行政事件訴訟法 第44条(仮処分の排除)
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行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。
この条文の基本情報
仮処分の排除とは何ですか?
定義仮処分の排除とは、行政事件訴訟法第44条に定められた規定で、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 行政事件訴訟法第44条(仮処分の排除)は、日本の行政事件訴訟法に含まれる条文です。
- 行政事件訴訟法第44条の条文原文は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。」で始まります。
- 行政事件訴訟法第44条は第五章 補則に置かれています。
- 行政事件訴訟法の公布日は昭和37年5月16日です。
- 行政事件訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 行政事件訴訟法第44条の前の条は行政事件訴訟法第43条です。
- 行政事件訴訟法第44条の次の条は行政事件訴訟法第45条です。
- 行政事件訴訟法第44条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第44条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000139 - 本サイト収録
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第44条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/337AC0000000139/44
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点行政事件訴訟法44条は、行政庁の処分について民事保全法上の仮処分を排除する規定。処分を止めるには執行停止(25条)か仮の救済(37条の5)を用いる。
Q · 役所から処分が届いた。民事の仮処分で止められる?
止められません。執行停止(25条)を使います。
行政事件訴訟法44条により、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法上の仮処分をすることができません。さらに処分は訴えても自動では止まらず(執行不停止の原則、25条1項)、止めるには執行停止(25条)の申立てが必要です。役所にやらせる・差し止めるには仮の義務付け・仮の差止め(37条の5)を用います。いずれも要件は厳しく、本案訴訟と同時に動くのが鉄則です。
解説
役所から営業停止命令が届いた。許可申請が却下された。退去強制令書が出た。多くの人の最初の反応は同じだ。「裁判所に駆け込んで、止めてもらおう」。ところが、民事の世界で当たり前に使える仮処分(裁判の決着がつくまで現状を凍結する緊急措置)は、行政の処分に対しては一切使えない。行政事件訴訟法44条が、その扉を塞いでいる。しかも行政処分は、訴えを起こしても自動では止まらない(執行不停止の原則、25条1項)。つまり間違った武器に手を伸ばしている間に、処分は粛々と効力を発し続ける。あなたが本当に握るべきは執行停止(25条)、あるいは処分の差止めや義務付けを仮に求める仮の救済(37条の5)だ。入口を間違えた瞬間、時間という最も貴重な資源を失う。
法的な位置づけ
行政事件訴訟法44条は仮処分の排除を定める規定であり、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法上の仮処分を行うことができない旨を規定する。行政処分に対する暫定的救済は、同法25条の執行停止および37条の5の仮の義務付け・仮の差止めに一元化される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.処分通知の効力発生日と不服申立期間を確認 処分通知を受け取ったら、まず効力発生日と取消訴訟の出訴期間を確認する。放置すると執行不停止の原則(25条1項)により処分は粛々と効力を生じ続ける
- 2.民事の仮処分は使えないと理解し、行政救済を選別 44条で民事保全法の仮処分は封じられている。既存処分を止めるなら執行停止(25条)、役所にやらせる・差し止めるなら仮の義務付け・仮の差止め(37条の5)のどれが自分のケースに合うか弁護士と即確認する
- 3.本案訴訟と執行停止を同時提起 執行停止は本案訴訟が係属していることが前提(25条2項)なので、取消訴訟など本案と執行停止の申立てを同時に提起する。別々に動くと貴重な時間を失う
- 4.「重大な損害・緊急の必要」を疎明する資料を整える 損害が発生する前、回復不能になる前に、売上への影響・廃業リスク・健康被害の見込みなど疎明資料を揃えて申し立てる。金銭賠償で回復可能な損害だと緊急性が否定されやすい
よくある質問 AI による整理
Q1仮処分の排除とは何ですか?
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為について、民事保全法上の仮処分を使えないとする原則です。行政事件訴訟法44条が根拠で、暫定救済は執行停止に一元化されます。
Q2行政処分を止める方法は何ですか?
民事の仮処分ではなく、執行停止(25条)の申立てを行います。役所に作為を求める場合は仮の義務付け、差止めなら仮の差止め(37条の5)を使います。
Q3執行停止はいつまでに申し立てればいいですか?
条文上の確定期限はありませんが、本案訴訟の係属が前提で、処分の効力が現実化する前に動く必要があります。実務では処分通知後ただちに申し立てるのが鉄則です。
Q4執行不停止の原則とは何ですか?
行政処分は訴えを起こしても効力を失わないという原則です(25条1項)。止めるには別途、執行停止の決定を裁判所から得る必要があります。
Q5仮の差止めの要件は何ですか?
37条の5により、処分がされることで「償うことのできない損害」が生じ、緊急の必要があり、本案について理由があるとみえることが要件です。執行停止より厳格です。
Q6営業停止命令を止めることはできますか?
民泊・飲食・建設などの営業停止命令も行政処分なので民事の仮処分は不可です。執行停止を申し立て、廃業など回復不能な重大な損害を疎明できれば止まる余地があります。
Q7退去強制令書の送還を止めるには?
民事の仮処分は使えません。取消訴訟などの本案と執行停止の申立てを同時に提起します。送還が目前のケースでは数日が勝負になります。
Q8処分性がない行政指導でも仮処分は使えませんか?
44条が排除するのは「処分その他公権力の行使に当たる行為」です。処分性のない単なる行政指導や事実行為には、例外的に民事の仮処分の余地が残ることがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1役所の処分を、民事の仮処分で止めることは本当にできないんですか?
できません。行政事件訴訟法44条が、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為について、民事保全法の仮処分を明確に排除しています。代わりに執行停止(25条)や仮の差止め・仮の義務付け(37条の5)を使います。実務のポイント:相手の行為に「処分性」があるかが争点になることがある。行政指導や単なる事実行為は『処分』に当たらないため、例外的に民事の仮処分が使える余地が残る。まず相手の行為が44条の言う『処分』に当たるかを見極めるのが第一歩だ
Q2訴訟を起こせば、判決が出るまで処分は止まりますよね?
止まりません。行政処分は、訴えを起こしても効力を失わない『執行不停止の原則』(25条1項)が貫かれています。止めるには別途、執行停止の申立てをして裁判所の決定を得る必要があります。実務のポイント:執行停止の要件『重大な損害を避けるため緊急の必要』(25条2項)は、損害が金銭で賠償できる程度だと認められにくい。廃業・健康被害・回復不能な不利益など『お金では戻らない損害』を具体的に疎明できるかが分かれ目になる
Q3仮の義務付けと執行停止って、何が違うんですか?
執行停止は『すでに出た処分の効力を止める』後ろ向きの救済、仮の義務付け(37条の5)は『役所にやらせる』前向きの救済です。許可申請を却下されて許可が欲しいなら仮の義務付け、営業停止命令を止めたいなら執行停止です。実務のポイント:仮の義務付け・仮の差止めは2004年(平成16年)改正で新設された比較的新しい武器で、要件は『償うことのできない損害』とさらに厳格。だが従来は判決まで手が出せなかった申請型の処分にも、仮の救済の道を開いた点で画期的だった
間違えやすい点 AI による整理
- 「訴えを起こせば処分は止まる」と思い込んでいる人が多いが、行政処分は訴えても自動では止まらない(執行不停止の原則、25条1項)。別途、執行停止を申し立てて裁判所に認められて初めて止まる。訴状を出しただけで安心していると、処分はそのまま効力を持ち続ける
- 「仮処分が使えないなら、判決が出るまで何も手立てがない」という問いの立て方そのものが誤っている。仮処分が封じられている代わりに、行政専用の執行停止(25条)と仮の義務付け・仮の差止め(37条の5)という救済が用意されている。問うべきは「仮処分が使えるか」ではなく「どの行政救済の要件を満たせるか」だ
- 44条が仮処分を排除していることは法律家なら知っているが、その深刻さを見落としがちなのは「執行停止の要件が仮処分よりはるかに厳しい」点だ。「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」(25条2項)という高いハードルがあり、しかも「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」があれば却下される(25条4項)。扉が別なだけでなく、その扉は重い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 救済の方向 | 44条:民事の仮処分を排除(救済の入口を限定) | 25条:既存処分の効力を止める(後ろ向き) 37条の5:役所にやらせる/差し止める(前向き) |
| 主な要件 | 対象が「処分その他公権力の行使に当たる行為」であること | 重大な損害を避けるため緊急の必要(25条2項) 償うことのできない損害+緊急の必要(37条の5) |
| 前提 | 民事保全法上の仮処分の不可(排除規定) | 本案訴訟が係属していること 義務付け訴訟・差止め訴訟が係属していること |
| ハードル | 処分性の有無が争点になり得る | 公共の福祉への重大な影響があれば却下(25条4項) 25条よりさらに厳格(2004年新設) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は行政訴訟法に停止執行と並んで假處分・假扣押の暫時權利保護を明文で備え、日本のように民事の仮処分を全面排除せず、行政訴訟内で暫定救済を制度化している点が異なる。
韓国も執行不停止を原則とし、執行停止により暫定救済を図る点で日本に近い。仮処分の可否は判例・学説上議論があり、抗告訴訟では制限的に解される。
ドイツは取消訴訟に原則として執行停止効(aufschiebende Wirkung)を認め、給付・差止め型は § 123の仮命令で対応する。執行停止を原則とする点で日本の執行不停止原則と発想が逆転している。
米国は行政行為の審査係属中、裁判所が必要に応じて行政行為の効力を停止(stay)できる。発令は裁量的で、回復不能な損害・本案勝訴可能性などの衡平法上の基準で判断される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 明日から営業停止、と書かれた命令書が役所から届いた。あなたは反射的に「裁判所に止めてもらう」と動くが、民事の仮処分は44条で封じられている。使えるのは執行停止の申立てだけで、効力発生まで時間がない。動き出しが一日遅れるだけで、店のシャッターは下りる
- もし配偶者に退去強制令書が出て、強制送還が一週間後に迫っていたら? 普通の仮処分は使えない。執行停止の申立てを今日中に出さなければ、裁判の結論が出る前に送還されてしまう。入管行政の場面では、時間そのものが敵になる
- あなたが建築確認を受けた開発業者の立場だとする。反対派住民が工事を止めようと民事の仮処分を申し立ててきても、44条がそれを門前で退ける。守る側にとって、この条文は強力な盾になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 処分通知を受け取ったら、まず効力発生日と不服申立期間を確認、放置すると執行不停止の原則で処分は進む2. 民事の仮処分は44条で使えない、執行停止(25条)か仮の差止め・仮の義務付け(37条の5)のどれが自分のケースに合うか弁護士と即確認3. 取消訴訟など本案訴訟と執行停止の申立てを同時提起、執行停止は本案係属が前提4. 「重大な損害を避けるため緊急の必要」を疎明する資料(売上・健康・回復不能性)を早急に整える
訴えられた側:1. 申し立てられた側(処分庁、または処分の利益を受ける第三者)としては、相手が誤って民事の仮処分を申し立ててきたら44条を根拠に却下・取下げを求められる2. 執行停止の申立てには「公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれ」(25条4項)を主張して対抗できる3. 「重大な損害」「緊急の必要」の要件不充足を突く、損害が金銭賠償で回復可能なら緊急性は否定されやすい4. 仮の義務付け・仮の差止めはさらに要件が厳しい(償うことのできない損害、37条の5)ことを指摘する
時効(請求できる期限):44条自体に期限はないが、行政処分には不服申立ての期間がある。取消訴訟は処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年(行政事件訴訟法14条)。執行停止は本案訴訟の係属が前提で、処分の効力が現実化する前に申し立てる必要があり、実務上は処分通知後ただちに動くのが鉄則(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:行政処分には公定力があり、行政運営の円滑と公共の利益を保護するため、民事保全法上の仮処分を排除するのが本条の趣旨と解される。その代替としての執行停止は要件が厳格で、暫定救済としての実効性が十分かは立法論上の課題として議論される。
改正沿革 AI による整理
- 平成元年(1989年) 民事保全法の制定(平成元年法律第九十一号)に伴い、従来『民事訴訟法に規定する仮処分』としていた文言を『民事保全法に規定する仮処分』へと改めた。仮処分を排除するという本条の趣旨自体は維持されたまま、参照先の法律名が更新された
改正の年表
- 1.昭和37年(1962年) 新設:行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の制定により、行政処分に対する民事の仮処分を排除する規定が置かれた。行政専用の暫定救済を執行停止に一元化する基本構造が確立した。
- 2.平成元年(1989年) 改正:民事保全法(平成元年法律第九十一号)の制定に伴い、従来「民事訴訟法に規定する仮処分」としていた文言を「民事保全法に規定する仮処分」へと改めた。排除の趣旨自体は維持されたまま参照先が更新された。
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