要点所得税法157条は、同族会社の行為・計算が株主である居住者の所得税を不当に減少させる場合、税務署長が適法性を問わず通常の条件に引き直して課税できると定める。
Q · 税理士お墨付きで作った節税用の会社、税務署に『なかったこと』にされることってあるの?
合法な節税でも経済的合理性がなければ税務署に否認されうる
所得税法157条は、同族会社等の行為又は計算が株主である居住者の所得税を不当に減少させると認められる場合、税務署長が個々の取引の適法性を問わず、通常の条件で取引したものとして引き直し、更正又は決定できると定めます。判例は『不当』を『純粋経済人として不合理・不自然か、経済的合理性を欠くか』で判断し、その立証責任は課税庁側にあります。税金を減らす以外の事業上の合理性を説明できれば、処分が覆る余地があります。
あなたが自分と家族で株を持つ会社を作り、所有する不動産をその会社に貸して家賃を受け取り、家族に役員報酬を分散する。契約は一つ一つ完全に合法で、税理士も問題ないと言った。それでも税務署はある日、その全体を『なかったこと』にできる。所得税法157条、実務家が『伝家の宝刀』と呼ぶ規定だ。同族会社(法人税法2条10号で定義、少数の株主グループが過半を支配する会社)の行為や計算が、株主であるあなたの所得税を『不当に』減少させると認められれば、税務署長は個々の取引の適法性を問わず、通常の条件で取引したものと引き直して課税できる。鍵は『不当に』の一語。判例はこれを『純粋経済人として不合理・不自然か、経済的合理性を欠くか』で判断する。税金を減らす以外に事業上の理由を説明できなければ、合法な取引の積み重ねでも否認される。
所得税法157条は同族会社等の行為計算否認を定める一般的否認規定であり、同族会社の行為又は計算がその株主等である居住者の所得税を不当に減少させると認められるとき、税務署長が当該行為計算にかかわらず通常の条件に引き直して所得金額を計算できる旨を規定する。純粋経済人として不合理・不自然な取引が対象となる。
同族会社の取引が株主の所得税を不当に減らすと認められる場合、税務署長が個々の取引の適法性を問わず通常の条件に引き直して課税できる制度です。所得税法157条が根拠です。
①法人税法2条10号の同族会社等であること、②その行為・計算が株主等である居住者の所得税を不当に減少させると認められること、の2点です。個々の契約の違法性は要件ではありません。
相場より著しく安い賃料設定が『経済的合理性を欠く』と見られれば、157条で相場家賃に引き直して更正されうります。節税以外の事業上の理由を説明できるかが分かれ目です。
『不当に減少させる』ことの立証責任は課税庁側にあります(157条1項)。納税者が経済的合理性を示せば処分は覆り、審判所や裁判所で納税者が勝った事案も相当数あります。
無利息貸付や時価とかけ離れた資産売買が『通常あり得ない条件』と見られると、157条で株主の所得を再計算できます。損をするのは会社でも、課税されるのは株主という逆転が起きます。
更正は法定申告期限から原則5年、偽りその他不正の行為があれば7年です(国税通則法70条)。処分に不服なら通知の翌日から3か月以内に審査請求できます。
実体のないペーパーカンパニーを使った所得圧縮は157条の射程に入ります。事業実体と経済的合理性がなければ、書籍で紹介される裏技でも否認される可能性があります。
親が作った不動産管理会社の株主を相続で引き継いだ場合、会社の行為が相続人の所得税を不当に下げると見られると157条で否認されます。相続税法64条による否認も並行します。
違法ではありません。会社設立も所得分散も、それ自体は適法な私的自治です。ただし所得税法157条は『適法かどうか』ではなく『経済的合理性があるか』を問います。税金を減らす以外の事業上の理由がなければ、合法でも否認されうる。業界裏話ヒント:税理士が節税スキームを勧めるとき、否認リスクまで書面で説明する人は少ない。後で否認されても責任は原則あなたが負う。提案を受けたら『これは157条で否認される可能性は?』と必ず紙で質問する
好き勝手ではありません。判例は『不当』を『純粋経済人として不合理・不自然な取引』と絞り込み、その不当性の立証責任は課税庁側にあります(157条1項)。あなたが経済的合理性を示せれば覆る。業界裏話ヒント:課税庁は否認理由を更正処分に具体的に書く義務がある(理由附記、国税通則法74条の14)。理由が『不当に減少』としか書かれていない抽象的な処分は、それだけで取り消される余地がある。まず相手の理由書を精査する
本税に加え過少申告加算税、そして隠蔽・仮装があれば重加算税(原則35%)がつきます。ただし157条の否認は『適法な取引の引き直し』なので、隠蔽仮装がなければ重加算税は原則つきません(最新の改正状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:課税庁が重加算税をかけたがるのは、それがあると更正期間が7年に延びるから(国税通則法70条)。単なる否認と隠蔽仮装は別物。要件を満たさないのに課されていないか必ず確認する
争えます。処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、税務署への再調査の請求か国税不服審判所への審査請求ができます(国税通則法77条)。そこで負けても裁決後6か月以内に税務訴訟へ。業界裏話ヒント:157条・132条の否認事案は、審判所や裁判所で納税者が勝つ例が相当ある。『税務署が言うなら仕方ない』と諦めた人と、経済的合理性を主張して争った人で結果は大きく分かれる。行為計算否認は、争う価値のある処分だ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象税目 | 所得税(同族会社の株主等である居住者) | — |
| 課税される主体 | 株主等である居住者(個人) | — |
| 同族会社の定義 | 法人税法2条10号を借用 | — |
| 共通の判断基準 | 不当に減少=経済的合理性の欠如、立証責任は課税庁 | — |
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