要点著作権法 34 条は、公表された著作物を学校向けの放送番組・放送同時配信等で許可なく利用できると定める。ただし著作者への通知と、著作権者への相当な額の補償金の支払いが必要である。
Q · 教育番組で自分のイラストや曲が許可なく使われていたら、著作権侵害で訴えられますか?
侵害ではなく、補償金を請求できます
著作権法 34 条により、学校向けの放送番組・放送同時配信等での利用は許可不要の権利制限にあたるため、差止めや損害賠償を求める著作権侵害の主張は原則通りません。ただし同条 2 項が、利用者に対し著作者への通知と著作権者への相当な額の補償金の支払いを義務づけています。つまりあなたが持つのは利用停止の権利ではなく、補償金請求権です。放送分だけでなく、2021 年改正で加わった放送同時配信等や番組用教材への掲載分も対象になります。
Eテレの学校向け番組で、どこかで見たイラストや聞き覚えのある楽曲が流れる。その作者は、放送局から事前に許可を求められていない可能性が高い。著作権法34条は、学校教育の目的に必要と認められる限度で、公表された著作物を学校向けの放送番組や有線放送番組で使い、その番組用教材に載せることを認めている。許可は要らない。だが話はそこで終わらない。決定的なのは2項だ。使った側は著作者に通知し、著作権者に相当な額の補償金を支払わなければならない。つまりこの条文は「許可は不要、ただし金は払う」という珍しい構造を持つ。35条の授業内での複製が原則として無償なのと対照的に、放送という広い射程を持つ利用には対価を課した。あなたが創作者なら、自分の作品が教育番組で使われたとき、黙って見過ごす必要はないということだ。
著作権法 34 条は、教育番組における著作物利用の権利制限を定める規定である。公表された著作物を、学校教育の目的上必要な限度で、教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組・有線放送番組・放送同時配信等に利用し、その番組用教材に掲載することを、著作権者の許可なく認める。ただし著作者への通知と著作権者への相当な額の補償金支払いを条件とする補償金型の権利制限である。
学校向けの放送番組や放送同時配信等で、公表された著作物を許可なく利用できる権利制限規定です。ただし著作者への通知と著作権者への補償金支払いが条件になります。
著作物を利用した放送事業者等が、著作権者に直接支払います(34 条 2 項)。出版社や仲介者を必ず通すわけではなく、放送局側から権利者へ支払われるべき対価です。
対象です。2021 年改正で放送同時配信等が利用態様に追加されました。テレビ放送分だけ補償金を払い、配信分を見落とすと支払い範囲がずれるため注意が必要です。
著作権法上の特別な時効規定はありませんが、金銭債権として民法 166 条の消滅時効が適用されます。使用の事実と支払義務者を知った時から 5 年が起算点です。
34 条 2 項は著作者への通知を義務づけています。ただし通知が履行されていない例もあり、その場合でも使用の事実を把握すれば補償金を請求できます。
不要です。34 条は放送番組用・有線放送番組用の教材への掲載まで権利制限の対象としています。ただし補償金の対象範囲にも教材掲載分が含まれます。
利用自体は適法でも、通知・補償金の義務を怠れば後から著作権者に補償金を請求されます。範囲外の利用に転用した場合は別途著作権侵害になります。
使えません。34 条は「教育課程の基準に準拠した学校向け」の番組に限定されます。一般視聴者向けの教養番組等への転用は別途許諾が必要です。
34条2項は「相当な額」とだけ定め、金額を一律には固定していません(33条の教科用図書のように文化庁長官が算出方法を告示する仕組みとは異なります)。実務上は通常の利用料相場や類似許諾を基準に決まります。業界裏話ヒント:放送局が最初に提示する額は控えめなことが多い。自分の作品の通常ライセンス料の実績や同種作品の許諾事例を手元に揃えてから交渉に臨むと、提示額の根拠を崩しやすい
授業内の複製等は35条で原則無償(授業目的公衆送信は補償金制度あり)ですが、34条は学校向け「放送番組」での利用で、許可は不要でも補償金の支払いが必須です。利用の射程が放送という広範なものだからです。業界裏話ヒント:同じ「教育」でも条文ごとに無償か有償かが分かれている。相手が35条を理由に無償だと主張してきても、放送番組への利用なら34条の土俵であり、補償金の支払義務は消えない
原則できません。34条の要件を満たす利用は適法な権利制限なので、差止めの対象にならず、あなたが持つのは補償金請求権です(34条2項)。請求すべきは利用停止ではなく金銭です。業界裏話ヒント:侵害だと思い込んで差止めや謝罪を求めると交渉がこじれて長期化する。最初から「34条2項の補償金として相当額を請求する」と論点を金銭に絞ると、相手の担当者も支払処理の話に乗りやすい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対価 | 34 条:相当な額の補償金が必要(有償の権利制限) | — |
| 利用態様 | 34 条:学校向けの放送番組・放送同時配信等・番組用教材への掲載 | — |
| 許可の要否 | 34 条:不要(権利制限) | — |
| 通知義務 | 34 条:著作者への通知が必要(2 項) | — |
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