行政事件訴訟法 第5条(民衆訴訟)
クイックジャンプ
この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
この条文の基本情報
民衆訴訟とは何ですか?
定義民衆訴訟とは、行政事件訴訟法第5条に定められた規定で、「この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 行政事件訴訟法第5条(民衆訴訟)は、日本の行政事件訴訟法に含まれる条文です。
- 行政事件訴訟法第5条の条文原文は「この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起…」で始まります。
- 行政事件訴訟法第5条は第一章 総則に置かれています。
- 行政事件訴訟法の公布日は昭和37年5月16日です。
- 行政事件訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 行政事件訴訟法第5条の前の条は行政事件訴訟法第4条です。
- 行政事件訴訟法第5条の次の条は行政事件訴訟法第6条です。
- 行政事件訴訟法第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000139 - 本サイト収録
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/337AC0000000139/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点行政事件訴訟法5条は民衆訴訟を定義する。国や公共団体の違法行為の是正を、選挙人や住民など自己の利益にかかわらない資格で求める訴訟で、法律が認めた場合のみ提起できる。
Q · 自分は損していないのに、税金の無駄遣いを裁判所に止めさせることはできるの?
原則は不可だが、住民訴訟など法律が認めた場合だけ可能
行政事件訴訟法5条が定める民衆訴訟なら可能です。これは「選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格」で、国や自治体の違法行為の是正を求める訴訟です。自分が一円も損していなくても、住民や選挙人という立場で提起できます。代表例は住民訴訟(地方自治法242条の2)と選挙訴訟(公職選挙法)。ただし誰でも自由に起こせるわけではなく、法律が認めた場合に、認めた者だけが提起できます(同法42条)。住民訴訟ならまず住民監査請求が前提となります。
解説
あなたの住む市が、無駄な箱物に数億円を投じた。あなた個人は一円も損していない。普通の裁判ルールでは、自分が損していない事柄を裁判所に持ち込めない(裁判所法3条の「法律上の争訟」)。ところが行政事件訴訟法5条が定める「民衆訴訟」は、その例外をつくる。選挙人という資格、あるいは住民という資格、つまり自分の財布とは無関係の立場で、国や自治体の違法行為の是正を求められる訴訟だ。代表例が住民訴訟(地方自治法242条の2)と選挙訴訟(公職選挙法)。ただし落とし穴がある。民衆訴訟は誰でもいつでも起こせるわけではなく、法律が認めた場合に、法律が認めた者だけが起こせる(同法42条)。あなたが正義感だけで役所を訴えようとしても、根拠法がなければ門前払いになる。知っているかどうかで、税金の使い道に手を伸ばせる市民と、ニュースに腹を立てるだけの市民が分かれる。
法的な位置づけ
民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう(行政事件訴訟法5条)。主観的権利の救済を目的とする抗告訴訟とは異なり、客観的な法秩序の維持を目的とする客観訴訟に分類される。法律に定めがある場合に、法律が定める者に限り提起できる(同法42条)。代表例は住民訴訟と選挙訴訟である。
よくある質問 AI による整理
Q1民衆訴訟とは何ですか?
国や自治体の違法行為の是正を、自分の利益と無関係な資格(選挙人・住民など)で求める訴訟です。行政事件訴訟法5条が定義し、客観訴訟に分類されます。
Q2住民訴訟と民衆訴訟はどう違いますか?
民衆訴訟は上位概念で、住民訴訟(地方自治法242条の2)はその代表例です。選挙訴訟も民衆訴訟の一種にあたります。
Q3客観訴訟とは何ですか?
自分の権利救済ではなく、客観的な法秩序の維持を目的とする訴訟です。民衆訴訟と機関訴訟が含まれ、法律の定めがある場合に限り提起できます。
Q4選挙訴訟は誰が起こせますか?
選挙人という資格で起こせます。落選候補でなくても、一人の有権者として選挙の効力を裁判所に問えます(公職選挙法)。
Q5住民訴訟の期限はいつまでですか?
前提の住民監査請求が原則として行為のあった日から1年以内、訴訟は監査結果通知から30日以内です(地方自治法242条・242条の2)。
Q6民衆訴訟の根拠法は何ですか?
定義は行政事件訴訟法5条、提起の限定は同法42条です。具体的には地方自治法(住民訴訟)や公職選挙法(選挙訴訟)が個別に認めています。
Q7住民訴訟の4号請求とは何ですか?
違法な公金支出に関わった職員個人などへの損害賠償を、自治体に代位して請求するよう求めるものです。職員個人の財布に責任が及びます。
Q8民衆訴訟と機関訴訟の違いは何ですか?
どちらも客観訴訟ですが、民衆訴訟は私人が選挙人・住民の資格で提起し、機関訴訟(行訴法6条)は国・公共団体の機関相互の権限争いを争うものです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1役所の無駄遣いに腹が立つんですが、誰でも訴えられるんですか?
誰でも自由に、ではありません。民衆訴訟は法律が認めた場合に、認めた者だけが起こせます(行政事件訴訟法42条)。公金の無駄遣いなら住民訴訟(地方自治法242条の2)で、その自治体の住民という資格で起こせますが、まず住民監査請求を経る必要があります。実務のポイント:住民訴訟は本人訴訟でも十分戦えるよう設計されており、勝訴すれば弁護士報酬相当額を自治体に請求できる規定があります(同242条の2第12項)。持ち出し覚悟と思われがちですが、勝てば費用を回収できる場合があるのです
Q2住民訴訟で勝ったら、自分にお金が入るんですか?
入りません。民衆訴訟は自分の利益と無関係な資格で起こす制度なので、違法支出の返還金は自治体(公の財布)に戻り、原告個人の懐には入りません。金銭目的では割に合わない制度です。実務のポイント:その代わり、勝訴した原告は弁護士報酬相当額を自治体に請求できます(地方自治法242条の2第12項)。つまり制度設計上、私利ではなく公益のために動く市民の負担を軽くする仕組みになっている。ここを誤解して『儲かる』と思って始めると、確実に期待外れになります
間違えやすい点 AI による整理
- 「役所のやることに腹が立つから訴えてやる」という発想そのものが、行政訴訟では空振りする。民衆訴訟は正義感で起こすものではなく、法律が起こせると定めた場合に限られる(行政事件訴訟法42条)。問うべきは『腹が立つか』ではなく『根拠となる法律があるか』だ
- 住民訴訟という制度があることは知っていても、いきなり裁判所には行けないことを知らない人が多い。まず住民監査請求(地方自治法242条)を経なければ、訴訟は不適法として却下される。しかも監査請求には期間制限があり、その深刻さに気付いたときには窓が閉じていることがある
- 「自分が損していないなら訴える資格などない」と思い込みがちだが、民衆訴訟はまさに『自分の利益と無関係な資格』で起こす制度だ。あなたから見れば他人事でも、住民・選挙人という立場が、法律上は訴える資格を与えている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 訴訟の目的 | 民衆訴訟(5条):客観的な法秩序の維持 | 機関訴訟(6条):機関相互の権限争いの解決 抗告訴訟(3条):自己の権利・利益の救済 |
| 原告適格 | 選挙人・住民など自己の利益にかかわらない資格 | 国・公共団体の機関 処分の取消し等に法律上の利益を有する者(9条) |
| 提起できる場合 | 法律に定めがある場合に、定める者のみ(42条) | 法律に定めがある場合に、定める者のみ(42条) 原則として一般的に提起可能 |
| 代表例 | 住民訴訟(地方自治法242条の2)・選挙訴訟 | 国と地方公共団体の権限争いの訴訟 処分取消訴訟・義務付け訴訟・差止訴訟 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も公益維持のための訴訟を法律の特別の定めに限って認める点で日本の民衆訴訟と類似する
韓国行政訴訟法も民衆訴訟を一類型として明記し、法律が定めた場合に限り提起を認める
ドイツは原則として Popularklage(民衆訴訟)を否定し主観的権利を要求するが、環境分野等で団体訴訟を限定的に認める
米国は環境法等で市民訴訟条項を設け、qui tam(False Claims Act)でも私人による公益訴追を認めるが、納税者標準的当事者適格は限定的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの市が、ある業者と相場の倍の価格で随意契約を結び、数千万円を支出した。あなた自身は何の損もしていない。だが住民という資格だけで、その支出の差止めや損害の返還を求める住民訴訟を起こせる。ただし時計は動いている。前提となる住民監査請求は行為から原則1年以内、この入口を逃せば、どれだけ違法でも手遅れになる
- もし、あなたが投票した選挙に重大な不正や手続違反があったとしたら? 選挙人という資格で、その選挙の効力を争う選挙訴訟(公職選挙法)を起こせる。自分が落選候補でなくても、一人の有権者として選挙の公正さを裁判所に問える。これも民衆訴訟の一種だ
- 自治体の職員として公金支出の決裁に関わったあなたへ。その支出が住民訴訟で違法と判断されれば、賠償の請求があなた個人に向かうことがある(4号請求)。組織としての判断のつもりが、個人の財布に跳ね返る
取るべき行動
被害を受けた側:1. その違法行為が民衆訴訟の対象か確認(住民訴訟なら公金支出・契約・財産管理、選挙訴訟なら選挙の効力) 2. 住民訴訟の場合、まず住民監査請求(地方自治法242条)を提起、これが訴訟の前提3. 監査結果に不服なら、結果通知から30日以内に住民訴訟を提起(同242条の2第2項) 4. 単独でも起こせるが、同じ問題意識の住民と連携すると証拠収集と費用負担が軽くなる
訴えられた側:1. 自治体側なら、まず当該支出の法的根拠と決裁過程の記録を確保2. 監査請求の段階で説明を尽くし、是正できる部分は早期に是正して訴訟リスクを下げる3. 訴訟になれば職員個人への賠償請求(4号請求)に発展しうるため、当該職員の故意・過失の有無を精査4. 民衆訴訟は法律が認めた範囲に限られるので、原告適格・対象行為の該当性を入口で争う余地を検討
時効(請求できる期限):民衆訴訟は根拠法ごとに期間が異なる。住民訴訟は前提の監査請求が行為のあった日から1年以内(地方自治法242条2項、正当な理由があれば例外)、訴訟は監査結果通知から30日以内(同242条の2第2項)。選挙訴訟は選挙の種類により異なる(公職選挙法203条、204条、たとえば国政選挙は選挙の日から30日以内)
学説
通説:民衆訴訟は客観訴訟であり、私人の権利救済ではなく客観的な法秩序の維持を目的とする。裁判所が裁くのは本来「法律上の争訟」(裁判所法3条)に限られるため、その例外である民衆訴訟は法律が認めた場合に、認めた者だけが提起できる(法定主義、行訴法42条)と解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和37年(1962年) 新設:旧・行政事件訴訟特例法に代わり行政事件訴訟法を制定。客観訴訟として民衆訴訟(5条)・機関訴訟(6条)を明文で類型化
- 2.平成16年(2004年) 改正:行政事件訴訟法の大改正。抗告訴訟の原告適格の実質的拡大や義務付け・差止訴訟の新設等を実施。客観訴訟の基本枠組み(5条・6条・42条)は維持
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める