税務署長は、第百六十四条第一項第一号イ(非居住者に対する課税の方法)に掲げる国内源泉所得を有する非居住者の行為又は計算で、これを容認した場合には、当該国内源泉所得に係る各種所得の金額の計算上控除する金額の増加、当該国内源泉所得に係る所得に対する所得税の額から控除する金額の増加、第百六十一条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する内部取引に係る利益の額の減少又は損失の額の増加その他の事由によりその非居住者の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その非居住者の所得税に関する更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その非居住者の各年分の第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号、第三号、第五号若しくは第七号(確定損失申告)に掲げる金額を計算することができる。
要点所得税法 168 条の 2 は、非居住者の内部取引の操作等により所得税負担を不当に減少させる行為又は計算を、税務署長が否認して各種所得の金額を計算し直せる一般的否認規定である。
Q · 海外本社と日本支店の内部取引で節税したら、税務署に全部ひっくり返されるって本当?
個別に合法でも『不当な減少』なら税務署長が否認できます
所得税法 168 条の 2 により、非居住者の恒久的施設帰属所得について、内部利子や内部使用料などの内部取引を操作して所得税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合、税務署長はその行為又は計算にかかわらず所得を計算し直せます。個別の否認規定に触れていなくても、『不当に減少』という要件を満たせば税務署長の裁量で更正できる点が特徴です。合法な処理の積み重ねでも、全体として不当と評価されれば丸ごと引き直されます。
海外に本社を置き、日本に支店を構えて事業を営むとする。その支店は税法上『恒久的施設(PE)』と呼ばれ、2014 年の税制改正以降、本社との間でやり取りする『内部取引』まで、独立した企業同士の取引とみなして課税される。ここで多くの経営者が見落とすのが 168 条の 2 だ。あなたが本社への内部利子や内部使用料を大きく計上して日本の課税所得を圧縮したとき、その一つ一つの処理が形式上は適法でも、税務署長は『全体として税負担を不当に減少させた』と判断すれば、あなたの計算を無視して所得を引き直せる。個別のルール違反を指摘する必要はない。『不当に』という一語だけを根拠に、税務署の裁量で更正できる。これが海外進出企業の税務で最後に効いてくる伏兵である。
所得税法 168 条の 2 は、非居住者の恒久的施設帰属所得に関する行為計算否認を定める規定である。内部取引の操作等により所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、税務署長はその行為又は計算にかかわらず、認めるところにより各種所得の金額を計算し直すことができる。同法 157 条の同族会社否認に対応する非居住者版の一般的否認規定である。
AI 輔助整理,以條文原文為準
外国企業が国内で事業を行う支店・事務所・工場などの拠点を指し、PE と略されます。2014 年改正以降、本店との内部取引まで独立企業間の取引とみなして課税されます。
納税者の取引や計算が形式上適法でも、税負担を不当に減少させる結果になると税務署長がその計算を無視して所得を引き直せる制度です。所得税法では 168 条の 2・157 条が根拠です。
Authorized OECD Approach の略で、恒久的施設を本店から独立した企業とみなして帰属所得を計算する国際基準です。2014 年の税制改正で日本にも導入されました。
本店と恒久的施設の内部利子・内部使用料などは、独立企業間なら成立する取引として認識され課税対象になります(所得税法 161 条)。操作すれば 168 条の 2 で否認されます。
移転価格税制(措置法 66 条の 4)は独立企業間価格との差額を調整する制度、168 条の 2 は不当な税負担の減少全般を包括的に否認する制度です。射程が異なります。
更正処分を知った日の翌日から 3 か月以内に審査請求(国税通則法 77 条)、裁決後の取消訴訟は 6 か月以内(行政事件訴訟法 14 条)です。
将来の内部取引や関連者間取引の価格算定方法を、あらかじめ税務当局と合意しておく制度です。合意しておけば以後の否認リスクを大幅に減らせます。
法令上の義務の有無にかかわらず、独立企業間価格を裏付ける文書を事前に整えておくことが実務上不可欠です。事後に作った資料は『後付け』と見られ説得力が落ちます。
2014 年の税制改正で、日本の支店(恒久的施設)は本社から独立した企業とみなす『AOA』という考え方が導入されました。だから本社との内部利子や内部使用料も、独立企業間なら成立する取引として課税対象になります(161 条、168 条の 2)。業界裏話ヒント:この内部取引は移転価格税制とほぼ同じ発想で管理されます。海外グループ間の移転価格ばかり気にして、支店と本社の内部取引を無防備にしている企業が多く、そこが調査で狙われやすい
一つ一つが適法でも、全体として『税負担を不当に減少させた』と認められれば、168 条の 2 で税務署長が計算を引き直せます。個別規定に違反していなくても発動する点が、この否認規定の怖さです。業界裏話ヒント:裁判所は『不当』かどうかを、経済的合理性があるか、節税以外の事業目的があるかで判断する傾向があります。だから『なぜその内部取引をしたか』の事業上の理由を説明できる資料が、合法性の証明書より効く
違います。行為計算否認は課税所得を計算し直す処分であって、それ自体は刑事罰ではありません(168 条の 2)。ただし結果として過少申告加算税、隠蔽・仮装があれば重加算税が上乗せされます。業界裏話ヒント:否認と脱税(ほ脱犯)は別物です。否認は『税務署の見解では税金が足りない』という民事的な引き直しで、争う余地がある。通知が来た時点で諦めて修正申告する前に、不服申立てで争えるケースは意外に多い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 否認の対象者 | 168 条の 2:非居住者(恒久的施設帰属所得) | — |
| 発動要件 | 内部取引の操作等で所得税負担を不当に減少させる結果 | — |
| 判断基準 | 経済的合理性・独立企業間価格に照らした不当性 | — |
| 効果 | 税務署長が各種所得の金額を計算し直す | — |
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