行政事件訴訟法 第10条(取消しの理由の制限)
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- 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
- 2.処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
この条文の基本情報
取消しの理由の制限とは何ですか?
定義取消しの理由の制限とは、行政事件訴訟法第10条に定められた規定で、「取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 行政事件訴訟法第10条(取消しの理由の制限)は、日本の行政事件訴訟法に含まれる条文です。
- 行政事件訴訟法第10条の条文原文は「取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。」で始まります。
- 行政事件訴訟法第10条は第一節 取消訴訟に置かれています。
- 行政事件訴訟法の公布日は昭和37年5月16日です。
- 行政事件訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 行政事件訴訟法第10条の前の条は行政事件訴訟法第9条です。
- 行政事件訴訟法第10条の次の条は行政事件訴訟法第11条です。
- 行政事件訴訟法第10条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第10条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000139 - 本サイト収録
行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第10条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/337AC0000000139/10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点行政事件訴訟法10条は取消訴訟の主張を制限する。1項で自己の法律上の利益に無関係な違法は主張できず、2項の原処分主義により裁決取消訴訟では処分の違法を主張できない。
Q · 審査請求で負けた裁決を裁判で取り消せば、元の処分も覆せる?
的を処分か裁決か誤ると、中身の違法を主張できません
行政事件訴訟法10条2項の原処分主義により、裁決取消訴訟では「元の処分が違法だ」という主張ができません。処分の中身を争いたいなら処分取消訴訟を選ぶ必要があります。裁決取消訴訟で争えるのは、審査手続そのものの瑕疵(裁決固有の違法)だけです。さらに1項により、訴える資格(原告適格)があっても、自己の法律上の利益に関係しない違法は主張できません。的の選択と主張範囲の切り分けが、勝敗を分けます。
解説
営業停止処分を受けた、建築許可で隣に高層マンションが建つ、在留資格を更新してもらえない。役所の決定に納得できず、まず審査請求をして、それも棄却された。さあ次は裁判だ。ここで多くの人が同じ落とし穴にはまる。「最後に出た棄却の裁決を取り消せばいい」と考え、裁決取消訴訟を起こすのだ。ところが行政事件訴訟法10条2項は、裁決取消訴訟では「元の処分が違法だ」という主張を封じる。裁決取消訴訟で争えるのは、審査手続そのものの瑕疵(裁決固有の違法)だけ。元の処分の中身を叩きたいなら、処分取消訴訟を選ばなければならない。これが原処分主義だ。さらに1項は、たとえ訴える資格(原告適格)があっても、自分の法律上の利益に関係しない違法は主張できないと定める。訴える資格があることと、何でも主張できることは、まったく別物なのだ。
法的な位置づけ
行政事件訴訟法10条は取消訴訟における取消理由の制限を定める規定である。1項は原告が自己の法律上の利益に関係しない違法を取消事由として主張することを禁じ、2項は処分取消訴訟と裁決取消訴訟が併存しうる場合に、裁決取消訴訟で処分の違法を主張することを禁じる原処分主義を規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.争う対象が処分か裁決かを最初に決める 営業停止の理由や許可の違法など処分の中身を叩きたいなら、原則として処分取消訴訟を選ぶ。裁決取消訴訟では処分の違法を主張できない(10条2項)。最後に届いた紙(裁決)を反射的に的にしない
- 2.裁決固有の瑕疵があれば二段構えにする 審査手続そのものに理由不備や審理の不公正などの瑕疵があれば、裁決取消訴訟も併せて提起し、二つの窓口を確保する。処分の違法は処分取消訴訟で、裁決固有の違法は裁決取消訴訟で振り分ける
- 3.主張を自己の法律上の利益に結びつける 10条1項で切られないよう、主張する違法を「原告自身の法律上の利益がどう侵害されるか」に紐づけて構成する。景観・環境一般論のような自己の利益に直結しない違法だけを並べない
- 4.出訴期間を真っ先に確認する 出訴期間(14条)を最初に確認する。処分・裁決があったことを知った日から6か月、処分・裁決の日から1年が原則。間に合わないと的を選び直す余地すら消える
よくある質問 AI による整理
Q1原処分主義とは何ですか?
処分の違法は処分取消訴訟で、裁決固有の違法は裁決取消訴訟でと審理を振り分ける建前です。行政事件訴訟法10条2項が根拠で、裁決取消訴訟では処分の違法を主張できません。
Q2裁決主義との違いは何ですか?
原処分主義は原則として元の処分を争いますが、裁決主義を採る個別法(特許法178条など)では裁決(審決)だけを争い、その中で元の審査の違法も主張します。逆のルールです。
Q3裁決取消訴訟では何を主張できますか?
審査手続そのものの瑕疵、すなわち裁決固有の違法(理由不備、審理の不公正など)に限られます。元の処分の中身の違法は10条2項により主張できません。
Q4原告適格があれば何でも主張できますか?
できません。訴える資格(9条)を通っても、10条1項により主張できる違法は自己の法律上の利益に関係するものに限られます。入口と主張範囲は別の関門です。
Q5処分取消訴訟と裁決取消訴訟は両方提起できますか?
できます。出訴期間内であれば、処分取消訴訟を主軸に据えつつ、審査手続に固有の瑕疵があれば裁決取消訴訟も併せて提起する二段構えが可能です。
Q6自己の法律上の利益に関係のない違法とは何ですか?
景観保護や一般的な環境配慮など、原告個人の個別利益に直結しない客観的な法秩序一般の違反を指します。これらは10条1項で審理の外に置かれます。
Q7情報公開の不開示決定はどちらを争いますか?
原則として元の不開示決定(処分取消訴訟)を争います。審査会の答申を経た裁決が出ても、原処分主義により裁決取消訴訟で不開示の違法は主張できません。
Q8的を間違えるとどうなりますか?
裁決取消訴訟で処分の違法だけを主張すると、中身に入る前に主張制限で崩れます。出訴期間内なら処分取消訴訟へ選び直せますが、期間を過ぎると救済の窓口が閉じます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審査請求して負けたら、その『負けた決定』を裁判で取り消すんですよね?
そこが落とし穴です。元の処分の違法を争いたいなら、原則は処分取消訴訟です。裁決取消訴訟では処分の違法を主張できず、争えるのは審査手続自体の瑕疵だけ(行政事件訴訟法10条2項、原処分主義)。実務のポイント:弁護士は訴状を書く前に必ず『的は処分か裁決か』を決めます。ここを取り違えた本人訴訟は、中身に入る前に主張制限で崩れることがある
Q2原処分主義って、例外はないんですか?
あります。個別の法律が『裁決主義』を採っている分野では逆になり、裁決(審決)だけを争います。代表は特許の審決取消訴訟(特許法178条)で、元の審査の違法もこの訴訟の中で主張します。実務のポイント:行政事件訴訟法10条2項を暗記しただけだと、自分の分野が裁決主義の例外に当たることに気付けない。まず根拠法に裁決主義の定めがないかを確認するのが実務の鉄則です
間違えやすい点 AI による整理
- 「最後に出た裁決を取り消せば、元の処分も自動的に消える」と考えて裁決を狙う人は多い。だがその問いの立て方そのものが原処分主義を見落としている。裁決取消訴訟で処分の中身は審理されないのだから、的が最初からずれている(前提錯誤型)
- 原告適格さえあれば何でも主張できると思われがちだが、1項は主張できる違法を「自分の法律上の利益に関係する」ものに限定する。入口(訴える資格)を通っても、中で振るえる武器は限られている(深化型)
- あなたから見れば争点は「違法な処分を正したい」だが、裁判所から見れば「あなたの法律上の利益を侵害する違法かどうか」だけが審理対象。この落差を知らないと、正論を並べたのに空振りに終わる(視角転換型)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 争える違法の範囲 | 10条:自己の利益に関係する違法のみ/裁決取消訴訟では処分の違法不可 | 処分取消訴訟(3条):処分の違法を正面から主張できる 裁決取消訴訟(3条):裁決固有の違法のみ主張できる |
| 入口の要件 | 10条1項:原告適格を前提に主張範囲を制限 | 9条:原告適格(訴える資格)の有無 14条:出訴期間内であること |
| 審査請求との関係 | 10条2項:原処分主義で審理を振り分ける | 8条:自由選択主義(審査請求と出訴の関係) 特許法178条:裁決主義(原処分主義の例外) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も撤銷訴訟で原則として原處分を争い、訴願(審査請求に相当)前置のうえ原處分主義的な運用が見られる。
韓国は원처분주의を明文で採用し、原則として元の処分を取消訴訟の対象とする。日本の原処分主義と構造が近い。
ドイツは取消訴訟(Anfechtungsklage)の対象が原処分か異議決定(Widerspruchsbescheid)かを79条で規律し、原則は原処分だが異議決定固有の負担は別扱いとする。
米国は final agency action を司法審査の対象とし、原処分・裁決の振り分けというより「最終的な行政行為」概念で審査範囲を画する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 営業停止処分を受けた飲食店主が審査請求するも棄却。出訴期間まであと2か月。「棄却の裁決を取り消せば営業を続けられる」と裁決取消訴訟を起こすと、裁判所は『処分の違法は裁決取消訴訟では主張できない』と告げる。10条2項の壁だ。処分取消訴訟を選び直す時間が残っているかどうかが、運命を分ける
- もし、隣地の開発許可に反対して、その許可が環境基準に違反すると裁判で争いたいと思ったら? あなたが主張できるのは「自分の法律上の利益」に関わる違法だけ。景観保護や一般的な環境配慮といった、自分の個別利益に直結しない違法をいくら並べても、1項によって審理の外に置かれる
- 審査請求の手続で、あなたの反論をろくに聞かないまま裁決が出た。これは「裁決固有の瑕疵」。この一点に限っては、裁決取消訴訟で正面から争える
- あなたが処分庁の側に立ったとする。私人が裁決取消訴訟で元の処分の違法を延々と主張してきても、10条2項を盾に『それは原処分主義により主張できない』と一蹴できる。攻める側だけでなく、守る側にとっても、的の選択は武器になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 争いたいのが処分の中身(営業停止の理由、許可の違法など)なら、原則として処分取消訴訟を選ぶ。裁決取消訴訟では処分の違法を主張できない(10条2項) 2. 審査手続そのものに瑕疵(理由不備、審理の不公正など)があれば、裁決取消訴訟も併せて提起し、二つの窓口を確保3. 主張は「自分の法律上の利益がどう侵害されるか」に結びつけて構成する。一般的な違法論だけだと1項で切られる4. 出訴期間(14条)を真っ先に確認、間に合わないと的を選び直す余地すら消える
訴えられた側:1. 処分庁の側なら、私人が裁決取消訴訟で原処分の違法を主張してきたら、10条2項により主張自体が許されないと反論できる2. 相手が処分取消訴訟を選んだ場合は、原告の主張する違法が「原告自身の法律上の利益」に関係するものか(1項)を吟味し、関係しない主張は審理対象外と整理3. 原告適格(9条)と主張制限(10条1項)は別の関門。両方を切り分けて防御を組む4. 自分の分野の個別法が裁決主義を採っていないか(原処分主義の例外)も確認
時効(請求できる期限):出訴期間は、処分または裁決があったことを知った日から6か月、処分または裁決の日から1年(行政事件訴訟法14条1項・2項)。審査請求をした場合は、これに対する裁決があったことを知った日から6か月が起算点となる(同14条3項)。正当な理由があれば例外もあるが、原則は厳格(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:取消訴訟は自己の法律上の利益を守る主観訴訟であり、10条1項の主張制限はこの性格の現れとされる。2項の原処分主義は、処分の違法と裁決固有の違法を別々の訴訟に振り分け、同一争点の蒸し返しを防ぐ趣旨と解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和37年(1962年) 新設:行政事件訴訟法の制定(法律第139号)により、従前の行政事件訴訟特例法に代えて取消理由の制限と原処分主義が明文化された。
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