行政事件訴訟法 第24条(職権証拠調べ)
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裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければならない。
この条文の基本情報
職権証拠調べとは何ですか?
定義職権証拠調べとは、行政事件訴訟法第24条に定められた規定で、「裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 行政事件訴訟法第24条(職権証拠調べ)は、日本の行政事件訴訟法に含まれる条文です。
- 行政事件訴訟法第24条の条文原文は「裁判所は、必要があると認めるときは、職権で、証拠調べをすることができる。ただし、その証拠調べの結果について、当事者の意見をきかなければならない。」で始まります。
- 行政事件訴訟法第24条は第一節 取消訴訟に置かれています。
- 行政事件訴訟法の公布日は昭和37年5月16日です。
- 行政事件訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 行政事件訴訟法第24条の前の条は行政事件訴訟法第23条の2です。
- 行政事件訴訟法第24条の次の条は行政事件訴訟法第25条です。
- 行政事件訴訟法第24条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第24条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000139 - 本サイト収録
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第24条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/337AC0000000139/24
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点行政事件訴訟法24条は、裁判所が必要と認めるとき職権で証拠調べをできると定める。証拠が行政庁に偏る行政訴訟の補充的制度で、結果は当事者の意見を聴く必要がある。
Q · 証拠が全部役所側にあって出せないけど、行政裁判で勝てる見込みはあるの?
通常は出せない側が不利だが、行政訴訟では裁判所も職権で調べられる
行政事件訴訟法24条により、裁判所は必要があると認めるとき、当事者が申し出ていない証拠でも職権で取り調べることができます。証拠資料が行政庁側に偏る行政訴訟では、純粋な民事訴訟と違ってこの抜け道が用意されています。ただし補充的な制度で、争点設定や事実の主張は当事者の責任です。「この処分の決裁文書が被告にあるはずだ」と具体的に名指しして促さなければ、裁判所はまず動きません。調べた結果については但書により当事者の意見を聴く義務があり、不意打ちで負けない仕組みになっています。
解説
役所の処分を裁判で覆したい。だが決定的な資料は全部役所の金庫の中で、あなたの手元には何もない。普通の民事訴訟なら、ここで詰む。証拠を出せた方が勝つ世界だからだ。ところが行政を相手取る裁判には、もう一段の仕掛けがある。行政事件訴訟法24条。裁判所は必要と認めれば、どちらの当事者も申し出ていない証拠を、職権で自分から取り調べることができる。あなたが取り寄せられない役所の内部文書も、裁判所が必要と判断すれば証拠の俎上に載る。ただし誤解してはならない。これは「裁判所が代わりに闘ってくれる」制度ではない。職権で調べるのは「証拠」だけで、何を争点にするか、どんな事実を主張するかは依然あなたの仕事だ。実務でもこの職権証拠調べは補充的なものと理解されている。さらに但書が効く。調べた結果は必ず当事者の意見を聞かねばならない。不意打ちの証拠で負けない保険が、ここに組み込まれている
法的な位置づけ
行政事件訴訟法24条は、行政訴訟における職権証拠調べを定める規定である。裁判所は必要があると認めるとき、当事者の申出によらず職権で証拠調べをすることができる。弁論主義の補充として機能し、その証拠調べの結果については当事者の意見を聴くことが手続上義務づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.決定的資料が行政庁側にあると特定する 処分の根拠となる内部決裁文書・調査記録・判断資料のうち、自力では取り寄せられず行政庁が保有しているものを洗い出し、訴訟の争点にとって決定的なものを特定する
- 2.準備書面で文書の存在と重要性を具体的に指摘 漠然と「証拠がない」と嘆くのではなく、「本件処分の決裁文書が被告行政庁に存在するはずだ」と対象・所在・立証趣旨を特定して準備書面に記載する。特定の精度が職権発動の確率を左右する
- 3.職権証拠調べ・釈明処分を促す上申書を提出 裁判所に対し、行政事件訴訟法24条の職権証拠調べ、または23条の2の釈明処分を促す上申書を提出する。なぜ自力で取り寄せられないか、なぜ判断に不可欠かを明示する
- 4.出てこなければ文書提出命令を併用 職権で動かないときは、民事訴訟法220条以下の文書提出命令(行訴7条で準用)を申し立て、行政庁の保有文書の提出を法的に強制する手段を併用する
- 5.職権証拠調べの結果に但書で意見を述べる 職権で取り調べた証拠の結果が出たら、24条但書に基づき必ず意見を述べ、不利な点があれば反論を口頭弁論調書に残す。黙っているとその証拠が確定的な事実として扱われる
よくある質問 AI による整理
Q1職権証拠調べとは何ですか?
裁判所が当事者の申出によらず自ら証拠を取り調べることです。行政事件訴訟法24条が根拠で、証拠が行政庁側に偏る行政訴訟で弁論主義を補充します。
Q2行政訴訟と民事訴訟で証拠のルールはどう違いますか?
民事訴訟は当事者が出した証拠だけで判断しますが、行政訴訟は24条で裁判所が職権で証拠調べでき、情報の非対称を部分的に埋めます。
Q3弁論主義とは何ですか?
判決の基礎となる事実と証拠の収集を当事者の責任と権能に委ねる原則です。行政事件訴訟法24条はこの弁論主義を補充的に修正する規定です。
Q4職権証拠調べはいつ行われますか?
裁判所が必要と認めたとき、口頭弁論終結前に行われます。当事者が文書の存在を具体的に指摘して職権発動を促すのが実務の定石です。
Q5釈明処分と職権証拠調べはどう違いますか?
23条の2の釈明処分は裁判所が行政庁に資料提出や説明を求めるもので、24条は裁判所自身が証拠を取り調べるものです。両者は併用されます。
Q6職権証拠調べを促す上申書はどう書きますか?
対象文書の存在・所在・重要性を具体的に特定し、なぜ自力で取り寄せられないかを記載します。漠然と「証拠がない」では裁判所は動きません。
Q7行政訴訟の出訴期間はいつまでですか?
取消訴訟は処分を知った日から6か月、処分の日から1年が原則です(行政事件訴訟法14条、最新の改正状況をご確認ください)。
Q8文書提出命令と職権証拠調べは併用できますか?
できます。職権証拠調べで動かないときは、民事訴訟法220条以下の文書提出命令(行訴7条で準用)を併せて申し立てるのが有効です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証拠が役所側にあって出せないんですが、それでも裁判で勝てますか?
純粋な民事訴訟なら証拠を出せない側が不利ですが、行政訴訟では行政事件訴訟法24条で裁判所が職権で証拠調べをできます。さらに23条の2の釈明処分で、裁判所が行政庁に資料の提出を求めることもあります。実務のポイント:裁判所は黙っていても職権発動しません。「この処分の根拠資料は被告行政庁が保有しているはずだ」と準備書面で具体的に指摘し、職権証拠調べを促す上申をするのが実務の定石。漠然と「証拠がない」と言うだけでは裁判所は動かない
Q2裁判所が職権で調べてくれるなら、弁護士をつけなくても大丈夫ですか?
おすすめしません。24条の職権証拠調べは補充的なもので、争点の設定も事実の主張も当事者の責任です。何を調べるべきか裁判所に示唆できなければ、職権は発動されません。実務のポイント:行政訴訟は処分の違法性を法律論で構成する専門性が高く、本人訴訟の勝訴率は低い。職権証拠調べはあくまで「あと一押し」の道具であって、案件の骨格を作る代わりにはならない。行政事件に慣れた弁護士かどうかで結果が大きく変わる
Q3裁判所が勝手に調べた証拠で、知らないうちに不利になることはありますか?
それを防ぐのが24条の但書です。裁判所は職権で調べた証拠の結果について、必ず当事者の意見を聞かなければなりません。意見を聞かずに判決の基礎にすれば手続違反になります。実務のポイント:この意見陳述の機会は、不利な証拠が出たときの反論を記録に残す最後のチャンス。ここで黙っていると、その証拠が確定的な事実として扱われる。職権証拠調べの結果が出たら、必ず内容を精査して反論または補足の意見を述べる
間違えやすい点 AI による整理
- 行政訴訟も普通の裁判と同じで、証拠を出せなければ負けると思い込んでいる。だが24条がある分、当事者の出した証拠だけで判断する純粋な弁論主義の民事訴訟とは構造が違う。証拠資料が相手方に偏在する行政訴訟だからこそ、裁判所の職権という抜け道が用意されている
- 「職権証拠調べがある」ことは知っていても、それが補充的なものにすぎないことを知らない。裁判所は当事者が主張もしていない事実まで掘り起こしてはくれない。職権で調べるのはあくまで証拠であって、争点設定と事実の主張は依然あなたの責任だ。この深さを知らずに裁判所任せにすると、何も動かないまま結審する
- 「裁判所が職権で調べてくれるなら弁護士はいらない」という考えは、問いの前提が誤っている。職権を発動するかどうかは裁判所の裁量で、あなたが何を調べるべきかを具体的に示唆しなければ、裁判所はまず動かない。道具があることと、その道具を作動させられることは別問題だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 証拠収集の主体 | 24条:裁判所が職権で証拠調べ | 23条の2:裁判所が行政庁に資料提出・説明を求める 民訴180条:当事者が証拠を申し出る |
| 発動の前提 | 裁判所が必要と認めるとき(補充的) | 処分の理由・経過を明らかにする必要があるとき 当事者の証拠申出があること |
| 守備範囲 | 証拠の取り調べのみ(争点・事実主張は当事者責任) | 資料提出・審査記録の送付・釈明 当事者が出した証拠の範囲に限定 |
| 当事者の手続保障 | 但書で証拠調べ結果の意見聴取が義務 | 釈明に対する応答機会 相手方の証拠への反証・反論 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は行政法院が職権で事実関係を調査し、撤銷訴訟では職権で証拠調べをすると明文化。日本の補充的な24条より職権の範囲が広い。
韓国も法院が必要と認めれば職権で証拠調べをでき、当事者が主張しない事実も斟酌しうるとされ、日本より職権探知に近い運用がある。
ドイツは職権探知主義(Untersuchungsgrundsatz)を採り、裁判所が事実を職権で探知する義務を負う点で、証拠調べに限る日本の補充的制度より徹底している。
米国は対審構造を基本とし、行政処分の司法審査は原則として行政記録(record review)に基づく。裁判所が職権で証拠を取り調べる制度は一般的でない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 営業許可の取消処分を受けて取消訴訟を起こした。処分の判断過程を記した役所の内部決裁文書が決定的だが、あなたの手では取り寄せられない。準備書面でその文書の存在を具体的に指摘し、裁判所に職権証拠調べを促せば、自力では届かない資料が証拠に上がる可能性がある
- 生活保護の却下処分を争う。判断材料はほぼ全部、福祉事務所の手の中にある。普通の民事訴訟の感覚なら「証拠が出せない=負け」だが、行政訴訟ではこの非対称を24条が部分的に埋める。何を調べてほしいかを具体的に示せるかどうかが勝負
- もし、あなたが情報公開請求を不開示にされ、文書の中身が分からないまま不開示処分を争うことになったら? 中身を見ずにどう違法性を立証する。役所が隠したい文書ほど、訴訟が中身をこじ開ける糸口になりうる
- あなたが自治体職員で、自庁の課税処分の適法性を立証する被告側に立った。裁判所が職権で取り調べた証拠についても、但書の意見聴取で自庁の解釈を述べる機会がある。黙っていれば不利な資料がそのまま事実として固まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 処分の根拠資料が行政庁側にあると分かったら、準備書面でその文書の存在と重要性を具体的に特定する2. 裁判所に職権証拠調べ(行政事件訴訟法24条)または釈明処分(同23条の2)を促す上申書を提出3. それでも出てこなければ文書提出命令(民事訴訟法220条以下、行政事件訴訟法7条で準用)も併用4. 職権証拠調べの結果が出たら、但書に基づき必ず意見を述べ、不利な点を反論として調書に残す
訴えられた側:1. 被告行政庁として、処分の適法性を基礎づける保有資料は積極的に提出し、職権証拠調べを待たない姿勢を示す2. 裁判所が職権で取り調べた証拠についても、但書の意見聴取の機会で自庁の解釈を主張する3. 不利な内部文書の開示範囲は、個人情報・公務の秘密との調整を踏まえ法的根拠を整理4. 処分理由の差し替えの可否など、行政訴訟特有の論点も同時に検討する
時効(請求できる期限):本条自体に期限はないが、職権証拠調べを促すなら口頭弁論終結前に動くこと。前提となる取消訴訟の出訴期間は、処分があったことを知った日から6か月、処分の日から1年(行政事件訴訟法14条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:24条の職権証拠調べは弁論主義を全面的に排除する職権探知主義ではなく、当事者の立証を前提とした補充的な制度と理解される。職権で調べるのは証拠に限られ、主張責任・争点設定は依然当事者にある。但書の意見聴取は手続保障として必須であり、これを欠くと手続違反となる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和37年(1962年) 新設:行政事件訴訟法(昭和37年法律第139号)の制定により、行政訴訟における職権証拠調べと、その結果についての当事者の意見聴取義務(但書)が定められた。
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