利用権は、当該利用権に係る著作物の著作権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
要点著作権法 63 条の 2 は、利用許諾を受けた者の利用権が、著作権を取得した第三者に登録なしで当然に対抗できると定める。令和 2 年に新設された当然対抗制度である。
Q · ライセンス元が著作権を売ったり倒産したりしたら、うちの利用権は消えちゃうの?
いいえ。登録不要で新権利者に対抗でき、利用権は存続します。
著作権法 63 条の 2 により、利用許諾を受けた側の利用権は、その著作物の著作権を取得した第三者に対して登録なしで当然に対抗できます。著作権者が倒産しても、M&A で権利が他社へ移っても、既存のライセンスはそのまま生き残ります。令和 2 年改正で新設され 2020 年 10 月 1 日に施行された制度です。ただし対抗できるのは『利用権の存続』であり、独占条項や特別料率など契約の細部まで新権利者を当然に拘束するかは別の論点で、解釈が分かれています。
あなたの会社が、あるイラストレーターから商用利用のライセンスを受けて、自社アプリのキャラクターに使っているとする。ある日、そのイラストレーターが著作権を別の会社に売却した。新しい権利者が「うちはそんな契約を知らない、使用をやめろ」と言ってきたら? 2020年9月までなら、あなたに勝ち目はほぼなかった。ライセンスは当事者間の契約にすぎず、第三者には主張できなかったからだ。だが令和2年改正で新設された本条が、その地図を書き換えた。利用権(ライセンス)は、登録も登記もなしに、著作権を取得した第三者にそのまま対抗できる。これを当然対抗制度(とうぜんたいこうせいど、権利を主張するための特別な手続を踏まなくても、自動的に第三者に主張できる仕組み)という。著作権者が倒産しても、M&A で権利が他社に移っても、あなたのライセンスは生き残る。たった一文の条文が、コンテンツビジネスの足元の安定性を一段引き上げた。
著作権法 63 条の 2 は利用権の当然対抗を定める規定であり、著作物の利用許諾を受けた者は、その利用権を、当該著作物の著作権を取得した者その他の第三者に対抗することができると規定する。登録その他の対抗要件を要さず、令和 2 年改正で新設された。著作権譲渡につき登録を対抗要件とする 77 条とは非対称の構造を持つ。
利用許諾を受けた者が、著作権を取得した第三者に対しても利用権を主張できる効力です。著作権法 63 条の 2 が根拠で、登録などの手続は不要です。
利用権の存続自体は当然対抗できます。ただし独占性や特別料率まで新権利者を当然に拘束するかは解釈が分かれ、契約書での明記が実務上重要です。
譲渡は著作権そのものを移す行為で登録が対抗要件(77 条)、利用許諾は使う権利を与える行為で登録なしに第三者へ対抗できます(63 条の 2)。
あります。特許法 99 条が 2011 年に通常実施権の当然対抗を先行導入し、著作権法 63 条の 2 は約 10 年遅れてこれに倣った制度です。
本条は日本法が準拠法の場合の保護です。契約の準拠法が外国法だと本条の適用可否が変わるため、準拠法条項の確認が欠かせません。
必須です。本条により買主は表に見えない既存ライセンスも当然に引き継ぐため、M&A では譲渡人にライセンス一覧の表明保証をさせるのが鉄則です。
違います。本条が対抗させるのは利用権の『存続』であり、独占条項や解除条項などの契約細部まで当然に承継されるかは別問題で解釈が分かれます。
できると解されています。本条は『著作権を取得した者その他の第三者』に対抗できると定め、相続による承継者もこれに含まれると解されています。
利用権の『存続』という意味では、本条(著作権法 63 条の 2)により、登録なしで著作権の譲受人にそのまま対抗できます。ただし独占性や特別な料率といった契約の細部まで新権利者を当然に縛るかは別の論点です。業界裏話ヒント:実務では、契約書に『本契約は著作権の譲受人その他の承継人を拘束する』と一文入れておくのが定石。本条の土台に契約上の盾を重ねることで、存続だけでなく条件の維持も主張しやすくなる
原則として破産管財人は未履行の双務契約を解除できます(破産法 53 条)。しかし利用権のように『使用収益を目的とする権利』で対抗要件を備えている場合、破産法 56 条で管財人の解除権が制限されます。本条の当然対抗が、この対抗要件を登録なしで満たします。業界裏話ヒント:この破産法 56 条と著作権法 63 条の 2 の組み合わせは、ソフトウェアやコンテンツを事業の根幹に使う会社の BCP(事業継続計画)に直結する。ベンダー選定時に『提供元が倒れても使い続けられるか』を法的に検証できる会社は意外と少ない
いいえ、ごく最近です。本条は令和 2 年(2020 年)改正で新設され、2020 年 10 月 1 日に施行されました。それ以前は、著作権が第三者に譲渡されると、ライセンシーは新権利者に利用権を主張できず、使用停止を迫られるリスクがありました。業界裏話ヒント:特許の世界では 2011 年改正で先に『通常実施権の当然対抗制度』(特許法 99 条)が導入されており、著作権はそれを約 10 年遅れて追いかけた形。古い解説書や 2020 年以前の契約感覚のままだと、この保護の存在を見落とす
不要です。これが本条の最大のポイントで、『当然対抗』とは登録などの手続を踏まなくても自動的に第三者へ対抗できるという意味です。著作権そのものの移転は登録が対抗要件になります(著作権法 77 条)が、利用権は登録なしで対抗できる、という非対称が生まれています。業界裏話ヒント:登録不要なのは便利な反面、著作権を買う側にとっては『表に見えないライセンス』を引き継ぐリスクになる。だから M&A の場では、譲渡人にライセンスの全リストを表明保証させるのが鉄則になっている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象と効果 | 63 条の 2:利用権を第三者に対抗(利用権の存続を保護) | — |
| 対抗要件 | 登録不要(当然対抗) | — |
| 施行・沿革 | 令和 2 年改正で新設(2020 年 10 月 1 日施行) | — |
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