戦後、この異議が実際に行使された例はごく僅かで、近年はほぼ使われていません(具体的な行使状況は最新の情報をご確認ください)。制度として存在することと、現実に自分の事案へ飛んでくることは別だと、弁護士は冷静に見ています。
Q2総理が好き勝手に異議を出せるなら、行政訴訟なんて意味あるんですか?
歯止めはあります。異議には理由を付さねばならず(2項)、処分を止めれば公共の福祉に重大な影響が及ぶ事情を示す必要があり(3項)、しかも「やむをえない場合」に限られ、述べたら次の国会で報告義務を負います(6項)。実務のポイント:歯止めの本体は司法の内部ではなく政治責任です。だから異議が出た事案は、法廷で詰むのと同時に、国会や世論という別の土俵が開く。弁護士はこの政治的コストの高さこそが、事実上の抑止力だと読んでいます。
間違えやすい点 AI による整理
- 「執行停止さえ出れば一安心」と考えるのは、問いの立て方が一段浅い。本当に問うべきは「この停止は、総理の異議で覆りうる類型か」だ。国家の根幹政策に関わる処分ほど、勝ち取った停止が最も脆い
- 三権分立があるのだから行政が司法判断を覆せるはずがない、と思っているなら誤り。27条は明文で、異議があれば裁判所は執行停止できず、出した決定も取り消さなければならないと定めている(4項)
- この制度の存在は知っていても、歯止めが「次の国会への報告」という政治責任だけだと知る人は少ない。司法の内部に救済の回路はない。最後の番人は裁判官ではなく、有権者であるあなたの側にいる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 27条:執行停止に対する内閣総理大臣の異議(覆滅) | 25条:執行停止の本体(仮の救済の発動) 26条:事情変更による執行停止の取消し |
| 発動主体 | 内閣総理大臣(行政府) | 裁判所(申立てにより決定) 裁判所(相手方申立て・職権) |
| 効果 | 裁判所は執行停止できず、既にした決定も取消し(4項) | 処分の効力・執行・手続続行を停止 事情変更を理由に停止決定を取消し |
| 統制・歯止め | やむをえない場合に限定 + 国会報告(6項) | 重大な損害・緊急の必要等の要件審査 事情変更の疎明 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も裁判所による停止執行制度を持つが、行政府の長が司法判断を覆す異議制度は存在しない
韓国も執行停止制度を有するが、行政府による覆滅権はなく、停止の可否は裁判所が判断する
ドイツは取消訴訟提起に原則として執行停止効を認める構造で、行政府が司法の停止判断を覆す制度はない
米国は裁判所・行政機関が agency action の stay を判断するが、大統領が個別事案で司法の停止を覆す制度はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが国の大規模公共事業の差止めを求めて執行停止を勝ち取った翌週、総理の異議が出されたらどうなる? 裁判所はあなたの勝ち取った停止を取り消すしかない(4項)。その場で打てる法的な手は、ほぼ残らない
- あなたが省庁の担当者で、執行停止により国家事業が頓挫しかねない局面に立ったとする。内閣に異議を上申する選択肢はある。だが3項の「公共の福祉に重大な影響」を具体的に示せるか、そして次の国会での報告(6項)で野党の追及に耐えられるかを天秤にかける
- 在留資格を失い退去強制令書の執行停止を得た外国人。理論上は総理の異議で覆りうる。だが実務でこの種の個別事案に異議が出た例はまずない
- 異議が出された。仮の救済は消え、残された道は本案訴訟そのもので勝つことだけ。判決確定まで処分の効力に晒されながら戦う、時間との勝負がここから始まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 執行停止を申し立てる前に、対象処分が国の重要政策に直結するかを弁護士と評価し、総理の異議リスクを見積もる2. リスクが高いなら本案訴訟の立証を同時に厚くし、仮の救済だけに依存しない布陣を組む3. 異議が出されたら裁判所は停止を取り消さざるを得ず(4項)、その場での法的対抗手段は限られる。本案での勝訴と、6項の国会報告を通じた政治・世論の場への争点移送を並行する
訴えられた側:1. 行政側として執行停止が国家事業に重大な支障を生む場合、内閣への異議上申を検討するが、3項の「公共の福祉に重大な影響」を具体的に疎明できるか精査する2. 6項の「やむをえない場合」要件と次期国会での報告義務を踏まえ、政治的コストと濫用批判のリスクを評価する3. 安易な発動は司法軽視として強い反発を招くため、本案で正当性を主張して決着させる選択肢も並行して検討する
時効(請求できる期限):異議は執行停止の申立てがあった場合に加え、執行停止の決定後でも述べられる(1項後段)。決定後の異議は、停止を決定した裁判所に対し、その決定への抗告が抗告裁判所に係属中は抗告裁判所に対して述べる(5項)。原告側に固有の出訴期間的な時効はないが、本案の取消訴訟は処分を知った日から6箇月以内(行政事件訴訟法14条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:27条の内閣総理大臣の異議は司法権(憲法76条)に行政権が介入する構造であり合憲性が長く議論されてきたが、行政権の最終的な公益判断確保の必要性と、やむをえない場合への限定・理由付記・国会報告という統制を根拠に、合憲と整理するのが一般的である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:行政事件訴訟特例法において、執行停止に対する内閣総理大臣の異議制度が導入された。占領期の行政・司法調整の産物とされる
- 2.昭和37年(1962年) 改正:行政事件訴訟法の制定に伴い、特例法の異議制度を27条として承継。理由付記・公共の福祉への重大な影響の疎明・やむをえない場合の限定・国会報告義務という枠組みを整備
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