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法律略称 行訴法

行政事件訴訟法

ぎょうせいじけんそしょうほう

法令番号
昭和三十七年法律第百三十九号
公布日
昭和三十七年五月十六日
条数
本則129条・附則36条

法令の構成 編・章を選ぶと該当条文へ移動します

第一章
第一条(この法律の趣旨)

行政事件訴訟については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

行政事件訴訟法 1 条は、行政訴訟について他の法律に特別の定めがある場合を除き本法によると定める一般法の規定で、特別法があればそれが優先する。

よくある質問

Q · 役所の決定に納得いかないとき、いきなり裁判を起こせますか?

原則は可能です。行政事件訴訟法8条は審査請求と取消訴訟の自由選択を認めています。ただし国税通則法115条など個別法が審査請求前置を定める場合は、先に審査請求の裁決を経ないと訴訟は却下されます。業界裏話ヒント:前置の有無は処分通知の教示欄(行訴法46条)に書かれているはずですが、定型文に紛れて見落としやすい。飛ばして訴えると、それだけで負けます

Q · 訴える期限っていつまでですか?

行政事件訴訟法14条で、原則は処分を知った日から6か月、かつ処分の日から1年です。ただし第1条のとおり特別法が優先するため、選挙訴訟などはもっと短い。業界裏話ヒント:2004年改正前は3か月だったので、古い解説書をそのまま信じると危険です。必ず最新の条文と、根拠法令の特別の定めを確認してください

Q · そもそも、何でもかんでも行政を訴えられるんですか?

いいえ。訴えられるのは行政処分など一定の行為に限られます。行政指導や単なる事実行為は処分性がなく、原則として取消訴訟の対象外です(処分性の議論)。業界裏話ヒント:処分性の有無が最初の関門です。ただし「お知らせ」と題された文書でも、実質的に権利を制限していれば処分と認定された判例があり、形式名だけで諦めるのは早い

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第二条(行政事件訴訟)

この法律において「行政事件訴訟」とは、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟及び機関訴訟をいう。

行政事件訴訟法 2 条は、行政事件訴訟を抗告訴訟・当事者訴訟・民衆訴訟・機関訴訟の四類型に区分する。民衆訴訟と機関訴訟は法律が定める場合に限り提起できる。

よくある質問

Q · 役所の決定が気に入らないんですが、普通に民事で訴えちゃダメなんですか?

処分の取消しを求めるなら、原則として抗告訴訟(取消訴訟)によらなければならず、いきなり民事訴訟で「処分は無効だ」と争うのは原則できません(行政事件訴訟法 3 条、7 条)。処分を前提としない金銭請求などは当事者訴訟や民事訴訟になります。業界裏話ヒント:実務では類型の境界が曖昧なケースが多く、迷ったら抗告訴訟と当事者訴訟を併せて出しておく念のための重畳的提起が使われる。弁護士はこれで却下リスクを保険にかけている

Q · 市の税金の無駄遣いって、一市民でも裁判で止められるんですか?

止められる可能性があります。自分が直接損をしていなくても、住民訴訟(2 条の民衆訴訟の一種、地方自治法 242 条の 2)で市の違法な公金支出をただせます。ただし、いきなり訴訟ではなく、先に住民監査請求(同 242 条)を経る必要があります。業界裏話ヒント:住民訴訟は監査請求の結果通知から 30 日という短い出訴期間があり、これを逃すと門が閉じる。住民監査請求自体にも当該行為のあった日から 1 年の期間制限があるので、気付いたら早く動くのが鉄則

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第三条(抗告訴訟)

この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。

この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。

この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。

この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。

行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。

行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。

この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

行政事件訴訟法 3 条は抗告訴訟を定義し、取消し・裁決取消し・無効等確認・不作為の違法確認・義務付け・差止めの 6 類型を定める。類型選択を誤ると訴訟要件で却下される。

よくある質問

Q · 役所の決定に納得できないとき、裁判と役所への審査請求、どっちを先にやるんですか?

原則は自由選択(行政事件訴訟法8条1項)で、いきなり取消訴訟を起こせます。ただし国税や社会保険など個別法で「審査請求前置」が定められた処分は、先に審査請求を経ないと訴えが却下されます。業界裏話ヒント:前置が必要かは処分の根拠法ごとに違い、通常は通知書の教示欄に書いてある。ここを読み飛ばして直接提訴し、却下された頃には出訴期間も過ぎている、という事故が実際に起きる

Q · 申請を出したのに役所がいつまでも返事をくれません。これも訴えられますか?

訴えられます。法令に基づく申請に相当の期間内に応答しないのは「不作為」で、不作為の違法確認の訴え(3条5項、37条)の対象です。さらに2004年改正で、応答を求めるだけでなく「許可そのものを出せ」と命じさせる義務付けの訴え(3条6項)も使えるようになりました。業界裏話ヒント:行政手続法6条の「標準処理期間」を役所が公表していれば、それを大きく超えた時点が「相当の期間」超過の有力な証拠になる。まず標準処理期間を情報公開で確認するのが定石

Q · 義務付け訴訟って2004年にできたと聞きましたが、それまではどうしてたんですか?

改正前は明文がなく、「無名抗告訴訟」として認められるかが激しく争われ、裁判所は極めて消極的でした。2004年(平成16年)改正で義務付けの訴えと差止めの訴えが明文化され(2005年4月施行)、国民が役所に積極的に「やれ・やるな」と迫る道が初めて法律で開かれました。業界裏話ヒント:それでも義務付け・差止めは「重大な損害」など要件が厳しく(37条の2以下)、単独で使うより取消訴訟や執行停止と組み合わせる戦略が実務の主流

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第四条(当事者訴訟)

この法律において「当事者訴訟」とは、当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの及び公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟をいう。

行政事件訴訟法 4 条は当事者訴訟を定義し、形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟の二類型を置く。抗告訴訟と異なり、対等な当事者として公法上の権利関係を争える。

よくある質問

Q · 役所の処分を取り消したいんじゃなくて、自分に権利があることを認めてほしいんですが、それでも裁判できますか?

できます。それがまさに当事者訴訟の確認の訴え(行政事件訴訟法4条後段)です。処分の取消しを求めるのではなく、公法上の法律関係、つまり地位や権利の存在を直接確認します。業界裏話ヒント:2004年改正で確認の訴えが明文化されてから、処分が出る前に予防的に争う使い方が広がった。行政事件に不慣れな代理人だと取消訴訟一本槍で組み立てるが、確認訴訟を併用できないか検討するだけで、戦略の幅が大きく変わる

Q · 当事者訴訟って取消訴訟と何が一番違うんですか?

被告と争う構造が違います。取消訴訟など抗告訴訟は行政庁の公権力の行使を相手取りますが、当事者訴訟は対等な当事者間の法律関係を争います(行政事件訴訟法3条と4条の対比)。業界裏話ヒント:実質的当事者訴訟には原則として出訴期間の制限がないので、取消訴訟の6か月の壁(同法14条)を過ぎてしまった案件でも、当事者訴訟として構成できれば救済の道が残ることがある。期間を徒過したケースこそ、この組み替えを検討する価値がある

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第五条(民衆訴訟)

この法律において「民衆訴訟」とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。

行政事件訴訟法 5 条は民衆訴訟を定義する。国や公共団体の違法行為の是正を、選挙人や住民など自己の利益にかかわらない資格で求める訴訟で、法律が認めた場合のみ提起できる。

よくある質問

Q · 役所の無駄遣いに腹が立つんですが、誰でも訴えられるんですか?

誰でも自由に、ではありません。民衆訴訟は法律が認めた場合に、認めた者だけが起こせます(行政事件訴訟法 42条)。公金の無駄遣いなら住民訴訟(地方自治法 242条の2)で、その自治体の住民という資格で起こせますが、まず住民監査請求を経る必要があります。業界裏話ヒント:住民訴訟は本人訴訟でも十分戦えるよう設計されており、勝訴すれば弁護士報酬相当額を自治体に請求できる規定があります(同 242条の2第12項)。持ち出し覚悟と思われがちですが、勝てば費用を回収できる場合があるのです

Q · 住民訴訟で勝ったら、自分にお金が入るんですか?

入りません。民衆訴訟は自分の利益と無関係な資格で起こす制度なので、違法支出の返還金は自治体(公の財布)に戻り、原告個人の懐には入りません。金銭目的では割に合わない制度です。業界裏話ヒント:その代わり、勝訴した原告は弁護士報酬相当額を自治体に請求できます(地方自治法 242条の2第12項)。つまり制度設計上、私利ではなく公益のために動く市民の負担を軽くする仕組みになっている。ここを誤解して『儲かる』と思って始めると、確実に期待外れになります

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第六条(機関訴訟)

この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。

行政事件訴訟法 6 条は、機関訴訟を国又は公共団体の機関相互間の権限の存否・行使に関する紛争の訴訟と定義する。客観訴訟であり、42 条により法律が定めた場合に限り出訴できる。

よくある質問

Q · 役所同士のケンカなのに、なんで税金使って裁判するんですか?無駄じゃないですか?

機関訴訟は個人の利益ではなく、行政の権限秩序という「客観的な法の枠組み」を守るためのものです。民事の損害賠償とは目的が違う。行訴法 42 条が「法律に定める場合に限る」と厳しく絞っているのも、濫訴で行政が止まらないためです。業界裏話ヒント:機関訴訟が成立する場面は法律で個別に列挙され、多くは地方自治法の中にある。「どこにその規定があるか」を知っている人は、行政内部の権限争いで一気に有利に立てる。役所の現場でも、この訴訟ルートの存在自体を知らない職員は多い

Q · 市民の私が、市長と市議会の対立に腹を立てて、代わりに訴えることはできますか?

できません。機関訴訟を起こせるのは「法律に定める者」に限られ(行訴法 42 条)、多くは争っている機関そのもの(首長や議会)です。住民が直接この訴訟を起こす道はありません。業界裏話ヒント:ただし住民には別ルートがある。違法な公金支出などには住民訴訟(地方自治法 242 条の 2)という「民衆訴訟」の一種が使えます。機関訴訟の入口は閉じていても、住民監査請求から住民訴訟へという別の扉は開いている。狙う扉を間違えないことが肝心です

Q · 辺野古の国と沖縄県の裁判って、これも機関訴訟なんですか?

国の関与(是正の指示など)に自治体が不服を申し立てて争う訴訟(地方自治法 251 条の 5)は、機関訴訟の代表例とされます。ただし辺野古関連は複数の訴訟が並行し、中には大臣の裁決を争う抗告訴訟も混ざっており、どれがどの類型かは事件ごとに異なります(学説上も整理が分かれます)。業界裏話ヒント:報道は「国 vs 県」とまとめますが、訴訟類型ごとに使える主張も判決の効力も違う。ニュースを見るとき「これは関与訴訟か、抗告訴訟か」を分けて追うと、各判決の意味が立体的に見えてきます

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第七条(この法律に定めがない事項)

行政事件訴訟に関し、この法律に定めがない事項については、民事訴訟の例による。

行政事件訴訟法 7 条は、同法に定めのない事項は民事訴訟の例によると定める。証拠調べや上訴など、わずか 46 条の同法が沈黙する手続は民事訴訟法が補充する。

よくある質問

Q · 行政訴訟って、普通の裁判と何が違うんですか?

土台は同じです。行政事件訴訟法 7 条が「定めがない事項は民事訴訟の例による」と定めているので、証拠調べや上訴など手続きの骨格は民事裁判と共通です。違うのは行政事件訴訟法が上書きする特則部分(出訴期間、執行停止、職権証拠調べなど)だけ。業界裏話ヒント:実務家はまず行政事件訴訟法の薄い特則を頭に入れ、残りは民訴の知識で処理します。行政訴訟を『全く別物』と身構える必要はなく、民事訴訟ができれば骨格の八割は動かせる、というのが現場の感覚です

Q · 「民事訴訟の例による」って、民事のルールがそっくり全部使われるんですか?

全部ではありません。「例による」は丸ごと適用ではなく、行政訴訟の性質に合わせて読み替えて使う準用に近い扱いです。私人同士を前提にした規定を役所相手にそのまま当てはめられない場面では修正が入ります(実務上、どこまで読み替えるかは解釈が分かれる論点もあります)。業界裏話ヒント:『例による』と『準用する』の違いは試験では細かく問われますが、実務では『民訴を基本に、行政の特殊性で調整』と理解すれば足ります

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第二章
第一節
第八条(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)

処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。

ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。

前項ただし書の場合においても、次の各号の一に該当するときは、裁決を経ないで、処分の取消しの訴えを提起することができる。

審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないとき。

処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。

その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

第一項本文の場合において、当該処分につき審査請求がされているときは、裁判所は、その審査請求に対する裁決があるまで(審査請求があつた日から三箇月を経過しても裁決がないときは、その期間を経過するまで)、訴訟手続を中止することができる。

行政事件訴訟法 8 条は、処分の取消訴訟を審査請求の裁決を経ずに直接提起できる自由選択主義を原則とし、法律が前置を定める場合のみ裁決を要すると定める。

よくある質問

Q · 役所の決定がおかしいと思ったら、まず役所に異議を出すのが普通ですよね?

多くの場合は違う。行政事件訴訟法 8 条 1 項本文は自由選択主義を採り、原則として審査請求を経ずに直接裁判所へ取消訴訟を起こせる。ただし税金(国税通則法 115 条)や公務員の不利益処分など、法律が審査請求前置を定める分野は先に審査請求が必要になる。業界裏話ヒント。自分の処分に前置が要るかは、その処分の根拠法をめくって「裁決を経た後でなければ」という一文があるかで判断する。この一文の有無が、いきなり訴えられるか半年回り道させられるかを分ける

Q · 審査請求したのに役所がいつまでも返事をくれません。待つしかない?

待つ必要はない。8 条 2 項 1 号により、審査請求があった日から三箇月を経過しても裁決がないときは、裁決を待たずに取消訴訟を提起できる。緊急の必要があるとき(2 号)、その他正当な理由があるとき(3 号)も同じだ。業界裏話ヒント。役所が裁決を引き延ばすのは珍しくない。三箇月のカウントを自分で記録しておき、経過した日を狙って訴訟に切り替えるのが定石。塩漬けにされたと感じたら、まずカレンダーを見る

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第九条(原告適格)

処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

行政事件訴訟法9条は、取消訴訟を起こせるのは「法律上の利益を有する者」に限ると定める。第三者の原告適格は、法令の趣旨や害される利益の性質まで考慮して判断される(2項)。

よくある質問

Q · 隣にマンションが建つ許可、私みたいなただの近所の住人でも止められるんですか?

許可そのものを即座に止めるのは難しいですが、建築確認や開発許可の取消訴訟を起こせる可能性はあります。鍵は 9 条 2 項で、根拠法令(建築基準法・都市計画法など)が周辺住民の生活環境を個別に保護する趣旨を含むかが判断されます。業界裏話ヒント:原告適格が認められるかは「距離」で大きく変わります。実務では建物の高さや日影規制の及ぶ範囲を基準に、どこまでの住民が争えるかが線引きされる傾向がある。自分が保護範囲に入るかは位置図を持って早めに専門家に確認するのが得策

Q · 処分を取り消してもらう前に、許可されたビルが完成しちゃったらどうなりますか?

建物が完成すると、取消しを命じても原状回復が事実上不可能として「訴えの利益」が失われ、訴え自体が却下されることがあります。9 条 1 項括弧書きは、処分の効果が消えても回復すべき法律上の利益が残る場合は争えるとしますが、完成済み建物では認められにくい。業界裏話ヒント:だからこそ実務では取消訴訟と同時に「執行停止」(25 条)を申し立て、工事を一時止めて訴えの利益が消えるのを防ぐ。本訴だけ起こして工事を放置すると、勝てたはずの訴訟が入口で消滅する

Q · 「公益のため」じゃダメで「自分の利益」じゃないと訴えられないって、どういう線引きなんですか?

法律が守ろうとしているのが社会全体の一般的公益にとどまるのか、それとも個々人の具体的・個別的な利益までを保護しているのか、という線引きです。前者だけだと原告適格は否定されます(かつて消費者団体の訴えが退けられた例がある)。業界裏話ヒント:9 条 2 項は「関係法令の趣旨・目的をも参酌せよ」と命じており、根拠法令単体では公益保護に見えても、関連する法令まで合わせ読むと個別利益の保護が読み取れる、という主張が突破口になることがある。一本の法律だけ見て諦めない

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第十条(取消しの理由の制限)

取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。

処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。

行政事件訴訟法 10 条は取消訴訟の主張を制限する。1 項で自己の法律上の利益に無関係な違法は主張できず、2 項の原処分主義により裁決取消訴訟では処分の違法を主張できない。

よくある質問

Q · 審査請求して負けたら、その『負けた決定』を裁判で取り消すんですよね?

そこが落とし穴です。元の処分の違法を争いたいなら、原則は処分取消訴訟です。裁決取消訴訟では処分の違法を主張できず、争えるのは審査手続自体の瑕疵だけ(行政事件訴訟法 10 条 2 項、原処分主義)。業界裏話ヒント:弁護士は訴状を書く前に必ず『的は処分か裁決か』を決めます。ここを取り違えた本人訴訟は、中身に入る前に主張制限で崩れることがある

Q · 原処分主義って、例外はないんですか?

あります。個別の法律が『裁決主義』を採っている分野では逆になり、裁決(審決)だけを争います。代表は特許の審決取消訴訟(特許法 178 条)で、元の審査の違法もこの訴訟の中で主張します。業界裏話ヒント:行政事件訴訟法 10 条 2 項を暗記しただけだと、自分の分野が裁決主義の例外に当たることに気付けない。まず根拠法に裁決主義の定めがないかを確認するのが実務の鉄則です

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第十一条(被告適格等)

処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。

処分の取消しの訴え当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体

裁決の取消しの訴え当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体

処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。

前二項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。

第一項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例により記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を記載するものとする。

処分の取消しの訴え当該処分をした行政庁

裁決の取消しの訴え当該裁決をした行政庁

第一項又は第三項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。

処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第一項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。

行政事件訴訟法 11 条は取消訴訟の被告適格を定め、処分庁が国・公共団体に所属する場合、被告は処分庁ではなくその所属する国または公共団体となる。

よくある質問

Q · 役所を訴えるって、担当した職員や市長を個人的に訴えるんですか?

いいえ。被告は「国」や「○○市」といった組織です(11条1項)。処分をした行政庁が国・自治体に属する場合、その属する団体が被告になります。業界裏話ヒント:2004年の改正前は処分庁そのもの(税務署長など)が被告で、機関の名称を取り違えて却下される事故が頻発していました。改正で被告が国・自治体に一本化され入口のハードルが下がったことは、行政事件を扱わない弁護士でも意外と正確に把握していません

Q · 被告を間違えて訴えてしまったら、もうやり直せないんですか?

救済があります。行政事件訴訟法15条により、被告を誤ったことに故意または重過失がなければ、裁判所の許可で被告を変更でき、出訴期間内に訴えたものとみなされます。業界裏話ヒント:この15条があるため被告選びを過度に恐れる必要はありませんが、変更が許されるのは事実審の口頭弁論終結まで。本当の締切は被告の正誤よりも、14条の出訴期間(処分を知った日から6か月)の方だと意識を切り替えるのが実務の勘所です

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第十二条(管轄)

取消訴訟は、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所又は処分若しくは裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。

土地の収用、鉱業権の設定その他不動産又は特定の場所に係る処分又は裁決についての取消訴訟は、その不動産又は場所の所在地の裁判所にも、提起することができる。

取消訴訟は、当該処分又は裁決に関し事案の処理に当たつた下級行政機関の所在地の裁判所にも、提起することができる。

国又は独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人若しくは別表に掲げる法人を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(次項において「特定管轄裁判所」という。)にも、提起することができる。

前項の規定により特定管轄裁判所に同項の取消訴訟が提起された場合であつて、他の裁判所に事実上及び法律上同一の原因に基づいてされた処分又は裁決に係る抗告訴訟が係属している場合においては、当該特定管轄裁判所は、当事者の住所又は所在地、尋問を受けるべき証人の住所、争点又は証拠の共通性その他の事情を考慮して、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部について、当該他の裁判所又は第一項から第三項までに定める裁判所に移送することができる。

行政事件訴訟法 12 条は取消訴訟の管轄を定め、被告行政庁・処分庁の所在地が原則だが、国を被告とする場合は原告の住所地を管轄する高裁所在地の地方裁判所にも訴えられる。

よくある質問

Q · 国を訴えるって、やっぱり東京の裁判所まで行かないとダメなんですよね?

いいえ。2004年改正で特定管轄裁判所制度(行訴法12条4項)ができ、国や独立行政法人を被告とする取消訴訟は、あなたの住所地を管轄する高等裁判所の所在地の地方裁判所にも起こせます。札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の各高裁所在地の地裁が選べます。業界裏話ヒント:この制度を知らずに、わざわざ東京の弁護士に依頼して東京地裁で争おうとする地方在住者が今でもいる。地元の行政訴訟に詳しい弁護士に頼めば、移動コストも弁護士費用も大きく下げられる

Q · 地元の裁判所に訴えたのに、東京へ移すと言われました。拒否できますか?

特定管轄裁判所に訴えた場合、他の裁判所に事実上・法律上同一の原因に基づく関連訴訟が係属していると、裁判所は当事者の住所・証人の所在・争点の共通性を考慮して移送できます(行訴法12条5項)。完全な拒否はできませんが、移送は裁判所の裁量なので、地元審理が相当である事情を主張すれば防げる余地があります。業界裏話ヒント:移送を避けたいなら、訴状の段階で『主要証人も証拠も地元に集中している』ことを具体的に書き込んでおく。後出しより、最初から地元審理の必然性を示す方が裁判所を動かしやすい

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第十三条(関連請求に係る訴訟の移送)

取消訴訟と次の各号の一に該当する請求(以下「関連請求」という。)に係る訴訟とが各別の裁判所に係属する場合において、相当と認めるときは、関連請求に係る訴訟の係属する裁判所は、申立てにより又は職権で、その訴訟を取消訴訟の係属する裁判所に移送することができる。

ただし、取消訴訟又は関連請求に係る訴訟の係属する裁判所が高等裁判所であるときは、この限りでない。

当該処分又は裁決に関連する原状回復又は損害賠償の請求

当該処分とともに一個の手続を構成する他の処分の取消しの請求

当該処分に係る裁決の取消しの請求

当該裁決に係る処分の取消しの請求

当該処分又は裁決の取消しを求める他の請求

その他当該処分又は裁決の取消しの請求と関連する請求

行政事件訴訟法 13 条は、取消訴訟と関連請求が別々の裁判所にあるとき、関連請求の訴訟を取消訴訟の裁判所へ移送できると定める。ただし高裁係属中は移送できない。

よくある質問

Q · 取消訴訟と国家賠償、別々に裁判を起こしちゃったんですが、後からまとめられますか?

まとめられる可能性があります。行政事件訴訟法 13 条の移送で、国家賠償(関連請求)の訴訟を取消訴訟の裁判所へ移し、その後 16 条以下で併合審理できます。ただし両方が第一審に係属していることが条件で、どちらかが高裁に上がると但書で封じられます。業界裏話ヒント:実は最初から 16 条で取消訴訟に国家賠償を併合して提起すれば、移送の手間自体が要りません。別々に出してしまった後の救済策が 13 条であり、訴え提起の段階で気づければ移送は不要だった、という順序を知っておく

Q · 移送って自分で申し立てないとダメですか?裁判所が勝手にやってくれないんですか?

申立てがなくても裁判所の職権で移送できます(13 条)。ただし職権発動を待つより、自分で移送の申立書を出した方が確実です。裁判所が『相当と認めるとき』に限られるので、なぜ集約すべきか(証拠共通、矛盾判決の回避)を具体的に示す必要があります。業界裏話ヒント:移送を認めるかは裁判所の裁量が大きい。申立てが却下されても、その決定に対して即時抗告ができる場合がある(民事訴訟法の移送規定の準用場面)。一度断られて諦める前に、抗告の可否を確認する

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第十四条(出訴期間)

取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したときは、提起することができない。

ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

取消訴訟は、処分又は裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。

ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から六箇月を経過したとき又は当該裁決の日から一年を経過したときは、提起することができない。

ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

行政事件訴訟法14条は、取消訴訟の出訴期間を、処分を知った日から六か月、処分の日から一年と定める。正当な理由があれば例外となり、審査請求を経た場合は裁決日が起算点になる。

よくある質問

Q · 役所の通知、6か月って、いつから数えるんですか?

起算点は「処分があったことを知った日」(行訴法14条1項)、通知書を現実に受け取って内容を了知した日が原則です。知らないまま処分の日から一年経つと、これも提起できなくなります(同条2項)。業界裏話ヒント:「知った日」は受け取った日であって、内容を完全に理解した日ではない。難しくて読めなかった、は通用しません。封を切った瞬間にタイマーが動くと考え、その日のうちに専門家へ持ち込むのが鉄則です

Q · うっかり半年過ぎちゃったら、もう一生争えないんですか?

取消訴訟は原則アウトです。ただし抜け道が二つ。一つは「正当な理由」(14条但書)、役所が出訴期間を教えなかった・誤って教えた場合などが該当しうる。もう一つが切り札で、処分に重大かつ明白な瑕疵があれば「無効等確認の訴え」(行訴法36条)が使え、これには出訴期間がない。業界裏話ヒント:弁護士が期限切れ案件で真っ先に検討するのがこの無効確認ルート。「もう手遅れ」と言われても、瑕疵の重大性を一度確認する価値があります

Q · 審査請求と裁判、どっちを先にやればいいんですか?

原則は自由選択(行訴法8条1項)で、いきなり裁判もできます。ただし個別法で「審査請求前置」が定められている場合は先に審査請求が必要。重要なのは、審査請求をすると取消訴訟の出訴期間が「裁決があったことを知った日」から数え直しになる点(14条3項)。業界裏話ヒント:処分直後で証拠も主張も固まっていないとき、あえて審査請求を先に出すと、実質的に裁判の持ち時間が伸びる。期限が迫ったときの時間稼ぎとして使える手筋です

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第十五条(被告を誤つた訴えの救済)

取消訴訟において、原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤つたときは、裁判所は、原告の申立てにより、決定をもつて、被告を変更することを許すことができる。

前項の決定は、電子決定書(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)をいう。以下この項において同じ。)を作成してするものとし、その電子決定書(同法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定により裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)に備えられたファイルに記録されたものに限る。)を新たな被告に送達しなければならない。

第一項の決定があつたときは、出訴期間の遵守については、新たな被告に対する訴えは、最初に訴えを提起した時に提起されたものとみなす。

第一項の決定があつたときは、従前の被告に対しては、訴えの取下げがあつたものとみなす。

第一項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

第一項の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

上訴審において第一項の決定をしたときは、裁判所は、その訴訟を管轄裁判所に移送しなければならない。

行政事件訴訟法 15 条は、取消訴訟で原告が故意・重過失なく被告を誤ったとき、裁判所が申立てにより被告を変更でき、変更後の訴えは最初の提訴時に提起したものとみなすと定める。

よくある質問

Q · 弁護士をつけずに自分で行政訴訟をやって、被告を間違えました。もう手遅れですか?

手遅れとは限りません。故意でも重大な過失でもない取り違えなら、被告変更の申立て(行政事件訴訟法 15 条 1 項)で差し替えられ、3 項により最初に訴えた日に提訴したものとみなされます。業界裏話ヒント:実務では、改正法で取消訴訟の被告が『国・公共団体』に変わったことを知らず『○○庁』を被告にしてしまうケースが今も後を絶ちません。本人訴訟だと裁判所が釈明で気付かせてくれることも多いので、まず諦めずに裁判所の書記官に相談するのが先決です

Q · 被告変更が認められたら、相手の役所は文句を言えないんですか?

変更を認める決定に対しては不服を申し立てることができません(15 条 5 項)。一方、申立てを却下する決定には原告が即時抗告できます(6 項)。救済の入口を一方的に閉じない設計です。業界裏話ヒント:この非対称は『手続上のミスで実体審理を受けられないのは酷だ』という価値判断の表れです。だから却下決定が出ても即時抗告で粘る余地が制度上きちんと残されている。一度の却下で全てが終わると思い込まないことです

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第十六条(請求の客観的併合)

取消訴訟には、関連請求に係る訴えを併合することができる。

前項の規定により訴えを併合する場合において、取消訴訟の第一審裁判所が高等裁判所であるときは、関連請求に係る訴えの被告の同意を得なければならない。被告が異議を述べないで、本案について弁論をし、又は弁論準備手続において申述をしたときは、同意したものとみなす。

行政事件訴訟法 16 条は、取消訴訟に関連請求に係る訴えを併合できると定める。第一審が高等裁判所である事件では、関連請求の被告の同意が必要となる。

よくある質問

Q · 取消訴訟で勝ってから、別に損害賠償を起こした方が確実じゃないんですか?

むしろ逆で、別訴にすると処分の違法性という同じ争点を二度立証する羽目になり、時間も費用も倍増します。16 条で併合すれば一度の審理で済みます。業界裏話ヒント:取消訴訟が請求棄却で確定すると、その処分は適法と確定し(既判力)、後から起こす国賠でも「処分は違法」と主張しにくくなる。だから最初から束ねておく方が、賠償の道も残せる

Q · 国家賠償だけ、地元の裁判所でこっそり起こせませんか?

国家賠償請求は単独でも起こせますが、取消訴訟と併合すると、取消訴訟の管轄裁判所(原則として被告の所在地を管轄する地裁、行訴法 12 条)で一緒に審理されます。業界裏話ヒント:関連請求として併合すれば、本来は別の裁判所になる国賠請求も取消訴訟の法廷に引き寄せられる(13 条、16 条)。どの裁判所で戦うかは勝敗に響くので、併合は管轄を選ぶカードにもなる

Q · 高裁が第一審って、どんな事件ですか? 自分には関係ある?

第一審が高裁になるのは、機関訴訟など限られた特殊類型で、通常の市民の処分取消しは地方裁判所が第一審です。つまり多くのケースで 16 条 2 項の同意問題は起きません。業界裏話ヒント:自分の事件の第一審がどこかは、根拠法令の管轄規定で決まる。地裁が第一審なら相手の同意なしで自由に併合できるので、ほとんどの市民は同意を気にせず損害賠償を束ねられる

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第十七条(共同訴訟)

数人は、その数人の請求又はその数人に対する請求が処分又は裁決の取消しの請求と関連請求とである場合に限り、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。

前項の場合には、前条第二項の規定を準用する。

行政事件訴訟法17条は、複数人の請求が処分の取消請求と関連請求の関係にある場合に限り、共同訴訟人として一緒に訴え、または訴えられることを認める規定である。

よくある質問

Q · 近所の人たちと一緒に市を訴えたいんですが、全員まとめて一つの裁判にできますか?

できる場合があります。ただし行政事件訴訟法 17 条は、各人の請求が処分の取消しの請求と「関連請求」(13 条)の関係にあることを条件にします。同じ開発許可への取消請求なら束ねやすいですが、別々の処分への不満を寄せ集めただけでは認められません。業界裏話ヒント:弁護士は共同訴訟にするかを、まず関連請求の枠で線引きします。枠に入る人だけで提訴し、外れる人は別訴にするのが定石。無理に全員を一本にすると分離されて全体が遅れるため、人数より接合点で選ぶのが実務感覚です

Q · 共同訴訟にしたら、一人が負けたら全員負けるんですか?

原則としてそうはなりません。行政訴訟の共同訴訟は多くが通常共同訴訟で、共同訴訟人独立の原則(民事訴訟法 39 条、行政事件訴訟法 7 条で準用)により、一人の主張や敗訴が他の原告を直接縛りません。業界裏話ヒント:ただし処分の効力を全員について合一に確定すべき場合は必要的共同訴訟(民事訴訟法 40 条)になり、一人の有利な主張が全員に及ぶ反面、足並みを乱せません。自分の訴訟がどちらの型かを最初に確認しておくと、和解や上訴を一人で決めてよいかが見えてきます

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第十八条(第三者による請求の追加的併合)

第三者は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、その訴訟の当事者の一方を被告として、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは、第十六条第二項の規定を準用する。

行政事件訴訟法 18 条は、第三者が取消訴訟の口頭弁論終結まで、当事者の一方を被告として関連請求の訴えを併合提起できると定める。終結後は併合できず独立訴訟による。

よくある質問

Q · 他人が始めた裁判に、あとから自分も加わるなんて本当にできるんですか?

できます。同じ行政処分の影響を受ける第三者で、関連請求(13 条)を持っていれば、18 条により進行中の取消訴訟に自分の請求を併合して提起できます。ただし口頭弁論終結までという時間制限があります。業界裏話ヒント:先行訴訟がどこまで進んでいるかで戦略が変わる。証拠調べが終わった後に合流すれば、相手の弱点が見えた状態から動けるが、結審間際だと裁判所が新請求の追加を嫌がる。係属裁判所の進行状況をいち早く掴んだ者が有利に立つ

Q · 併合する相手は、自分が訴えたい行政庁じゃなくてもいいんですか?

18 条は「当事者の一方を被告として」と定めており、先行訴訟の原告側・被告側どちらを相手にも関連請求を併合できます。たとえば許可に反対する住民訴訟に、許可を受けた事業者を相手取った請求を持ち込むことも構造上あり得ます。業界裏話ヒント:誰を被告に選ぶかで、立証の難度も得られる救済も変わる。行政庁を相手にするのか、処分で利益を得た私人を相手にするのか、この選択を先に固めないと、せっかくの併合が空振りに終わる

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第十九条(原告による請求の追加的併合)

原告は、取消訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、関連請求に係る訴えをこれに併合して提起することができる。この場合において、当該取消訴訟が高等裁判所に係属しているときは、第十六条第二項の規定を準用する。

前項の規定は、取消訴訟について民事訴訟法第百四十三条の規定の例によることを妨げない。

行政事件訴訟法 19 条は、取消訴訟の原告が口頭弁論終結まで国家賠償等の関連請求を同一訴訟に追加併合できると定める。別訴による矛盾判決を防ぐ規定である。

よくある質問

Q · 役所と裁判で争うとき、損害賠償も請求したいんですが、別の裁判を起こさないとダメですか?

別にする必要はありません。行政事件訴訟法 19 条で、取消訴訟の口頭弁論が終わるまでなら、国家賠償などの関連請求を同じ裁判に併せて提起できます。むしろ別訴にすると、二つの裁判所で処分の適法・違法の判断が食い違うリスクを抱えます。業界裏話ヒント:実務では、訴え提起の段階で取消請求だけを出し、審理で処分の違法性の心証が裁判官に固まってきた頃合いを見て国家賠償を併合する戦い方がある。最初から両方を出すより、違法性が見えてからの方が損害論に集中させやすい

Q · 取消訴訟で勝てば、損害賠償は自動的にもらえるんですか?

もらえません。19 条の併合は手続を一つにまとめるだけで、国家賠償が認められるかは別の要件(国家賠償法 1 条の公務員の故意・過失、職務行為の違法性)で判断されます。処分が取り消されても賠償がゼロのこともあります。業界裏話ヒント:取消判決が確定すると処分の違法性は前提として扱われやすくなり、賠償請求の立証が楽になる側面はある。だが「違法イコール過失あり」と当然になるわけではなく、ここに争いが残る。だからこそ併合で同じ裁判官に一気に判断させる価値がある

Q · もう訴状を出してしまったあとでも、賠償請求を追加できますか?

できます。19 条の追加的併合は取消訴訟の口頭弁論が終結するまで認められるので、訴え提起後でも審理の途中で関連請求を差し込めます。ただし高等裁判所に係属している場合は 16 条 2 項が準用され、要件が加わります。業界裏話ヒント:地裁で早めに併合しておくと追加のハードルが低い。控訴審まで上がってから賠償を思いついても、追加の難度が一段上がる。請求の追加は早いほど自由度が高いのが鉄則

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第二十条

前条第一項前段の規定により、処分の取消しの訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えに併合して提起する場合には、同項後段において準用する第十六条第二項の規定にかかわらず、処分の取消しの訴えの被告の同意を得ることを要せず、また、その提起があつたときは、出訴期間の遵守については、処分の取消しの訴えは、裁決の取消しの訴えを提起した時に提起されたものとみなす。

行政事件訴訟法 20 条は、裁決取消訴訟に処分取消訴訟を併合提起する場合、被告の同意を要せず、処分取消訴訟は裁決取消訴訟を提起した時に提起されたものとみなすと定める。

よくある質問

Q · 間違えて裁決だけ訴えちゃったんですけど、もう元の処分は争えないんですか?

まだ間に合う可能性があります。裁決取消訴訟に処分取消訴訟を併合して提起すれば、第20条により処分取消訴訟は裁決取消訴訟を起こした時点で提起されたとみなされ、出訴期間(第14条、6か月)の判断もその日を基準にします。業界裏話ヒント:この遡及効が効くのは「併合提起」のときだけです。気付いて慌てて別の訴訟として起こすと遡らず、出訴期間徒過で却下されます。同じ訴えでも、つなげるか分けるかで結論が逆になる。

Q · 処分を後から訴えるのに、役所の同意っているんですか?

この場面では不要です。通常、係属中の訴訟に別の請求を追加して併合するには、第19条第1項後段が準用する第16条第2項により被告の同意が要ります。しかし第20条はその特例として、裁決取消訴訟に処分取消訴訟を併合する場合に限り、被告である行政庁の同意を要しないと定めています。業界裏話ヒント:行政庁は出訴期間徒過を理由に却下を狙いたい立場ですが、第20条がそれを封じます。だからこそ原告側はこの条文を訴状の段階で明示し、相手の手続的反撃の芽を最初に摘んでおくとよい。

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第二十一条(国又は公共団体に対する請求への訴えの変更)

裁判所は、取消訴訟の目的たる請求を当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体に対する損害賠償その他の請求に変更することが相当であると認めるときは、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、原告の申立てにより、決定をもつて、訴えの変更を許すことができる。

前項の決定には、第十五条第二項の規定を準用する。

裁判所は、第一項の規定により訴えの変更を許す決定をするには、あらかじめ、当事者及び損害賠償その他の請求に係る訴えの被告の意見をきかなければならない。

訴えの変更を許す決定に対しては、即時抗告をすることができる。

訴えの変更を許さない決定に対しては、不服を申し立てることができない。

行政事件訴訟法 21 条は、取消訴訟を国や公共団体への損害賠償その他の請求へ訴え変更できると定める。請求の基礎が同一で、口頭弁論終結前であることが条件となる。

よくある質問

Q · 取消訴訟で負けそうなんですが、国家賠償は別に裁判をやり直すしかないんですか?

やり直す必要はありません。行政事件訴訟法 21 条で、口頭弁論が終わる前なら、いまの取消訴訟を国や公共団体に対する損害賠償請求へ訴えの変更ができます(請求の基礎に変更がないことが条件)。業界裏話ヒント:別訴を起こすと提訴時点が後ろにずれ、国家賠償請求権の時効(民法 724 条)に引っかかるリスクがあります。同じ訴訟内で変更すれば当初提訴時を基準に主張できる余地があり、ここを意識する弁護士とそうでない弁護士で結果が変わります

Q · 裁判所が訴えの変更を認めてくれなかったら、どこかに文句を言えますか?

言えません。行政事件訴訟法 21 条 5 項により、変更を許さない決定には不服を申し立てられません。逆に、変更を許す決定に対しては相手方(国や自治体側)が即時抗告できます(4 項)。業界裏話ヒント:許すかどうかが裁判所の裁量である以上、申立ての段階で『請求の基礎の同一性』をどれだけ具体的に書き込めるかが勝負です。あとから不服申立てできない以上、一発勝負の書面の作り込みが、知る人だけが押さえるポイントになります

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第二十二条(第三者の訴訟参加)

裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その第三者を訴訟に参加させることができる。

裁判所は、前項の決定をするには、あらかじめ、当事者及び第三者の意見をきかなければならない。

第一項の申立てをした第三者は、その申立てを却下する決定に対して即時抗告をすることができる。

第一項の規定により訴訟に参加した第三者については、民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定を準用する。

第一項の規定により第三者が参加の申立てをした場合には、民事訴訟法第四十五条第三項及び第四項の規定を準用する。

行政事件訴訟法22条は、訴訟の結果で権利を害される第三者を、申立てまたは職権で訴訟に参加させる制度を定める。参加者は民訴40条の準用で当事者に近い地位を得る。

よくある質問

Q · 自分は被告じゃないのに、なんで裁判の結果に縛られるんですか?

行政訴訟の取消判決には対世効(行政事件訴訟法32条)があり、当事者でない第三者にも効力が及ぶからです。だからこそ22条で、権利を害される第三者を訴訟に参加させ、言い分を述べる機会を保障しています。業界裏話ヒント:実務では、許可を得た事業者が取消訴訟の係属を知らないまま判決が出てしまうことがある。行政庁は必ずしも教えてくれない。許可を取ったら、その処分への不服申立てや出訴の動きを自分で掴む仕組みを持つかどうかで、防御の初動が決定的に変わる

Q · 22条の参加と、ただの応援(補助参加)って何が違うんですか?

補助参加(民事訴訟法42条)は一方を勝たせるための援助で、独自の行動に限界があります。22条の参加は民事訴訟法40条が準用され、当事者と対等に近い地位で独自に上訴もできます。なお、この地位を必要的共同訴訟人とみるか共同訴訟的補助参加とみるかは実務上、解釈が分かれています。業界裏話ヒント:弁護士でも、22条参加を通常の補助参加と同列に軽く見て初動を誤ることがある。これを当事者並みの強い参加だと理解しているかで、立証戦略の組み方がまるで違ってくる

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第二十三条(行政庁の訴訟参加)

裁判所は、処分又は裁決をした行政庁以外の行政庁を訴訟に参加させることが必要であると認めるときは、当事者若しくはその行政庁の申立てにより又は職権で、決定をもつて、その行政庁を訴訟に参加させることができる。

裁判所は、前項の決定をするには、あらかじめ、当事者及び当該行政庁の意見をきかなければならない。

第一項の規定により訴訟に参加した行政庁については、民事訴訟法第四十五条第一項及び第二項の規定を準用する。

行政事件訴訟法 23 条は、裁判所が処分庁以外の行政庁を訴訟に参加させる必要があると認めるとき、申立てまたは職権で参加させられると定める。事前に当事者と当該行政庁の意見聴取が必要。

よくある質問

Q · 訴えた役所が「それはうちの担当じゃない」と言い張ったら、どうすればいいんですか?

行政事件訴訟法 23 条 1 項により、その担当の行政庁を訴訟に参加させるよう裁判所に申し立てられます。裁判所は職権でも参加させられますが、待つより当事者から動く方が早い。業界裏話ヒント:実務では、処分庁が「所管外」と答弁した時点が参加申立ての絶好機です。裁判官も「では本当の判断者を法廷に呼ぼう」と動きやすく、役所間の責任のなすり合いを一つの法廷で封じ込められる

Q · 参加してきた役所から、お金を取ることはできるんですか?

取れません。23 条 3 項で参加した行政庁には民訴法 45 条 1 項・2 項が準用され、補助参加人に近い立場であって、新たな被告になるわけではないからです。賠償を求めるなら別途国家賠償法 1 条の訴訟が必要です。業界裏話ヒント:23 条の参加と国家賠償請求を混同する人は多い。23 条はあくまで取消訴訟などの審理を充実させる手続で、お金の請求先を増やす制度ではありません。賠償が目的なら、最初から国家賠償の訴訟設計を考えるべきです

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第二十三条の二(釈明処分の特則)

裁判所は、訴訟関係を明瞭にするため、必要があると認めるときは、次に掲げる処分をすることができる。

被告である国若しくは公共団体に所属する行政庁又は被告である行政庁に対し、処分又は裁決の内容、処分又は裁決の根拠となる法令の条項、処分又は裁決の原因となる事実その他処分又は裁決の理由を明らかにする資料(次項に規定する審査請求に係る事件の記録を除く。)であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の提出を求めること。

前号に規定する行政庁以外の行政庁に対し、同号に規定する資料であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の送付を嘱託すること。

裁判所は、処分についての審査請求に対する裁決を経た後に取消訴訟の提起があつたときは、次に掲げる処分をすることができる。

被告である国若しくは公共団体に所属する行政庁又は被告である行政庁に対し、当該審査請求に係る事件の記録であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の提出を求めること。

前号に規定する行政庁以外の行政庁に対し、同号に規定する事件の記録であつて当該行政庁が保有するものの全部又は一部の送付を嘱託すること。

行政事件訴訟法 23 条の 2 は、裁判所が役所に処分の根拠資料の提出を求められる釈明処分の特則を定める。審査請求を経た事件ではその記録も対象だが、文書提出命令と違い強制力はない。

よくある質問

Q · 情報公開請求で黒塗りされた資料、裁判になったら見られますか?

見られる可能性が上がります。訴訟に入れば裁判所が23条の2で役所に資料提出を求められ、情報公開でブロックされた資料も訴訟の俎上に乗ることがあります。ただし23条の2は強制力のある命令ではないので、役所が拒むこともある。業界裏話ヒント:行政訴訟に強い弁護士は、情報公開請求と23条の2と文書提出命令を段階的に組み合わせます。まず情報公開で全体像を掴み、黒塗り部分を訴訟で23条の2と提出命令で攻める。この順番を知っているかで、引き出せる資料の量が大きく変わる

Q · 裁判所が資料を出せと言っても役所が無視したら、どうなるんですか?

23条の2には文書提出命令のような直接の制裁や、提出を拒んだ場合の真実擬制(民事訴訟法224条)はありません。役所が拒んでも罰則はなく、その拒否的態度が裁判官の心証に不利に働くにとどまります。業界裏話ヒント:実務では、本当に出させたい中核文書は23条の2ではなく文書提出命令(民事訴訟法220条以下)で攻めるのが定石です。23条の2は「まず緩やかに促す」段階、提出命令は「強制する」段階。釈明処分で出てこなければ提出命令に切り替える二段構えを、相手の代理人も読んでいる(実務上の運用は事件により分かれる)

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第二十四条(職権証拠調べ)

裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる。

ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければならない。

行政事件訴訟法 24 条は、裁判所が必要と認めるとき職権で証拠調べをできると定める。証拠が行政庁に偏る行政訴訟の補充的制度で、結果は当事者の意見を聴く必要がある。

よくある質問

Q · 証拠が役所側にあって出せないんですが、それでも裁判で勝てますか?

純粋な民事訴訟なら証拠を出せない側が不利ですが、行政訴訟では行政事件訴訟法24条で裁判所が職権で証拠調べをできます。さらに23条の2の釈明処分で、裁判所が行政庁に資料の提出を求めることもあります。業界裏話ヒント:裁判所は黙っていても職権発動しません。「この処分の根拠資料は被告行政庁が保有しているはずだ」と準備書面で具体的に指摘し、職権証拠調べを促す上申をするのが実務の定石。漠然と「証拠がない」と言うだけでは裁判所は動かない

Q · 裁判所が職権で調べてくれるなら、弁護士をつけなくても大丈夫ですか?

おすすめしません。24条の職権証拠調べは補充的なもので、争点の設定も事実の主張も当事者の責任です。何を調べるべきか裁判所に示唆できなければ、職権は発動されません。業界裏話ヒント:行政訴訟は処分の違法性を法律論で構成する専門性が高く、本人訴訟の勝訴率は低い。職権証拠調べはあくまで「あと一押し」の道具であって、案件の骨格を作る代わりにはならない。行政事件に慣れた弁護士かどうかで結果が大きく変わる

Q · 裁判所が勝手に調べた証拠で、知らないうちに不利になることはありますか?

それを防ぐのが24条の但書です。裁判所は職権で調べた証拠の結果について、必ず当事者の意見を聞かなければなりません。意見を聞かずに判決の基礎にすれば手続違反になります。業界裏話ヒント:この意見陳述の機会は、不利な証拠が出たときの反論を記録に残す最後のチャンス。ここで黙っていると、その証拠が確定的な事実として扱われる。職権証拠調べの結果が出たら、必ず内容を精査して反論または補足の意見を述べる

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第二十五条(執行停止)

処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。

処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。

ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。

裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。

執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。

第二項の決定は、疎明に基づいてする。

第二項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。

ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。

第二項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。

第二項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。

行政事件訴訟法 25 条は執行不停止を原則とし、重大な損害を避ける緊急の必要があるとき、裁判所は申立てにより処分の効力・執行・手続の続行の停止をすることができる。

よくある質問

Q · 裁判を起こせば、判決が出るまで役所は処分を執行できないんですよね?

それは誤解です。行政事件訴訟法 25 条 1 項が「執行不停止の原則」を定めており、訴えただけでは処分の効力も執行も続行も止まりません。止めるには 25 条 2 項の執行停止を別途申し立てる必要があります。業界裏話ヒント:弁護士は取消訴訟の訴状と執行停止の申立書をセットで準備します。本訴だけ出して安心していると、判決を待つ数か月の間に処分が執行され尽くし、勝っても救済の対象が消えている。「同時に出したか」が分水嶺です

Q · 執行停止は、申し立てれば認めてもらえるんですか?

簡単ではありません。25 条 2 項は「重大な損害を避けるため緊急の必要」を要求し、さらに 4 項で「公共の福祉に重大な影響」があるとき、または「本案について理由がないとみえる」ときは認めないと定めます。複数の関門があります。業界裏話ヒント:2004 年の改正で要件が「回復の困難な損害」から「重大な損害」に緩和され、以前より認められやすくなりました。古い解説書はまだ厳しい旧基準のままのことがある。3 項の考慮要素(損害の回復困難の程度、性質・程度、処分の内容・性質)を具体的に疎明できるかが勝負です

Q · 執行停止が認められたら、もう安心していいですか?

必ずしもそうではありません。行政事件訴訟法 27 条により、内閣総理大臣は執行停止に対して異議を述べることができ、異議があれば裁判所は執行停止ができず、既にした決定も取り消さなければなりません。業界裏話ヒント:この内閣総理大臣の異議は日本独特の制度で、三権分立との関係で批判も多く、実際の発動例はごく僅かです。だが制度として残っている以上、国家の重大利益に関わる事案では、最後のリスクとして頭の片隅に入れておくべきです

Q · 本訴で勝つ自信があるなら、執行停止は後回しでいいのでは?

危険です。本訴の判決まで数か月から数年かかる一方、処分の執行はその間に完了してしまいます。送還、取り壊し、営業停止期間の満了が起きれば、勝訴判決を得ても回復不能か、訴えの利益(行政事件訴訟法 9 条)を失います。業界裏話ヒント:執行停止の審理は疎明(25 条 5 項)で足り、口頭弁論を経ずに数日から数週間で決まる(6 項)。スピードが命の仮の戦いです。ここで本訴の勝ち筋を先に裁判官へ見せておくと、本訴本番でも有利な心証を引き継げます

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第二十六条(事情変更による執行停止の取消し)

執行停止の決定が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、裁判所は、相手方の申立てにより、決定をもつて、執行停止の決定を取り消すことができる。

前項の申立てに対する決定及びこれに対する不服については、前条第五項から第八項までの規定を準用する。

行政事件訴訟法 26 条は、執行停止の確定後でも、その理由が消滅し事情が変更したときは、相手方の申立てにより裁判所が執行停止を取り消せると定める。取消決定には即時抗告ができる。

よくある質問

Q · 執行停止って一度認められたら、判決まで安泰じゃないんですか?

残念ながら違います。行政事件訴訟法26条により、停止が確定した後でも、相手方(処分をした役所)の申立てで、事情が変更すれば裁判所が取り消せます。ただし役所が動かなければ停止は続きます。業界裏話ヒント:停止の根拠になった事情(係属中の申請、操業の実態など)が変わらないよう自分の側で固定し続けることが、取消しを防ぐ最も現実的な防御です。弁護士は停止を取った後も『前提事実の維持』を意識しますが、本人だと勝った気で油断しがちです

Q · 取消しの決定が出たら、もう争えないんですか?

争えます。26条2項が25条5項から8項を準用するので、取消決定に対して即時抗告ができます。期間は決定の告知から1週間の不変期間(民事訴訟法332条)です。業界裏話ヒント:この1週間は驚くほど短く、見落とすと取消しが確定して処分の効力が即復活します。決定書が届いたら、まず抗告期限を確認してカレンダーに記録するのが鉄則。役所側は逆に、この期間が静かに過ぎるのを待っています

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第二十七条(内閣総理大臣の異議)

第二十五条第二項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。

前項の異議には、理由を附さなければならない。

前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。

第一項の異議があつたときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。

第一項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。

ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない。

内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第一項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。

行政事件訴訟法 27 条は、内閣総理大臣が執行停止に異議を述べると裁判所は執行停止できず、既にした決定も取り消さなければならないと定める。異議はやむをえない場合に限られ国会報告を要する。

よくある質問

Q · 裁判で執行停止が認められても、総理大臣の一言でひっくり返るって本当ですか?

本当です。27条1項で内閣総理大臣は執行停止の申立てや決定に異議を述べることができ、異議があると裁判所は執行停止できず、すでに出した決定も取り消さなければなりません(4項)。司法の判断を行政が上書きできる、極めて異例の規定です。業界裏話ヒント:ただし戦後、この異議が実際に行使された例はごく僅かで、近年はほぼ使われていません(具体的な行使状況は最新の情報をご確認ください)。制度として存在することと、現実に自分の事案へ飛んでくることは別だと、弁護士は冷静に見ています。

Q · 総理が好き勝手に異議を出せるなら、行政訴訟なんて意味あるんですか?

歯止めはあります。異議には理由を付さねばならず(2項)、処分を止めれば公共の福祉に重大な影響が及ぶ事情を示す必要があり(3項)、しかも「やむをえない場合」に限られ、述べたら次の国会で報告義務を負います(6項)。業界裏話ヒント:歯止めの本体は司法の内部ではなく政治責任です。だから異議が出た事案は、法廷で詰むのと同時に、国会や世論という別の土俵が開く。弁護士はこの政治的コストの高さこそが、事実上の抑止力だと読んでいます。

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第二十八条(執行停止等の管轄裁判所)

執行停止又はその決定の取消しの申立ての管轄裁判所は、本案の係属する裁判所とする。

行政事件訴訟法28条は、執行停止及びその決定の取消しの申立ての管轄裁判所を本案が係属する裁判所と定める。執行停止だけを別の裁判所へ単独で申し立てることはできない。

よくある質問

Q · 役所を訴えれば、判決が出るまで処分は止まるんですよね?

止まりません。行政事件訴訟法は執行不停止が原則です(25条1項)。処分を止めたければ、取消訴訟とは別に「執行停止」を申し立て、重大な損害を避けるため緊急の必要があることを示す必要があります(25条2項)。業界裏話ヒント:実務では訴状と執行停止申立書を同時に出すのが定石です。後から慌てて出すと、処分が執行され尽くして「申立ての利益なし」で却下される

Q · 執行停止だけ、自宅に近い裁判所に出せませんか?

できません。28条で、執行停止の管轄は本案(取消訴訟)が係属する裁判所と決まっており、本案をどこに出すか(12条)が執行停止の場所も決めます。業界裏話ヒント:2004年改正で12条に「特定管轄裁判所」が加わり、国などを被告とする場合は原告の住所地を管轄する高裁所在地の地裁にも本案を提起できるようになりました。本案の管轄選択を工夫すれば、執行停止も近い裁判所で受けられる

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第二十九条(執行停止に関する規定の準用)

前四条の規定は、裁決の取消しの訴えの提起があつた場合における執行停止に関する事項について準用する。

行政事件訴訟法 29 条は、裁決取消しの訴えにおける執行停止に 25 条から 28 条を準用する規定。執行不停止が原則のため、処分を止めるには別途申立てが必要となる。

よくある質問

Q · 訴えを起こせば、その間は処分が止まるんですよね?

止まりません。日本の行政訴訟は執行不停止が原則です(行政事件訴訟法25条1項)。裁決取消訴訟を起こしても処分の効力は続くので、止めたければ29条が準用する執行停止を別途申し立てる必要があります。業界裏話ヒント:執行停止の申立てが却下されても、即時抗告で上級審に争えます。一度ダメでも諦めず、損害の重大性を補強して再挑戦する余地がある

Q · 執行停止って、どんな処分でも止められますか?

誰でも止められるわけではありません。重大な損害を避けるため緊急の必要があること、本案に理由がないとみえないこと、公共の福祉に重大な影響を及ぼさないこと、この要件を申立人が疎明して初めて認められます(準用25条)。業界裏話ヒント:要件のうち重大な損害は2004年(平成16年)改正で従来の回復困難な損害より緩和されました。古い解説書の基準で諦めている人がいますが、今は金銭で償えても性質上重大なら認められうる(最新の改正状況をご確認ください)

Q · 裁判所が止めると決めても、後から覆されることがあるって本当ですか?

本当です。準用される27条により、内閣総理大臣が異議を述べると、裁判所は執行停止をすることができず、既にした決定も取り消さなければなりません。理由の提示と国会への事後報告の義務はありますが、司法はこれを覆せません。業界裏話ヒント:実際の発動は極めて稀ですが、入管や安全保障に関わる事案では弁護士が警戒する制度です。三権分立との関係で学説上も批判が強く、解釈が分かれている論点

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第三十条(裁量処分の取消し)

行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。

行政事件訴訟法 30 条は、行政庁の裁量処分について、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があった場合に限り裁判所が取り消せると定める。裁判所は処分の当否には踏み込まない。

よくある質問

Q · 役所が「裁量だから」と言えば、もう何をやっても合法なんですか?

いいえ。裁量があっても無制限ではなく、行政事件訴訟法 30 条で逸脱や濫用があれば違法として取り消せます。判例(最大判昭和 53.10.4 マクリーン事件)は、事実の基礎を欠く場合や社会通念上著しく妥当性を欠く場合に裁量権の逸脱や濫用になるとしました。業界裏話ヒント:勝敗を分けるのは「役所が判断の過程で何を考慮したか」です。考慮すべき事情を落としていれば、結論が同じでも過程の違法で取り消せる。だから訴訟では結論より判断過程の記録を突く

Q · 裁判で勝ったら、希望していた許可はもらえるんですか?

取消訴訟で勝っても、裁判所は処分を取り消すだけで、許可を出せとは命じられないのが原則です。役所が再度裁量で判断し直します。許可そのものを求めるなら義務付け訴訟(行政事件訴訟法 37 条の 2 以下)を併せて起こす必要があります。業界裏話ヒント:取消訴訟だけで勝っても役所が同じ理由で再拒否する堂々巡りを避けるため、実務では取消訴訟と義務付け訴訟を最初からセットで提起するのが定石です

Q · 専門技術的な判断(医療、原発、教科書検定など)だと、裁判所はほとんど役所に従うと聞きました。本当ですか?

傾向としては本当です。専門技術的裁量や政治的裁量が広く認められる分野では、裁判所は判断の過程に著しい誤りがあるかだけを審査し、内容の当否には踏み込みません(判断過程統制)。業界裏話ヒント:こうした分野で勝つ現実的な道は、役所が依拠したデータや専門家意見の信頼性、検討すべき事項の欠落を突くこと。結論を正面から争わず、過程の穴を探すのがプロの戦い方です

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第三十一条(特別の事情による請求の棄却)

取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。

裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもつて、処分又は裁決が違法であることを宣言することができる。

終局判決に事実及び理由を記載するには、前項の判決を引用することができる。

行政事件訴訟法 31 条は、処分が違法でも取り消すと公益に著しい障害を生ずる場合、裁判所が請求を棄却できる事情判決を定める。棄却時は主文で違法を宣言しなければならない。

よくある質問

Q · 請求棄却って書いてあったら、それはもう完全な負けですよね?

いいえ、事情判決の場合は違います。行政事件訴訟法 31 条 1 項は、棄却するなら主文で『処分が違法であること』を宣言せよと命じています。つまり違法は公的に確定したうえで、取消しだけが見送られた状態です。業界裏話ヒント:弁護士はこの違法宣言の既判力を狙って、あえて事情判決での決着を見込んだ訴訟戦略を組むことがあります。取消しが現実的でない事案では、違法宣言を取って国家賠償へ橋渡しするほうが、依頼者の実利が大きいからです

Q · 事情判決が出ると、もう損害の回復はあきらめるしかないんですか?

あきらめる必要はありません。主文の違法宣言を前提に、国家賠償法 1 条で損害賠償を請求できます。違法が確定しているため、賠償訴訟で相手は処分の適法性をもう争えません。業界裏話ヒント:31 条 1 項は判断の際に『損害の賠償又は防止の程度及び方法』を考慮要素に挙げています。事情判決を見越して、賠償や代替措置の不十分さを訴訟の早い段階から具体的に主張しておくと、後の賠償額の議論で有利な事実が判決に書き込まれます

Q · 選挙が『違憲だけど有効』っていうニュース、あれも同じ仕組みですか?

考え方の根っこは同じです。公職選挙法は形式的には行政事件訴訟法 31 条の適用を外していますが、最高裁は議員定数訴訟で『定数配分は違憲だが選挙は無効としない』という結論を導くために、事情判決の法理を借用してきました(最大判昭和 51.4.14 など)。業界裏話ヒント:この法理は『違法・違憲を認定しつつ結論で救済を絞る』という裁判所の調整弁です。報道の見出しが『合憲』か『違憲』かだけでなく、結論で選挙や処分が生きたか死んだかまで読み分けると、判決の本当の意味が見えてきます

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第三十二条(取消判決等の効力)

処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。

前項の規定は、執行停止の決定又はこれを取り消す決定に準用する。

行政事件訴訟法 32 条は、処分や裁決を取り消す判決が第三者にも効力を持つと定める規定。一人の原告が勝訴すれば処分は全員との関係で消滅し、執行停止の決定にも準用される。

よくある質問

Q · 近所の人が起こした裁判で、私が買った新築マンションの建築確認まで取り消されることがあるって本当ですか?

本当です。取消判決には対世効(行政事件訴訟法32条)があり、訴訟に関わっていないあなたにも効力が及びます。ただし、自分の責めによらず訴訟に参加できなかった第三者には、第三者の再審の訴え(同34条)という救済があります。業界裏話ヒント:不動産を買うとき、その物件の建築確認に近隣が取消訴訟を起こしていないかは、登記簿には載りません。係争中かどうかは売主や仲介業者に直接確認し、近隣の反対運動の有無まで踏み込んで聞くのが、本当にリスクを避ける人のやり方です

Q · 私一人で行政を訴えても、どうせ勝てないし時間とお金の無駄じゃないですか?

一人で全部を背負う必要はありません。同じ処分で被害を受ける人が複数いれば、誰か一人が取消判決を勝ち取れば、その対世効(32条)で全員が救われます。重要なのは「自分が訴えるか」ではなく「誰が一番勝てる立場か」です。業界裏話ヒント:原告適格(9条)が認められやすい人、立証材料を持つ人、出訴期間内に動ける人に訴訟を集約するのが定石です。弁護士は複数の被害者がいる案件で、わざと原告を絞ることがある。人数を増やすより、勝てる一人に資源を集中させたほうが勝率が上がるからです

Q · 裁判で行政処分が取り消されても、役所が知らんぷりしたら意味ないのでは?

意味はあります。取消判決は対世効(32条)で処分を誰に対しても消滅させ、さらに拘束力(33条)で行政庁を判決の趣旨に従わせます。役所は同じ理由で同じ処分を繰り返せず、判決の趣旨に沿って手続をやり直す義務を負います。業界裏話ヒント:32条と33条はセットで覚えるのが実務の鉄則です。32条は処分を消す力、33条は行政を縛る力。この二つを混同すると論点を外します。取り消されただけで安心せず、行政が33条に従って正しくやり直したかまで監視するのが本当の決着です

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第三十三条

処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。

申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。

前項の規定は、申請に基づいてした処分又は審査請求を認容した裁決が判決により手続に違法があることを理由として取り消された場合に準用する。

第一項の規定は、執行停止の決定に準用する。

行政事件訴訟法 33 条は、取消判決が処分庁その他の関係行政庁を拘束すると定める。違法とされた理由での同一処分は禁じられ、申請拒否が取り消されれば判決の趣旨に従い再審査する義務が生じる。

よくある質問

Q · 行政訴訟で勝ったのに、役所がまた同じ理由で断ってきました。これってありなんですか?

判決で違法と判断された理由で再び拒否するのは33条1項の拘束力に反し、その再処分は違法です。ただし役所が判決の触れなかった別の理由を持ち出した場合は、拘束力が及ばず適法な再処分になりえます。業界裏話ヒント:弁護士は提訴の段階で「どの理由で勝つか」を意識します。なぜなら勝った理由の範囲しか役所を縛れないから。広く実体判断まで引き出して勝った訴訟と、狭い手続論で勝った訴訟では、勝訴後に役所を封じられる範囲が天と地ほど違う

Q · 取消訴訟で勝てば、申請していた許可は自動的にもらえるんですか?

もらえません。33条2項が役所に課すのは「判決の趣旨に従って改めて審査せよ」という再処分義務だけで、許可の発給ではありません。許可そのものを命じさせたいなら、申請型義務付け訴訟(行訴法37条の3)を取消訴訟と併せて起こす必要があります。業界裏話ヒント:2004年改正前は義務付け訴訟がなく、勝っても「やり直し」止まりで何度も訴える羽目になった。改正で道ができた今でも、取消訴訟だけ起こして義務付けを忘れる人は多い。提訴時に両方セットで出すのが玄人の組み立て方

Q · 手続のミスで勝つのと、内容そのもので勝つのとで、何か違うんですか?

決定的に違います。手続違法だけで取り消された場合(33条3項)、役所は手続をやり直せば同じ内容の処分を再び出せます。一方、処分の内容そのものが違法とされれば、その理由での再処分は封じられます。業界裏話ヒント:役所側の代理人は、訴訟で「これは手続の問題に過ぎない」と争点を矮小化しようとすることがある。手続論で決着させれば、後でやり直せるから。原告側は逆に、実体的な違法まで裁判所に判断させる主張を粘り強く展開する。この攻防が勝訴後の現実を決める

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第三十四条(第三者の再審の訴え)

処分又は裁決を取り消す判決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかつたため判決に影響を及ぼすべき攻撃又は防御の方法を提出することができなかつたものは、これを理由として、確定の終局判決に対し、再審の訴えをもつて、不服の申立てをすることができる。

前項の訴えは、確定判決を知つた日から三十日以内に提起しなければならない。

前項の期間は、不変期間とする。

第一項の訴えは、判決が確定した日から一年を経過したときは、提起することができない。

行政事件訴訟法34条は、取消判決で権利を害された第三者が、自己の責めなく訴訟参加できなかった場合に、確定判決へ再審を申し立てられると定める。期間は判決を知った日から30日の不変期間である。

よくある質問

Q · 自分が当事者じゃない裁判の結果に、本当に縛られるんですか?

行政処分の取消判決に限っては縛られます。取消判決は当事者だけでなく第三者にも効力が及ぶ(行政事件訴訟法32条)ためで、民事の通常判決とはここが決定的に違います。だからこそ34条が救済として用意されています。業界裏話ヒント:弁護士は、依頼者の許認可に関わる取消訴訟が他で起きていないかを早期に調べます。第三者効があるからこそ、訴訟の存在を知った瞬間に22条の参加を申し立てるのが定石で、再審まで持ち越すのは一手遅れの不利な戦いになる

Q · 判決が確定してから半年後に気づいたら、もう手遅れですか?

判決確定から1年以内であれば、知った日から30日以内に限り再審を起こせます(行政事件訴訟法34条2項・4項)。半年後に知ったのなら、その日から30日が勝負です。ただし1年の壁は、知っていようがいまいが閉じます。業界裏話ヒント:「知った日」の立証が実務の争点になります。役所からの正式通知の受領日が起算点として最も固く、噂や報道で「知った」とされると起算が早まって不利になる。いつ、どの書面で知ったかを客観的に押さえておくことが、再審の入口に立てるかを左右する

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第三十五条(訴訟費用の裁判の効力)

国又は公共団体に所属する行政庁が当事者又は参加人である訴訟における確定した訴訟費用の裁判は、当該行政庁が所属する国又は公共団体に対し、又はそれらの者のために、効力を有する。

行政事件訴訟法 35 条は、行政庁が当事者の訴訟で確定した訴訟費用の裁判が、その行政庁の所属する国・公共団体に対して効力を持つと定める。

よくある質問

Q · 行政訴訟に勝ったら、払った弁護士費用も役所が返してくれますよね?

原則として返ってきません。35条や民訴のいう「訴訟費用」は印紙代・送達費・証人日当などで、弁護士報酬は含まれないのが原則です(民訴61条)。役所が負担するのはこの狭い意味の費用だけ。業界裏話ヒント:弁護士費用まで取り戻したいなら、違法な処分による損害として国家賠償訴訟(国家賠償法1条)を併せて検討する手があります。国賠では弁護士費用の一部が損害と認められた裁判例があり、取消訴訟単独とは回収範囲が変わります。

Q · 被告が「○○税務署長」なんですが、勝っても費用は誰に請求するんですか?

国に請求します。35条は、国や公共団体に所属する行政庁が当事者の訴訟では、確定した訴訟費用の裁判は所属する国・公共団体に効力を持つと定めています。肩書である署長個人ではなく、国という実体が負担者です。業界裏話ヒント:だから行政相手の訴訟費用は「取りはぐれ」の心配がほぼありません。相手は予算措置のある国・自治体で、支払能力を疑う必要のない数少ない訴訟類型です。

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第二節
第三十六条(無効等確認の訴えの原告適格)

無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。

行政事件訴訟法 36 条は、無効等確認の訴えの原告適格と補充性を定める。重大明白な瑕疵のある処分は出訴期間の制限なく無効確認を求められるが、原告適格と補充性の二要件を満たす必要がある。

よくある質問

Q · 取消訴訟の期限を過ぎちゃったんですが、無効確認訴訟なら今からでも争えますか?

争える可能性はありますが、ハードルは格段に上がります。無効確認訴訟(行政事件訴訟法36条)に出訴期間の制限はありません(14条は準用されない)。ただし前提として処分に「重大かつ明白な瑕疵」が必要で、単なる違法では無効になりません。業界裏話ヒント:実務で「重大明白」と認められるのは極めて稀で、多くは門前で落ちます。だからこそ弁護士は取消訴訟の6ヶ月を死守する。期限を過ぎた時点で勝率が大きく下がる現実は、表立っては語られない

Q · 「重大かつ明白な瑕疵」って、どのくらいひどくないとダメなんですか?

誰が見ても一目で違法とわかるレベルが原則です。判例は瑕疵が重大な法規違反であり、かつ外形上客観的に明白であることを要求します。業界裏話ヒント:例外があります。課税処分については、第三者保護の必要が乏しい場面で明白性の要件を緩めた判例(最判昭和48.4.26)がある。つまり税の無効主張は他の行政処分より少しだけ通りやすい局面がある。この分野ごとの温度差は教科書の隅にしか載っていない

Q · 私は処分の直接の相手じゃなくて近所の住民なんですが、それでも訴えられますか?

訴えられる場合があります。36条は「続く処分により損害を受けるおそれのある者」と「無効確認に法律上の利益を有する者」に原告適格を認めます。原子炉設置許可をめぐるもんじゅ訴訟(最判平成4.9.22)では周辺住民の原告適格が認められました。業界裏話ヒント:この判決は補充性要件も緩やかに解釈し、無効確認の方が直截的で適切なら使えるとした。住民として諦める前に、この射程に自分が入るかを検討する価値がある

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第三十七条(不作為の違法確認の訴えの原告適格)

不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。

行政事件訴訟法 37 条は、申請をした者に限り、行政庁が相当の期間内に処分をしない不作為の違法確認を裁判所に求められると定める。許可命令までは含まない。

よくある質問

Q · 役所がずっと「審査中」と言って結論を出さないんですが、何か月待てば訴えられますか?

明確な日数の線引きはなく、「相当の期間」を超えたかで判断されます(行政事件訴訟法 37 条)。目安は各役所が公表する標準処理期間(行政手続法 6 条)で、それを大きく超えれば相当期間経過と評価されやすい。業界裏話ヒント:標準処理期間は役所のウェブサイトや窓口で公表が義務付けられている。多くの人はこの表の存在すら知らずに「いつ終わるか分からない」と諦めるが、表を印刷して「この期間を過ぎている」と窓口で示すだけで、担当者の動きが変わることがある

Q · 不作為の違法確認で勝ったら、申請は自動的に認められるんですか?

いいえ。この訴えで裁判所が宣言できるのは「放置は違法」までで、許可そのものは命じられません(行政事件訴訟法 37 条)。許可まで取りに行くには申請型義務付け訴訟(同法 37 条の 3)が必要です。業界裏話ヒント:実務ではこの二つを最初から併合して提起するのが定石。不作為違法確認だけを単独で起こすと、勝訴しても役所が改めて「不許可」を出して終わり、ということが起こりうる。最初の訴状の組み立てで、勝った後に何が手に入るかが決まる

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第三十七条の二(義務付けの訴えの要件等)

第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。

裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。

第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。

前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。

義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。

第三十七条の三

第三条第六項第二号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。

当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。

当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。

前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。

第一項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第三十八条第一項において準用する第十二条の規定にかかわらず、その定めに従う。

第一項第一号に掲げる要件に該当する場合同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え

第一項第二号に掲げる要件に該当する場合同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え

前項の規定により併合して提起された義務付けの訴え及び同項各号に定める訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。

義務付けの訴えが第一項から第三項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。

第四項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第三項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。

第一項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。

行政事件訴訟法37条の3の申請型義務付け訴訟は、役所が申請を放置・却下したとき、取消訴訟等と併合して裁判所に処分を命じさせる訴えである。

よくある質問

Q · 役所に出した申請がずっと放置されてるんですが、裁判で許可を出させることってできるんですか?

できます。相当の期間が過ぎても何の処分もない不作為の場合(1項1号)、不作為の違法確認の訴えと申請型義務付けの訴えをセットで提起し、裁判所に処分を命じさせる道があります。業界裏話ヒント:併合が絶対条件で、義務付けだけを単独で出すと不適法却下されます。さらに緊急なら仮の義務付け(37条の5)で本案判決を待たずに暫定的に動かせる。この二段構えを知っている人と知らない人で、役所が動くスピードがまるで違う

Q · 却下されたら取消訴訟を起こせばいいって聞いたんですが、それじゃダメなんですか?

取消訴訟だけでも処分は取り消せますが、それだと役所は処分をやり直すだけで、別の理由で再び却下できてしまいます。根本解決には取消訴訟に義務付けを併合し「許可を出せ」まで命じさせる必要があります(3項、5項)。業界裏話ヒント:弁護士でも義務付けの併合を付け忘れ、勝訴したのに再却下されて振り出しに戻るケースがある。鍵は、その処分が覊束行為か、裁量の逸脱濫用が明らかかの見極めで、ここを詰めずに出すと取消止まりで終わる

Q · 裁判してる間に保育所の入園時期が過ぎちゃうんですが、間に合うんですか?

本案の判決を待つと年度が変わってしまう、そういう取り返しのつかない損害が見込まれる場合は、仮の義務付け(37条の5)を申し立てれば、判決前に暫定的に処分を命じさせられる可能性があります。業界裏話ヒント:仮の義務付けが認められる最大の決め手は「償うことのできない損害」と「緊急性」。だから時期を逃す前に早く申し立てるほど通りやすい。逆に入園時期が過ぎてから動くと、緊急性そのものが消えて要件を満たせなくなる。スピードが勝敗を分ける

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第三十七条の四(差止めの訴えの要件)

差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。

ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。

裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分又は裁決の内容及び性質をも勘案するものとする。

差止めの訴えは、行政庁が一定の処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。

前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。

差止めの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきでないことがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をすることがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずる判決をする。

行政事件訴訟法 37 条の 4 は、処分により重大な損害を生ずるおそれがあり、他に適当な回避方法がない場合に限り、処分が下される前に行政庁へ差止めを命じる訴えを認める。

よくある質問

Q · 処分が出る前に裁判所に止めてもらうなんて、本当にできるんですか?

できます。それが差止めの訴え(37 条の 4)です。ただし二つの関門があり、金銭賠償では回復できない重大な損害が生じるおそれがあること、かつ取消訴訟など他の適当な方法では間に合わないことが必要です。業界裏話ヒント:実務では本訴だけでなく仮の差止め(37 条の 5)を必ずセットで申し立てます。本訴の判決を待っていたら処分が先に実行されてしまうからです。この二枚重ねを知らずに本訴だけ出すと、勝っても手遅れになる

Q · 自分は処分される本人じゃなくて、隣に変な施設ができそうな住民なんですが、私でも止められますか?

可能性があります。37 条の 4 第 3 項・第 4 項は原告適格を『法律上の利益を有する者』とし、9 条 2 項を準用して周辺住民などの利益が処分の根拠法令で保護されているかを判断します。業界裏話ヒント:第三者が勝つ鍵は『その許可の根拠法令が、近隣住民の生命・健康をも保護する趣旨か』の解釈です。法令の目的規定や手続規定に住民保護の文言があるかを丹念に拾うと、原告適格が認められる確率が上がる。ここを弁護士が詰められるかで入口の勝敗が決まる

Q · 『重大な損害』って、どのくらいの損害なら認められるんですか?

37 条の 4 第 2 項が判断基準を定めており、損害の回復の困難の程度を重視し、損害の性質・程度と処分の内容・性質も勘案します。単なる金銭的損失だけでなく、回復不能性が重視されます。業界裏話ヒント:処分が一回きりではなく反復継続して予想される場合、一回ごとに取消訴訟を起こす負担そのものが『重大な損害』と評価されることがあります。最高裁も教員の職務命令と懲戒処分が繰り返される事案でこの考え方を示した。単発か反復かで立証戦略が変わる

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第三十七条の五(仮の義務付け及び仮の差止め)

義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。

差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。

仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。

第二十五条第五項から第八項まで、第二十六条から第二十八条まで及び第三十三条第一項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。

前項において準用する第二十五条第七項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第二十六条第一項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。

第三十八条(取消訴訟に関する規定の準用)

第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。

第十条第二項の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第二十条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。

第二十三条の二、第二十五条から第二十九条まで及び第三十二条第二項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。

第八条及び第十条第二項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。

行政事件訴訟法 38 条は、取消訴訟の執行停止や判決の拘束力などの規定を無効等確認の訴えなどに準用する。出訴期間(14 条)は準用されないため、無効確認の訴えに 6 か月の期限はない。

よくある質問

Q · 取消訴訟の6か月の期限が過ぎたら、もう役所の処分は争えないんですか?

正面からの取消訴訟は難しくなりますが、無効等確認の訴え(行政事件訴訟法36条)という別の道が残ります。38条がこの訴えに出訴期間(14条)を準用していないため、期限の壁がないのです。業界裏話ヒント:ただし無効が認められるには瑕疵が「重大かつ明白」という高いハードルを越える必要があり、単なる違法では足りません。弁護士はまず「これは取消事由止まりか、無効事由まで届くか」を最初に見極める。その判断で勝敗の見込みが決まる

Q · 役所が申請をずっと放置しているとき、いきなり裁判所に訴えていいんですか?

できます。不作為の違法確認の訴えには、38条4項が8条を準用し、審査請求を先に経なくても直接提訴できる自由選択主義が及びます。業界裏話ヒント:放置されたらまず「標準処理期間」(行政手続法6条で各役所が公表している目安)を確認する。それを大きく超えていれば「相当の期間」を経過したと主張しやすく、訴えの土台が固まる。役所はこの期間を自ら公表しているので、それを根拠に使えるとは案外知られていない

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第三章
第三十九条(出訴の通知)

当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で、法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするものが提起されたときは、裁判所は、当該処分又は裁決をした行政庁にその旨を通知するものとする。

行政事件訴訟法 39 条は、形式的当事者訴訟が提起されたとき、裁判所が処分・裁決をした行政庁に通知すべきことを定める。補償額を争う訴訟では被告は起業者で、行政庁は当事者の枠外に置かれる。

よくある質問

Q · 補償金が安いと思ったら、まず役所に文句を言えばいいんですよね?

そこが最大の落とし穴です。補償額を争う訴訟の被告は、役所(収用委員会)ではなく、収用を申請した起業者です(行訴法 39 条、土地収用法 133 条)。役所を被告にすると訴えは不適法で却下されます。業界裏話ヒント:行政の裁決でも、争点が『お金の額』なら相手は私人、『そもそも収用してよいか』なら相手は行政、と覚えておく。この一点を最初に弁護士へ確認するだけで、無駄な却下を防げます

Q · 裁判所が役所に通知するって書いてありますが、私が何か手続をしないといけないんですか?

いいえ。39 条の通知は裁判所の職務であり、原告であるあなたが手続をする必要はありません。被告(起業者)を正しく訴えさえすれば、裁判所が処分・裁決をした行政庁へ自動的に通知します。業界裏話ヒント:この通知は、裁決を下した行政庁に『自分の判断が法廷で検証されている』ことを知らせ、必要なら資料提供などで関与する機会を残すためのものです。原告が本当に気にすべきは通知ではなく、被告を間違えないことと出訴期間の二つだけです

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第四十条(出訴期間の定めがある当事者訴訟)

法令に出訴期間の定めがある当事者訴訟は、その法令に別段の定めがある場合を除き、正当な理由があるときは、その期間を経過した後であつても、これを提起することができる。

第十五条の規定は、法令に出訴期間の定めがある当事者訴訟について準用する。

行政事件訴訟法 40 条は、出訴期間の定めがある当事者訴訟について、正当な理由があれば期間経過後でも提起でき、被告を誤っても 15 条準用で救済されると定める。

よくある質問

Q · 土地を収用されて補償が安いとき、結局どこに訴えればいいんですか?

補償額だけが不満なら、収用裁決をした収用委員会を相手に取消しを求めるのではなく、事業の起業者(相手方)を被告として補償額の増額を直接求めます。これが形式的当事者訴訟で、土地収用法 133 条が 6 か月の出訴期間を定めています。業界裏話ヒント:実務では収用裁決の取消訴訟と補償の当事者訴訟を取り違え、訴え直しで期間を徒過する例が後を絶ちません。補償の「額」なら当事者訴訟、収用そのものの違法なら抗告訴訟、と最初に切り分けるのが鉄則です

Q · 出訴期間を過ぎたら、もうどんな理由でも訴えられないんですか?

いいえ、本条 1 項は「正当な理由」があれば期間経過後でも提訴できると定めています。ただしハードルは高く、天災・重病・相手方や役所による誤った案内など、本人の責めに帰せない事情に限られます。業界裏話ヒント:「制度を知らなかった」「多忙だった」は正当な理由になりません。逆に、役所や相手方が誤った教示をした場合は強力な理由になります。期限を過ぎたと気付いたら、まず誰のどんな言動で遅れたのかを書き出すことが救済の第一歩です

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第四十一条(抗告訴訟に関する規定の準用)

第二十三条、第二十四条、第三十三条第一項及び第三十五条の規定は当事者訴訟について、第二十三条の二の規定は当事者訴訟における処分又は裁決の理由を明らかにする資料の提出について準用する。

第十三条の規定は、当事者訴訟とその目的たる請求と関連請求の関係にある請求に係る訴訟とが各別の裁判所に係属する場合における移送に、第十六条から第十九条までの規定は、これらの訴えの併合について準用する。

行政事件訴訟法41条は、当事者訴訟に職権証拠調べや釈明処分の特則、判決の拘束力など抗告訴訟の手続規定を準用し、市民と行政の情報格差を手続面から是正する。

よくある質問

Q · 役所を訴えるのって、取消訴訟と当事者訴訟、どっちでやればいいんですか?

争いの対象が『役所の具体的な決定(処分)』なら取消訴訟、『公法上の権利や地位そのもの』なら当事者訴訟です。たとえば許可の却下を覆したいなら取消訴訟、公務員の地位や受給権の存在を確認したいなら当事者訴訟(行政事件訴訟法4条)。業界裏話ヒント:実務では、処分性があるか微妙な事案で、取消訴訟と確認訴訟を予備的に併せて出すのが定石。片方が訴訟要件で却下されても、もう片方で本案に進める保険になる

Q · 国や役所が相手だと、不利な内部資料なんて絶対に出してこないですよね?

そう諦めるのは早い。41条は釈明処分の特則(23条の2)を当事者訴訟にも準用し、裁判所は役所にその判断の理由を示す資料の提出を求められる。職権証拠調べ(24条)で裁判所が自ら調べることもできる。業界裏話ヒント:この釈明処分の特則は2004年改正で新設された新しい武器で、使い慣れない代理人も多い。申立書で明示的に求めれば、情報の非対称が一気に縮まる

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第四章
第四十二条(訴えの提起)

民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる。

行政事件訴訟法 42 条は、民衆訴訟と機関訴訟を、法律が定める場合に、法律が定める者に限り提起できると定める。自己の損害がなくても公益のために行政の違法を正す客観訴訟の入口である。

よくある質問

Q · 税金の無駄遣いを止めたいだけなのに、なんで普通に訴えられないんですか?

日本の裁判所は原則として『自分の権利・利益が侵害された人』の紛争しか扱わないからです(裁判所法 3 条のいう法律上の争訟)。無駄遣いに憤っても、あなた個人の権利侵害ではないため通常訴訟では門前払いになります。そこで 42 条が民衆訴訟という例外を用意し、地方自治法が住民訴訟として具体化しています。業界裏話ヒント:住民訴訟の 4 号請求は、住民が直接業者にお金を請求するのではなく、市長に対して『業者へ賠償請求せよ』と義務付ける構造です。被告は業者ではなく自治体の長、この当事者構造を最初に理解していないと請求の組み立てを誤ります

Q · 選挙でおかしなことがあったら、結果を裁判で引っくり返せるんですか?

争えます。公職選挙法の選挙訴訟・当選訴訟は 42 条のいう民衆訴訟で、有権者という資格だけで提起できます。ただし出訴期間が非常に短く、選挙の種類によって告示から 14 日や 30 日などで打ち切られます。業界裏話ヒント:選挙訴訟は『選挙の効力』を争うもので、当選人個人を相手にするのではなく選挙管理委員会が被告になります。さらに『その違法が選挙の結果に異動を及ぼすおそれ』がなければ請求は認められない、という高いハードルがある。感情ではなく結果への因果を立証できるかが分水嶺です(最新の改正状況をご確認ください)

Q · 国が自治体に命令してきたとき、自治体は黙って従うしかないんですか?

従う必要はありません。42 条のいう機関訴訟として、地方自治法 251 条の 5 が国の関与に不服な自治体に訴訟の道を開いています。ただし、いきなり裁判ではなく、まず国地方係争処理委員会への審査申出を経るのが原則です。業界裏話ヒント:機関訴訟は役所が役所を訴える特殊な類型で、私人は当事者になれません。辺野古をめぐる国と沖縄県の一連の訴訟がこの典型例で、関与の適法性そのものを司法が判断する仕組み。自治体法務の担当者にとっては、前置手続を一段でも飛ばすと訴え自体が不適法になる点が最大の落とし穴です

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第四十三条(抗告訴訟又は当事者訴訟に関する規定の準用)

民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の取消しを求めるものについては、第九条及び第十条第一項の規定を除き、取消訴訟に関する規定を準用する。

民衆訴訟又は機関訴訟で、処分又は裁決の無効の確認を求めるものについては、第三十六条の規定を除き、無効等確認の訴えに関する規定を準用する。

民衆訴訟又は機関訴訟で、前二項に規定する訴訟以外のものについては、第三十九条及び第四十条第一項の規定を除き、当事者訴訟に関する規定を準用する。

行政事件訴訟法 43 条は、民衆訴訟・機関訴訟に取消訴訟等の規定を準用すると定める。ただし原告適格の 9 条・36 条と主張制限の 10 条 1 項は除外される。

よくある質問

Q · 住民訴訟って、誰でもすぐ裁判所に行けばいいんですか?

いきなり提訴はできません。まず住民監査請求(地方自治法242条)を経るのが必須で、その結果に不服があって初めて住民訴訟(同242条の2)に進めます。手続きの中身は行訴法43条経由で取消訴訟のルールが準用されます。業界裏話ヒント:監査請求には行為のあった日から1年という期限があり、これを過ぎると正当な理由がない限り門前払い。違法を知った時点ではなく行為時から数える点を見落とす人が多い。気付いたら即動く。

Q · 住民訴訟で勝ったら、違法に使われたお金は自分がもらえるんですか?

もらえません。住民訴訟は自分の損害回復ではなく、違法な行為をした職員などに自治体へ賠償させる客観訴訟です(地方自治法242条の2)。だから行訴法43条も、自分の利益に関係する違法しか主張できないとする10条1項を除外しています。業界裏話ヒント:勝訴しても原告個人に金銭的見返りはないが、弁護士費用の一部を自治体に請求できる規定がある。公益のために動いた人が費用倒れにならない設計になっている。

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第五章
第四十四条(仮処分の排除)

行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。

行政事件訴訟法 44 条は、行政庁の処分について民事保全法上の仮処分を排除する規定。処分を止めるには執行停止(25 条)か仮の救済(37 条の 5)を用いる。

よくある質問

Q · 役所の処分を、民事の仮処分で止めることは本当にできないんですか?

できません。行政事件訴訟法44条が、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為について、民事保全法の仮処分を明確に排除しています。代わりに執行停止(25条)や仮の差止め・仮の義務付け(37条の5)を使います。業界裏話ヒント:相手の行為に「処分性」があるかが争点になることがある。行政指導や単なる事実行為は『処分』に当たらないため、例外的に民事の仮処分が使える余地が残る。まず相手の行為が44条の言う『処分』に当たるかを見極めるのが第一歩だ

Q · 訴訟を起こせば、判決が出るまで処分は止まりますよね?

止まりません。行政処分は、訴えを起こしても効力を失わない『執行不停止の原則』(25条1項)が貫かれています。止めるには別途、執行停止の申立てをして裁判所の決定を得る必要があります。業界裏話ヒント:執行停止の要件『重大な損害を避けるため緊急の必要』(25条2項)は、損害が金銭で賠償できる程度だと認められにくい。廃業・健康被害・回復不能な不利益など『お金では戻らない損害』を具体的に疎明できるかが分かれ目になる

Q · 仮の義務付けと執行停止って、何が違うんですか?

執行停止は『すでに出た処分の効力を止める』後ろ向きの救済、仮の義務付け(37条の5)は『役所にやらせる』前向きの救済です。許可申請を却下されて許可が欲しいなら仮の義務付け、営業停止命令を止めたいなら執行停止です。業界裏話ヒント:仮の義務付け・仮の差止めは2004年(平成16年)改正で新設された比較的新しい武器で、要件は『償うことのできない損害』とさらに厳格。だが従来は判決まで手が出せなかった申請型の処分にも、仮の救済の道を開いた点で画期的だった

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第四十五条(処分の効力等を争点とする訴訟)

私法上の法律関係に関する訴訟において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無が争われている場合には、第二十三条第一項及び第二項並びに第三十九条の規定を準用する。

前項の規定により行政庁が訴訟に参加した場合には、民事訴訟法第四十五条第一項及び第二項の規定を準用する。

ただし、攻撃又は防御の方法は、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無に関するものに限り、提出することができる。

第一項の規定により行政庁が訴訟に参加した後において、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無に関する争いがなくなつたときは、裁判所は、参加の決定を取り消すことができる。

第一項の場合には、当該争点について第二十三条の二及び第二十四条の規定を、訴訟費用の裁判について第三十五条の規定を準用する。

行政事件訴訟法 45 条は、民事訴訟で行政処分の効力が争点となる争点訴訟について、行政庁の参加や職権証拠調べを準用する。処分が無効なら出訴期間後も効力を争える。

よくある質問

Q · 役所の処分を争うには、絶対に取消訴訟を起こさないとダメなんですか?

いいえ。処分が「無効」であれば、それを前提とする民事訴訟の中で効力を争点にできます(争点訴訟、行政事件訴訟法 45 条)。取消訴訟と違い出訴期間の縛りがありません。ただし無効と認められるのは瑕疵が重大かつ明白な場合に限られます。業界裏話ヒント:実務では、まず無効確認訴訟(36 条)や取消訴訟が使えないかを先に検討し、それが封じられた場合の最後の砦として争点訴訟を組む。順番を間違えると勝てる筋を自分でつぶす

Q · 民事訴訟なのに、なぜ役所が口を挟んでくるんですか?

処分の効力が争点になると、45 条 1 項が 23 条(行政庁の訴訟参加)を準用するため、処分をした行政庁が訴訟に参加できるからです。ただし参加した行政庁が出せる主張は、処分の存否や効力に関するものに限られます(45 条 2 項但書)。業界裏話ヒント:行政庁が参加すると一見不利だが、職権証拠調べ(24 条準用)で行政側の内部資料が表に出ることもあり、使い方次第で攻め手にもなる

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129条の本則 / 36条の附則

この法令を引用する

行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)(e-Gov法令検索)。LawPlayer より取得、https://lawplayer.com/jp/act/337AC0000000139

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

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本頁資料來源:e-Gov 法令検索(デジタル庁)·整理提供:法律人 LawPlayer· lawplayer.com